【文徒】2015年(平成27)4月13日(第3巻69号・通巻514号)

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1)【記事】LINEの代表取締役社長を退いた森川亮が手がけるC Channelとは?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】LINEの代表取締役社長を退いた森川亮が手がけるC Channelとは?

LINEの代表取締役社長を退いた森川亮が新会社を立ち上げた。スマホ向けに女性ファッション誌の動画版を手がけるC Channelだ。アイスタイル、アソビシステムホールディングス、グリー、GMO VenturePartners、ネクシィーズ、B Dash Ventures、MAKコーポレーション、楽天などから約5億円を調達するそうだ。
http://www.cchan.tv/
http://japan.cnet.com/news/business/35062968/
出版社の手がける女性ファッション誌にまた一つ新たな脅威がインターネットから生まれたというべきだろう。森川は「CNETジャパン」のインタビューに応じている。
「私が20代の頃にケーブルテレビの大きな流れがあって、その後MTVやCNNが出てきた。今回の波はそれに近い形で、専門チャンネルがグローバルで出てブランドを作る時代がくると考える。女性向けのメディアとしてブランドを作って、世界に進出し、そこからスターが生まれるような仕組みを作りたい」
C Channelは旧来のメディアに比べればソーシャル的ではあるが、誰もが駆使できるソーシャルメディアではない。
スマートフォンで撮ったものをそのままアップロードするのではなく、原宿にあるオープンスタジオで編集/加工して配信する」
「モデルやタレントにアカウントを渡して、普段通っているようなカフェや、服のコーディネート、ヘアメイクなどの動画を撮影してもらい、まずは1日20本を目標にする」
多くのネットメディアがそうであるように当初は収益化を考えず、まずメディアとしての「大きさ」を実現することに全力を尽くすようだ。
「収益化は2015年内は考えていない。まずはコンテンツやサービスに集中し、2016年からビジネスを考える」
とはいえ収益源として考えられるのは、他のネットビジネスの大半がそうであるように広告であり、ECということになる。
「具体的には、動画広告とECを考えている。ECでは、C Channelブランドの服をOEMで作って販売したい。イベントなどでオフラインでも販売できる。そういった流れを作ろうと考えている」
http://japan.cnet.com/interview/35062970/
女性ファッション誌におけるネット戦略の弱点は、オーディエンスを雑誌の読者に落とし込もうとするあまり、ネットメディアとして自立できないことにある。ネットメディアは紙の雑誌のプロモーションメディアにとどまってしまうのだ。

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2)【本日の一行情報】

◎「広告、主役交代鮮明に 没落する4マスメディア、ネット急伸で初の1兆円台へ」(Business Journal)は次のように書いている。
「ネットの技術革新が進むのに呼応して、閲覧者の興味、関心に合わせた広告配信が本格化してきた。今後は閲覧履歴に基づいて潜在的顧客を狙い撃ちする運用型広告が、ネット広告の主流になっていくとみられる」
http://biz-journal.jp/2015/04/post_9542.html
マス4媒体は苦戦を強いられているが、これを挽回すべく、こぞってネット市場に参入することになるだろう。同時にネットの側がこれまで以上にマス4媒体に食指を動かすことになろう。ある意味で、相思相愛関係が成立するのである。

◎読売新聞が5万号に到達した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150409-OYT1T50001.html

花形商品研究所は、地域ニュースを配信するインターネット媒体で構成された「みんなの経済新聞ニュース」のAndroidアプリを無料で提供開始。国内99エリア、海外10エリアの計109エリアの記事を横断して閲覧できる。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20150409_696945.html

◎宝島社は、女性ファッション誌「sweet」の読者イベント「スウィート コレクション2015」を4月4日に渋谷ヒカリエで開催したが、資生堂のメーキャップブランド「インテグレート」とコラボし、イベント参加読者1000人にリップグロスをサンプリングした。
https://www.facebook.com/integrate.pr/photos/a.755310941183446.1073741829.747865061928034/786354338079106/?type=1
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000005069.html

◎私もまた佐藤卓己同様に「新聞は政府の特定秘密保護法を厳しく批判するが、『公器』をうたう新聞が自らの情報開示に積極的だとは思えない」のである。
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150409org00m070006000c.html
新聞ばかりではなく、マス4媒体はみな自らの情報開示に消極的だ。

◎「NYタイムズ支局長語る 海外から見た『安倍政権の暴走』」は「女性自身」(光文社)の記事だ。ニューヨークタイムズの東京支局長マーティン・ファクラーに次のように語らさせている。
「欧米では、慰安婦は歴史問題ではなく、女性の人権問題としてとらえられています。そのため、海外メディアが慰安婦を取り上げるのは、日本の政治家が慰安婦の存在自体を否定したり、『みんなやっていた』などと発言したりしたとき。そうすると日本が海外に、とても時代遅れの国だというイメージを与えてしまうのです。」
http://news.livedoor.com/article/detail/9985772/

◎フランスのTV5モンドは、サイバー攻撃を受けたことにより、系列の11局で放送ができなくなったという。こういうニュースを他人事として捉えてはなるまい。
http://www.cnn.co.jp/world/35062924.html

博報堂・大広・読売広告社の3月度単体売上高。大広が前年比101.7%だ。博報堂のラジオが良かった。読売広告社はネットでも前年を割り、苦戦がつづく。
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20150409/9801ae/140120150408434182.pdf

◎モイが運営するライブ配信サービス「ツイキャス」の登録ユーザーが世界で1,000万人を突破した。1億5,000万回配信も突破している。
http://about.moi.st/ja/2015/04/08/10millionusers/

講談社は「別冊少年マガジン」電子版の配信開始1周年を記念し、主な電子書店で2014年5月号から2015年4月号まで12冊のバックナンバーを92円で販売するキャンペーンを実施している。電子版ならではのキャンペーンだ。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1504/09/news095.html

◎「進撃の巨人」(講談社)16巻が発売された。電子版との同時発売だが、紙の限定版ではスピンオフストーリー「悔いなき選択」後編のDVDがついている。この付録を広告媒体として何とか活用できないものか。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1504/09/news089.html

◎AFPが「高齢化進む日本社会を反映、活況呈する『熟年AV』」なる記事を配信している。
「彼女は、高齢者たちの性欲に対する抑制を解き放ち、優雅に年齢を重ねることが求められる社会規範に反旗を翻す「熟年」というニッチながらも盛況なジャンルにあえて挑戦する」
http://www.afpbb.com/articles/-/3044692?pid=0

八重洲出版の「別冊モーターサイクリスト」が4月15日発売の423号をもって休刊。創刊は1978年。
http://response.jp/article/2015/04/09/248683.html

大泉学園駅北口の商業施設「グランエミオ大泉学園」にジュンク堂書店がオープンした。
http://www.pepe.jp/grandemio-oizumi/shopguide/detail/?id=23
http://nerima.keizai.biz/headline/820/

◎「妖怪ウォッチ」がスマホユニバーサルスタジオジャパンに進出する。「LEVEL5 VISION 2015 -THE BEGINING-」が開催され、レベルファイブ日野晃博社長自らがプレゼンテーションを行ったという。その内容を「マイナビニュース」がまとめている。
「ゲーム的な展開として注目したいのは、スマホへの進出だ。例えば手軽に遊べるパズルゲーム『妖怪ウォッチぷにぷに』や、ミニゲームを通して辞典を完成させていく『妖怪大辞典』、さらにシリーズ初のリズムゲームとなる『妖怪ウォッチ ゲラポリズム』などが続々と登場する」
「…この夏、ユニバーサルスタジオジャパンで開催される『妖怪ウォッチ・ザ・リアル』だ。妖怪ウォッチの世界をアトラクションとして再現し、ジバニャンをはじめとした"ホンモノの妖怪に出会える"感動を体感できるという。二次元での展開が中心だった妖怪ウォッチにとって、"バーチャルからリアルへの進出"とも言える大きなコラボになりそうだ」
http://news.mynavi.jp/articles/2015/04/09/youkaiwatch/

◎宿泊予約サイト「relux」を運営するLoco Partnersは、「旅×日本」の良質な情報を発信するキュレーションメディア「relux Magazine」を立ち上げた。
http://magazine.rlx.jp/

◎オンラインゲーム配信事業を行うネクソンは今春、リリース予定のモーレツジャンプゲーム「クレヨンしんちゃんUFOパニック!走れカスカベ防衛隊!!」にてアップデートを実施。これは、ネクソンクレヨンしんちゃんの原作元でもある出版社、双葉社と共同開発したサービスだ。
http://www.nexon.co.jp/news/detail.aspx?no=131394

◎新潮社出版部部長の中瀬ゆかりは芸達者だ。TOKYO MX「5時に夢中!」でコメンテーターをつとめる中瀬は何と上西小百合衆院議員風のアイメークで登場したそうだ。ネットで大評判となった。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/04/09/kiji/K20150409010140720.html

◎LINEが運営する防衛ゲーム「LINE レンジャー」は全世界で3000万ダウンロードを達成した。
http://www.4gamer.net/games/249/G024935/20150410040/

◎水嶋かおりん「風俗で働いたら人生変わったwww」(コア新書)の評判が良い。朝日新聞書評欄にも登場した。
http://book.asahi.com/reviews/date/nextweek.html
http://top.tsite.jp/news/o/23145977/
http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_009.html

セブン-イレブン・ジャパンは缶コーヒーで共同企画のパートナーをサントリーから日本コカ・コーラに乗り換えた。
http://toyokeizai.net/articles/-/65803

GMOインターネットグループGMOペパボの連結会社であるブクログは、国内最大のブックレビューコミュニティ「ブクログ」ユーザーの読書統計データを閲覧できる「ブクログ インサイト」を、出版社向けに2015年4月10日(金)から初期費用1万円、月額3万円で提供開始した。
http://pepabo.com/news/press/201504101100

◎ドイツの日刊紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」のCarsten Germisが東京を去るにあたって書いた記事が話題になっている。
http://newclassic.jp/21785
内田樹が翻訳している。
「本紙は政治的には保守派であり、経済的にはリベラルで市場志向的なメディアである。しかしそれでも本紙は安倍の歴史修正主義はすでに危険なレベルに達しているとする立場に与する」
http://blog.tatsuru.com/2015/04/10_1343.php

◎まんが王八王子店が4月30日に閉店する。「今後は『2.8次元の本屋』をキーワードにオンライン店舗の充実を図る」(八王子経済新聞)そうだ。
http://hachioji.keizai.biz/headline/1845/

夕刊フジは、アマゾンのKindleストアで「危険予測『今日のストレス!!明日の病気!!』」「10倍感じる! SEXパートナー学」「なるほど生活雑学〜健康・カラダ・恋愛編〜」「これからの性 アンチエイジングSEX 山下真理子」「恋愛して幸せになる人、不幸になる人」の5タイトルを配信している。5冊をそれぞれ299円で発売中。過去の連載を電子書籍化したものだ。
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20150410/ecn1504101549007-n1.htm

◎アップルウォッチは注文量が供給を上回った、発売前に早くも品薄!
http://mainichi.jp/select/news/20150411k0000e020174000c.html

図書印刷は、凸版印刷印刷博物館と共同製作した、講談社ビーシー発行の「まんが社会見学シリーズ 『大研究!ひろがる印刷の世界』」を全国の小学校(約21,000校)および公立図書館(約3,150館)に寄贈した。学研のお家芸講談社が対抗したということだ。
http://www.atpress.ne.jp/view/60128

MMD研究所による「2015年4月電子書籍に関する利用実態調査」。 電子書籍を利用するデバイススマートフォン」が47.2%、「タブレット端末」が27.5%。利用している電子書籍ストアは「Kindleストア」46.6%、「楽天Kobo」27.8%、「iBooks」20.3%、「eBOOK JAPAN」14.6%。
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1423.html

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に運営が委託されている武雄市図書館の2014年度来館者は80万人で前年より12万人減となった。それでもリニューアル前の三倍強の数字だそうだ。
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/175079

祥伝社は「Boon」2015春号を発売した。山口一郎編集長が次のように語っている。
「そもそも雑誌に対する考え方を大きく変えないといけない時期だと思っています。どうしても雑誌といえば50万部、60万部売れて、その時代の象徴となる存在だとイメージしてしまうのですが、そういう時代ではなくなってきている。
もっとスモールな形、小さな器ではじめて、その分、自由度を高めてコンテンツを作るというやり方もできますよね。
『Boon』が好きな人たち、『Boon』のマインドにシンパシーを感じてくれる人たちと結び付いてコミュニティを築き、それを長く維持していくというやり方でやっていくこともできるわけで、そのパイはビジネスとして成り立てば全然小さくても構わないと思います」
http://news.ameba.jp/20150410-861/

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3)【深夜の誌人語録】

弱点を克服することは難しい。ならば弱点が目立たなくなるまで得意技を磨けば良いのだ。