【文徒】2014年(平成26)8月20日(第2巻156号・通巻358号)

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1)【記事】「GQ JAPAN」から考える「雑誌もブランドのひとつ」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「GQ JAPAN」から考える「雑誌もブランドのひとつ」

GQ JAPAN」のウエブサイトは月間530万PV、月間120万UUという数字を叩きだしている。ウエブサイトに関して言えば立派なマスメディアである。加えてFacebookファン数は5万5000、Twiterのフォロワーが3万5000、YouTubetが600なのだそうだ。
http://blogos.com/article/92601/
この数字に鈍感であってはなるまい。
もちろん、PV数とUU数に関して言えばオンラインに特化したOPENERSやhoneyee.comに劣るものの、こうしたウエブマガジンには紙の雑誌はない。「GQ JAPAN」の部数は約6万9000部と「自称」しているが、残念ながらABC公査に加わっていないため、この数字を鵜呑みにはできないだろう。せいぜい3万5000部程度の実力であるに違いない。しかし、それでも紙の雑誌を擁しているということは「GQ JAPAN」の強みである。紙の雑誌で「GQ JAPAN」よりも部数の多い雑誌であっても、「GQ JAPAN」のPV数、UU数の足下に及ぶべくもあるまい。
GQ JAPAN」とは、紙の雑誌、ウエブマガジン、SNSの「総称」に他ならないのである。これに例えばリアルなイベントを企画するのであれば、そのイベントも「GQ JAPAN」の一部なのである。「GQ JAPAN」というブランドのもとに様々なメディアが結集しているのである。
GQ JAPAN」がブランドである以上、「GQ JAPAN」はメディアであることに拘る必要もあるまい。商品やサービスに「GQ JAPAN」の名前が冠せられていても一向に構わないのである。ただし、どんなメディアであれ、どんな商品、サービスであれ、「GQ JAPAN」のコンセプトを対等に共有しなければなるまい。ブランドのコンセプトをひとつでも逸脱してしまうのであれば、ブランドそのものが崩壊するという事態もあり得よう。
お気づきかと思うが、私は「GQ JAPAN」という特定のブランドについて語っているのではない。私が言いたいのは雑誌が生き残るためには単なる紙の媒体から離陸していくことが必要だということである。

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2)【本日の一行情報】

著作権問題で書店から回収されたコミックス「ハイスコアガール」全巻セットがヤフオクで13000円で取引された!。
http://getnews.jp/archives/646321

岐阜県の大垣に本社を置き、100円ショップを全国展開する「セリア」と学研が協力して、科学工作や実験のアイデアを店舗やウェブ上で公開して、子どもたちの自由研究をバックアップしている。
http://www.asahi.com/articles/ASG8H6GYNG8HUTIL03X.html

KADOKAWAドワンゴ経営統合KADOKAWAが追いつめられての切羽詰まった選択であったはずだ。この点、私とKADOKAWAアスキークラウド編集部に身を置く盛田諒の視点は異なる。ただし、CCCについての次のような指摘は面白い。
「もしCCCが出版事業をプライベートブランド化し、自社販路で販売すれば、返本率はかなりの割合で下げられるはずだ。4797万人の会員数、24億件の年間利用数を誇るTカードのプラットフォームから得られる顧客情報を分析すれば、生産量は容易に調整できる。生産・管理コストが下げられれば、そのぶんを価格や商品開発力にあてられる。出版社1社の売り上げを丸ごとCCCが持っていっても不思議はない」
http://ascii.jp/elem/000/000/922/922486/
プライベートブランド化したからといって、何も販路を自社系列の販路に絞る必要はないだろう。自社系列以外は買い切り制にするとか、責任販売制にすれば良いだけのことである。

佐世保市で起きた女子高校生殺害事件で「サンデー毎日」は被害者も匿名で報じたそうだ。専修大教授の山田健太は8月18日付毎日新聞で次のように書いている。
「『サンデー毎日』8月17・24日号は週刊誌の中で唯一、被害者も匿名にした。ネットを中心に細かな情報があふれ、暴露行為が『正義』であるかのようにもてはやされているなかで、あえて匿名範囲を拡大したことは編集部の人権意識を示していると言えよう」
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140818org00m070006000c.html

学研パブリッシングとブックビヨンドは、学研パブリッシングが運営する、『侍』をテーマにしたデジタルコミックサイト「Manga Samurai Style」で連載しているマンガ作品の3タイトルの各第1巻を、2014年8月30日の紙版の発売に先駆けて、8月18日より「電子書籍版の先行配信」を開始している。電子版配信より約2週間後に紙版は発売される。デジタルファーストである。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000009949.html

講談社の「週刊ヤングマガジン」に連載されている吸血鬼マンガの「彼岸島」は深夜ドラマとして放映され、また映画化もされたが、セカンドシリーズがテレビ放映され、これも映画化されるようだ。
http://irorio.jp/entame/20140818/156166/

ビームスが、テレビ東京系6局ネットで放送中のテレヒアニメ「妖怪ウォッチ」とコラボレーションした親子Tシャツ2モデルを発売する。
http://www.fashionsnap.com/news/2014-08-18/youkai-watch-beamst/

郡山市の岩瀬書店冨久山店プラスゲオは8月17日に児童書コーナーでワークショップ「だるまさん おきあがりこぼし をつくろう」を開催した。児童書コーナー横の通路では「手作りキャンドルを作ろう」も同時開催したという。
http://www.iwasebooks.co.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=journal_view_main_detail&post_id=1002&comment_flag=1&block_id=45

集英社スーパーダッシュ文庫編集部が、コミケでイラスト付き瞬間冷却剤を無料配布したことは既に報じたが、これをツイッターで紹介するに際して「東駐車場待機列にて、殴ると冷たくなる美少女(瞬間冷却材)配布しております!」と投稿したところ、炎上した。確かに女性蔑視をともなうヘイトスピーチと同種の不適切な表現である。
http://matome.naver.jp/odai/2140830275786784501
スーパーダッシュ文庫編集部は「お詫び」を発表した。
「この冷却剤には『ゲンコツで強めに叩いて』使用する旨の説明書きが付けられておりましたが、『殴ると冷たくなる美少女(瞬間冷却剤)』などと紹介していました。このツイートによりご不快な思いをされた皆様に、深くお詫び申し上げます。」
http://dash.shueisha.co.jp/owabi.html

講談社東京ディズニーシーのアトラクション「タートル・トーク」を9月4日から提供する。映画「ファイティング・ニモ」に登場するキャラクターを使ってのシアタータイプのアトラクションである。
http://www.narinari.com/Nd/20140827503.html

◎ラナは、小学館集英社プロダクションとのライセンス契約により、9月3日のドラえもん誕生日を記念して「ドラッチ'14-'15リミテッドエディション」を発売する。
http://news.livedoor.com/article/detail/9157725/

◎ドイツの作家1200人も価格設定問題でアマゾンに抗議!
「アマゾンは作家を人質にしている」
http://www.afpbb.com/articles/-/3023446

産経新聞のソウル支局長がソウル中央地検の事情聴取を受けた。朝日新聞によれば「報道をめぐって外国メディアの記者が捜査対象になるのは異例だ」。
http://www.asahi.com/articles/ASG8L4R5PG8LUHBI01B.html

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3)【深夜の誌人語録】

読書が編集力を鍛えるのだ。