【文徒】2018年(平成30)11月27日(第6巻222号・通巻1396号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】日販の2018年度中間決算
2)【記事】トーハンの2018年度中間決算
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】日販の2018年度中間決算

日販グループ(連結子会社数27社)の2018年度中間期の売上高は2,640億円と6.6%減。雑誌、レンタル、ゲームを中心に減少し、185億円の減収となった。
出版流通業は、売上高2,469億円(対前年 7.0%減)、経常利益5億円(対前年 41.9%減)、4億円の減益となった。
減益の要因のひとつであるMPDは53億円の減収となり、業量減少に伴う物流効率の悪化や、物流設備の移転等の戦略投資の影響もあり経常赤字となった。
日販単体は145億円の減収となった。物流拠点統合を中心とした損益構造の改革を進めているが、赤字幅は圧縮されたものの依然として営業赤字が続いている。
商品別の売上高は、書籍が56億円の減収(5.2%減)、雑誌が77億円の減収(10.3%減)、開発品が7億円の減収(5.2%減)。書籍部門は損益構造の改革を進め、物流拠点統合や返品荷造費の削減により営業赤字幅を圧縮した。雑誌部門も書籍部門同様、固定費削減を進めるも、大幅な減収に加え、運賃単価値上げの影響で減益となった。特にCVSルートは輸配送効率の悪化が顕著になっている。
小売業は、売上高317億円(対前年 1.3%減)、11百万円の経常赤字、1億円の減益となった。本部機能の効率化による損益構造の改善に加えて、前年度に売場の全面改装を行った店舗、具・雑貨を大幅に拡大した店舗が利益に貢献した。
一方で、市場のダウントレンドにより既存店は大きく減益となり、また、今年度に改装を行った店舗の投資費用、改装のための一時閉店も影響した。
上半期のグループ書店の新規出店は3店舗、閉店は9店舗、2018年9月末時点の店舗数は265店舗。下半期には4店舗の出店を予定している。
また2018年9月1日付で㈱リブロ、万田商事㈱(オリオン書房)、㈱あゆみBooksの3社を合併し、新会社㈱リブロプラスを設立した。新会社において拠点を集約し一体運営することで、書店事業の未来に繋がる店舗づくりに向けたリノベーションを進める。
営業利益は5億円(対前年58.5%減)と8億円の減益。経常利益は6億円(対前年56.5%減)と同じく8億円の減益となり、営業利益、経常利益ともに過去10年間で最も低い水準となった。
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/kessan_20181121.pdf
日販にとってトーハンとの物流協業は待ったなしの課題なのである。日販はトーハンと物流の協業を進めながら、早急に経営のダウンサイジングに取り組まなければ、想像するだに恐ろしい事態が出版業界を直撃することになるはずだ。

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2)【記事】トーハンの2018年度中間決算

トーハン単体の売上高は前年比90.8%の1831億6200万円。2018年2月に星光堂との業務提携が終了したため、前年度売上から星光堂取引分を除いて比較した実質的な売上前年比は、95.6%となる。
商品種別の売上前年比は、書籍97.0%、雑誌92.2%、コミック93.2%となった。マルチメディア商品(MM)の売上前年比は72.1%だが、星光堂の要因を除くと前年比103.8%となる。
課題である返品率については、送品部数の適正化に取り組み総合で43.3%(前年差▲0.4ポイント)となった。書籍45.2%(▲0.8ポイント)、雑誌49.9%(▲1.6ポイント)、コミック32.4%(▲2.2ポイント)に対し、MMの返品率は16.4%(+2.4ポイント)となったものの、星光堂の要因を除いたMM返品率前年差は▲2.6ポイント、総合返品率の実質的な前年差も▲1.7ポイントとなる。
売上総利益は228億1900万円、前年比99.2%となったが、運賃や業務委託料の上昇により物流経費が増加したため、営業利益は20億8500万円、前年比86.3%。経常利益は9億7500万円、前年比61.3%となった。
特別利益には固定資産売却益700万円を計上し、特別損失には固定資産除却損400万円、関係会社株式評価損2900万円を計上した結果、税引前中間純利益は9億4700万円、前年比72.7%となった。
法人税等の減少により、中間純利益は6億8700万円、前年比75.8%。
トーハングループ(連結子会社数16社)の売上高は1917億6600万円、前年比91.7%。売上総利益は290億2200万円、前年比98.5%。販売費及び一般管理費は273億7100万円、前年比99.4%。営業利益は16億5000万円、前年比84.9%、経常利益は5億5700万円、前年比55.2%。税金等調整前中間純利益は4億7800万円、前年比67.3%、親会社株主に帰属する中間純利益は8600万円、前年比32.1%となり、減収減益の中間決算となった。

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3)【本日の一行情報】

◎アムタスが運営する電子コミック配信サービス「めちゃコミック」(めちゃコミ)は双葉社と協業して「めちゃコミックfufu」を12月25日(火)からローソン限定で発売する。「めちゃコミックfufu」発売と同時に、全ての掲載作品は「めちゃコミック」で独占先行配信し、掲載作品全ての続話を他の電子書店よりも早く「めちゃコミック」にて独占先行配信する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000220.000022277.html

舟橋聖一学賞は、飯嶋和一の小説「星夜航行」(新潮社)に決まった。
https://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20181120-OYO1T50003.html
「星夜航行」は上下二巻本である。主人公の沢瀬甚五郎は実在の人物だそうだ。「徳川家の『逆臣の遺児』として不遇の星のもとに生まれながら、戦国から天下統一、そして南蛮交易、『朝鮮出兵』(禄・慶長の役と続く波乱の時代を、三河から堺、九州、ルソン、朝鮮と、数奇な運命とともに生き抜いた」(姜尚中)という。
https://www.shinchosha.co.jp/book/351941/
https://www.shinchosha.co.jp/book/351942/
飯嶋は「始祖鳥記」(小学館庫)で中山義秀学賞、「出星前夜」(小学館庫)で大佛次郎賞、「狗賓童子の島」(小学館庫)司馬遼太郎賞を受賞している実力派である。飯島は今や歴史小説の大家になりつつあるが、ボクサーを描いた「汝ふたたび故郷へ帰れず」がオレは好きだ。

河北新報社は11月23日に入浴剤新聞「いい湯新報」を配布した。「いい湯新報」をお風呂のお湯の中に入れ上からシャワーをかけると森の香りがさわやかな泡風呂になる!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000027334.html
信じられない?じゃあ、これ見てよ。
https://www.youtube.com/watch?v=Y9z_MKq1iVk

◎「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」がテレビアニメとして再編集され、2019年4月からNHK総合で放送されることになった。安彦ガンダムである。
https://mantan-web.jp/article/20181121dog00m200006000c.html
http://www6.nhk.or.jp/anime/topics/detail.html?i=5194

◎大船に書店「ポルベニールブックストア」がオープンする。店主の金野典彦は広告代理店、技術系出版社の営業を経験してきた。ポルベニールはラテン語で未来を意味する。
「並べるのは、金野さんが選んだ人や社会系の書籍が中心。『売れている本が必ずしもその人にとって本当に必要な本ではないかもしれない』と、店のコンセプトも『みんなのための本はない。あなたのための本がある』にした」(「鎌倉経済新聞」)
https://kamakura.keizai.biz/headline/300/

青森駅ビル・ラビナ4階に12月上旬、岩手県の「さわや書店」が出店する。9月末まで宮脇書店が営業していた場所だ。
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/117195

◎ヤクルトの二軍を率いる高津臣吾の光社新書「二軍監督の仕事 育てるためなら負けてもいい」が発売5日で増刷を決めた。初版1万部、2刷5000部。これビジネス書として認知されれば、もっと売れるんじゃないかな。サブタイトルもビジネス書っぽいでしょ。高津は日本プロ野球(NPB)、メジャーリーグ(MLB)、韓国プロ野球台湾プロ野球を経験し、独立リーグ・新潟アルビレックスBCでは選手兼任監督としてチームを日本一に導いたというキャリアが魅力的だよね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000021468.html

パピレスが運営する電子書籍サイト「Renta!」では、サービス開始23周年を記念した「パピレス23周年記念 Renta!大感謝祭」を36時間限定で開催した。Renta!で取り扱っている20万点以上を対象に、レンタル額の23%を即時還元する大規模キャンペーンだった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000022475.html
パピレスの上期決算は増収増益だ。
https://www.mag2.com/p/money/579042

藤沢本町駅から歩5分の有隣堂レアージュ白旗店では毎月、絵本の「音読」講座を開催している。
https://www.townnews.co.jp/0601/2018/11/23/458966.html

◎「新潮45」に連載されていたヤマザキマリとり・みきのマンガ「プリニウス」が「新潮」1月号で再開されることになった。マンガの連載は「新潮」114年の歴史で初めてのことだそうだ。
https://www.sankei.com/entertainments/news/181122/ent1811220003-n1.html
「新潮」の矢野優編集長は11月14日、京都の八字屋(行けば私も必ず寄る)にいしいしんじを連れて現れたようである。

◎マガジンハウスは、「Rethink 夫婦の時間」プロジェクトの一環として夫婦が向き合って心地よく会話ができる距離を追及したレストラン「TABLE898」を、いい夫婦の日(11月22日)から12月2日(日)までの期間限定で代々木上原にオープンしている。パリのモダンフレンチ店舗「Restaurant A.T」のオーナーシェフを務める田中淳が開発したメニューを提供する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000030125.html
https://ananweb.jp/anan/204607/

◎悪魔が化身した大手出版社の書店営業マンが主人公のギャグマンガ「教えて!サバトさん」の連載が白泉社の「ヤングアニマル」で始まった。
https://natalie.mu/comic/news/309068

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載されている科学漫画「Dr.STONE」がアニメ化されることになった。
https://ddnavi.com/news/501196/a/

集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」で連載中の中国人マンガ家・第年秒の「群青のマグメル」がアニメ化され、2019年4月に放送開始される。
https://mantan-web.jp/article/20181122dog00m200020000c.html

千趣会の通販事業ベルメゾンは、集英社が発行する少女マンガ誌「りぼん」で1970年代半ば~80年代に活躍した陸奥A子、萩岩睦美池野恋、岡田あ~みんという4人のマンガ家による当時のふろくや作品のイラストとコラボした商品の第2弾として、新たに雑貨、具等6アイテムを11月26日(月)より発売開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000013288.html

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4)【深夜の誌人語録】

成功によって前進するように、失敗しても前進するようにしなければならない。