【文徒】2015年(平成27)5月14日(第3巻88号・通巻533号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】テレビの様々な「危機」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.5.14 Shuppanjin

1)【記事】テレビの様々な「危機」

ふたりっ子」や「セカンドバージン」で知られている脚本家の大石静が言う。
「全体的に「モノを言わせない」空気を感じるわね。マスコミもすごく自主規制をしていて、本来の役割を果たしていない感じがする。報道を見ていて感じるのは、新聞にはまだ自由があるけれど、テレビはどんどん窮屈になっているのではということ」
新聞記者出身のジャーナリスト江川紹子が応じる。
「テレビでは、苦情が来るかもしれないと考えて、あらかじめ自制してしまう傾向が強い。四方八方に気を遣って自粛を重ねているうちに、表現の幅や機会がどんどん狭くなってきているのでは」
http://hbol.jp/39652
テレビはビジネスとしての規模が大きく、100%広告収入に依存するビジネスであることが「事なかれ主義」を蔓延させる。「事なかれ主義」が蔓延すればするほど、表現の幅は窮屈になる。もちろん、そうしたテレビのなかにあっても孤軍奮闘する「才能」が存在することを忘れてはなるまい。
テレビといえばフジテレビが視聴率低迷から抜け出せないでいる。8は新聞のテレビ番組表でいえば、右端。このことが視聴率低迷の最大の原因ではないだろうか。かつては左から「日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日テレビ東京」の順であったが、今は「日本テレビテレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ」の順である。現在のフジテレビは、「番外地」と呼ばれていたテレビ東京の位置となり、「ゴールデン帯の視聴率では、テレビ東京に次ぐ5位が定位置になりつつある」というわけだ。
http://biz-journal.jp/2015/05/post_9910.html
フジサンケイグループの凋落が始まるのかもしれない。

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎人口減対策「結の故郷(くに)創生会議事業」で福井県大野市と連携協定を結んでいる電通は、その第一弾として大野市の水資源や自然と共生した生活文化を国内外に発信するプロジェクトを本年度から開始するそうだ。電通の内海朋基顧問は大野市のブランドアドバイザーを務めている。地方紙に強い電通は地方に強いのである。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/economics/70704.html

エムオン・エンタテインメントとブックリスタは両社協業の電子出版ブランド「otoCoto」(オトコト)より、みみめめMIMIの電子小説「憧れパンデミック」を、5月31日(日)より主要電子書籍ストアにて配信開始する。「みみめめMIMI」は、声優・シンガーソングライターのタカオユキと、イラストレーターちゃもーいによる2人組ユニット。1stアルバム「迷宮センチメンタル」をモチーフに、収録曲数と同じ11の物語で構成されている。
https://www.booklista.co.jp/corp/newsrelease/923/

◎JTBパブリッシングが運営する電子書籍サービス「たびのたね」で、スターツ出版と提携し、月刊誌「OZmagazine」の配信を開始した。
http://www.jtbpublishing.com/newsrelease/20150512211.pdf

辻村深月の小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」のドラマ化中止事件。NHKが版元の講談社に約6000万円の損害賠償を求めた裁判で、一審は請求を棄却したが、NHKは判決を不服として東京高裁に控訴
http://www.asahi.com/articles/ASH5D41YDH5DUCVL00F.html
講談社だからNHKを相手に裁判をできるのだろうが、中小の版元では、こうはいくまい。問題があっても、グッと腹に飲み込んでNHKに従うというケースがこれまでにもあったのではないだろうか。

◎「メディアを題材にした必見の映画25本(25 Must-See Movies About The Media)」だってさ。オーソン・ウェルズ市民ケーン」、ジョージ・クルーニーグッドナイト&グッドラック」、シドニー・ルメット「ネットワーク」などが順当に選ばれている。「チャイナ・シンドローム」が落選しているのが難点である。
http://eiga.com/news/20150511/18/

◎7月1日付で、ソフトバンクソフトバンクグループに、ソフトバンクモバイルソフトバンクに社名を変更する。また、バイスチェアマンのニケシュ・アローラが孫正義によって後継者だと明言されたそうだ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/051101556/?ST=system

◎内田重久の「それからの三国志」(文芸社)は800部の自費出版だったが、単行本と上下2巻の文庫あわせて累計17万部の大ヒットとなったそうだ。
http://dot.asahi.com/dot/2015050100020.html

◎「本の雑誌」が選ぶ40年のベスト40の第1位に選ばれたのは三上 延の「ビブリア古書堂の事件手帖」。版元のKADOKAWAは大喜びである。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20150512_c99ax.pdf

◎「メディア青書・中国メディア産業発展報告(2015)」によると、中国の広告市場で、インターネットが1500億元(約2兆8950億円)超となり、テレビを初めて上回ったそうだ。
http://www.recordchina.co.jp/a108513.html

◎学研グループは「学研教室 ICT教材導入学習コース『学研iコース』」や「大学受験生向けe−ラーニング講座『学研Web講座』」、2月より発売を開始した「幼稚園・保育園・こども園向けICT教材『学研知育タブレット キッズボード』」、新会社の学研教育アイ・シー・ティーが提供する「小・中学校向けICT教材『ニューコース学習システム・ニューワイド教材ライブラリ』」を「第6回 教育ITソリューションEXPO」に出展する。
5月20日(水)〜5月22日(金)まで「東京ビッグサイト」で開催。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000471.000002535.html

◎大リーグ・テキサス レンジャーズのダルビッシュ有投手は、有料会員制SNSでエイベックス・スポーツが運営する「athlete club」で「Team Darvish」(月額1万1000円)を開設した。
https://salonde.jp/athlete/salon/top.php?salon_id=1100
ダルビッシュ以外にも元プロ野球選手の黒木知宏小宮山悟は1000円、元体操選手の森末慎二が3000円、柔道家古賀稔彦が1万円、元Jリーガー久保竜彦が3240円などとなっている。
http://athleteclub.net/

楽天CSR活動の一環として取り組んでいる高校生向け電子商取引授業「楽天IT学校」を、本年度は開始以来最大規模となる日本全国47都道府県57の高校(2014年度実施校:25校)へと一気に拡大する。
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2015/0512_01.html

◎戦史・紛争史研究家の山崎雅弘による六角堂出版は「歴史群像」「歴史人」「シックス・アングルズ」「コマンドマガジン日本版」等で発表した原稿を電子書籍としてリリースしている。
http://www.mas-yamazaki.net/rokkakudo.html

橋下徹大阪都構想を批判したことで、橋下から猛烈なバッシングを受けることになった藤井聡の「<凡庸>という悪魔 21世紀の全体主義」(晶文社)は、ハンナ・アーレント全体主義論に依拠しながら、日本の現在を読み解いている。
「例えば、全体主義を『兎に角、全体に従うべしという空気』と言い換えてみると、あらゆる文脈に全体主義が潜み得る」のである。
http://www.shobunsha.co.jp/?p=3543

◎齋藤桂の「<裏>日本音楽史 異形の近代」(春秋社)の次のような記述に思わず膝を叩く。
「私たちは普段、事実の方が空想よりも重要だと考えがちだ。だが、実際はそうとも言い切れない。空想や妄想が事実を規定することはしばしば起こる。明治の人々が西郷の生霊や幽霊を生み出し、自分を武士と同化させたように。歴史とは客観的事実の集積ではある。だが、このような幻想の積み重ねもまた歴史なのである」
http://www.shunjusha.co.jp/detail/isbn/978-4-393-93032-8/
「抜刀隊」は私の好きな軍歌のひとつである。敵をこれほどまでにリスペクトする軍歌を私は他に知らない。

◎「MonoMax」(宝島社)6月号の付録が凄い。アウトドアブランド・コロンビアのマルチシートだ。これで690円はお買い得だ。
http://www.narinari.com/Nd/20150531469.html

◎妊娠で18キロ太った小森純が産後やせダイエットのヒミツを明かす「小森純の自力で産後やせ」が主婦の友社から刊行された。太恥写真を公開して説得力を持たせている。
http://www.j-cast.com/trend/2015/05/12234845.html

◎NHN PlayArtと講談社は、スマホ用クイズバラエティゲーム「ザキヤマのクイズがくる〜!? by Hot-Dog PRESS」を共同で開発、 Google Playauスマートパスで配信を開始した。電子雑誌として復活した「Hot-Dog PRESS」が今度はゲームに挑戦した。
http://gamebiz.jp/?p=143771

日本漫画家協会賞大賞はおざわゆきの「凍りの掌 シベリア抑留記」(小池書院)と「あとかたの街」(講談社)、今日マチ子の「いちご戦争」(河出書房新社)に決定した。
http://www.hochi.co.jp/topics/20150512-OHT1T50124.html
「あとかたの街」は名古屋大空襲を描いている。「BE LOVE」(講談社)に連載中だ。

ブルームバーグは「『Gunosy』は、米国のメディア企業との提携を柱にユーザー獲得に乗り出す方針だ」と報じた。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NO7UNH6K50XT01.html

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

仕事も楽しく遊ばなければ、人生の無駄遣いになってしまうだろう。