【文徒】2015年(平成27)12月25日(第3巻236号・通巻686号)

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1)【記事】アマゾンの再販破りは確信犯?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】アマゾンの再販破りは確信犯?

アマゾンによる法定再販商品たる出版物の値引販売。筑摩書房が参加したといっても、筑摩は書店でも同様な取り組みを始めているので、実質、アマゾンの呼びかけに応じた出版社はなかったということだ。6月の第一回目には5社が応じたことを考えれば、アマゾンは一敗地にまみれたことになろう。12月24日付朝日新聞が書いている。
「『今回は参加できない』前回参加した出版社の社長は11月にアマゾンから誘いを受け、そう漏らした。前回の販売初日、大手書店から『どういうことか説明に来て欲しい』と電話がかかってきた。書店役員らが居並ぶ部屋で、経緯説明と謝罪を求められ、他の一般書店からも本が続々と返本されてきた。『まさかここまでたたかれるとは思わなかった』」
しかし、これで諦めるアマゾンではあるまい。朝日新聞も次のように書くのを忘れてはいない。
「10月、東京・目黒のアマゾンジャパン本社ビルに、大手・中堅出版社の社長と営業担当者らが集められ、2週にわたって計約40社が“懇談会”に参加した。
『出版がこれほど低落した原因は?』『アマゾンに期待することは?』
アマゾン側から立て続けに質問され、参加した社長らは、渡されたスケッチブックに『コンテンツの魅力を増すのを怠った』『アマゾンに長く本を置いてもらいたい』などと書き込んで見せた」
http://www.asahi.com/articles/ASHDD6H53HDDUCVL01W.html
日本出版者協議会はアマゾンのStudentプログラムによるポイント付与は再販契約違反であるとし、このプログラムのポイント付与対象から日本出版者協議会に加盟する出版社の商品に関する除外要請に対して、アマゾンが無視しているのも確信犯のなせるワザなのだろう。アマゾンジャパンの村井良二バイスプレジデント朝日新聞のインタビューに答えて次のように発言している。
「…再販制度によって市場の競争原理が働かず、システム的に疲弊している。出版業界に活気がなくなっている原因ではないか」
http://www.asahi.com/articles/ASHDR7J61HD7UCVL032.html
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-2092.html

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2)【本日の一行情報】

◎フィリピンのカジノ事業に関する朝日新聞の記事で名誉を毀損されたとして、パチンコメーカーの「ユニバーサルエンターテインメント」が同紙に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁の判決は、朝日新聞に330万円の支払いを命じた。
http://www.sankei.com/affairs/news/151221/afr1512210019-n1.html

◎アートネイチャーは、12月3日(木)、集英社の女性ファッション誌「エクラ」とレディースファッションウィッグの専門店「ジュリア・オージェ(JO)」とのコラボイベント「クリスマスビューティフェスタ2015」を開催 した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000000702.html

集英社のビューティ誌「マキア」の付録は、資生堂の高級美容液「リバイタル グラナス セラム」9グラムと、うるおい3Dマスクカバー だ。
https://maquia.hpplus.jp/model_editor/account/yuda/GBd2WEA/QlIQlyU

学研ホールディングスとロンドンに本社を置くピアソン・ジャパンは、教育コンテンツの販売や新たな教育サービス事業の構築に向けて業務提携契約を締結することになった。
http://ghd.gakken.co.jp/news/hd/201512/20151222.html

◎警視庁捜査一課の記者クラブからフジテレビの記者が消えたという。福生の「顔はぎ事件」の重要参考人である、ニューハーフ女性の同居人の顔出し独占インタビューを12月7日の「とくダネ!」「グッディ!」で放送してしまったことが警視庁の怒りを買って 出禁となったと「デイリーニュースオンライン」は書いている。しかし、「警視庁捜査一課の記者クラブ」なんてものは存在しない。警視庁記者クラブのフジの一課担当が取材拒否(一課の部屋へ出入り禁止など)を受けているということだろう。この辺のツメの甘さがネットの弱さだろうが、素早さやゲリラ性は強さということになる。
http://dailynewsonline.jp/article/1060787/?page=1

博報堂DYメディアパートナーズ が発表した「アスリートイメージ評価調査」によれば「2015年活躍した」男性アスリート1位は 五郎丸歩、2位:羽生結弦フィギュアスケート)、3位:錦織圭(テニス)、4位:内村航平(体操)、5位:山田哲人(野球) 。女性は1位:浅田真央フィギュアスケート)、2位:吉田沙保里レスリング)、3位:イ・ボミ(ゴルフ)、4位:石川佳純(卓球)と宮原知子フィギュアスケート) 。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/report/20151221_11798.html

セブン&アイ・ホールディングス 傘下のイトーヨーカドーGoogleの新サービス「来店コンバージョン」を導入 したところ、スマートフォンで検索した人の来店割合は10.4%、PCからの来店は7.2% であり、モバイル広告による1人あたりの来店単価はPCより約40% 低いことがわかったそうだ。当然、広告への出稿バランスに影響を与えよう。
https://netshop.impress.co.jp/node/2444

◎「Fujisan.co.jp」上で提供するデジタル雑誌が読めるサービス「マイライブラリ」の年間利用者数(2015年)が300万人を突破 した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000003823.html

トーハンは、白泉社の「第8回MOE絵本屋さん大賞2015」の発表にあわせて、2015年12月22日より全国約1,200書店で「MOE絵本屋さん大賞2015フェア」を展開 している。
http://www.tohan.jp/news/20151222_654.html

KADOKAWAの「月刊少年エース」「ヤングエース」「月刊ガンダムエース」「月刊コンプエース」「コンプティーク」の情報を扱うポータルサイト「webエース」が12月22日にオープンしたが、これにあわせてWebマンガ誌「ヤングエースUP」が創刊された。
http://natalie.mu/comic/news/170195

KADOKAWAの「ファミ通」は、2015年年間の人気ゲームアプリランキング を発表した。1位「パズル&ドラゴンズ」、2位「LINE:ディズニー ツムツム」 、3位「モンスターストライク」 、4位「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002011.000007006.html

双葉社は、無料マンガアプリ「マンガリーフ」をリリースした。「クレヨンしんちゃん」(臼井儀人)、「かりあげクン」(植田まさし)、 「奴隷区 僕と23人の奴隷」(オオイシヒロト・岡田伸一)、「ドクムシ」(合田蛍冬)、「この世界の片隅に」(こうの史代)、「マエストロ」(さそうあきら)、 「BARレモン・ハート」(古谷三敏)、「ひとひら」(桐原いづみ)など、双葉社の擁する「漫画アクション」「月刊アクション」「まんがタウン」「Jourすてきな主婦たち」などのマンガ誌に連載された人気作品が読める。
http://www.futabasha.co.jp/news/index.html#mangaleaf

◎小澤しぇいんのフォトブック「おざわんだーらんど」(祥伝社)が1月29日に発売される。「今まで皆んなが見た事ない私が詰まった一冊」だそうだ。
https://twitter.com/ozw_shane/status/678953110618791936
スペイン系フィリピン×日本のハーフである。「サイン本お渡し&チェキ握手会」が1月30日にパルコブックセンター渋谷店特設会場で開催される。一冊券を買うとサイン本(1冊)手渡し+握手1回で、二冊券を買うとサイン本(2冊)手渡し+握手1回+2ショットチェキ1枚なんだそうだ。
http://www.libro.jp/blog/pbc-shibuya/event/ozawonderland.php

小学館は、本にまつわる様々な情報を発信する、本好きのためのキュレーションサイト「P+D MAGAZINE」を 12 月 24 日にオープンした。小学館の本だけにこだわらず、「人を知る」「作品を知る」「背景を知る」「トレンドを知る」、のカテゴリーのほか、毎日書評を更新する「今日の一冊」のコーナーなどの内容で構成されている。
http://pdmagazine.jp/

大日本印刷の「DNP家計簿アプリ レシーピ!」が200万ダウンロードを突破したそうだ。
http://www.dnp.co.jp/news/10118101_2482.html

古舘伊知郎テレビ朝日報道ステーション」を降板することになった。
http://mainichi.jp/articles/20151224/k00/00e/040/163000c

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3)【深夜の誌人語録】

先手は選択肢ではなく条件なのである。