【文徒】2014年(平成26)8月8日(第2巻148号・通巻350号)

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1)【記事】佐賀県丸善ジュンク堂書店のコラボに注目
2)【記事】表紙は雑誌の顔である
3)【記事】朝日新聞をめぐって
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.8.8 Shuppanjin

1)【記事】佐賀県丸善ジュンク堂書店のコラボに注目

佐賀県丸善ジュンク堂書店がコラボして、ジュンク堂書店池袋本店、丸善丸の内本店、ジュンク堂書店吉祥寺店の都内3店舗及びネットストアの特設サイトにて、佐賀県の名産品と本を組み合わせたギフトセット「ほんのひととき 〜本と、半径1mの、おくりもの。」の販売を行っている。ネーミングやパッケージデザイン等のクリエイティブ・ディレクション博報堂出身の渡辺潤平が担当している。講談社の「週刊少年マガジン」やベネッセの「進研ゼミ」の広告を担当したこともある。
http://www.oricon.co.jp/news/2040649/full/
例えば「夕暮れレトロ」のセットは森浩美の青春小説「夏を拾いに」、「有田焼」の風鈴、「肥前びーどろ」のタンブラー、佐賀県の飲料メーカー「湯あがり堂」のサイダーという組み合わせだし、「大正乙女」のセットは北村薫の「街の灯」、有田焼の名窯 香蘭社カップ&ソーサー、嬉野生まれの「うれしの紅茶」という組み合わせだ。
http://youpouch.com/2014/08/05/216297/

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2)【記事】表紙は雑誌の顔である

ものまねメークのざわちんが主婦の友社のファッション誌「S Cawaii!」9月号の表紙でミランダ・カーものまねメークを披露!
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140806-1346325.html
マガジンハウスの女性誌「an・an」恒例のセックス特集の表紙を松坂桃李が飾る。スポーツ紙で自社サイトでも表紙をアップしたらどうなのだろうか。そういう細やかさが必要だと思う。
http://www.sanspo.com/geino/news/20140806/oth14080605040011-n1.html
加藤ローサが二年振りに復帰。祥伝社のおしゃれママ雑誌「nina's」の表紙を次男と飾る。
http://www.j-cast.com/mono/bookwatch/2014/08/06212279.html
表紙は雑誌の「顔」である。「顔」をイデオロギーと読んでも良かろう。最近、私が最も評価している表紙が「アンドプレミアム」(マガジンハウス)。有名人の誰かに頼らないところがステキだ。「アンドプレミアム」は男のオレでも読める女性誌と言ったら良いのかな。ともかく沁みる雑誌だよ。「アンドプレミアム」から見ると「an・an」の表紙は肩に力が入り過ぎている。「an・an」は雑念を捨てるべきだ。
http://magazineworld.jp/premium/

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3)【記事】朝日新聞をめぐって

朝日新聞お家芸は識者、有名人を総動員する手法だという「産経抄」の指摘は、その通りである。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140807/ent14080703400001-n1.htm
朝日新聞は「サピオ」「フラッシュ」につづき「週刊文春」にも抗議し、謝罪と訂正を求める。
「『週刊文春』8月14日・21日号に掲載された記事で、元朝日新聞記者が書いた慰安婦に関する記事を『自らの捏造(ねつぞう)記事』と表現したことについて、朝日新聞社は同日、根拠なく捏造と決めつけ、朝日新聞社の名誉と信用を著しく傷つけたとして、週刊文春の編集人に抗議するとともに、謝罪と訂正の記事掲載を求める文書を送った」
http://www.asahi.com/articles/ASG866KKLG86ULZU00P.html
朝日新聞はもっと早く訂正すべきだったと毎日新聞の社説。
慰安婦問題とはそもそも、戦時下において女性の尊厳が踏みにじられたという、普遍的な人権問題だ。国際社会に通じる感覚と視点で議論していくことが求められる。にもかかわらず、朝日新聞が吉田証言を前提にした報道を続けたことで、国内論議慰安婦の強制連行の有無にばかり焦点があてられた。その結果、女性の人権という問題の本質がゆがめられたのは残念だ。もっと早く訂正すべきだった」
http://mainichi.jp/opinion/news/20140807k0000m070168000c.html
朝日新聞はこの件で何故に謝罪しないのだろうか。

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4)【本日の一行情報】

◎「Hanako」の特集は「東京の江戸へ!」。昨晩は人形町でタイ飯を喰った私からすると門前仲町も取り上げて欲しかった。
http://magazineworld.jp/hanako/

小学館小学館集英社プロダクションは、両社が運営する小学館の通信添削学習「ドラゼミ」が主催する「第15回ドラえもん大賞全国作文コンクール」の募集を開始した。テーマは「ぼくの・わたしの宝もの」。
http://family.shogakukan.co.jp/special/dora/2014sakubun/

◎猛暑だ。こういうときにはカイピリンガで酔いたい。船戸与一の「山猫の夏」で知った酒精だ。小学館文庫から復刊。
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060706
豊浦志朗名義で発表された「叛アメリカ史」はノンフィクションの傑作である。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480023100/
豊浦=船戸は「叛史」をこう定義する。
「叛史は正史の対極にある概念である。 叛史とは正史が設定した座標軸そのものをぶち壊すことを目的とした迎撃と侵攻のヴェクトルである。潜在的な敵対者が絶対の敵対者に成長する過程であり、絶対の敵対者が正史を撃つために全エネルギーを放電する瞬間である」
http://ideas.paunix.org/funado/ya_hanshi.htm
定説に従えば船戸与一布川徹郎の映画「bastard on the border 幻の混民族共和国」から誕生した才能である。この映画のDVDと「叛アメリカ史」をパッケージにした出版なんて今の出版業界では無理なんだろうな。製作は崔洋一、音楽は富樫雅彦だ。「満洲演義」を映画化するのであれば監督は崔洋一だ。
「マージナル」第2号には船戸も寄稿している。円井照容って名前あるでしょ。それ20代のオレだからね。中徹は「GQ日本版」の創刊編集長である。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN4-7684-9962-7.htm

◎函館蔦屋書店で柴田元幸の朗読会が企画されるまでの経緯を北海道新聞が紹介している。柴田が「函館に滞在するようになって親交を深めたカフェ『SOUNTRA(サントラ)』(五稜郭町28)の店主鹿内誉之(しかうちたかゆき)さん(35)に、『函館蔦屋書店で何かイベントができないか』と提案したことがきっかけだったという。
「…書店内では関連イベント「柴田元幸書店」が7月末から始まった。柴田さんの作品や関連書を翻訳、編集、エッセーの3種に分け今月14日まで展示している。並んだ書物数は180種2千冊」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/555225.html
バリー・ユアグローの「セックスの哀しみ」(白水社)は柴田の翻訳による。
http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=07173

徳間書店は、8月15〜17日に東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケットコミケ)86」の企業ブースに「アニメージュ×COMICリュウ×徳間書店」として出展する。「ゼットン抱きマクラカバー」(1万2000円、税込み)が話題を呼びそう。
http://mantan-web.jp/2014/08/05/20140805dog00m200042000c.html

◎USAトゥデーを擁するガネットは自動車情報サイトを買収し、新聞事業から放送・ネット事業を切り離し、分社化することになった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM0600A_W4A800C1EAF000/

◎新潮社の創業者である佐藤義亮は秋田県角館の出身。新潮社記念文学館がある。
「文学館には大正11年から現代まで創設者がお亡くなりになっても『新潮社』から新刊の本をずっと頂いております。お蔭様で町民は大正より今まで文学と親しむ事が出来ました」
http://kakunodate-kanko.jp/blog/2014/08/post-2939.html

◎「サマーソニック 2014(SUMMER SONIC 2014)」は、小学館の女性ファッション誌「キャンキャン」がコラボ。スタイリストの小山田早織プロデュースによるグッズを会場でも販売するそうだ。
http://www.wwdjapan.com/fashion/2014/08/06/00013219.html
http://summersonic.eplus-saitekigoods.com/spd/db_f_1.cgi?G=0

ピザハット公式Facebookのアイデア募集で1位を獲得したトッピングを商品化した「もちポテ明太ピザ」を発売するそうだけれど、雑誌もソーシャルメディアを使って企画を募集すりゃあいいじゃん。何でそんな簡単なことができないのかね。ソーシャルメディアを情報発信にしか使っていないなんてアッタマ、悪いんじゃねぇの。
http://news.mynavi.jp/news/2014/08/06/272/

◎LINEはゲームコンテンツを対象とした投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」 (仮)を設立する。
http://linecorp.com/press/2014/0806787

日本新聞協会は新聞広告総合サイト「新聞広告データアーカイブ」をリニューアル。雑誌業界も、わけのわからない冊子を作るよりも、こうした広告事例集を早急に立ち上げるべきだ(怒)。
http://www.pressnet.or.jp/adarc/

博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂DYホールディングス、アイズファクトリーの3社は、現場マーケッターの意思決定を支援する MMM(Marketing Mix Modeling)の広告効果測定の新サービス「m-Quad」(エム クアッド)の提供を開始する。
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/pdf/HDYnews0806.pdf

KADOKAWAは「嫌われ野菜」を「Walker47」と「コミックウォーカー」を使って売り出す。キャラクタービジネスに結び付けたいのだろう。
http://japan.cnet.com/release/30077680/

インフォコム電子書籍配信サービスはアムタスが運営しているが、で2014年7月度の月間売上高が10億円を突破。アスタムが運営するのは「めちゃコミック」と「ekubostore(エクボストア)」。
http://www.infocom.co.jp/info/press/2014/p14080401.html

スターツ出版は今期経常利益を42%減益に下方修正した。
「…景気回復にともなう広告環境の変化により収益性の高い雑誌・WEBサイトの広告売上が減少したことなどによって、売上高および利益が前回発表予想数値を下回ることとなりました」
http://kabutan.jp/news/?b=k201408060149

彩流社、あけび書房、大蔵出版リベルタ出版の4社はアマゾンが実施する学生向け10%ポイント還元サービスは実質的な割引で、書籍の再販売価格維持契約に反するとして、自社商品の除外を求めたが、応じなかった日販は違約金を請求した。
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-4d1f.html

凸版印刷の2014年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比45%減。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLZO7533952006082014DTB000

◎ジョルテは講談社と手を組み、2,200万ダウンロードの実績を誇る「ジョルテ - カレンダー&システム手帳」に「のだめカンタービレ」の主要キャラクターを起用したオリジナルモード(300円)と「VOCE」ビューティカレンダー(無料)の全チェンをリリースした。
http://www.jorte.com/jp/news/?news_id=0

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5)【深夜の誌人語録】

表通りは余所行きの顔で溢れているが、裏道に入れば人々の本音が渦巻いている。表通りが新聞の領域であるとすれば、裏道こそ雑誌の生きる場所にほかならない。