【文徒】2014年(平成26)10月24日(第2巻201号・通巻403号)

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1)【記事】そこは一方通行禁止の世界である
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】そこは一方通行禁止の世界である

trippieceが運営するキュレーションメディア「RETRIP」は、ユーザーによる記事作成機能や検索機能などをアップデートして充実させた。
http://news.mynavi.jp/news/2014/10/22/108/
これまで「RETRIP」の記事作成者は、trippieceが採用したキュレーターに限定してきたが、これを一般ユーザーにも開放することになったわけである。従来は「誰か」に情報発信者を限定するマスメディア的手法に依拠していたものを、「誰でも」が情報発信できるソーシャルメディアへと転換を図ったことになる。「RETRIP」が収集し、発信するのは「旅」にかかわるコンテンツだが、そうしたジャンルに関わりなく、オンラインメディアは情報発信者と情報受信者の境界線を無化せざるを得ないはずである。ソーシャルメディア化せざるを得ないということである。
情報発信者はプロフェッショナルであり、情報受信者はアマチュアであるという垂直軸のコミュニケーションに依拠したヒエラルキーを解体してしまうところにソーシャルメディアの本質があるといって差し支えあるまい。」
マスメディアと呼ばれてきた既存メディアがインターネットという新大陸に次々に上陸してはいるものの、その大半はマスメディアの本質を変えないままに上陸してきた。新聞にしても、雑誌にしてもそうである。通信という双方向の、水平軸のコミュニケーションツールを母胎にして、インターネットが生まれたという経緯を勘定に入れないデジタル戦略など投資するだけ無駄なはずである。マスメディアの論理にしがみつく心情を捨てない限り、既存メディアはソーシャルメディアの時代を生き残れまい。原則は一方通行禁止である。

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2)【本日の一行情報】

KADOKAWAの「DVD&ブルーレイでーた」の附録は日本でも大人気となった米ドラマ「24」最新シリーズの第一話を収録したDVDだ。
http://mantan-web.jp/2014/10/21/20141021dog00m200059000c.html

柳美里の生活も大変なのである。「創」原稿未払い問題で柳美里が「ガジェット通信」のインタビューに応じている。
「この10年間、自己破産を考えてもおかしくないほど、わたしの生活は困窮していました。今も困窮状態から完全に脱したとはいえない状態です。今日(10月20日文藝春秋から原稿料が振り込まれたので、10月21日に水を停めると『給水停止通知書』で最終通告されていた水道料金を水道局に支払いに行ってきたところです。高校受験目前の息子の塾の授業料も何カ月も滞納し、塾長から『除籍にします』と電話がかかってきました」
http://getnews.jp/archives/686281

◎「InRed特別編集 エリクシール ELIXIR」って化粧品のオリジナルサンプル8点セットでしょ。宝島社は資生堂の化粧品まで書店で売ってしまう!この思い切りの良さ(ゲリラ性の一種だろう)が宝島社の武器だ。1300円+税。安いは安いよね。たださ、資生堂って、こういう安っぽいブランドだったのかしらん。どこか違和感があるのは私だけだろうか?
http://tkj.jp/book/?cd=62283101

◎「関西地方では、明治以来、官と民が競いながら独自の鉄道文化を築いてきた。そのため、東京では見られないひと味違った鉄道構造物が多数存在する」んだって!講談社から刊行された「関西鉄道遺産」(小野田滋)は面白そうだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40784
http://bluebacks.kodansha.co.jp/bsupport/kansai_tetsudo.html

◎KADOKAWA アスキー・メディアワークス ブランドカンパニーと角川アスキー総合研究所が共同で実施した「子どもライフスタイル調査2014秋」によれば「女子小学生の17%は、すでにタブレットで勉強。女子小4〜6年生では23%」「女子小学生の24%が電子書籍を読んだことがある」とのこと。電子書籍ネイティブ世代は確実に増えていく。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001017.000007006.html

◎何をやってもネットで批判される朝日新聞。サンプルを無料配布するのは読売新聞だってやっているんだけれどね。
http://dmm-news.com/article/894578/

博報堂シンクタンク博報堂生活総合研究所」は、22年間にわたり隔年で実施してきた生活者意識の定点観測調査「生活定点」を無償一般公開(フリーダウンロード、二次利用可能)した。これは役に立つ。博報堂に感謝。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/10/20141022.pdf
http://seikatsusoken.jp/teiten2014/

◎育児用品のアップリカ・チルドレンズプロダクツは、光文社の女性ファッション誌「VERY」とのコラボしたバギー「スティック リミテッド」と抱っこひも「コランハグ<リュクス>」を10月24日より発売開始。
http://www.j-cast.com/trend/2014/10/22218864.html

◎ニョーヨークタイムズで女性初の編集主幹をつとめ、今年5月に突然解任されたジル・エイブラムソンが新しいジャーナリズムのスタートアップを計画中だという。日本には、こういう独立の気概を持った新聞ジャーナリストはいないのだろうか。
http://blogos.com/article/97041/

洋泉社から「本屋はおもしろい!!」が刊行される。
http://www.yosensha.co.jp/book/b185070.html
「空犬通信」が内容を紹介している。
http://sorainutsushin.blog60.fc2.com/blog-entry-2342.html

◎ちくま大学が講師に五木寛之を招いた。テーマは「再・学問のすすめ」だ。
http://www.chikumashobo.co.jp/special/university/

講談社は、「アフタヌーン」&「good!アフタヌーン」の人気タイトル第1話が無料で読める、1000ページ超の「アフタヌーン大収穫祭2014〜出会い〜特別無料試し読み号」を用意して、各電子書店において、「アフタヌーン大収穫祭2014〜出会い〜」キャンペーンを開始した。11月7日からは全国の書店でも開始する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000494.000001719.html

武田徹による菅直人インタビューのアーカイブ動画が公開された。
http://thepage.jp/detail/20141022-00000024-wordleaf
http://thepage.jp/detail/20140912-00000026-wordleaf

中沢新一による大胆にして野心的な試みだ。「吉本隆明自身の文章と、それをつなぎあわせ欠けているピースを補おうとした」中沢の文章とで構成された「吉本隆明の経済学」が筑摩書房から刊行された。筑摩選書の100点目にあたる。
http://sauvage.jp/archives/2560

大塚英志KADOKAWAドワンゴの合併ニュースを聞いて軽い吐き気に襲われたそうである。イースト新書の「メディアミックス化する日本」は、仕事には役立たないだろうが、取り敢えず読んでおくこととしよう。
http://www.eastpress.co.jp/east_shinsho/shosai.php?serial=2166
KADOKAWAドワンゴの合併ってネトウヨと親和性があるということなのだろう。

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3)【深夜の誌人語録】

リアリズムなき理想も、理想なきリアリズムもともに頽廃する。