【文徒】2015年(平成27)9月11日(第3巻173号・通巻618号)

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1)【記事】紀伊國屋書店村上春樹のエッセー「職業としての小説家」を発売
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】紀伊國屋書店村上春樹のエッセー「職業としての小説家」を発売

紀伊國屋書店が初版10万部のうち9万部を版元のスイッチ・パブリッシングから直接仕入れることで話題となった村上春樹のエッセー「職業としての小説家」が発売となった。紀伊國屋書店新宿本店は次のようにツイート。
「おはようございます、紀伊國屋書店新宿本店です。村上春樹さんの新刊、『職業としての小説家』は本日発売です! 本日朝8時から早売りを行います。1F新宿通り沿いひろばと、B1F新宿駅地下道B7出口付近双方でまもなく販売開始します!」
https://twitter.com/KinoShinjuku/status/641746827172147201
9月9日付毎日新聞で高井昌史社長が次のように語っている。
「DNPと手を組めば、お客さんへ付与するポイントの共通化電子書籍化も協力できるし、仕入れの物流も統合できる。結果的に出版社や取次店に対し影響力を発揮できるから、出版社と直接取引が可能になる。新会社では今秋から来年1月にかけて、幾つかのタイトルについて出版社と直接取引を始める予定です」
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150909org00m070004000c.html
9月9日付読売新聞は次のように書いている。
紀伊国屋の枠組みについて、大手出版社の関係者は『返品が減れば出版社も利益があがる。長期的にも、書店との距離が縮まることは好ましい』と歓迎する。一方、中小出版社で構成する『日本出版者協議会』の高須次郎会長は『委託販売制が壊れかねない』と危機感を募らせる」
http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20150901-OYT8T50128.html
「弁護士ドットコムニュース」の「紀伊国屋書店が『村上春樹本』初版の『9割』買い取り作戦――独禁法違反ではないか?」も読んでおいても良いかもしれない。
http://www.bengo4.com/internet/n_3665/
早速、重版が決まったらしいが、これも紀伊國屋書店が独占するようだ。いっそのこと紀伊國屋書店大日本印刷とともに設立した出版流通イノベーションジャパンが太洋社を買収すれば良いのではないか。

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2)【本日の一行情報】

宮城県多賀城市立図書館もCCCが手がけるTSUTAYA図書館だが、「新古書」をズラリと並べた武雄市図書館の二の舞になるのだろうか。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150910_15022.html

◎「日経ビジネス・オンライン」に掲載されたドイツのシリア難民を受け入れについて熊谷徹による秀逸なレポートである。今年1月から7月までにドイツで亡命を申請した外国人の数は約22万人にも及ぶそうだ。
メルケルの決断は、軍隊を動員しない『積極的平和外交』である。私はドイツに住む1人の納税者として、政府が行ったこの決断を誇りに思う」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/090900005/?P=1
熊谷はドイツ在住のフリージャーナリストで元NHKワシントン特派員。こんなツイートをしていた。
「難民問題に関する記事の執筆のため、早朝・深夜労働が続いている。しかし、世界史に残る出来事の『現場』まで自宅から地下鉄で行けるという状況は、めったにない。ドイツは、この難民受け入れで大きく変わる」
https://twitter.com/ToruKumagai/status/641332416657948673

電通は、企業が顧客との接点拡大のために活用しているスマホアプリのダウンロード数を最大化するソリューションツール「App Buildbox」(アプリ・ビルドボックス)を開発した。
「App Buildbox」は、以下の4つのソリューションツールのラインアップから構成されている。
(1)リアルなアプリ利用実態とマス・デジタル双方のメディア接触状況がわかるアプリユーザー・アナリシス「ユーザー分析ツール」
(2)テレビ出稿量や出稿パターンなどからダウンロード数を予測するアプリダウンロード・シミュレーター「メディアプラン・ツール」
(3)アプリダウンロードを促進させやすい広告表現を法則化し、アプリの種類に応じて表現要素を変化させるアプリクリエーティブ・インデックス「広告表現ツール」
(4)実際にオンエアされたCMが、いつ・どこで・どのような表現で放送されたときにダウンロード数が効率的に増えるのかを分析するアプリダウンロード・コネクターPDCA管理ツール」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0909-004149.html

◎「ジャンプ史上最低の企画」なんだって。でも、こういう「おバカ」ができるのが、「少年ジャンプ」の魅力である。「少年ジャンプ+」で「君の考えたヤリマン大募集!!」を実施している。
http://www.shonenjump.com/p/sp/1509/yariman/

元少年Aが立ち上げたホームページ「存在の耐えられない透明さ」。自らのヌードまで公開している。
http://www.sonzainotaerarenaitomeisa.biz/%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC/
元少年Aは週刊誌を「宣伝」に使った。週刊誌が元少年Aに踊らされたのだ!この後味の悪さは何なのだろうか。ホームページには、こう書かれている。
「僕がこのホームページ以外の場所に、一文字でも何か書き込む場合は、必ずここで告知しますので、その旨ご承知おきください」
http://www.sonzainotaerarenaitomeisa.biz/

博報堂DYホールディングスが、博報堂・大広・読売広告社の子会社3社(単体)8月度月次売上高を発表。読売広告社は前年比86.8%。
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/ir/pdf/%E3%80%90%E5%8D%9A%E5%A0%B1%E5%A0%82DY%E3%80%912015%E5%B9%B48%E6%9C%88%E5%BA%A6%E6%9C%88%E6%AC%A1.pdf

学研パブリッシングは、「スマホで読みやすい!」をキャッチコピーとした電子書籍レーベル「学研スマートライブラリ」を創刊した。第1弾として配信されたのは「東京カフェさんぽ 下町編」(税抜300円)、「お取り寄せ 朝食編」(税抜150円)。ともに人気ブログを電子書籍化したもの。
スマホで読みやすい!」とは具体的に言えば、スマホに最適化したサイズであり、短すぎず、長すぎない内容で、価格のボリュームゾーンは1タイトル100〜300円ということである。
今後、「ひいじいちゃんは硫黄島の兵隊だった」「居酒屋礼賛」「どみなんと Vol.1」「うちのダンナがかわいすぎるっ!」「完訳 コーラン聖典」などのリリースが予定されている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000007512.html

◎アマゾンは、「携帯番号アカウント」を開始。「携帯番号」または「Eメールアドレス」とパスワードで、サインインできるようになった。
http://japan.cnet.com/news/service/35070253/

小学館の「『妖怪ウォッチバスターズ』攻略ガイド」は30万部でスタート!
http://www.shogakukan.co.jp/books/09106568

「文藝春秋」は今月も又吉直樹で勝負する。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/life/release/detail/00021709.html

◎第6回ananマンガ大賞は「Kiss」(講談社)に連載されている東村アキコの「東京タラレバ娘」に決定した。
http://natalie.mu/comic/news/159599

◎アルバイト情報誌「an」(アン)は首都圏などで紙媒体としての発行をとりやめる。今から30年以上も前の話だが、私は毎朝「アルバイトニュース」を駅の売店に届けるアルバイトを4年間もしていた。
http://www.j-cast.com/2015/09/10244841.html

◎「歌麿 THE BEAUTY」12万円は、私のような者に手が届かないし、「大英博物館 春画」2万5千円にしても躊躇せざるを得ないが、「SHUNGART」8千円は買っても良い(いずれも税別)。小学館が「春画」三部作を刊行。
http://shogakukan.co.jp/pr/shunga/index.html

◎サンリオは、人気投票等で大人向け新キャラクターの順位を決定する「サンリオキャラリーマン総選挙」を実施しているが、「ゆトリとさトリ」をエントリーキャラクターから外すことにしたという。双葉社が刊行するコミック「おひとりさま」のキャラクター「白都リコ」と類似していると、双葉社から指摘が9月4日にあったそうだ。
「弊社としましては『ゆトリとさトリ』はご指摘のあったキャラクターと類似しているとの認識はございませんが、今後の展開について、現時点では未定のキャラクターであり、これ以上の論争が起こった場合、キャラクター育成に支障がでる可能性があるため、今回は本キャラクターを『サンリオキャラリーマン総選挙』のエントリーキャラクターから外すことといたしました」
http://www.sanrio.co.jp/corporate/release/y2015/d0909/
双葉社の「おひとりさま」の白都リコはコレ。
http://www.f-bungei.jp/Essay/?cID=19&nID=10

丸善ジュンク堂書店が池袋本店の帳合をトーハンに一本化するそうだ。もともと池袋本店はトーハンと大阪屋のダブル帳合であった。大阪屋としては痛手となるのだろうが、私には丸善ジュンク堂書店の判断が理解できない。
丸善ジュンク堂書店大日本印刷系列の書店であり、大日本印刷は大阪屋に出資している。常識的に考えるのであれば、丸善ジュンク堂は、池袋本店の帳合を大阪屋一本に変更するというのであれば理解できる。帳合をトーハン一本に絞り、大阪屋を切り捨てることは、親会社の大日本印刷が出資する大阪屋にとっては痛手のはずである。
http://www.bunkanews.jp/news/news.php?id=16131

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3)【深夜の誌人語録】

世界は何も変わらないにしても、世界を変えたいという妄想を捨ててはならない。