【文徒】2017年(平成29)年8月16日(第5巻153号・通巻1082号)

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1)【記事】KADOKAWAが4〜6月決算で赤字転落。復活に向けた材料は?
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】KADOKAWAが4〜6月決算で赤字転落。復活に向けた材料は?(岩本太郎)

KADOKAWAが10日に発表した今年第1四半期(4〜6月)の連結決算の内容が話題を呼んでいる。約10億5900万円の黒字だった前年同期から一転、最終損益で約2300万円の赤字に転落したのだ。
売上高は全体で499億4100万円(前年同期比1.9%増)と微増だったが、営業利益は71.1%減の約7億9000万円。出版事業や映像・ゲーム事業は増収だったものの減益。特に売り物だったはずのウェブサービスで、「ニコニコ動画」のプレミアム会員数が6月期末に約236万人と、1年前の同期(約256万人)より20万人も減少したことも大きなマイナス要因となったようだ。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1708/10/news088.html
これを受けて株価も続落。14日朝の『日経QUICKニュース(NQN)』によると、昨年8月29日以来1年ぶりの最安値がついたという。(8月14日終値で:1,219円)
《市場では「期待の高かったWebサービス事業で競争環境の厳しさが鮮明となったことで、短期志向の個人投資家に加え、機関投資家も売りを出している」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部長)》
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL14HVE_U7A810C1000000/
4月に幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議」もリアル来場者は過去最高だったがネット来場者は減少しており、来年の開催予定も未だ定かでない。どうやら上辺の華々しさと実態とに乖離が生じてきているのではないかとの見方が、一般にもじわじわと広がってきているように見える。
もとより、現状はスマホ対応機能を備えたniconicoの新バージョン(く)(読み方:クレッシェンド)の開発のための先行投資がかさんでいるということもあろう。「ニコニコはスマホ対応が遅れている」「スマホに乗り遅れたニコニコはオワコン化しつつあるのではないか」といった声はネットユーザーたちからよく聞かれるところだが、登場が今秋だと言われるその新バージョン如何で局面も変わるということだろうか。『ZUUonline』は今後の観測用材料として以下も提示している。
《既存の出版ビジネスにおいては、書籍を一部単位で高品質かつ低コストにオンデマンド印刷できる製造・物流一体の最新鋭工場(平成32年4月フル稼働予定)の準備が順調に進んでおり、新工場で使用する機材のテスト稼働を開始している。》
https://zuuonline.com/archives/167217
KADOKAWAエートスは「野獣死すべし」である。角川歴彦もその宿命から逃れられないことは百も承知なのだろう。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎コミック配信サービス「まんが王国」のビーグリーは講談社との共同プロジェクトとして、『BE・LOVE』編集部のオリジナル新連載を9月15日から独占先行配信する。第1弾は丘上あいの「ギルティ~鳴かぬ蛍が身を焦がす~」。
https://www.beaglee.com/news/press/2017/08/2484/

◎今年6月からウェブサイトに完全移行した小学館『マネーポスト』は7月の月間PV総数が800万を突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000013640.html

集英社は応援サイトの『パラスポ+!』を8月10日にリリースした。『MEN’S NON-NO』『UOMO』編集長を歴任してきた第7編集部部長の日高麻子が総合プロデューサーを務めているそうだ。
http://paraspoplus.com/
https://www.facebook.com/paraspoplus/?notif_t=page_name_change¬if_id=1502781968075925
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000011463.html

花田紀凱の古巣に対する「文藝春秋が朝日化している」との批判はますますボルテージが上がっている。《文春ジャーナリズムは死んだ、と言いたくなる。》とのセリフまで飛び出した。
https://news.yahoo.co.jp/byline/hanadakazuyoshi/20170812-00074459/

◎ぴあから新雑誌『アニメぴあShin-Q(シン・キュー)』が9月8日に創刊。新作アニメの一方、ネット経由などで視聴しやすくなった懐かしの作品も取り上げていくという。第2号は12月、第3号は来年3月に発売を予定とのこと。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1708/14/news067.html

◎アニメといえば「ガンダム」の第一作目で1979年に初めてテレビ放映(後に映画化)された『機動戦士ガンダム』(通称 “ファースト・ガンダム”)を、当時作画監督を務めた安彦良和がアニメ新作としてリメークする話が固まりつつあるらしい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170814-00000006-dal-ent
ガンダム」経由で『虹色のトロツキー』など、安彦の劇画作品に触れるようになった読者は今の40〜50代あたりには多いはずだ。

◎初の「大宅壮一文庫フォーラム」が9月29日に新宿の紀伊國屋ホールで開催される。紀伊國屋書店との共催で、テーマは「フェイクニュース時代のノンフィクション」。大宅文庫理事長の大宅映子の司会のもと、武田徹津田大介、今年リニューアルした第1回「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」受賞者の森健の3人が登壇するそうだ。
http://www.oya-bunko.or.jp/tabid/165/Default.aspx?itemid=303&dispmid=406
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081402000140.html
しかし改めて、八幡山のあの場所まで人を呼び寄せる方策がないものかなと思う。昔からあれだけフリーライターや編集者らが連日出入りしてきた場所なのに、考えてみれば催し物などが開けそうなスペース一つないのだ。

広島東洋カープ福井優也投手が先日の試合のマウンドに続いてネット上でも炎上したそうだ。さる11日の巨人戦に先発し、途中まで好投したが5回途中に6失点でKO。その分かれ目になった1球についての主審の判定を批判するかのような写真入り投稿をインスタグラムにアップしたところ、「これはガッカリだわ」「八つ当たりした感じ」など批判が殺到。削除と謝罪に追い込まれたという。
https://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/20170814jcast20172305802

文化放送の社長を10年間務め、さる6月26日に代表取締役会長に退いた三木明博は、かつてプロデューサー時代に周囲の反対を押し切って、まだ無名だった小倉智昭を起用したそうだ。
『ORICON NEWS』でのロングインタビューに応えて過去の思い出、ラジオの今後についての思いを披露した。
http://www.oricon.co.jp/confidence/special/50210/
1970年11月25日に三島由紀夫らによる自衛隊市ヶ谷駐屯地事件が起こった際、三島がバルコニーで行った演説の全容を現場に集まった報道陣の中で唯一録音できたのは、当時文化放送に新人として入ったばかりのこの人だった。
http://getnews.jp/archives/648909

◎『LITERA』が《産経新聞OBが驚きの社内事情を証言!「本物の右翼はいない」「幹部は商売右翼」「東京新聞に記者が大量移籍」》との見出しで報道。
ただし読んでみたら、『週刊金曜日』が6月に発行した『検証 産経新聞報道』の内容紹介だった。
http://lite-ra.com/2017/08/post-3388.html
http://www.kinyobi.co.jp/publish/002337.php
ちなみに産経新聞出身の記者は出版界でも『週刊東洋経済』や『週刊ダイヤモンド』など各誌に移籍のうえ活躍している。