【文徒】2014年(平成26)6月27日(第2巻119号・通巻321号)

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1)【記事】「フォーブスジャパン」に関する私の評価は「×」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「フォーブスジャパン」に関する私の評価は「×」

「フォーブスジャパン」が創刊されたが、編集長に就任したのはアメリカの資産運用大手ビコムの日本法人ビコムジャパンで社長をつとめていた高野真。高野は「東洋経済オンライン」で自らのキャリアを次のように語っている。そりゃあ素晴らしいったらありゃしないキャリアだ。
「私はこれまで27年間、金融のキャリアを歩んできました。大和証券でアナリスト・ストラテジストを10年、ゴールドマン・サックスではアセットマネジメントビジネスの法人部長として4年半、ピムコジャパンでは社長を13年近く務めました。これは外資、国内問わず、“雇われ社長”としては長い社長のうちの一人だと思いますが、ピムコジャパンは私が入ったときの資産5000億円が今では9兆円と、大きな成功を収めることができました」
http://toyokeizai.net/articles/-/40956
キャリアは立派だと思うけれど、「フォーブスジャパン」は失敗すると思う。それは高野が雑誌のシロウトだから失敗すると考えているのではない。
象徴的に言えばソニーをダメにした「戦犯経営者」が表紙を飾るというセンスが私には信じられない。内容もハッキリ言ってスカだ。「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」と比べれば一目瞭然である。
こんな雑誌を有り難がる経営者は経営者として二流以下だろう。残念ながら、2万部も売れないことだろう。
昔は、「フォーブス日本版」として、ぎょうせいから出ていたんだよなあ。ぎょうせいは直販に力を入れていたが、それでも売れなかった。これも昔話だけれど、木村剛なる金融マンも、かつて雑誌に挑戦して失敗したことがある。

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2)【本日の一行情報】

大日本印刷は何にでも食指を動かすという意味で貪欲だ。今度はブイキューブ、およびブイキューブ子会社のパイオニアVCとともに、各社のシステムを連携させて企業の業務効率化を支援するサービスを提供するための業務提携を行った。その第一弾として、大日本印刷が提供するデジタルサイネージデジタルサイネージ用コンテンツ配信システムと、ブイキューブとパイオニアVCが提供するインターネット上で遠隔間を結び、会議等を実現するビジュアルコミュニケーションサービスをセットにして販売する。
http://www.dnp.co.jp/news/10100373_2482.html

集英社文庫の「ナツイチ」キャンペーンの16代目イメージキャラクターは佐藤健に決定。佐藤が主演する映画「るろうに剣心」とのコラボも決定。言うまでもなく原作は今伸宏の人気マンガだ。文庫、映画、原作マンガが三位一体のシナジーとなれば大成功である。ちなみに「ナツイチ」が映画やマンガとコラボするのも初めてだ。
http://mantan-web.jp/2014/06/25/20140624dog00m200064000c.html
http://bunko.shueisha.co.jp/natsuichi/top.html
そうだっ!集英社新書から甲野善紀の解説で「るろうに剣心明治剣客浪漫譚−語録」も刊行された。様々なシナジー集英社は狙っているのだろう。
http://shinsho.shueisha.co.jp/seidoku/index1406-3.html

◎第61回「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」において、電通制作の「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」(本田技研工業株式会社)がチタニウム部門でグランプリを獲得した。この他電通グループは、金賞11個、銀賞9個、銅賞12個、イノベーション・ライオン1個を受賞し、すべての部門の受賞内容を通して得た獲得ポイントにおいて、電通グループは「リージョナル・ネットワーク・オブ・ザ・イヤー賞」のAPAC地域で3位に入るとともに、電通は単独の広告会社として世界2位に入った。クリエイティブの電通
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/0624-003754.html

秋田書店の「プレイコミック」が7月25日発売の9月号をもって休刊。1968年の創刊だった。
http://natalie.mu/comic/news/119723
マンガ誌が次々に消えていく。「週刊少年チャンピオン」も近くのラーメン屋で見かけなくなってから久しい。

ハースト婦人画報社の今年創刊60周年を迎える「メンズクラブ」のウエブサイト「メンズクラブ・オンライン」は名称を「MEN'S+(メンズ・プラス)」と変更し、メンズライフスタイル総合サイトとして大幅リニューアルをした。「Esquire」、「Popular Mechanics」、「Cosmopolitan」、「Digital Spy」、「Road & Track」から厳選したコンテンツを提供するという。
http://japan.cnet.com/release/30074116/

KADOKAWAの「コミックウォーカー」と「艦これ」が共同企画した「艦これコミック大賞」は3月22日に応募を開始し、6月20日の締切までに12作品しか集まらなかったのか!これでは休止せざるを得まい。応募要項の「受賞作品の著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含み、出版化・ゲーム化・映像化・その他副次的に商品化する権利等も含みます)は、すべて当社が譲り受けるものとし、受賞者は受賞作品に関する著作者人格権を行使しない旨お約束いただきます」という部分がネックだったという指摘も的を射ているのかも知れないが、的のど真ん中ではあるまい。はからずも「コミックウォーカー」の現段階での実力(の無さ)を露呈してしまったものと私は考えている。
http://www.jgnn.net/ls/2014/06/post-8643.html

◎アマゾンとアシェットは販売協力金の増額をめぐって揉めているようである。
http://www.ebook2forum.com/members/2014/06/amazon-wants-co-op-fee-from-hachettee/
アマゾンと揉める一方でアシェットは米ペルセウス・ブック・グループを買収した。ロイターは次のように書いている。
「アシェットは買収後にペルセウスの顧客サービス事業を書籍流通のイングラム・コンテント・グループに売却するという。アセットは過去数カ月、電子書籍の価格などをめぐり米アマゾン・ドットコムと対立しており、これを意識した動きとみられている」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0F00PL20140625

◎それにしても宝島社はトートバッグが好きなんだなあ。「smart」特別編集によるヘッドフォンBeats by Dr. Dreの初の公式ガイドブックを1800円で発売したが、これにもトートバッグを付けている。もしかすると付録として最も通用するのがトートバッグということかもしれない。
http://www.macotakara.jp/blog/Beats/entry-23830.html

白泉社「LaLa」8月号には「夏目友人帳」に登場する「ニャンコ先生」のコースターが付いている。
http://natalie.mu/comic/news/119629
また、ボーイズラブレーベル「花丸」発のWebマガジン「花丸漫画」(季刊)と「小説花丸」(月刊)の配信を開始した。「小説花丸」は作品ごとのバラ売りもしている。
http://www.hakusensha.co.jp/hanamaru_new/hm_magazine/

トヨタとグーグルが提携した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ240DU_U4A620C1MM8000/?dg=1

◎日共の「赤旗まつり」の参加券も「チケットぴあ」やコンビニで扱っている!
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-25/2014062514_01_0.html

◎そのくらいにはなると思っていたが、10億という数字を改めて聞くとやはり凄い!サービス開始から3年でLINE本体および関連アプリ(合計63アプリ)の世界累計ダウンロード数が21日時点で10億件を突破した。1000万ダウンロードを突破したアプリが14もある。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140624/566343/

◎サッカーW杯の日本対コロンビア戦のツイート数が全世界で444万を記録。コートジボワール戦の396万、ギリシャ戦の271万を抜いた。
http://news.mynavi.jp/news/2014/06/25/145/
読ませるだけじゃダメなんだよな。言わせるなり、書かせなけりゃさ。雑誌に問われているのは、読者にどこまで開けるかなのである。

文藝春秋は「ニコニコチャンネル」に開設している「週刊文春デジタル」で、7月3日から、読者からの情報提供を募集する「文春リークス」を開始する。
http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun/blomaga/ar561898

◎ロイターによれば、バーンズ&ノーブルが電子書籍の「ヌック」事業をスピンオフすることになった。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0F02F920140625

◎キムドン出版社が国内初の電子書籍ライブラリーを開設。ベトナムでのお話です。
http://www.viet-jo.com/news/economy/140621114526.html
ベトナム電子書籍などコンテンツ配信を手がけている会社にSmartEbook.comがあるが、博多を本社とする日本の企業である。
http://www.viet-jo.com/news/nikkei/130218125943.html
インド、インドネシア、フィリピンでも電子書籍を手がけている。
http://www.smartebook.com/

木村紺のマンガ「神戸在住」(講談社)がサンテレビによってドラマ化される。2015年1月17日にサンテレビで放映した後、映画として公開される。開局45周年記念事業作品だそうだ。
http://www.sun-tv.co.jp/kobe-zaiju

◎「ブル新」とか「商業出版」という言葉を好んで使っていた若き日の私にとって「現代思潮社」とは憧れの出版社であった。講談社小学館集英社は三流であり、岩波書店筑摩書房が二流、文藝春秋、新潮社あたりは反動だと頑なに信じていた若者からすれば、現代思潮社は数少ない一流出版社に他ならなかったのである。同社の編集者であった陶山幾朗の「『現代思潮社』という閃光」(現代思潮新社)を一気に読む。陶山はSECT6のメンバーとして谷川雁の大正炭坑闘争を経て現代思潮社に入社している。
http://www.gendaishicho.co.jp/book/b177675.html
陶山は内村剛介と組んでトロツキーの「文学と革命」や内村の最初の評論集である「呪縛の構造」を刊行することになるが、陶山は商社マンであった内村の説く「サラリーマン三則」を紹介している。こうだ。
「(1)商売では「ワル」と組むべし。(2)「辞令」は自分で書け。(3)「たかが商売」と断ずる機会を逸するな。」
いやあ、その通りだなあ。

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3)【深夜の誌人語録】

泣くよりも怒れ!怒るよりも耐えろ!耐えるよりも敵を凌駕しろ!