【文徒】2016年(平成28)2月17日(第4巻30号・通巻717号)

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1)【記事】KADOKAWAの「ファミ通DS+Wii」が印刷部数公開から脱落!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】KADOKAWAの「ファミ通DS+Wii」が印刷部数公開から脱落!

日本雑誌協会が発表している印刷証明付発行部数だが、ここから脱落する雑誌も出始めている。ネットで話題になっているのは、KADOKAWAだ。
「今四半期では『ファミ通DS+Wii』が非公開化してしまった。同誌は長らく任天堂の家庭用ゲーム機・携帯ゲーム機向けの情報誌として展開しており、部数減退著しいものの、昨今では『スプラトゥーン』の盛況ぶりもあり、わずかながら復調の兆しを見せていた。ところが創刊から200号となる2016年1月21日売りの3月号で、月刊誌としての発行を終了し、以後は不定期刊行となるとの情報が寄せられている。
現時点で公式サイト・関係者のソーシャルメディアアカウントなどにその言及は無く、また広告出稿関連サイトでも次号の出稿スケジュールが確認できるため(【AD MediaGuide ファミ通DS+Wii】)、確定情報では無い。しかし該当する3月号の体裁(本誌は34ページ、別冊付録が50ページ)などもあり、同誌の状況は色々と察することができる。」
電撃PlayStation」も半年前に部数公開から脱落している。
「…『電撃PlayStation』は現在もなお紙媒体として新刊が定期的に発行されており、休刊や電子化による非公開化では無い。
電撃PlayStation』と似たような現象は以前『ニュータイプ』でも起きており、それも合わせ発売元であるKADOKAWAの方針の可能性は否定できない。株式公開企業や大型企業による法的な公開義務はないものの、すでに公開していた数字を非公開化する施策は、情報の非開示化との姿勢としては残念と評せざるを得ない」
http://www.garbagenews.net/archives/2182884.html
確かにゲーム・アニメ情報誌の2015年10月〜12月期に「ファミ通DS+Wii」の名前はなく、そのデータはない。2015年7月〜9月期までは名前もデータもあるのだが。
2015年10月〜12月期の中で最も部数が少ないのは「声優アニメディア」の1万3167部だが、2015年7月〜9月期には1万5200部あり、「ファミ通DS+Wii」はそれより少ない1万3334部だった。
http://www.j-magazine.or.jp/magadata/index.php?module=list&action=list&cat1cd=3&cat3cd=44&period_cd=31
ちなみにKADOKAWA印刷証明付発行部数を公表している雑誌は「毎日が発見」、「レタスクラブ」、「関西」「東京」「東海」「横浜」「福岡」の「ウォーカー」、「週刊ザテレビジョン」「月刊ザテレビジョン」に過ぎない。
http://www.j-magazine.or.jp/magadata/index.php?module=list&action=list&cat1cd=2&cat3cd=30&period_cd=31
現在、出版業界で大手4社となれば、講談社小学館集英社KADOKAWAということになろうが、他の三社はコミック誌印刷証明付発行部数を公開しているが、KADOKAWAだけは非公開である。こういうところがKADOKAWAのもうひとつ信用できないところである。角川歴彦あたりがどんなに偉そうな未来ヴィジョンを宣っても鴻毛より軽く聞こえてしまう所以である。

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2)【本日の一行情報】

◎このブログは閉店した友朋堂書店にオマージュを捧げているのだけれど、そんななかに出て来る次の一文は「本屋」の本質を言い当てている。
「思うに良い本屋とは下手に主張し過ぎずに、それでいてふとした発見をもたらしてくれるところなのだと思う」
http://liberal-arts-toshitiru.hatenablog.jp/entry/2016/02/14/%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%B0%E3%81%AE%E6%9C%AC%E5%B1%8B%E3%80%8C%E5%8F%8B%E6%9C%8B%E5%A0%82%E3%80%8D%E3%81%AE%E9%96%89%E5%BA%97%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%A6%E5%9B%9E%E9%A1%A7
雑誌もまた「下手に主張し過ぎずに、それでいてふとした発見をもたらしてくれる」メディアだったんだけれどなあ。主張なんかまるでなく、どんな発見ももたらさないような類の雑誌は、そもそも商品として失格である。

◎「愛しの油揚げ おかずにつまみに簡単レシピ80」の版元はどこでしょうか?主婦の友社でも、オレンジページでもありません。何と文藝春秋なのです。「油揚げ」に着目したところが鋭い。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163904115
文藝春秋は出版のウィングを広げようとしている。「クックパッドのこの裏ワザがすごい!」も文藝春秋であった。

◎学研プラスは、4月下旬に、「おそ松さん」のふんどし型手ぬぐい全6種を発売する。税別で3000円也。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000321.000007512.html
「ふんどし型手ぬぐい」を企画することも出版社の仕事である。前向きに解釈するのであれば「編集力」を出版商品以外の企画に投下したのだろう。

野比家に電話をかけられる!「ドラえもん」の住む野比家である。「コロコロコミック」3月号を買うと、野比家の電話番号とサービスで使用できる「秘密のワード」が掲載されているそうだ。
http://natalie.mu/comic/news/176032

小学館の「マンガワン」が300万ダウンロードを突破したことを報告する女社長がイイネ。テレビCMのハナシだ。
https://www.youtube.com/watch?v=nST3fi9B6oE
http://manga-one.com/#newsdetail7

講談社の「マガジンポケット」は100万ダウンロードを突破。感謝記念キャンペーンを実施している。キャンペーン対象作品の “1〜30話までが完全無料” で読めるそうだ。
http://hagane-ya.net/archives/5255

◎あゆみBOOKS小石川店をはじめ、大盛堂書店(渋谷区)、双子のライオン堂(港区)、三省堂書神保町本店(千代田区)、などで「作家と書店員の公開書簡フェア」が開催されている。もともとは、あゆみBOOKS小石川店の有地和毅が昨年、ツイッターに「書店を楽しい場所だと知ってもらいたい」「作家と書店で何か共謀できないか」と投稿したところ、作家の絲山秋子が「手紙はどうか」と応じたことから始まった企画であるという。
http://bunkyo.keizai.biz/headline/264/
https://twitter.com/hashtag/%E5%85%AC%E9%96%8B%E6%9B%B8%E7%B0%A1%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2?src=hash

紀伊國屋書店新宿本店で福音館書店「全国79店舗の書店員さんが選んだ わたしたちのとっておき絵本フェア」が開催されている。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20160214190516.html

◎「宮城県多賀城市の市立図書館における管理者を選定する市の協議会の元会長が、指定管理者として選定されCCCに「天下り」しているのではないかと指摘した「Business Journal」が、この元会長を直撃している。
「--図書館協議会は館長の諮問機関であり、図書館の方向性を議論して決めて行く権限を持っていたわけですよね。常識的に考えて、その会長が指定管理者となったCCCに再就職するということは、スキャンダラスな話だと思います。
照井 なるほど。今初めて、天下りという言葉を伺いました。私には、そういう意識はまったくなく、多賀城小学校を退職して2年目に市長さんから、図書館について十分理解しているということで「手を貸してほしい」と声をかけていただきました」
http://biz-journal.jp/2016/02/post_13802.html

◎「SmartNews」は大分合同新聞沖縄タイムス河北新報京都新聞神戸新聞佐賀新聞千葉日報東奥日報福井新聞福島民友新聞琉球新報という地方紙11紙のチャンネルを同時にオープンした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000007945.html

文藝春秋は「週刊文春」に連載されている伊藤理佐のコミックエッセイ「おんなの窓 そうなの独身、まさかの結婚篇」の単行本1〜2巻をまとめた文庫版と単行本版3〜5巻の電子書籍を発売開始した。
http://www.ca-girlstalk.jp/news_topic/56491
なかなか頭を使っているよね。

◎4月4日にスタートするNHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」は、創業期の「暮しの手帖」が舞台だ。花森安治をモデルにした編集長を唐沢寿明が演じる。
http://www.oricon.co.jp/news/2066861/full/

◎イギリスの新聞「インディペンデント」(愛称「インディー」)が3月末で紙版を廃止し、電子版のみとなることは既に報告しているが、イギリス在住の小林恭子は「東洋経済オンライン」で次のように書いている。
「インディーの例は、他紙にとっても他人事ではない。紙版の廃止という問題は、『ありうるか』ではなく、『いつか』という次元に入ったともいえるだろう」
http://toyokeizai.net/articles/-/105017

◎オプティムは、セブン‐イレブン(全国18,316店舗)に設置されているマルチコピー機で、雑誌読み放題サービス「タブホ」の販売を開始した。マルチコピー機のメニュー画面より、「プリペイドサービス」を選択し、「電子マネー・音楽・動画」メニューを選択すると、「タブホ -雑誌読み放題-」メニューが出て来る。表示された4種類のラインナップより、購入したい商品を選択して、印刷された払込票をレジで清算すると、プリペイド番号が印字されたチケットが渡されるという仕組だ。
http://www.optim.co.jp/news-detail/19337

◎猪谷千香が「ハフィントンポスト日本版」で次のように書いている。
「かつて、読者からの声は、編集部に電話やハガキでひっそりと寄せられた。その声は小さく、か細いものにしか思えなかったかもしれない。しかし、今では、SNSAmazonのレビューに載り、世界中に発信され、読者以外の多くの人たちにも拡散し、思わぬボリュームとなって返ってくる。今回の『クウネル・ショック』でそれが可視化されたことは、これまでは一方通行に情報を発信してきた既存メディアの人たちには衝撃だったかもしれない。だが、裏を返せば、良い情報やニュースも読者を超えて、世界中に広がる可能性があるということでもある。そのためにも、まずは読者と丁寧に向き合っていく姿勢が大事なのだと思う」
http://www.huffingtonpost.jp/chika-igaya/kunel_b_9229968.html
雑誌は、どのようにして水平軸のコミュニケーションに向き合うべきなのかということだろう。オレは淀川版「クウネル」を面白く読んだけどね。何より昔のまんまではジリ貧を辿るだけだしさ。

小泉今日子を大特集したカルチャー誌「MEKURU」(ギャンビット)が即日完売し、重版が決定したそうだ。デイリースポーツは次のように書いている。
「発行・発売元はキャスティング(主に広告)会社で、『MEKURU』を作るのは、フリーランスの編集長1人、部長1人、編集者1人、出版プロデューサー1人、販売担当1人のわずか5人」
http://www.daily.co.jp/gossip/2016/02/15/0008806062.shtml

◎太洋社帳合の「ブックランドあいむ」(豊橋市)が2月14日に閉店した。2月15日付文徒で「よもやと思ったが太洋社自主廃業の煽りをうけて、うちの近所の本屋さんも閉店してた…。これは、もしかして、大変なことになっているのか…? 」というツイートを紹介したが、これは「ブックランドあいむ」のことであったようだ。
https://t.co/AvG8jVaZlY

博報堂DYホールディングスの2016年第3四半期決算。営業利益、経常利益ともに過去最高となっている。
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/ir/pdf/%E5%8D%9A%E5%A0%B1%E5%A0%82%EF%BC%A4%EF%BC%B9%E5%B9%B3%E6%88%9028%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F%E7%AC%AC3%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1.pdf

電通出版ビジネス・プロデュース局 F&Bソリューション部の島田寛部長の発言。
アメリカの『Kinfolk』をはじめ、雑誌そのものがコミュニティーを体現する傾向にはありますね。単に読むコンテンツとして消費されるだけでなく、雑誌の周りにいる読者たちが接触し合って一つの集合体をつくり上げている」
http://dentsu-ho.com/articles/3682
オレ、フェイスブックで「誕生日おめでとう」と書くの忘れてた、ゴメン。

アサツーディ・ケイの2015年12月期決算。微減収増益だ。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2016/02/c3f2a63945013f8d1d86bd8afdeb434e1.pdf

◎「日経デュアル」が大恥をかいた。「宮崎謙介議員×駒崎弘樹 男性育休は多様であるべし」は「上」で終了した。曰く―。
「※本記事は、取材当時(2016年1月25日)の内容です。
※※宮崎謙介氏への駒崎弘樹氏インタビューを前後編で配信する予定でしたが、宮崎氏の女性問題と議員辞職発表を受けて、インタビュー後編は公開しないことと致しました。ご了承ください。(2016年2月12日 日経DUAL編集部)」
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=7905

◎DigiBookが企画・開発した「NHKプロフェッショナル私の流儀」アプリは、公開から1ヶ月で累計80万ダウンロードを突破した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000002154.html

電通は12 月期連結決算(IFRS)を発表した。高度成長を遂げているといってよい。
■財務報告ベースの業績(国内事業 2015 年 4〜12 月、海外事業 2015 年 1〜12 月)
収益 7,064 億 69 百万円
売上総利益 6,694 億 89 百万円
調整後営業利益 1,333 億 28 百万円
営業利益 1,072 億 65 百万円
当期利益(親会社の所有者に帰属) 726 億 53 百万円
■暦年ベースの業績(国内事業・海外事業ともに 2015 年 1〜12 月)
収益 8,185 億 66 百万円(前年同期比 12.8%増)
売上総利益 7,619 億 96 百万円(同 12.6%増)
調整後営業利益 1,604 億 38 百万円(同 20.3%増)
営業利益 1,282 億 12 百万円(同 6.8%減)
当期利益(親会社の所有者に帰属) 830 億 90 百万円(同 2.1%増)
調整後当期利益(親会社の所有者に帰属) 1,133 億 88 百万円(同 27.1%増)
電通単体での年暦年ベースの業績は、売上高が1兆5,601億36百万円(前年同期比1.4%増)、売上総利益は2,266億22百万円(同0.7%増)、営業利益は561億33百万円(同3.9%増)、経常利益は828億26百万円(同6.9%増)、当期純利益は609億3百万円(同8.5%減)。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016017-0215.pdf

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3)【深夜の誌人語録】

正しくあろうとすればするほど、「悪」を暴走させるものである。