【文徒】2015年(平成27)3月26日(第3巻57号・通巻502号)

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1)【記事】オレンジページの社長交代劇
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】オレンジページの社長交代劇

客 オレンジページの小倉厚子社長が退任するというハナシには驚いた。
主 もともと「オレンジベージ」という雑誌は、中内功が君臨していたダイエーの出版部門から30年前の1985年6月に創刊された。その3年後の1988年2月にダイエーから独立して、(株)オレンジページが設立される。
客 初代社長はダイヤモンド社出身の馬場禎子だったよね。小倉社長は創刊メンバーじゃないんだよね。
主 後から加わったんだよね。もともとプレジデント社でアルバイトするなど苦労していたんだよな。頭角を現したのは、オレンジページに入社してからだ。プレジデント社の社長をつとめていた諸井薫こと本多光夫は、その後、オレンジページから顧問料を取っていたけれど、本多も小倉を可愛がっていたし、馬場も本当に可愛がっていた。ともかく小倉は気が利くんだよ。ダイエー中内功もコロッといっちゃったくらいだもの。小倉は社内報を作っていたからさ。
客 馬場社長と一緒に地方に出張するケースも多かったんだよね。
主 そういうときの気配りが、言ってみれば石田三成だったそうだ。ジジ殺し、ババ殺しの小倉と言ったら良いのかな。ちょっと話が脱線するけれど、「レタスクラブ」が西友を母胎にして西武タイムから創刊されるじゃない。その後、西武タイムはSSコミュニケーションズとなり、結局、KADOKAWAに買収されちゃうんだけれど、西武タイムの礎を築いた竹内正年も本多の弟子という関係だった。竹内は今や故人だけれど。
客 ジジ殺し、ババ殺しがJR東日本には通じなかった?
主 良くも悪くもダイエーのようなホットな会社じゃないもの。JR東日本としては、オレンジページを買収したメリットというのかな、シナジー効果をもっと期待していたと思うんだよ。それがなかなか出なかった。そうこうしているうちに「オレンジページ」に昔のような力が無くなってきた。
客 あそこは営業部門の人間がやたら多いでしょ。
主 小倉社長としてはリストラをしたくなかったと思うんだ。そう明言していたしね。
客 JR東日本から社長がやってくるけれど、今後、どうなるんだろう。
主 売却するということはないと思うよ。JR東日本との関係を強化しながら再建を図ることになるとオレは踏んでいる。いずれにしても、今回の小倉社長退任劇は変わらなければ替えられてしまう時代を象徴していると思うんだよね。

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2)【本日の一行情報】

◎「@DIME」(小学館)の安田典人編集長が「広報会議」の取材に応じている。
「企業の広報に求めることを聞いたところ、『このリリースは取り上げてほしい!という案件は、ぜひ個別のアプローチが欲しいですね。競合他社と比べての優位性や、製品・サービスへの想いなどが詰まったメールが届くと目を引きますし、電話で詳細を説明してもらえるだけでも違う。生の情報交換ができると媒体側としては嬉しいです』というコメントをいただきました」
http://mag.sendenkaigi.com/kouhou/201504/web-media-guerrilla/004931.php

◎BookLiveは、本にまつわる情報サイト「ぶくまる」を正式オープンした。
http://bkmr.booklive.jp/
ヒリヒリするような記事も、ビリビリするような記事もなかった。

◎ベネッセ教育総合研究所が実施した「小中学生の学びに関する実態調査」によれば、小学生の62.9%、中学生の40.1%が学校の授業の中でパソコンを使って勉強することがある。小学6年生に至っては68.2%。
http://resemom.jp/article/2015/03/24/23662.html

◎名古屋エリアのビューティー情報に特化した「Brush Up PASSPORT」(1000円)が、創刊された。特徴は総額にすると50万円分のクーポンがついていることだ。このクーポンは6月20日まで有効だそうだ。
http://www.brush-up.nagoya/
版元のミルクはメイクと撮影の楽しさを知ってもらうフォトスタジオ「スタジオミルク」を運営している。
http://miruku.jp/president.html

◎グライダーアソシエイツが運営する「Antenna」は、「2015 年 本屋大賞」ノミネート作品の書店員推薦コメントを「Antenna」内の本屋大賞公式アカウントにて先行配信を開始した。
https://antenna.jp/wp-content/uploads/2015/03/20150324_gliderassociates_press.pdf

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載の「ハイキュー!!」が舞台化される。東京、大阪、宮城で公演されることが決定。アニメで終わらせないところが凄い。
http://animeanime.jp/article/2015/03/23/22514.html

集英社朝日新聞社がタッグを組んだことで話題になった「Tジャパン」が創刊された。埼玉県白岡在住の田辺特派記者は30年にわたって朝日新聞をとりつづけているが、「Tジャパン」は残念ながら配布されなかったという。取り敢えずデジタル版をチェックしたそうだ。
http://www.fashion-headline.com/article/2015/03/24/10153.html
http://www.asahi.com/ad/tjapan/magazine/view/

◎学研「まんがでよくわかるシリーズ」として刊行された学習まんが「埼玉県のひみつ」がネットで話題となり、テレビの情報番組でも取り上げられている。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1503/23/news089.html
クライアントの埼玉県としては大喜びだろう。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0301/kodomo/saitamakennohimitsu.html
電子書籍版もある。むろん、無料だ。
http://saitama.bss-net.jp/bookshelf/10001150218001.html

◎「『朝日新聞』もう一つの読み方」を日新報道から刊行した渡辺龍太によれば「…先日、朝日新聞の折り込み広告で私の朝日新聞に関する書籍の宣伝しようとしました。すると、残念ながら広告を受け付けてくれなかった」そうだ。
http://blogos.com/article/108531/

◎KADOKAWAの呼びかけで、講談社紀伊國屋書店が応じて設立された社「日本電子図書館サービス(JDLS)」が実証実験を終えて、4月から本格的にサービスを立ち上げる。「eBook USER」の「いよいよサービスイン、日本電子図書館サービスのビジネスモデルが示される」によれば、コンテンツ販売方法について、3つのモデルがあるという。
「1つは「ワンコピー/ワンユーザー型」。このモデルは、1ライセンスで1ユーザーのみに貸し出し可能なもので、2年間または最大52回貸し出せる制限付きモデル。価格は出版社には底本の1.5倍〜2倍を推奨しているとし、初回購入時は必ずこのモデルだという。
もう1つが「都度課金型」。こちらは、ワンコピー/ワンユーザー型からのライセンス更新時に選択可能なもの。基本的には貸し出しが減った作品を想定したもので、ワンコピー/ワンユーザー型の26分の1の価格を、貸し出しがある度に都度課金する」
「そして最後が、夏休みの課題や授業で使う副読本など、教育現場で利用するケースを想定し、1冊の電子書籍を同時に多数の利用者に貸し出すワンコピー/マルチユーザー型。こちらはコンテンツ単位の個別対応となる」
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1503/24/news112.html

ディスカヴァー・トゥエンティワンは、小説投稿サービス「novelabo」(ノベラボ)をプレオープンし、投稿の募集を開始している。投稿された作品は、5月中旬の正式オープンとともに公開される。このサービスは、他のユーザーによる二次創作を許諾することを前提にしていることで、すべての投稿作品の二次創作を可能になる。
http://www.atpress.ne.jp/view/58968
http://www.novelabo.com/

◎男性ファッション誌「ローデッド」を発行するメディアボーイは、3月28日にファッション、ライフスタイル、スポーツを切り口に様々な情報を発信する女性ファッション誌「hb ハミングバーズ」を創刊する。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-03-24/hb-humming/
メディアボーイは「月刊へら専科」を出している出版社だ。
http://www.mediaboy.co.jp/

和歌山市雑賀屋町東ノ丁の「上野山書店」が今月末で102年の歴史に幕を閉じる。読売新聞によれば三代目は。「書店主は専門家である必要はない。でも、色んな話題についていける『雑学者』でないと務まらない」と語っている。
http://www.yomiuri.co.jp/local/wakayama/news/20150324-OYTNT50172.html

◎以前にも紹介したが、北海道浦河町の「六畳書房」が紹介されている。週1営業で、1口五千円を出資すると自分が誰かにお薦めしたい本を書棚に置いてもらえるという「1口店長制度」を導入している。
http://chiikitecho.net/4662/
http://kazete-urakawa.tumblr.com/rokujoshobo

◎「マンガ大賞2015」は東村アキコの「かくかくしかじか」(集英社)に決定した。
http://www.mangataisho.com/

電通の海外子会社でメディア・コミュニケーション・エージェンシーであるCaratによる世界の広告費成長率予測によれば、2015年の世界の広告市場は前年比4.6%増の5,400億ドル(前年差+238億ドル)。また、デジタルシフトが進み、2016年には世界の広告市場に占めるデジタル広告費の比率は25.9%と予測している。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0325-004000.html

◎「ネット広告が、テレビ、新聞、雑誌広告以上に効果があるかどうかは疑問だが、時代は間違いなくこの方向に進んでいる」(山田順)のだとすれば、出版社もその方向に舵を切る必要があるということだろう。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamadajun/20150324-00044178/

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3)【深夜の誌人語録】

いろいろと考えるほどに何も考えていないことを痛感する。何でもやってやろうと意気込めば意気込むほど何もできないことに驚愕する。飲めば飲むほど酔えない自分を嫌悪する。たまにはそんな一日もあるものだ。