【文徒】2014年(平成26)8月22日(第2巻158号・通巻360号)

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1)【記事】今度は吉田調書をめぐる朝日VS産経の争い
2)【記事】ブラック企業と評判の秋田書店の給与明細
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.8.22 Shuppanjin

1)【記事】今度は吉田調書をめぐる朝日VS産経の争い

吉田調書をめぐる朝日VS産経の戦い。宮崎哲弥は朝日の報道の仕方は一種の印象操作ではないのかと指摘したうえで産経に軍配を上げる。
「宮崎氏は『本来だったらこういう風(産経新聞)に報道して、公平な、少なくとも吉田氏の視点でどういう風に見えていたのか、退避問題を含めて書いていればなんの問題もなかったにも関わらず、情報をピックアップして記事を作って、さらに誤解を招くような見出しを立てた』と非難し『どっち側に分があるかと言うと、産経の主張に若干分があるかなという気はしますけどね』との見解を示した」
朝日は吉田調書のおいしい部分をつまみ食いしたということだろう。
http://news.livedoor.com/article/detail/9166269/?utm_source=m_news&utm_medium=rd
朝日新聞産経新聞に抗議書を送ったというが、宮崎哲弥にも抗議書を送りつけるのだろうか。「東スポWeb」は次のように書いている。あり得る話だよな。
「今回の産経新聞の記事は、政府がお膳立てしなければ成立しない内容。別の関係者によると『吉田調書は安倍政権下のトップシークレット。それが漏れるということは政府が産経に橋渡ししたとしか思えない。政府が朝日新聞を潰そうとしているのでは』と推測する」
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/303306/

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2)【記事】ブラック企業と評判の秋田書店の給与明細

これが秋田書店の給与明細だ。
20代で基本給26万1900円、残業手当、住宅手当9000円、食事手当8000円など諸手当も出て、この月の支給総額は43万5864円。手取りが33万5660円也。
http://i.imgur.com/Hhp3AGH.jpg
秋田書店は「読者を裏切る違法行為をし続けた企業風土」があるうえ、「自らの感情の赴くままに部下をしかりつけ怒るとをいうことについて、なんらの問題も感じない編集長が君臨している職場」だそうだ。
秋田書店の「景品水増し・パワハラ解雇事件」の原告女性は次のように意見陳述書で述べている。
秋田書店は、本当に隠蔽体質です。世間に不正水増しがバレ、社会的に大きな問題として報道されているにもかかわらず、会社は謝罪会見などせず、責任者の処分も一切発表していません。驚くことに、不正を指示した編集長は、未だに編集長のままです。もっと衝撃的なのは、会社は社内調査の結果、不正水増しをしていたのは消費者庁に指摘された3つの雑誌だけ、と発表していますが、これはウソです。指摘を受けていない雑誌でも不正水増しは横行していました。なぜ社会的に発覚したこの後に及んで、まだ読者をダマし続けるのでしょうか。ウソを重ねるのでしょうか。不正を隠し続けるのでしょうか。会社は何も反省していないのです」
http://www.seinen-u.org/akita-saiban.html
9月25日(木)午後1時30分から東京地裁705号法廷で第7回目公判が開かれる。

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3)【本日の一行情報】

◎社員がAVに出演していたからといって、それほど驚くには値しまい。
「渦中の人物は、今年4月に入社した女性新入社員。3か月の仮配属期間中に、過去のAV出演歴が発覚したのだという。つまり、『ポスト』がアナウンサーのフェラAV出演を報道するのと前後して、その足下で似たような騒動が勃発してしまったわけだ」
http://lite-ra.com/2014/08/post-378.html

櫻井秀勲祥伝社に辞表を提出したのは54歳のとき。
「相賀徹夫さんは心配してくれて『小学館集英社祥伝社と袂を分かつのではなく、一ツ橋グループで女性情報研究所というようなものを作ってみてはどうか』といってくれました」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40172

◎ニュースアブリの世界でスマートニュースとグノシーが激しく競い合っているが、そのゴールは?
「そのゴールがヤフーのようなポータル化なのか、あくまでニュースアプリのオプションとしてヤフーとかLINEとかに買収されることなのかは別として、今は複数のアプリがドングリの背比べで競っている市場でも、最終的に1位と2位では大きな差がつく可能性が非常に高い領域であると考えられます」
1位が利益を総取りしてしまうビジネス構造がインターネットの普及で加速化しつつある。
http://blogos.com/article/92758/
雑誌の世界でもジャンルトップの雑誌かどうかで利益構造がまるで違ってきている。

中山美穂は離婚の真相を告白するにあたり、光文社の「美ST」を選択した。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2041167.html?iref=comtop_list_andw_f01

◎8月20日は「ヤフーの日」なんだって。そこでインターネット広告の歴史をたどるインフォグラフィック「そこに山があるから」編を公開している。インターネット広告の歴史は僅か20年にしか過ぎない。
http://marketing.yahoo.co.jp/event/820_2014.html

◎日販が長野県に本拠を置く平安堂と親会社の高沢産業を提訴した一件についてBook World Consultingの友野雅志が面白い推測をしている。
「これは日販だからやった、あるいは可能だった、他の取次店にはできないだろうという考えである。すでに、多くの優良書店とは資本提携を行い、そうでない書店は子会社化した日販にとって、今回の提訴は、表面化しただけであって、すでに取引書店とはそれをこえた状態である。つまり、平安堂が子会社化に反発した、役員派遣に反発した、そして今回の結果になったのではないか、という推測である」
http://ameblo.jp/bookworldconsulting/entry-11912909502.html

東海大学出版部から刊行された小松貴の「裏山の奇人」が面白そうだ。
http://honz.jp/articles/-/40694

◎元祖であり、本家であるというタイトルからして迫力がある。小学館から刊行された「妖怪ウォッチ2 元祖/本家 オフィシャル攻略ガイド」。100万部でしょ、最初から。昨日あたりから店頭に並んでいる。
「やりこみ要素が盛りだくさんの本作。普通にプレイしていては見つからない妖怪やイベントなどのヒミツ情報を大スクープしまくっています!」
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784091065438

◎紙の書籍と電子書籍では読書体験が違うという研究。次のような結果だったらしいが、本当なの。
「物語中の出来事が発生したタイミングを尋ねた設問では、電子書籍を読んだグループが明確に低い正答率を示したとのこと。さらに、14個に分けられた話の流れを順番に並び替えるという設問に至っては、電子書籍グループの正答率はもう一方のわずか半分ほどしかなかったという結果が浮き彫りになりました」
私の極私的な見解を言うと、確かに読書体験は違う。電子書籍のほうが、読むのに時間を要してしまうのだ。読書の速度を上げられないこともあって精読しちゃうのよ。
http://gigazine.net/news/20140821-reading-on-screen/

◎「極左・極右と取り巻き連中が殺し合って、双方消えてしまえば、日本からごみが排除されて大変美しい国になると思う」と自らのフェイスブックに投稿したのは40代の高校の先生だった。
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2014/08/21/002237157

◎アマゾン批判の難しさは消費者を敵に回しかねないところにある。
「出版社から見た『イジメっ子』は、多くの消費者にとって『正義の味方』なのだ。『愛書家』はともかく、売り手と強気で交渉するアマゾンを、『消費者』は不快な存在と見ていない」
http://www.ebook2forum.com/members/2014/08/new-publishing-world-order-of-amazon/

◎「暮らしの手帖」の松浦弥太郎編集長はリーバイス501がファッションの基本だそうだ。
「靴にしても、シャツにしても、ジャケットにしても、最初に考えるのは501に合うかどうか。そうしているとそんな失敗はないですね。でも、501を履くとお洒落か? と言われたらそんなことはないと思います。まず形が野暮ったいですからね」
http://www.newyorker.co.jp/magazine/feature/traditional_style/vol07/?fb_action_ids=10204840192950918&fb_action_types=og.likes

◎日本印刷産業連合会(日印産連)と電子出版制作・流通協議会(電流協)は10月1日、日本印刷会館において「電子書籍制作・流通の基礎セミナー」を開催する。
http://www.pjl.co.jp/news/event/2014/08/6753.html

◎ミリオンセラー作家H先生の地元関西での評判は悪いらしい。
「当初はHのことを『人気モン』と呼び応援していた彼らも、いまや『薄情モン』と呼び捨てする状況とか。まさに地元での信用は永遠にゼロといったところだろうか」
http://okmusic.jp/#!/news/50565

◎私も誤植が多いほうだが、学研パブリッシングの「おとなの青春18きっぷの旅 2014年夏季編」ほどではあるまい。別冊付録とはいえ、こんなに大量の誤植があるとは、これでは商品の体をなしていないのではないか。ネットで正誤表を公表するだけで事態の収拾を図ろうとしている学研パブリッシングの姿勢は酷い。読者に対して真摯に向き合っているとは言い難い。
http://gakken-publishing.co.jp/news/201408/20140820.html
http://watchnavi.jp/otona18.php#owabi

見城徹がアイス・バケツ・チャレンジ。動画を公開している。
http://www.gentosha.jp/articles/-/2493
http://ameblo.jp/torukenjo/
「アイス・バケツ・チャレンジ」はソーシャルメディアを使った募金活動だが、その発案者の一人が亡くなった。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/20/ice-bucket-founder_n_5696805.html

◎マガジンハウスが運営する「anan総研」に企業、ブランドのオウンドメディア構築のためのCMS「ポストレ」を導入したそうだ。
http://news.biglobe.ne.jp/economy/0820/prt_140820_3083035137.html

◎これがバーンズ&ノーブルとサムソンが共同開発したAndroid タブレットGalaxy Tab 4 NOOK」だ。
http://getnews.jp/archives/649107

文藝春秋は、中島丈博が「週刊文春」で連載している「真・天国の恋」を8月21日よりKindle連載として 、Kindleストアでの独占配信を開始した。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140821/prl1408211308051-n1.htm

徳間書店の「月刊コミックゼノン」に連載されている新久千映グルメ漫画ワカコ酒」がテレビドラマ化されることになった。
http://natalie.mu/comic/news/124020

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4)【深夜の誌人語録】

何故と問いかけ、調べて、考えて、行動する。編集者も営業マンも、その点に変わりはないはずだ。