【文徒】2015年(平成27)8月13日(第3巻152号・通巻597号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】雑誌は自らを変えなければ待っているのはガラパゴス化
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.8.13 Shuppanjin

1)【記事】雑誌は自らを変えなければ待っているのはガラパゴス化

客 それにしても暑いよね。君は相変わらず書店に涼みに行っているのかい。
主 仕事も兼ねてね。この10年で書店の風景は激変したんじゃないのかな。若者の姿が書店から消えたと言ったら大袈裟かもしれないけれど、若者の姿が書店から激減しているのは間違いないんじゃないのかな。同時に雑誌売り場から活気が消えた。コンビニでも雑誌を立ち読みしている若者の姿が見られなくなったよね。例えばシールズ(SEALDs)を特集するような雑誌ってないじゃない。
客 確かにそうだよね。今の10代、20代が30代、40代になったときに雑誌を買ってくれるのだろうか。
主 今から何らかの手を打っておこうという試みも見られないよね。昔に比べて今の若者たちは子どもの頃に雑誌と接触する機会が減っているんだよね。
客 オレが小学生の頃は、学校に「科学」とか「学習」を売りに来ていたし、中学生になると万年筆欲しさに「中一時代」とか「中一コース」を定期購読したものだ。今じゃ「小学一年生」と「コロコロコミック」しかないものなあ。
主 もしかすると誰もが雑誌を読むという時代じゃなくなるのかもしれない。逆に雑誌は万人のためのメディアじゃないと割り切る必要も出て来るのかもしれない。
客 女性誌の広告が厳しくなりはじめているようだね。
主 ファッション系の広告が減る傾向にあるのは間違いない。雑誌ビジネスは広告収入依存型の女性誌にシフトしたことによって頂点を迎えたけれど、女性誌にシフトし過ぎてしまった弊害に直面せざるを得ないということだ。
客 雑誌社の広告部門は、広告銘柄の幅をもっと広げる努力をする必要があるよね。でも、出版社は人材が豊富だから何とか乗り切るんじゃないだろうか。
主 新卒採用に応募してくる学生の数が半減したという出版社も出て来ている。優秀な人材が豊富だと安閑としているわけにはいかないよ。ここは危機感をもって自らを変えていかないと雑誌はメディアとしてガラパゴス化してしまうのではないだろうか。

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

主婦の友社が6月1日に発売した「わたしの健康DX2 死ぬほどすごいセックスで性がよみがえる、健康になる!」が14日付で東京都の「不健全図書類」に指定されることになった。これにより書店などは18歳未満が購入・閲覧できないよう成人コーナーでの陳列となる。
http://www.hochi.co.jp/topics/20150811-OHT1T50104.html
過去のアダルトビデオの一部を再編集した付録DVDが問題にされたようだが、この指定で逆に興味が掻き立てられるのもまた事実であろう。
http://irorio.jp/nagasawamaki/20150812/252061/
その証拠にヤフオクやアマゾンの中古品では高値がついている。アマゾンでは何と4990円(送料別)で取り引きされている。もともとは980円であった。
http://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/4074122707/ref=olp_tab_used?ie=UTF8&condition=used

◎9月19日より、細川護煕元首相が理事長を務める永青文庫(目白台)で国内初の「春画展」が開催されるが、細川は「週刊ポスト」で春画について次のように語っている。
春画は男女の交わりばかりに目が行きがちですが、主な目的は大勢で笑いながら鑑賞するためのもので、女性の裸のみに焦点を当てて男性が一人でコソコソ観るポルノグラフィとは異なります」
http://www.news-postseven.com/archives/20150811_341575.html?PAGE=1#container

小学館から刊行された谷和野の短編マンガ集「魔法自家発電」の評判が良い。
http://sol-comics.shogakukan.co.jp/solc_dtl?isbn=9784091374370
http://natalie.mu/comic/news/156583
西炯子南日本新聞日曜版で連載していた8コママンガ「のこのこ!」も小学館からオールカラーで刊行された。
http://natalie.mu/comic/news/156621
http://sol-comics.shogakukan.co.jp/solc_dtl?isbn=9784091377050

◎宝島社の女性ファッション誌「sweet」9月号の付録はレスポートサック。表紙を同誌初登場の中村アンが飾っている。
http://www.narinari.com/Nd/20150833109.html

博報堂・大広・読売広告社の7月度単体売上高。三社とも好調に推移。ただし雑誌は落ち込んでいる。
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/ir/pdf/%E3%80%90%E5%8D%9A%E5%A0%B1%E5%A0%82DY%E3%80%912015%E5%B9%B47%E6%9C%88%E5%BA%A6%E6%9C%88%E6%AC%A1.pdf

KADOKAWAは、無料コミックサイト「ComicWalker」のコンテンツをDeNAのニュースサービス「ハッカドール」に提供を開始した。
http://japan.cnet.com/entertainment/35068693/

◎「STORY」「ミセス」「家庭画報」などで活躍するモデルの春香が約4年ぶりの著書「春香 Beauty Recipe」を8月20日にぴあから刊行する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000011710.html

日本文芸社は「のぞえもん」の連載中止について8月8日に発売された「コミックヘヴン」第19号で謝罪文を掲載した。
「今号に掲載予定だった『のぞえもん』につきまして、当社としまして内容に不備があると判断し、連載を中止させて頂きます。読者の皆さまには大変ご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/10/nozoemon-apology_n_7969072.html

◎映画のヒットを記念して集英社のアプリ「少年ジャンプ+」は「NARUTO-ナルト-」単行本全72巻の無料配信を24時間限定で実施した。
https://gunosy.com/articles/RIGbC

六車由実が「介護民俗学へようこそ! 『すまいるほーむ』の物語」を新潮社から上梓する!「神、人を喰う――人身御供の民俗学」「驚きの介護民俗学」で私を圧倒した六車だけに期待が持てる。
http://www.shinchosha.co.jp/book/339511/
10月25日に漫画家・岡野雄一とのトークショーも開かれる。新潮社と朝日カルチャーセンターの共催だ。
http://www.shinchosha.co.jp/blog/chair/class/1510021.html

◎「宮崎駿の<世界>」「山田洋次の<世界>」で知られている切通理作の「『85歳の被爆者 歴史を消さないために』 刊行プロジェクト」。切通は彼の母親である狩野美智子の対談本を彩流社から刊行するにあたってクラウドファンディングを行っている。
バスク物語 地図にない国の人びと」「バスクとスペイン内戦」を彩流社から刊行している狩野は長崎で被爆している。広島で被爆したジャーナリストの関千枝と共著で「広島・長崎から 戦後民主主義を生きる 往復書簡」も刊行している。切通は、このプロジェクトに関して次のように書いている。
「『被爆者が日本から一人もいなくなる日も近い』という思いから、自ら長崎で被爆した85歳の狩野美智子が、自身でブログを書き、出版費用を一部自費で担っても本を発信したいと希望しました。それを知った、著述業であり戦後世代(1964年生まれ)である息子の私・切通理作(『宮崎駿の<世界>』『山田洋次の<世界>』等の著書があります)が、対談相手となって、戦中戦後を生きた母の思いを聞き出します。
通常の本と違い、先に本の購入資金を、趣旨に賛同する方から頂戴し、その後刊行するかたちになる本ですが、そのような方法でも母の本を出したく思い、皆さまにお願いする事になりました。もし御賛同いただければ、出版を担ってくださる彩流社の特設メールアドレスあてに、ご購入予約(本の予価2500円に消費税を加え、2700円になります。送料はこちらで負担いたします)下されば幸いです」
http://www.sairyusha.co.jp/oshirase/%E3%80%8E85%E6%AD%B3%E3%81%AE%E8%A2%AB%E7%88%86%E8%80%85%E3%80%80%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%82%92%E6%B6%88%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E3%80%8F%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89.html

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

焦りは更なる焦りを生むだけである。焦らないためにも先手、先手で仕事は進めなければならない。