【文徒】2014年(平成26)6月30日(第2巻120号・通巻322号)

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1)【記事】産経新聞宇野常寛の連載を打ち切り!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】産経新聞宇野常寛の連載を打ち切り!

宇野常寛産経新聞の月1連載が打ち切りとなった。そのことを宇野は6月24日にツイッターで暴露した。
「月1の連載コラムで岩手の握手会の事件をめぐるマスコミの偏向報道について書きたいと主張した結果、産経新聞社から拒否され、交渉を続けましたが先ほどメールで一方的に今月の休載と、これ以上の連載継続が難しい旨を通告されました。事実上の打ち切り通告だと思われます」
産経新聞朝日新聞偏向報道について批判する限りにおいて「自由な言論」が認められるということなのだろうか。それは産経新聞朝日新聞同様に偏向しているということである。
「産経が僕の『岩手の事件の偏向報道について書きたい』という希望を拒否した理由は『文化面にメディア批判は相応しくない』『ポジティブな内容にして欲しい』というものでした。納得できなかったので、『ここはもの書きとして折れてはいけない局面だ』とお願いしたのですが、答えは打ち切り通告でした」
そもそもメディア批判を封印した文化面にどんな意味があるのだろうか。日々の産経新聞の論調からすれば、戦後メディア批判を抜きにしてジャーナリズムの戦後体制からの脱却はあり得ないと考えるのが筋であろう。産経新聞もまた裏声において戦後にしがみついていることを図らずも露呈してしまった?
産経新聞のコラムは初回に『いいとも』最終回を取り上げたときにも、大広告主であるフジテレビの看板番組に批判的な内容は控えて欲しいと非公式に要求があったのですが、そのときはなんとかつっぱねました。今思えば、この時点でイエローカードが出ていたのだと思います」
「笑っていいとも」程度のバラエティ番組を批判的に論じることさえできないような新聞ジャーナリズム(=言論機関)に「権力の監視役」の役割は担えまい。
「はっきり言って、愛想が尽きました。同社文化部のジャーナリストとしての最低限の見識を疑います」
宇野もはっきり書けば良い。産経新聞の文化面担当記者にはジャーナリストとしての最低限の見識すらなかったのである。
「まあ、僕が天下の大新聞様を甘く見ていたのでしょう。社会勉強になりました。マジで」
残念ながら産経新聞は大新聞ではないが、産経新聞も、朝日新聞も同じ穴の貉であるとは言えよう。
https://twitter.com/wakusei2nd

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2)【本日の一行情報】

小学館から昨年8月30日に発売された「妖怪ウォッチオフィシャル攻略ガイド」の勢いが止まらない。
「今年度のゲーム攻略本部門でも、『ポケットモンスターX・Y 公式ガイドブック完全カロス図鑑完成ガイド』(昨年12月発売・オーバーラップ)の33.2万部を上回り、トップの40.2万部を記録。昨年8月の発売以来の累積売上は、47.5万部となり、50万部突破を目前にしている」
小学館にとってみれば「ドラえもん」「ポケットモンスター」に次ぐ三本目の柱が確立したということだろう。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/movie_anime/148600.html

ニコニコ静画で連載されていた漫画「エンゼルゲーム」が、講談社によって単行本化。新シリーズとなる『エンゼルゲームII リバース』は講談社の「月刊少年シリウス」と「ニコニコ静画」で同時連載する。また「月刊少年シリウス」がニコニコ静画で展開するWeb漫画ページ「水曜日のシリウス」では、ニコニコ静画で連載された内容に一部加筆を行い、紙原稿版〈SIRIUS EDITION〉として連載が開始される。
http://news.mynavi.jp/news/2014/06/25/570/

クリーク・アンド・リバー社は、椎名誠氏の名作合計10タイトルを「椎名誠 旅する文学館」シリーズとして電子書籍で刊行した。
http://japan.cnet.com/release/30074251/

◎VASILYが運営する「iQON」の登録会員数が100万人を達成。「THE BRIDGE」は次のように書いている。
「2010年4月のサービス開始からこれまでに投稿されたコーディネート数は100万件、掲載ファッションアイテムは400万件を超えた。また、各アイテムは購入が可能な外部ECサイトへ連結されており、その購入するボタンは月間100万回タップに到達、iQONユーザーからの売上が1億円を超えるECサイトも出現しているという」
女性ファッション誌は、こうした現実を前に何をなすべきか真剣に考えなければなるまい。
http://thebridge.jp/2014/06/iqon-got-1m-users

◎こういう裏事情もバレてしまう時代である。「アンアン」が募集して集めたカープ女子。しかし、マエケンが通じなかったというし、貸し出したリストバンドもなくなっていた…。
http://blog.livedoor.jp/livejupiter2/archives/7356396.html

新潮文庫nexライトノベルではないと主張したところで、ライトノベルスの土壌なしに新潮文庫nexは成立しないんだよね。それに新潮文庫nexライトノベルじゃないという言い方って「文学のラノベに対する優位性」を信じているから出て来るような言い方だろ。その手の差別意識って嫌らしいとは思わないのだろうか。
http://togetter.com/li/684962

◎あれだけ話題になっても「ニコニコ町会議」は赤字だ。CNET Japanは、こう書いている。
ニコニコ超会議は、1回目に4億7081万25円という大幅な赤字となったが、2回目のときには、協賛金と入場者数の増加により8854万2000円の赤字と改善。今回の収支も注目が集まったが、7039万3314円の赤字と、さらに赤字幅が縮小した形となった」
http://japan.cnet.com/news/service/35049942/

ニコニコ動画ミクシィに対する不正ログインは3週間で50万件を超えた。物凄い数だ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140624/566362/?ST=management

講談社は、コミック約13,500点、テキスト約6,500点、合計約20,000点の電子書籍・電子コミックを対象としたキャンペーン「夏☆電書2014」を9月4日まで実施する。この期間中、「週刊少年マガジン」連載中の作品を各電子書店で毎週2作品ずつ無料で公開する。それら無料作品が1DLされるたびに創刊55周年にちなみ55銭が東日本大震災の被災地に義援金として寄付されるという。
http://www.shonenmagazine.com/special/55th_kifuyomi/

◎日本でも五木寛之が翻訳し、ミリオンセラーとなったリチャード・バックの「かもめのジョナサン」の完成版が新潮社から刊行された。今回も五木が訳した。
http://www.hochi.co.jp/topics/20140627-OHT1T50076.html

◎名古屋・栄に建設している新ビルに「丸善名古屋店」(仮称)が入居する。地上7階、地下1階の全フロアを使いに入、中部地区の旗艦店となる。開業予定は2015年4月。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014062790101200.html

朝日新聞の吉田調書スクープに疑義を申し立てた雑誌に対して、朝日新聞は訂正と謝罪を求めているが、まずは門田隆将の記事のどこが間違っているのかを紙面で指摘するのがジャーナリズムの本来のあり方なのではないだろうか。「現代ビジネス」で牧野洋が「朝日に対して、(1)担当記者は『死の淵を見た男』を読んだのか(2)読んだとすればこれまでの報道でなぜ触れていないのか(3)週刊ポストなど3誌の記事のどこが間違っているのか(4)『取材は確かであり、検証の必要性ない』と判断しているのならその理由は何か---といった質問を送ったが、回答を得られなかった」というが、こうした点は牧野のみならず誰もが知りたいところである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39685
言論には言論をという原則が崩れ始めている。やはり戦後民主主義は虚妄であったのだろう。

WEBサービス事業を手がける株式会社Placeが女性ファッション雑誌「PiNuP」を創刊。セブンイレブンを除くコンビニで発売する。隔月刊誌。
http://pinupmag.jp/

◎京都のガケ書房で今秋11月21日に早川義夫トーク&ライブが開催されるぞ。
http://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/
早川は「ぼくは本屋のおやじさん」(筑摩書房)の著者であり、「からっぽの世界」で知られるジャックスの元リーダーだ。それにしても京都の書店は個性派が揃っている。

◎AFPが「仏上院は26日、国内の小型書店を保護する措置として、米アマゾン・ドットコムなどのインターネット小売り大手が値引きした書籍を無料配送することを禁じる法案を可決した」と伝える。独立系書店を守るための、言ってみれば「反アマゾン法」である。グローバリズムナショナリズムが立ちはだかったということだろう。
「フランスが誇りとする『世界でも類を見ない』書店ネットワークは、小さな街にも文化を届ける生命線になっている。こうした書店は英国では1000店しかないのに比べ、フランスには約3500店もあり、うち600〜800店は出版社やチェーンストア、スーパーマーケットなどに属さない、いわゆる独立系書店となっている」
http://www.afpbb.com/articles/-/3018948
日本は書店大国であることがわかる。

昭文社は、ファミリー向けおでかけ情報誌「まっぷる 家族でおでかけ 夏休み号」「関東・首都圏発」「京阪神・名古屋発」「九州・山口版」を発売したが、これに伴い各誌のダイジェスト版を電子ガイドブックアプリ「まっぷるマガジン」の無料コンテンツとして提供している。
http://www.mylifenews.net/resort/2014/06/post-138.html

◎このインドネシア映画、面白そうだな。「ザ・レイド GOKUDO」。
http://www.cinematoday.jp/page/N0064139

佐村河内守ゴーストライターであったことを「週刊文春」で告白した新垣隆が「週刊文春」の依頼で「交響曲HARIKOMI」を作曲することになった。「週刊文春」のniconicoを意識した仕掛けである。こういう軽さ(=ノリ)が「週刊新潮」にはない「週刊文春」の持ち味である。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4129

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3)【深夜の誌人語録】

創造力とは「みんなのために」ではなく「誰かのために」発揮されるものである。