8月25日付が抜けていました。【文徒】2014年(平成26)8月25日(第2巻159号・通巻361号)

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1)【記事】主婦と生活社における「獅子身中の虫
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.8.25 Shuppanjin

1)【記事】主婦と生活社における「獅子身中の虫

「プロ経営者」は流行りの言葉のひとつかもしれない。資生堂は日本コカコーラ会長を務めた魚谷雅彦を社長に招き、ベネッセコーポレーションは、日本マクドナルドで会長を務めた原田泳幸を社長兼会長に招き、サントリーホールディングスはローソンで社長を務めた新浪剛史を社長に招く。「会社幕藩体制」を続けていては時代を乗り切れないということなのだろう。
主婦と生活社の遠藤大介会長は、ある意味で時代を先取りしていたのかもしれない。もともとはみずほ銀行の京橋支店で主婦と生活社を担当していた高納勝寿を主婦と生活社の社長に据えたのも「プロ経営者」としての才能を見込んでのことであったのかもしれない。関連会社のピラミッドで社長を務める柏原達也にしても、主婦と生活社で現在、社長をつとめる牧秀幸にしても、「プロパー経営者」ではない。
ただ、彼らが魚谷や原田、新浪と違うのは、出身母体の企業では「経営のプロ」ではなかったことだ。主婦と生活社にも社長として引き抜かれたわけではない。「経営」について学んだのは主婦と生活社に入社してからのことである。そういう意味では根っからの「プロ経営者」ではないのである。根っからの「プロ経営者」でないことが経営に混乱をもたらしているとさえ言えるかもしれない。
遠藤大介会長は主婦と生活社の社長に対してであれ、ピラミッドの社長に対してであれ、その能力を数字で判断する。主婦と生活社の高納勝寿が社長から取締役に降格となったのも数字(=利益)で判断された結果であろう。それだけ厳しく数字に拘るのだから、遠藤会長は当然、代表取締役社長に対しては経営の全権を委譲しているのかといえば、実はそうではないのである。これは主婦と生活社においても、ピラミッドにおいてもそうなのである。例えば主婦と生活社の社長が他の出版社の社長と会うことを極端に嫌うそうである。
これは出版業界の良き伝統の一つとも言えるのだが、商売では競合していようとも、社長同士が業界団体などを通じて知り合い、親交を深めるなかで、切磋琢磨しながら経営者として成長してゆくという光景をよく見かけるが、遠藤会長はそうした交流を極端に嫌うらしい。消息筋の一人は次のように語ってくれた。
「遠藤会長は社長のスケジュールを物凄く気にします。もし、社長が他の出版社の経営者と情報交換を兼ねての会食をスケジュールに入れたとするならば、会長はその日をわざわざ狙って社長を誘います。プロパー社長の時代からそうでした。そうした会長の性格を高納社長にしても、牧社長にしても知っていますから、この二人は遠藤会長の顔しか見ないようになりました」
こう言っては失礼なのかもしれないが、遠藤会長にしても出版社の経営に関しては「素人に近い」(主婦と生活社OB)ということになり、そんな会長の顔を窺うばかりの社長では、この主婦と生活社OB氏によれば「社員はみんな優秀であるだけに社員がかわいそうだ」ということになる。遠藤会長に批判的な社員も決して少なくはない。そんな一人が声をひそめて語ってくれた。
「遠藤会長が今熱中しているのは主婦と生活社やピラミッドの経営ではなく、レースですよ、レース!」
次のような写真をご覧いただきたい。
http://autoc-one.jp/amg/sls-class/launch-1314945/photo/0027.html
これは2013年2月22日に六本木のメルセデスベンツ・コネクションで、スーパーGT300クラスに参戦する新チーム「LEON RACING」が参戦発表会の際に撮影された写真である。左端の男性が遠藤会長である。もっとアップで見てみようか。
http://autoc-one.jp/amg/sls-class/launch-1314945/photo/0028.html
遠藤会長は「LEON RACING」を結成するに当たって「有限会社 ケーツー・アール アンド デー」を設立したが、そのメインスポンサーは主婦と生活社であり、ピラミッドもスポンサーの一つである。
https://supergt.net/tandds/team/2014/39
監督をつとめるのは黒澤元治であり、ドライバーのひとりが黒澤元治の三男に当たる黒澤翼である。黒澤翼は2012年5月から「LEON」で編集者をつとめている。最近、ブログの更新がないのはレーサーとしての仕事が忙しいからなのだろうか。
http://www.leon.jp/contents/kurosawa
主婦と生活社にとって遠藤大介会長こそが「獅子身中の虫」なのかもしれない。「プロ経営者」であれば、その仕事は遠藤大介会長を諌めることから始めねばなるまい。

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2)【本日の一行情報】

文藝春秋宣伝プロモーション部・目崎敬三、新潮社新書編集部・金寿煥の二人がかかわった本の中から、この二人と内田俊明(八重洲ブックセンター本店)、花本武(BOOKSルーエ)、船田真貴(トーハン)、古瀬あゆみ(ダイワハイテックス)、山本亮( 大盛堂書店)渡辺佑一(ミシマ社)という有志が選書するという「宿命?! 共闘?〜天下分け目の合同フェア〜文春・目崎さん/新潮・金さん『この人、この本(とあの人のあの本)』」が大盛堂書店2F、八重洲ブックセンター本店1F、BOOKSルーエで、9月1日から9月30日まで開催される。特製フリーペーパーも配布するそうだ。これは面白そうだ。
https://www.facebook.com/r.yamamoto.t.g

◎アイ・アドバタイジングが正社員を募集している。「【年収】370万円〜480万円
【月給】250,000円〜321,000円 ※残業手当はみなし残業として上記年収に含まれます」という条件だ。主要クライアントは「伊藤忠商事サンエー・インターナショナル三陽商会、トリニティアーツ、オンワード樫山、ポイント、アシックス、パテックフィリップ・ジャパン、ファミリア、レナウン」。
http://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3000805128/-msg__0/

◎「私の考える最高の自己投資は読書である」という成毛真の考え方に賛成である。
http://diamond.jp/articles/-/57895
「読書によって培われた狂気こそ実践的な知性である」とは私の語録のひとつである。

学研ホールディングス一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)は、小中学生を対象としたサービス「JMOOC Jr.」(ジェイムークジュニア)を共同で開始する。
http://www.jmooc.jp/news/release/p758/

有吉佐和子が没後30年を迎える。新潮文庫の有吉作品は累計1000万部を超えるそうだ。新潮文庫から「悪女について」の新装版が刊行される。
http://www.shinchosha.co.jp/bunko/blog/2014/08/20.html
私など有吉といえば「呼び屋」神彰を思い出してしまう。
http://homepage2.nifty.com/deracine/biography/jin/index.htm

◎I&S BBDOは、全国の18〜69歳男女2500名を対象に、「Vol.14 全国消費者価値観調査(CoVaR)」によれば全体ではLINE、FacebookTwitterの利用率は3割を超えている。10〜20代では約4割がLINEに「ほぼ毎日閲覧や投稿、発信」、60代は約3割がFacebookを利用。ただし、どの年代も約5割が「SNSは面倒だと思う」としている。
https://www.isbbdo.co.jp/config/cms_acv/news_pdf_ja_124.pdf

◎AVメーカー桃太郎映像出版で広報をつとめる「さやか」のブログ。
http://blog.livedoor.jp/momotaro_/

学研教育出版とブックビヨンドは、電子書籍版「学研の図鑑LIVE(ライブ) 恐竜」シリーズの第3巻「竜盤類の恐竜 竜脚形類」を9月3日まで100円で配信している。
http://bookbeyond.jp/d/1020396601c/

◎「ニコニコチャンネル」で「ブロマガ」を配信しているチャンネルの有料登録者数が合計20万人を突破。この20万人を多いと見るか、少ないと見るか。
「有料ニコニコチャンネルの年間分配額は、3,000万円以上が6チャンネル、1,000万円〜2,999万円未満が27チャンネル、500万円〜1,000万円未満が27チャンネル、100万円〜500万円未満が86チャンネル、50万円〜100万円未満54チャンネルという結果に。有料登録会員数が100位以上のチャンネルの年間平均分配額は、844万7,555円となっており、一般ユーザーで収益をあげている例も少なくない」
http://news.mynavi.jp/news/2014/08/21/528/

華原朋美が40歳の誕生日を記念して自身のツイッターでセクシーショットを公開。
http://p.twipple.jp/1otMC

よしながふみの画業20周年を記念した白泉社の特設サイト。
http://www.hakusensha.co.jp/yoshinaga20th/

楽天は来年8月、「二子玉川ライズ・タワーオフィス」に本社を移転する。
http://japan.cnet.com/news/business/35052673/

◎「…何が売れるのか、という問題についての重三郎のアプローチというのを、出版関係者は冷や汗をかきながら読んだのではないでしょうか」と本郷和人は谷津矢車の「蔦屋」(学研パブリッシング)について語っているが、出版関係者が本を読まなくなってから久しいのよね。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1110

朝日新聞の得意技は事実から目を離すことである。「現代ビジネス」で牧野洋が高校生に対する虐待が恒常化している高校野球朝日新聞について書いている。朝日の高校野球報道は「誤報」ではなく「隠蔽」が問題なのである。
「…朝日は報道界の中でもとりわけ高校野球の取材に力を入れてきたメディアであり、取材ノウハウの蓄積で他社を圧倒しているはずだからだ。高校野球界に構造的な『児童虐待』問題がないかどうか、『高校野球報道の雄』として調査報道班を立ち上げて切り込めないものか。それができないとしたら、朝日にとっては『公益に資する報道』よりも『自社モノを優先する報道』が重要ということだろう」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40204
私の感覚からすると朝日は、そもそも「リベラル派」とは言い難いのだけれども。これを読んでみて下さい。
http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784864084758

双葉社から刊行された桜井鈴茂の「どうしてこんなところに」って面白いよ。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-23873-0.html
桜井鈴茂のロングインタビューが読める。
http://www.100hyakunen.com/pr/futari/201401041106
これでいいんだ。こうするしかなかったんだ。双葉社のWebマガジン「カラフル」に第一章が公開されている。もともと「カラフル」に連載されていた作品だ。
http://www.f-bungei.jp/novel/novel_12_1.php

村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」英訳版が、米ベストセラーランキングのハードカバーフィクション部門でトップに立った。
http://jp.reuters.com/article/entertainmentNews/idJPKBN0GM01520140822

◎主婦之友社から発売される「ふくらはぎ健康枕」は気になるな。主婦の友社の情報紙「ウレトモ」である。
http://shufunotomo.hondana.jp/files/uretomo_9_web.pdf

◎アマゾンは冲方丁の新作「テスタメントシュピーゲル2」(KADOKAWA)をKindle連載で配信する。
http://jbpress.ismedia.jp/ud/pressrelease/53f55632b31ac912c5000002

サン・アドは創立50周年を記念して8月30日から9月6日まで、同社の広告作品の展覧会を港区の「Gallery 916」(www.gallery916.com/)で開催する。これは必見だ。
http://www.sun-ad.co.jp/50/index.html#talk_talk_talk

三省堂書店東京ソラマチ店にオリジナル雑貨ブランド「神保町いちのいち」がオープンしたというが、そもそも出版物が売れていれば、雑貨売場を置く必要などないのである。
http://news.ameba.jp/20140822-132/

実業之日本社文庫が早や創刊4周年を迎える。
http://www.j-n.co.jp/static/pdf/fair_bunko4th.pdf

◎哲学もキャラクターの力を借りて理解しようってか!朝日文庫ハローキティニーチェ 強く生きるために大切なこと」。朝日新聞出版ではキキララと学べる哲学者・アランの「幸福論」、マイメロディと読み解く「論語」も刊行するそうだ。
http://okmusic.jp/#!/news/50691

◎宝島社はクックパッドで秋によく検索されるレシピをまとめた「クックパッドの秋レシピ〜今すぐ作りたい!秋の検索キーワードBEST100〜」を刊行した。500円という定価も武器である。これさえあれば「オレンジページ」や「レタスクラブ」を買う必要はない。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000005069.html

◎附録のトートバッグは「進撃の巨人」と「BEAMS」のコラボ。特集が「進撃のViViモデルズ 秋のトレンド4大スタイル(着回しつき)」。9月22日発売のファッション誌「ViVi」11月号。表紙はどうなるのだろうか。
http://vivi.tv/magazine/new/yokoku/

テレビ東京系列のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」の8月21日の放送に、ドワンゴ川上量生会長が出演したが、この川上の出演部分は、「ニコニコ生放送」で同時配信されたそうだ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1408/21/news131.html
こんなことも語っている。
「そこでは弱者なわけですから、ある種の誤魔化しみたいなことをやらないと、やっぱり戦えないと思いますよね」
http://logmi.jp/20374

ハースト婦人画報社は「エル・ジャポン」「ハーパーズ バザー」「メンズクラブ」「エル・ガール」を買うと、 無料でデジタル版がプレゼントされるキャンペーンを全国の1070書店で実施している。購入した雑誌のデジタル版だけでなく、見逃してしまったバックナンバーのデジタル版も最大1年にわたって閲覧できる。
http://www.hearst.co.jp/whatsnew/node_3190

◎既にインドネシア語版は発売されている「ドラえもん」だが、インドネシアで英語版が発売されることになった。「中間所得者層の増加で教育熱が高まることが予測され、英語のニーズが強まる」と判断してのこと。
http://www.jakartashimbun.com/free/detail/19880.html

◎「私は日本の過去の植民地支配の過ちを深く後悔し、早急な関係正常化がなされるように最大の努力を尽す覚悟なので、どうか李大統領に私のこのような意志を伝えてくれるよう望みます」
これは1957年当時の岸信介首相の発言だそうだ。かもがわ出版松竹伸幸編集長のブログで知った。松竹は「超・嫌韓流」を刊行しようとしているらしい。
http://www.kamogawa.co.jp/~hensyutyo_bouken/?p=1314&fb_action_ids=888440187850721&fb_action_types=og.likes

◎広告の力を描いた作品であることに間違いはない。映画「NO」。
ピノチェトは独裁の下で一つの経済モデル、社会モデルを押しつけました。資本主義です。そしてこの資本主義が持ち込んだのがマーケティングや広告でした。そしてまさにこの道具によってピノチェトは打ち負かされたのです」
http://www.magichour.co.jp/no/

アメリカ軍の「星条旗新聞」が辺野古基地建設が始まったことを伝える記事。
http://www.stripes.com/news/pacific/work-finally-begins-on-building-marine-corps-runway-on-okinawa-1.298297

◎「有隣堂×白泉社コミックフェア」が開催される。
http://www.hakusensha.co.jp/event/comicfesta/

◎「ナインティナインのオールナイトニッポン(99ANN)」が終了。20年6か月は「オールナイトニッポン」のパーソナリティ最長記録だ。
http://news.livedoor.com/article/detail/9171116/

◎「ViVi」の有末麻祐子が「JJ」へ。
http://mdpr.jp/interview/detail/1406908
「non-no」(集英社)のモデルオーディションでグランプリに輝いた久慈暁子が9月20日発売の11月号からnon-noモデルとしてデビューする。
http://www.entameplex.com/archives/14034
女性ファッション誌の生命線はモデルなんだよなあ。

女性誌の場合は小型版も出すケースは逆だが、「エルガール」はその逆をやって、まあまあ成功したようだ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140823/prl14082310320006-n1.htm

◎申し訳ないが、こういうのに騙されないようにしてもらいたい。
http://honya-1.peatix.com/

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3)【深夜の誌人語録】

他者とのコミュニケーションを円滑に進めるためには、意識的に隙を作ることである。