【文徒】2015年(平成27)5月1日(第3巻82号・通巻527号)

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1)【記事】ネイティブアドと杉浦太一の「CINRA.NET」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ネイティブアドと杉浦太一の「CINRA.NET」

私からすればインターネット広告推進協議会(JIAA)が3月に発表したネイティブアドの定義と推奨規定は至極真っ当な内容であった。
「JIAA常務理事の長澤秀行氏は『求めている内容は、すでにマスメディアは当然のこととしてやっている。それが一部のネットメディアはできていない』と現状を語る。ノンクレジットの広告記事(広告記事であることを示していない記事)により消費者が被害を受ける例も報告されており、法規制が今後強化される可能性があるため、JIAAには自主規制によりメディアや広告に法規制が強く入るのを防ぎたい狙いもある」
http://japan.cnet.com/marketers/news/35063728/
こうした動きに対してカルチャーニュースサイト「CINRA.NET」の杉浦太一などはJIAAの規定に異論があるらしい。杉浦は自らのブログに次のように書いている。
「・・・メディアプランナーや編集者の絶え間ない努力を、『これは広告です』という一言が凶器となって、すべて台無しにしてしまうんじゃないでしょうか。広告の使命である『広く告げること』ができなくなるんじゃないでしょうか。
どういう経緯でできたのかはわかりませんし、言い過ぎかもしれないけど、このルールは、新しい消費、雇用、文化、文明の障害だと思うんです。
ちなみに弊社ごとですが、CINRAが運営している『CINRA.NET』というカルチャーサイトのインタビューは、90%以上、タイアップです。
つまり、作品、商品、イベント、なんらかの告知のために、広告主からお金をいただいて、記事をつくっています(注:ニュース記事は販売していません)」
http://taichisugiura.com/685
これほどまで堂々とステマプロパガンダを擁護する言論に私などは驚きを禁じ得ない。広告であっても広告を名乗らない情報発信、コンテンツ発信は「詐欺」であると私は考えている。
そのような情報やコンテンツが生活者に凶器となって襲い掛かり、生活者に危機的な事態をもたらす状況を想像できないほど、杉浦の想像力の倒錯は深刻なのである。杉浦の歪んだ言論はファシズムスターリニズムと極めて親和性が高いものだと言って良いだろう。
インターネット広告推進協議会が発表したルールではなく、「CINRA.NET」のごとき存在がインターネットを舞台にした「新しい消費、雇用、文化、文明の障害」になることは間違いあるまい。
そもそも優れた広告とは、堂々と広告であることを名乗り、広告の役割を十分に果たしたうえで、広告という枠組みを超えて人々を魅了してやまないものである。

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2)【本日の一行情報】

テレビ朝日は、「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明(元経済産業省官僚)が事前の打ち合わせになかった「官邸からバッシングを受けている」などの発言をし、キャスターの古舘伊知郎と口論になった一件で報道局の担当部長ら3人を戒告処分とし、早河洋会長、吉田社長、篠塚浩報道局長は役員報酬1カ月分の10%を自主返上する「処分」を発表した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015042902000134.html
http://www.asahi.com/articles/ASH4X54JVH4XUCVL015.html
テレビ朝日の社長吉田慎一は「番組進行上、不適切な事態に至ったことを深く反省している。混乱を防げなかった責任は当社にある」と発言しているが、要するにテレビにハプニングは許されないということだ。
ハプニングを武器にしたインターネットTVの商業的な可能性が見えて来たということである。もともとテレビのメディアとしてのダイナミズムはハプニング性にあったはずである。

◎LINEで展開するニュースサービス「LINE NEWS」において、「LINE NEWS マガジン」を新設し、「東京トレンド」「なにここ行きたい!」「テレビ大好き。」「炎上ゴシップ」「インターネッツが好き」「野郎メシ」「やっぱり美女が好き。」「女子力UP!」「動物萌え」「恋愛イマドキッ」「スポーツ酒場」「日本代表ジャーナル」「この上司がスゴイ」「これは使えるレシピ」「ママ、助かりました。」「なにこれ吹いたwww」「へ〜!カラダの新常識」「ザ・ディスカバリー」「時事まるわかり」という19マガジンを同時創刊した。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/984

成城石井は、世界文化社の「家庭画報」とともに、豊かな食文化を広げていくための共同プロジェクトを推進し、その第1弾として共同開発したオリジナル商品の通信販売を開始する。
具体的には5月1日より、「家庭画報」の通販事業・家庭画報ショッピングサロンにおいて、「点心セット8種×4パック 価格 7,000円(税別)」「国産果実のひとつぶゼリー7種(980g)箱入り 価格 3,500円(税別)」「手巻納豆三種ミックス(305g)箱入り 価格 3,900円(税別)」というお中元に向けた3点のコラボレート商品の販売を開始する。
http://www.seijoishii.co.jp/whatsnew/press/desc/132

元朝日新聞記者の植村隆VS文藝春秋の裁判が始まった。私がどうしても理解できないのは、植村が「文藝春秋」(2015年1月号)に手記を発表した後に、この手記を発表する前に「週刊文春」(2014年2月6日号)が掲載した記事を、名誉棄損にあたるとして2015年1月9日に提訴したことである。
http://www.bengo4.com/topics/3028/
池田信夫のブログ「「強制連行」をでっち上げたのは植村隆ではない」から推測するに、植村としては、大阪社会部(社会部長は渡辺雅隆社長)の総意の記事なのに、なぜオレだけがという気持から、支離滅裂な反応をしているのだろうか。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51922468.html

ショウワノートは、Amazonと共同で、ジャポニカ学習帳45周年記念企画「あなたの1票が復刻を決める。歴代ジャポニカ学習帳人気投票」を開始した。
http://www.showa-note.co.jp/press/150428/

◎「大人のためのポケモンライフスタイル誌」が小学館から発売される。
http://family.shogakukan.co.jp/p/

◎アマゾンは著者が最も適切と思う長さで電子書籍を出版できるサービス「Kindle Singles」を開始した。電子書籍の誕生以前は、著者は雑誌や書籍などの出版物の種類に合わせて文章の削減や書き足しを求められてきたが、このサービスではそのような制約はない。「Kindle Singles」に直接作品を提供した著者は、最大70%のロイヤルティーを受け取ることができるそうだ。
http://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/20150428/ref=amb_link_72607249_1?pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=center-1&pf_rd_r=0A04829QDXB232EQ9JDC&pf_rd_t=2701&pf_rd_p=203889109&pf_rd_i=home-2015

◎日仏共同テレビ局フランス10は安倍首相のバンドン会議での演説について次のように評している。
「呆れ果てた植民地主義者の傲慢と言われても仕方がない上に、その同じ傲慢さで過去に大きな過ちを犯したことにはほとんど触れもせず抽象的な語句で曖昧に誤摩化しただけでは、この演説は他の参加国に失礼を通り越して、呆れられるほどのレベルの低さだ」
http://www.france10.tv/international/5046/
日仏共同テレビ局フランス10?こういう会社である。
「France10は、1992年5月30日設立の独仏共同テレビ局「ARTE」(アルテ)をビジネス・モデルとして、日本とフランスの架け橋となるために、仏日友好協会(Association amicale franco-nippone)が主体となって2013年1月1日に設立されました。
現在はインターネット=テレビとしてWeb上で日仏の情報を発信すると同時に、フランスや日本の既存メディアから求めがあるたびに、記事・写真・動画を提供・配信しております。
2020年代にフランスにおいてチャンネルの1つの取得を目指し、日夜奮闘中です」
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0CCgQFjAB&url=http%3A%2F%2Fwww.france10.tv%2F%25E4%25BC%2581%25E6%25A5%25AD%25E6%25A6%2582%25E8%25A6%2581%2F&ei=KZtBVZHVLKbHmwWm-IHwBQ&usg=AFQjCNHsewCEYSfx0ewWoKQoMKv2TzAYJw&sig2=qX520jCrfKzYPd5rKYFEzQ

NHK辻村深月の小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」のドラマ化を進めていたが、辻村が脚本に納得できず、辻村の意向を受けた講談社が「白紙にする」と申し入れたため、制作中止に追い込まれた件に関して、辻村から著作権の管理委託を受けていた講談社に対して約6千万円の損害賠償を求めた訴訟で敗訴した。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/29/nhk-drama-original-kodansha_n_7167442.html
作家にとって、こういう出版社の役割は重要なはずだ。

◎名古屋・栄に4月28日、「丸善名古屋本店」がオープンした。地下1階から地上7階の8フロアで売り場面積は1,474坪。名古屋には「丸善名古屋栄店」、「ジュンク堂ロフト名古屋店」、「丸善名古屋セントラルパーク店」とあわせてグループ4店舗が林立する。
http://sakae.keizai.biz/headline/2155/

集英社が「渡辺淳一文学賞」を創設した。
http://www.shueisha.co.jp/info/watanabe.pdf

NHKチーフプロデューサー飯田能生の発言である。
「おそらくここ2、30年をかけてですね、徐々にテレビ局の記者のサラリーマン化が僕は進んでいるんじゃないのかなっていう気がします。それと言うのも、何で俺達だけがそんなリスク追う(負う)のという部分と、そこまでつっぱねなくても生きていけるじゃん、給料もらえればいいんだからっていう奴が増えているのかな、と」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243973

双葉社は「オトナ女子の濃厚ラブストーリーマガジン」と銘打ちWebマガジン「JOUR Sister」の配信を開始した。オール描き下ろしだそうだ。
http://www.futabasha.com/JourSister/

◎グノシーが28日、東証マザーズに上場した。朝日新聞によれば「調達した約48億円の資金はテレビCMなどの広告宣伝費として2017年5月期までに使い切る考えだという」。
http://www.asahi.com/articles/ASH4X5711H4XULFA027.html

経営コンサルタント小宮一慶が「東洋経済オンライン」の「会計でわかる日本経済の論点」で大日本印刷凸版印刷を取り上げている。「事業構造を時代に合わせて柔軟に変化させている」ことが大日本、凸版に共通する強みだ。大手出版社や取次は、これができなかった。
http://toyokeizai.net/articles/-/68254

◎知らなかった!公安調査庁がこんなゲームを無料で提供している。「あなたは,インテリジェンス・オフィサーになれるか!?」だって!
http://www.moj.go.jp/psia/ISC/index.html
防衛省自衛官募集ホームページで、スマホ向け公式ゲームアプリ「自衛隊コレクション」を公開している。略称は「Jコレ」というそうだが、「艦これ」ブームにあやかっているのだろう。
http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/jcollection/
こうしたゲームの存在を私は「産経」の記事で知った!
http://www.sankei.com/premium/news/150430/prm1504300004-n1.html

◎無料で電子書籍を出版できるサービス「楽天Koboライティングライフ」の本格提供が開始された。
個人でも、出版社でも、このサービスにユーザー登録をした上で、EPUB3フォーマットに変換された書籍データを、電子書籍作成ページにアップロードして販売価格や書籍情報などを入力すると、一定の審査を経た後、「楽天Kobo電子書籍ストア」で電子書籍を販売することが可能になる。「楽天Koboライティングライフ」のロイヤルティー率は、販売価格によって45%か70%に分かれており(パブリックドメインのコンテンツの場合、一律20%)、得られるロイヤルティー額を簡単に計算することができるそうだ。
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2015/0430_01.html

◎「電子書籍貸出サービスの現状と課題 米国公共図書館の経験から」は読んでおいたほうが良いだろう。「さまざまに存在する電子書籍サービスから,特に主流となっているダウンロード型モデルについて取り上げ,最新の統計を中心に現状を報告」している。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/58/1/58_28/_pdf

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3)【深夜の誌人語録】

折れたくなかったら、前のめりの姿勢で進むべきではない。