【文徒】2015年(平成27)9月24日(第3巻179号・通巻624号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】街の書店の減少と本の値段、軽減税率適用について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.9.24 Shuppanjin

1)【記事】街の書店の減少と本の値段、軽減税率適用について(田辺英彦)

「今さら」感もあるが、読売新聞が、「書店ゼロ」の自治体が増えていることを記事にしている。
「書店が地域に1軒もない『本屋ゼロ』の市町村が、全国300以上に上っている。出版不況に加え、ネット書店が台頭、昨年4月に消費税が上がり、出版物に軽減税率が適用されていないことも大きい」
http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20150915-OYT8T50105.html
一方、雑誌コーナーを縮小するコンビニが多い中で、スリーエフのように書店の新刊コーナー並みの品揃えを誇るコンビニも現れてきている。
「雑誌については通常のコンビニとほぼ同等の品ぞろえです。プラスアルファで書店用のゴンドラを2〜6本程度増設しています」
http://news.livedoor.com/article/detail/10622234/
本の価格は、購買欲に直結する。安全保障関連法案が参院特別委員会で可決された17日、日本書籍出版協会日本雑誌協会日本出版取次協会日本書店商業組合連合会は消費税増税還付付き「財務省案」は国民に重い負担を強いる不備の多い制度だとし、出版物への軽減税率適用などを求める緊急声明を出した。
http://shuppankoho.jp/doc/20150917.pdf
「出版物に軽減税率の適用を求めるなら、成人向けの本や雑誌、本体の書籍よりも付録グッズ等がメインのような「出版物」と、一般書籍・雑誌とを峻別する必要がある」という声が出てくるかもしれないが、線引きは容易ではない。
それぞれの出版社で言い分はあるだろうが、速やかに双方が合意して、軽減税率適用のため業界一丸となって対応するべきだろう。とはいえ、食料品への適用もすんなりとはいかない状況では、出版物に軽減税率の適用を求めるのは容易ではない。
消費税が上がり本の値段が高くなったとはいえ、先人たちが知識欲を満たすため本を買っていた頃、例えば昭和の円本ブームでは、廉価とはいえ、当時の大学卒の初任給の約2%に相当(現在の大卒初任給が約20万円だから、今でいうと4000円相当)だったから、本は安くなったとも言える。
こういってしまうと誤解を招くかもしれないが、その金額に見合うだけの満足感が得られるかどうかが問題なのだろう。もちろん、モノとしての価値もあるので、函入りの豪華本などの愛蔵本は、高価でも需要はあるだろう。ならば、文字情報だけ(あるいは絵入り)の電子書籍は、消費者の感覚からするともっと安くならないか、ということになる。ITの進んだ隣国の韓国でも、同じ議論は起きているようだ。
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2015092134468

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】(田辺英彦)

博報堂DYメディアパートナーズは、米国のTreasure Data Inc.(トレジャーデータ)とデータ分析・活用事業における共同事業推進に合意し、資本・業務提携を締結した。広告主のプライベートDMPの構築支援、広告主・媒体社のデータ分析業務・マーケティング施策の設計などを共同で実施する予定。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/organization/20150915_10789.html

スティーブンスティーブンとヒトクセ、博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂の4社は共同で、様々なアンビエント(環境)データを自在に取り入れ、生活者の気持ちにフィットした動画広告を自動で出し分けるデジタルアドサービス「FIT AD」を開発し、提供を開始した。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/23024

◎今年刊行60周年を迎えた「広辞苑」にコラボ商品が登場。リアルに再現した実物大のコットン製ポーチ、広辞苑リブレポーチ/リアル(5400円)は、本物の「広辞苑」より一回り大きく、「広辞苑」もぴったり収まる。広辞苑リブレポーチ(3780円)は文庫本サイズ。広辞苑帆布トート(3132円)もある。
http://withnews.jp/article/f0150917002qq000000000000000W00f0201qq000012478A

芥川賞作家・又吉直樹と、アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキがMCを務める、物書きたちのバラエティー番組「タイプライターズ〜物書きの世界〜」の第2弾が、フジテレビにて9月25日(金)24時40分〜25時40分に放送される。ゲストとして芥川賞を又吉と同時受賞した羽田圭介が出演する。
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2015/i/150917-i170.html
芥川賞受賞以降、羽田圭介はバラエティ番組などに引っ張りだこだ。確かにキャラクターとして面白いものがある。それが本の売上に直結するかどうかわからないが。

◎「ガジェット通信」の東京産業新聞社と「Variety」誌を発行するペンスキー・メディアが提携し、日本語版「Variety Japan(ヴァラエティ・ジャパン)」(http://variety.co.jp/)をウェブサイトで9月28日に開始することを発表した。
http://getnews.jp/archives/1147333

千趣会の子会社であるベルネージュダイレクトが運営していたギフトECサイトのサーバーに対する不正アクセスが確認された。ユーザーのクレジットカード情報を含む個人情報、ならびに商品の届け先の個人情報が流出している可能性があることが判明した、とEC Newsが報じた。
https://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=6178

オレンジページと読者の祭典、「オレペ大感謝まつり」が11月8日、東京ドームシティプリズムホールで開催される。今年のテーマは「暮らしのお悩み解決!」。ステージでは料理教室やセミナーが行われ、企業ブースでは、人気商品のお試しやプレゼントもある。
http://www.orangepage.net/ad/matsuri/2015/index.html

◎9月9日〜11日、シンガポールで開催された「スパイクス アジア フェスティバル・オブ・クリエ−ティビティー 2015」(Spikes Asia Festival of Creativity 2015)において、電通グループのタプルート電通(インド・ムンバイ市)がグランプリを受賞した他、グループで合計47個の賞(金賞5個、銀賞 14個、銅賞27個)を獲得した。また電通は、「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー賞」で第2位に選ばれた。
http://dentsu-ho.com/articles/3090
http://www.spikes.asia/home/

◎日本雑誌広告協会は9月16日、第58回「日本雑誌広告賞」の審査結果を発表した。サントリーホールディングスの「黒烏龍茶」が最高賞の経済産業大臣賞を受賞した。
http://dentsu-ho.com/articles/3091

◎成人向け投稿写真雑誌「DVDニャン2倶楽部」が16日発売号で終刊。成人向けの雑誌業界にとっては大きなショックのようだ。
http://okmusic.jp/#!/news/93090

◎DMM電子書籍では「秋マン!!2015」のキャンペーン期間中(9月17日〜11月18日)、対象作品の1巻から最大3巻までを隔週替わりで無料配信する。第1弾として、『ONE PIECE』『東京喰種』『シックス ハーフ』など話題作が目白押しだ。
http://www.dmm.com/dc/book/feature/shueisha/akiman2015/

見城徹社長とのやりとりを暴露する手紙などを週刊誌や新聞に送った元少年Aだが、国際プロデューサーでもある怪人・康芳夫氏が、“出版界の風雲児“として同じく怪人視される見城社長に対して異例の“エール”を送ったようだ。
http://tocana.jp/2015/09/post_7365_entry.html

◎ターゲッティングは、日本ジャーナル出版と芸能エンタメ裏話を配信する情報メディア「まいじつ」の共同事業を開始する業務提携契約を締結した。「週刊実話」本誌の元ネタと異なる角度で執筆された芸能コンテンツ、ニュースコンテンツを配信していくという。
http://www.targeting.co.jp/2015/09/17/%E3%80%8C%E9%80%B1%E5%88%8A%E5%AE%9F%E8%A9%B1%E3%80%8D%E3%82%92%E5%88%8A%E8%A1%8C%E3%81%99%E3%82%8B%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%AB/
http://myjitsu.jp/

ディスカヴァー・トゥエンティワンは創業30周年を記念して、読者への感謝を込めたポップアップストアを2015年10月2日(金)〜10月6日(火)にイベントスペースさくら原宿竹下口で期間限定で開店。多彩なゲストによるトークイベントや講座も開催予定。
http://30th.d21.co.jp/event/

◎「戦国BASARA」シリーズ10周年を記念した完全保存版「戦国BASARAぴあ〜10th Anniversary〜」が9月30日、ぴあより発売。表紙は、伊達政宗真田幸村の描き下ろし。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000011710.html

銀座三越のコスメフロアのリモデルに合わせ、同店から季刊のコスメ誌『Ginza Style BEAUTY』が創刊。
http://www.fashion-headline.com/article/2015/09/17/12326.html

博報堂行動デザイン研究所が東京+アセアン5都市の生活行動比較調査を実施した。 第1回は「行列にならぶアジア人の意識/行動調査」。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/23046

トーハンの「ほんをうえるプロジェクト」は、出版社・雑誌の枠を超えた合同企画として注目される。恋物語を男女双方の視点で描き出し、「ヤングチャンピオン」(秋田書店)と「漫画アクション」(双葉社)で連載中の「古都こと」(今井大輔)の単行本第1巻が9月25日に同日発売されるにあたり、2社と共同で販促に取り組む。
http://www.tohan.jp/news/20150918_588.html
京都市内のMAPを掲載したリーフレットやカラーイラストカードなどを3社合同で作成し、発売日にあわせて展開書店に提供」するというが、こうした取り組みを広げることが出版社が生き残る方策でもあるはずだ。

◎日本初の本格的「春画」の展覧会が、永青文庫(東京都文京区)で12月23日まで開催されている。
http://mainichi.jp/feature/news/20150919k0000m040045000c.html
http://www.eiseibunko.com/shunga/

◎第6回高知出身まんが家展「安倍夜郎展〜深夜食堂へいらっしゃい〜」が、11月23日まで高知市横山隆一記念まんが館企画展示室で開催される。「深夜食堂」(小学館ビッグコミックオリジナル」連載中)はドラマ化、映画化もされ、今月10日、韓国で開催された「ソウルドラマアウォード2015」で、年間最高人気外国ドラマ賞も受賞した。
http://www.bunkaplaza.or.jp/mangakan/

◎「週刊少年ジャンプ」での連載終了後も続編が描かれるなど、人気が衰えない「黒子のバスケ」だが、CD・DVD、フィギュアやキャラグッズなどに続き、「黒子のバスケCROSSCOLORS」としてアプリゲームで登場。2016年に配信を予定している。
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1442548022
https://twitter.com/KrbsCC_app

日経BP社は9月18日、“スマホで読む”デジタルマガジン「日経GLOBAL GATE(グローバルゲート)」(税込400円)を発刊した。海外で活躍する日本人や“突拍子もない方法”で海外に飛び出した若者たちへのインタビューなどが掲載されている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000007770.html

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】(田辺英彦)

朝三暮四とは親方主義(パターナリズム)の常套手段である。