【文徒】2015年(平成27)11月13日(第3巻208号・通巻658号)

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1)【記事】朝日新聞農文協・農業書センター」記事への違和感
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】朝日新聞農文協・農業書センター」記事への違和感

日本唯一の農業書専門店として知られている神保町の「農文協・農業書センター」を朝日新聞が紹介している。
「交差点角のビルに入る『農文協・農業書センター』は、日本唯一の農業書専門店を売り文句にしながら、戦争や平和に関連した書籍を多く扱っている。『農業と戦争は相反するもの』。そんな思いからだという」
「棚には『ぼくらの民主主義なんだぜ』(高橋源一郎著)や『右傾化する日本政治』(中野晃一著)など、学生団体『SEALDs(シールズ)』の選んだ15種の本。他にも沖縄や戦争をテーマにした書籍100種ほどが並ぶ」
http://www.asahi.com/articles/ASHC55GGCHC5UTIL037.html
『ぼくらの民主主義なんだぜ』にしても『右傾化する日本政治』にしても、神保町界隈の書店では「農文協・農業書センター」でなくても買える。シールズ選書にしてもそうだ。農文協・農業書センターもそのなかのひとつである。どうも、この記事、好きになれないのである。
MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店では中断していたブックフェアを「自由と民主主義のための必読書50」というタイトルを「今、民主主義について考える49冊」に変更して今日から再開する。どの本をフェアから外したのだろうか。新たにフェアに加えられた本は何なのだろうか。
http://www.asahi.com/articles/ASHCB45DBHCBUTIL01Q.html
「PEACE NOT WAR」でも、「今、民主主義について考える49冊」でも構わないが、そこに例えば千坂恭二の「思想としてのファシズム」(彩流社)を忍び込ませておくような芸当を私は書店に期待しているのだけれど。無理な話なのだろうか?

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2)【本日の一行情報】

◎「城山三郎賞」は講談社現代新書の瀬木比呂志「ニッポンの裁判」に決定。
http://www.kadokawa-zaidan.or.jp/kensyou/shiroyama/

フィギュアスケート浅田真央が2年ぶりに優勝したグランプリシリーズのテレビ視聴率。番組平均視聴が、23.2%。優勝が決まると36.0%!
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2062046.html

紀伊國屋書店武蔵小杉店は、11月13日(金)に児童書売場内「こどもHOUSE」で絵本の読み聞かせを開催する。取り上げられるのは「プレゼントどっち? どっちどっちアンパンマン」(やなせたかし/フレーベル館)、「アリのおでかけ」(西村敏雄/白泉社)、「カンカンカン でんしゃがくるよ」(津田光郎/新日本出版社)、「よるくま」(酒井駒子/偕成社)、「だるまちゃんとてんぐちゃん」(加古里子/福音館)。
http://www.grand-tree.jp/web/event/topics/tenant_posts_5841.html

アサツーディ・ケイの2015年1〜9月期の連結決算。売上高は微減の2570億円だが、営業利益は前年同期比10%増の28億円。純利益が57%増の30億円。資本提携先のWPPからの配当金が貢献している。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2015/11/698ff8a6eb92a39f45143697494c2c75.pdf

JTBパブリッシングは、マルタイが販売する「棒ラーメン・九州シリーズ」に電子書籍サービス「たびのたね」サイトで利用できる200円分のクーポンカードを枚数限定で同梱するコラボ企画を実施。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000676.000005912.html

電通2015年10月度単体売上高。四媒体すべてが前年同期比を下回るなか、インタラクティブメディアが前年比121.0%、00Hメディ アが121.2%と絶好調。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2015127-1111.pdf

電通の2015年12月期第2四半期連結累計期間(2015年4月1日〜2015年9月30日)の連結決算。
収益3739億円(前年同期比13.6%増)、売上総利益3492億円(同14.4%増)、営業利益438億円(同11.8%増)、四半期利益(親会社の所有者に帰属)260億円(同23.8%増)、調整後営業利益561億円(同14.6%増)、調整後四半期利益(親会社の所有者に帰属)368億円(同22.5%増)。
国内事業の売上総利益は1613億3000万円(前年同期比1.9%増)。海外事業の売上総利益は1881億600万円(前年同期比27.8%増)。海外事業が国内事業を上回っている。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2015126-1111.pdf

電通日本オラクルは、企業の基幹システムに蓄積された顧客情報などのデータをマーケティング分野への統合活用につなげる 「デジタル・トランスフォーメーション支援プログラム」を構築し、提供を開始した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/1111-008452.html

電通の100%子会社である電通イージス・ジャパン(DAJ)は、DAJの子会社で顧客企業にデジタルソリューションを提供する電通iX(電通アイエックス)とアイソバー・ジャパンの2社を2016年1月1日付で合併し、社名を電通アイソバーに改称することになった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/1111-008453.html

◎横浜エリアで親子が楽しめるキッズカフェを併設する「TSUTAYA横浜みなとみらい店」は、横浜最大のBOOK&CAFEとして、202席に拡大、1階フロアを大幅に改装したそうだ。
http://www.ccc.co.jp/news/2015/20151106_004856.html

宮城県多賀城市のツタヤ図書館について河北新報は次のように書いている。
「年中無休で開館時間が延長、蔵書は全て開架式となり、利用空間が広がることで座席は大幅に増える。書店やコーヒーショップが併設され、雰囲気は一変する。
一方、人件費を含めた市が負担する運営費は、上限を設けたとはいえ、現状の2倍以上に増える」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151111_13019.html
図書館総合展ではTSUTAYA図書館「擁護」のフォーラムも開かれた。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/11/tosyokan-sogoten_n_8535910.html

セガグループでコンシューマ事業を行うインデックスは、小説でもマンガでもない“トークアプリ風”読み物フォーマット「ストリエ」を正式オープンした。一迅社KADOKAWA講談社集英社小学館、宝島社の6社45タイトルをストリエ独自のフォーマットでコンテンツ化し無料提供する。
http://www.indexweb.jp/pc/news/95

◎「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイとLINEは、ファッション領域におけるビーコン事業の推進に向け、業務提携することになった。スタートトゥデイが開発した僅か12gの「ボタン型ビーコン」と、LINE公式アカウントやLINE@の企業・店舗などが販促・集客としてビジネスに活用できるLINEアカウントを連携し、アパレル店舗に向けた「ビーコン活用サービス」を2016年春頃より提供開始する予定だ。「ビーコン活用サービス」により、アパレル店舗に来店したユーザーが商品に取り付けられたボタン型ビーコンを押すと、LINEアカウントを経由して、その商品やお店の情報が直接ユーザーのスマホに届く。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/1151
http://www.starttoday.jp/wp-content/uploads/2015/11/LINEPRck3_Release_button_20151111.pdf

◎福岡に本社を置く広告代理店のホープは同社が運営する広報紙配信アプリ「i広報紙」を大幅にリニューアルし、自治体ホームページの新着情報を配信するなど、より便利な機能を追加する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO93845040Q5A111C1LX0000/
http://www.zaigenkakuho.com/news/1735.html

サントリー学芸賞が決まった。
<政治・経済部門>
前田健太郎・東京大大学院准教授「市民を雇わない国家 日本が公務員の少ない国へと至った道」(東京大学出版会
<芸術・文学部門>
文芸評論家、安藤礼二多摩美大准教授「折口信夫」(講談社
脚本家、大野裕之日本チャップリン協会会長「チャップリンヒトラー メディアとイメージの世界大戦」(岩波書店
吉田寛立命館大大学院教授「絶対音楽の美学と分裂する<ドイツ> 十九世紀」(青弓社)など
<社会・風俗部門>
滝沢克彦・長崎大准教授「越境する宗教 モンゴルの福音派 ポスト社会主義モンゴルにおける宗教復興と福音派キリスト教の台頭」(新泉社)
<思想・歴史部門>
奈良岡聰智・京都大大学院教授「対華二十一ヵ条要求とは何だったのか 第一次世界大戦と日中対立の原点」(名古屋大学出版会)
http://mainichi.jp/select/news/20151112k0000m040105000c.html
「文徒」で紹介したのは二冊、読んだのは三冊。

◎メディアドゥは、講談社の米国関連会社であるKodansha Advanced Media LLC. が保有する講談社作品の英語翻訳版電子書籍コンテンツを、メディアドゥが業務提携する電子図書館プラットフォーム世界最大手のOverDriveに提供する契約を締結した。
http://www.mediado.jp/corporate/1278/

凸版印刷の2015年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比27%増の82億円。売上高は微減で7208億円。営業利益は64%増142億円。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLZO9388977011112015DTC000

講談社で「週刊現代」「ペントハウス」の編集長をつとめた名田屋昭二と映画監督の内藤誠は同級生だったのか。坪内祐三が「司会」の役割を果たす鼎談集「編集ばか」が彩流社から刊行された。社内では伝説となっている「ニューヨーク旅行」をはじめ、名田屋の「女性関係」に触れれば面白いのだけれど、そういうことは語っていないようだ。
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-7041-6.html

福井県立図書館が人口1人当たりの貸出冊数が1・01冊で、都道府県立図書館として3年連続全国1位となった。2位の香川は0・88冊、3位の徳島は0・75冊。
http://www.sankei.com/region/news/151112/rgn1511120014-n1.html

イーブックイニシアティブジャパンは、11月11日に「萌え系」のオリジナル描き下ろし作品で構成された無料の「みんなのコミック」(略称:「みんコミ」)をアプリ版とweb版でリリースした。描き下ろし25作品を、平日毎日更新で発表、連載していく。
「みんコミ」はまた「読者と一緒に作品を育てる」ことをコンセプトに掲げ、作品を読んだ読者が「オススメする」「シェア」ボタンを押すことによって、25名の連載マンガ家のクラスが変動する。クラスは「ひよこ」「うさぎ」「いるか」「らいおん」「ドラゴン」があり、各マンガ家の所属しているクラスが上がると、上がったマンガ家とその作品を応援している読者とをつなぐイベントを予定しているとのことだ。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/news/detail/?news_id=28493

◎アマゾンがシアトルにオープンしたリアル書店Amazon Books」についてフォーブスは次のように書く。
「近年のアマゾンにおいて、もはや本はメインの商材ではない。同社の2015年の会計報告によると、収益を生んでいるのはクラウドサービスである。巨大なデータセンターを世界各地に持つアマゾンは、多くの企業にITインフラストラクチャのサービスを提供している。
クライアントである他の小売企業に向けて、ネットとリアルの融合を実演して見せるショールーム。それがシアトルの小さな書店Amazon Booksの正体なのではないか」
http://forbesjapan.com/translation/post_10142.html

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3)【深夜の誌人語録】

誰も反対しないような提案こそ失敗の温床であると考えるべきである。