【文徒】2014年(平成26)11月18日(第2巻217号・通巻419号)

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1)【記事】「自己否定」の時代がやって来た
2)【記事】朝日新聞騒動は終わらない
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「自己否定」の時代がやって来た

リクルートのIT専門の執行役員『IT-EXE』、MTL(メディアテクノロジーラボ)の所長」である石山洸のような人材が出版業界にはいるのかといえば、いない。その可能性を持つ人材はゴロゴロいても、即座にその能力を発揮できる場が与えられないというべきだろう。出版も新聞も、恐らくテレビもラジオも旧メディアは「自己否定のビジネス」(リクルート流にいえば破壊的イノベーションということになる)が苦手なのだ。「絶えざる自己否定」なくして、メディアにかかわるテクノロジーの変化にはついていけないはずである。時代の速度に自らを開いていくためには「自己否定」が欠かせないのである。「東洋経済オンライン」でITアナリストの松浦由美子が石山に迫っている。松山は石山に次のように語らせている。
「世界をこんなふうによくしたい、新しいテクノロジーで世界をこう変えたいという“自分たちの実現したいこと(=WILL)”が重要だ。WILLの延長線上に、最終的な“破壊的イノベーション”がある」
http://toyokeizai.net/articles/-/52944

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2)【記事】朝日新聞騒動は終わらない

朝日新聞社も経営のリスクマネジメントを考えれば、読売同様にホールディングス体制に移行することになるのだろう。ホールディング・カンパニー制に移行して、その社長に木村伊量が復活することだってあり得るはずだ。
http://www.asahi.com/articles/ASGCG4RXCGCGUEHF00F.html
新社長に決まったのは渡辺雅隆取締役だ。
http://mainichi.jp/select/news/20141114k0000e040274000c.html
木村は特別顧問に就任するというが、ホールディング・カンパニーのトップを狙っているのだろうか。
http://www.j-cast.com/2014/11/14220897.html
一方、鎌田慧のような意見もある。鎌田は吉田調書誤報問題で朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」がまとめた「記事の取り消しは妥当」との見解に異を唱えている。
「他のメディアなどからの批判や攻撃にきちんと対応せず、全面謝罪し記事を取り消してしまっては、新聞は成立しない。間違った点は訂正すればいい。
私が考える新聞社とは、クレームにしっかり対応し、議論し、論争する報道機関だ。権力と対峙し、それを取材し、執筆する記者を守るのが報道機関だろう」
http://www.47news.jp/47topics/e/259365.php

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3)【本日の一行情報】

◎ニュースピックスの佐々木紀彦が「スマホコンテンツバブル」が起きると指摘しているが、私もそう考えている。しかし、だからといってスマホに橋頭堡を築き上げられないジャーナリズムに明日があるかといえば、残念ながらないに違いあるまい。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41053

凸版印刷が運営する国内最大級の電子チラシサービス「Shufoo!」は、ユーザーのアプリ利用に対しポイントを付与する新サービス「シュフーポイント」を開始した。
http://www.toppan.co.jp/news/2014/11/newsrelease141114.html

佐川光晴の「牛を屠る」が双葉社電子書籍化されていた。親本は解放出版社から刊行されている。
https://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20011-120679217-001-001
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/21135

◎ねこまきが「しばおっちゃん」を実業之日本社から、「ちびネコどんぐり」をホーム社から刊行。実日とホーム社がキャンペーンでコラボ展開。版元同士で協力しあうことは大切である。
http://natalie.mu/comic/news/131133
広告ビジネスでも同じことが言えるはず。

朝日新聞によれば学研ホールディングスは、出版点数を2年間で3割減らし、年間約800点にするとともに出版事業の人員を40名ほど減らすそうだ。人を減らして、刊行点数を減らして出版事業が縮小均衡を果たすかといえば、話はそう簡単なものではあるまい。強い部分を生かし、弱い部分を切り捨てることができるかどうかである。点数や人員を減らしたからといって、そう簡単に粗製乱造の悪弊は断ち切れまい。
http://www.asahi.com/articles/ASGCF4K3YGCFULFA00P.html

◎「宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ」が11月26日(水)に発売される。映画「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」は12月6日より公開。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201411130008

KADOKAWAは創刊号から1,000号までの表紙画像をゲーム感覚で集められるアプリ『週刊アスキー表紙コレクション』を無料で配信している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001071.000007006.html

◎「新潮講座」2015年1月期のラインナップ。森重良太、上田恭弘、佐藤誠一郎は新潮社の社員。池田雅延は元社員。
http://www.shinchosha.co.jp/blog/chair/index.html

◎2000年に631万部発行していたスポーツ新聞だが、2013年は387万部に減少している。4割も減っている!
http://www.nippon.com/ja/features/h00084/

◎KADOKAWAの4〜9月期は8億3500万円の赤字だそうだ。ドワンゴは大幅増収増益。ドワンゴとの経営統合KADOKAWAにとってマストであったことがわかるというもの。KADOKAWAにリストラの嵐が吹き荒れる?KADOKAWA・DWANGOは「売り」だな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141113-00000084-zdn_n-sci

KADOKAWA×pixiv「学生戦争プロジェクト」。
「本コンテストはTwitter診断メーカーにより作成された『学生戦争ったー』(http://shindanmaker.com/293610)の世界観をテーマとし《白軍》《黒軍》《赤軍》の三軍に分かれ、各軍に所属するキャラクターの『名前』『武器』『特技・性格』等の設定を盛り込んだイラストを募集するものです」
http://www.pixiv.net/member_illust.php?illust_id=47075652&mode=medium
こういうことを理解できなければならないんだろうな。

コーエーテクモゲームスの女性向け恋愛シミュレーションゲームアンジェリーク ルトゥール」を小学館の少女漫画誌Sho-Comi 増刊」をマンガ化。
http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20141114115/

トーハンと取引のある書店で構成される「九州合同トーハン会」は、池田大作に「特別顕彰牌」を贈ったという。聖教新聞によれば「小説『人間革命』の執筆開始50周年を慶祝するとともに、出版活字文化の振興への功績を讃えるもの」というけれど、池田大作の「出版活字文化の振興への功績」とは何なのだろうか。私の頭では理解不能である。
http://www.seikyoonline.jp/news/headline/2014/11/1215475_4447.html

◎「週刊ポスト」が上森子鉄を次のように解説している。
「1901年生まれの政財界のフィクサー菊池寛の書生を経て、戦前は旧文藝春秋社の監査役などを務める。外務大臣の藤山愛一郎や経団連常任理事の今里広記らと親しく付き合う一方、小池氏を総会屋として育てた」
キネマ旬報社の社長であったことも忘れてはなるまい。
http://news.ameba.jp/20141115-52/

◎金田万作弁護士がベネッセを提訴することをブログで公表。
「私と子供の個人情報も漏れていたため,株式会社ベネッセコーポレーション及び株式会社シンフォームに対して訴訟提起をすることに致しました」
訴訟の雛形も公開している。
http://mansaku-blog.seesaa.net/article/408665591.html

集英社が運営する公式ファッション通販サイト「FLAG SHOP」の会員数が55万人を突破した。
http://news.biglobe.ne.jp/economy/1114/prt_141114_9610182971.html

◎ブックリスタはプラットフォーム提供する電子書籍ストア「Reader Store」(ソニーマーケティング)で「白泉社コミックフェア」を開催。172作品・計500冊以上を100円で配信している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000006388.html
「光文社ミステリーフェア」も開催されている。ミステリー約1,300作品を30%ポイントバックで配信している。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/enterprises/release/detail/00103825.html
もっとも私など電子書籍ビジネスではソニーは終わったと早々と認識しているクチである。

◎「ドラえもん」のコミックス新刊が8年ぶりに小学館から刊行されることになった。これまでのコミックスに未収録の21本が収められている。小学館と藤子プロの関係は盤石であることが証明された。「妖怪ウォッチ」が大ヒットするなか、これは重要なことである。
http://animeanime.jp/article/2014/11/14/20854.html

双葉社より刊行された村上竹尾「死んで生き返りましたれぽ」はpixivで550万以上の閲覧数を記録したコミックエッセイである。
http://natalie.mu/comic/news/131251

◎宝島社から刊行されている「正しいブスのほめ方」「正しい太鼓のもち方」が、来年1月よりテレビ東京でドラマ化されることになった。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000005069.html

くさか里樹の介護マンガ「ヘルプマン!」が「イブニング」(講談社)での連載を終え、「ヘルプマン!!」として「週刊朝日」で連載開始。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20141112-OYT8T50193.html

ウンベルト・エーコの「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」のもじりだよね。「Pen」が雑誌を特集。タイトルは「もうすぐ絶滅するという、紙の雑誌について」。
http://www.j-cast.com/bookwatch/2014/11/15220945.html

◎「月刊YOU」12月号(集英社)には、くらもちふさこ「おしゃべり階段」の復刻版1巻。完結第2巻は次号の附録だ。
http://natalie.mu/comic/news/131360

◎朝倉書店が「日本語大事典」を刊行。創業85周年記念企画だそうだ。来年4月末までの刊行記念特価が6万5000円!B5判2分冊計2452ページ!
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20141107-OYT8T50038.html

◎文春新書が1000冊を超えた。1000点目は池上彰佐藤優「新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方」。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610006

◎「東京いい店うまい店 2015_2016」(文藝春秋編 1800円)とぴあの「東京最高のレストラン 2015」が11月28日に同日発売されることがわかり、27日に「合同出版前夜祭」が開催されることになった。
http://www.wherevent.com/detail/%E6%9F%8F%E5%8E%9F%E5%85%89%E5%A4%AA%E9%83%8E-%EF%BC%92%EF%BC%98%E6%97%A5%E3%81%AB%E5%88%8A%E8%A1%8C%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%81%E3%81%B4%E3%81%82%E3%80%8C%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%9C%80%E9%AB%98%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%95%E3%80%8D%E3%80%81%E6%96%87%E8%97%9D%E6%98%A5%E7%A7%8B%E3%80%8C%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%81%84%E3%81%84%E5%BA%97%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%84%E5%BA%97-2015-2016%E3%80%8D%E5%90%88%E5%90%8C%E5%87%BA%E7%89%88%E5%89%8D%E5%A4%9C%E7%A5%AD%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%81

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4)【深夜の誌人語録】

仕事に感傷を引きずり込んだとき、発想は間違いなく劣化する。