【文徒】2015年(平成27)12月24日(第3巻235号・通巻685号)

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1)【記事】読売新聞の社説「軽減税率 3党合意にも違反していない」に批判殺到!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】読売新聞の社説「軽減税率 3党合意にも違反していない」に批判殺到!

12月20日付読売新聞の社説「軽減税率 3党合意にも違反していない」は、こう書く。
「見過ごせないのは、枝野氏が新聞への軽減税率適用に関して、『新聞よりも水道や電気が必需品だ』と発言していることだ。
民主主義や活字文化を支える重要な公共財である新聞や出版物に対する理解を欠いていると言わざるを得ない」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20151219-OYT1T50170.html
こうした読売新聞の物言いを見過ごせなかったのは、私だけではなかったようだ。中公新書ラクレ から「防衛破綻──『ガラパゴス化』する自衛隊装備」を出している軍事ジャーナリストの清谷信一 は自らのブログで「軽減税率で安倍政権に魂を売り渡した読売新聞の強弁 白紙でも売れると自慢する新聞が活字文化の担い手?」をエントリして、次のような逸話を暴露している。
「その昔、読売新聞の下請けのプロダクションでサラリーマンをやっていた頃の話でした。
企画広告でデーブ・スペクター氏を起用する案を提案しました。ところがこれがボツになりました。
それは彼が、著書で読売新聞の販売部長が『ウチの新聞は白紙でも売ってみせる』と発言した話を紹介していたからです。
どうも、本当のことを書いちゃったのがまずかったらしい。
白紙でも売れるような新聞が『民主主義と活字の文化の担い手』とはお笑い種です」
http://kiyotani.at.webry.info/201512/article_9.html
「THE PAGE」にはこうある。
「民主主義や活字文化が、軽減税率の対象になるのかという点については、様々な意見がありますが、それ以前に、読売の社説には一貫性がなく、説得力に欠ける状況となっています。その理由は、同じ活字文化でありながら,夕刊紙など宅配されていない媒体や、週1回しか配達されない新聞(赤旗の日曜版など)については対象外となっているからです。
軽減税率は、どの品目を対象とするのかで、その業界の利益が大きく変わってきます。このため、軽減税率を導入してしまうとロビー活動が過剰になり、政治利権になりかねないとの指摘もありました。
同じ新聞でありながら、適用範囲に差が出ているというのは、まさにロビー活動の結果であり、この部分については、識者の懸念は当たっていたことになります。読売は新聞が軽減税率の対象となることの正当性を主張したかったようですが、勢い余って空回りしてしまったようです 」
http://thepage.jp/detail/20151222-00000001-wordleaf?utm_expid=90592221-48.hwO5r5EoTSCBuGKgIeW2Fg.0&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2
ブログ「酔っ払いのうわごと」は次のような疑問を投げかけている。
「読売新聞は、給付付き税額控除は軽減税率に比べて分かりにくいと言います。しかし、読売新聞を始めとする新聞メディアは、どれくらい給付付き税額控除を説明してきたのでしょうか。新聞メディアが説明していないのですから読者は給付付き税額控除への理解が少ないのは当然だと思います。読売新聞は、給付付き税額控除が周知されると新聞への軽減税率の適用が難しくなると思って報道しないのでしょうか」
このブログは、こうも書いている。まったく同感だ。
「それでも水道料金、ガス料金、電気料金は、軽減税率を適用するべきだと思うのです。新聞や雑誌、書籍に軽減する以前の話ではないのでしょうか。それなのに、そういう論説を新聞で呼(読)んだ事がある人は居るのでしょうか。私は、これが新聞への軽減税率を適用する事への最大の問題だと思うのです」
http://d.hatena.ne.jp/oguogu/20151220/1450631847
池田信夫は、読売新聞は「アベ新聞」であり、もはやジャーナリズムではないと断じている。
「何度も書いているが、新聞は公共財ではない。『大辞林』によれば、公共財とは『不特定多数の個人が共同で享受できる財・サービス。通常、公的機関により提供される。公園・道路・警察など』。公共財には価格をつけることができないので公的に供給されるが、新聞は1部ごとに価格をつけて売れる普通の私的財である。
こんな高校程度の知識もなしに、ナベツネの命令に従って支離滅裂な社説を書く読売の論説委員は、恥ずかしくないか。私はいつも朝日新聞を批判しているが、それは朝日がまだジャーナリズムだと思っているからだ。読売はもはやジャーナリズムではなく、安倍政権に迎合して新聞協会に毎年200億円の口止め料をもらう『アベ新聞』にすぎない 」
http://agora-web.jp/archives/1664629.html
新聞は軽減税率の適用で、再販制、クロスオーナーシップ制とあわせて三つの特権を享受することになる。そんな国って日本以外にあるのだろうか。読売新聞は新聞が「民主主義や活字文化を支える重要な公共財」であると強弁するのであれば、是非とも、この疑問に答えるような報道をしてもらいたいものだ。
https://www.youtube.com/watch?v=3dzzWtBh6cg
今回の件で図らずも新聞はオワコンであることが白日のもとに曝されたように思えてならない。

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2)【本日の一行情報】

◎一気に読んでしまった。蓮池透の「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」(講談社)。1月16日(土曜)13時から「座・高円寺」で、蓮池透鈴木邦男を迎えてのトークイベントが開催される。司会は椎野礼仁。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062199391
http://za-koenji.jp/calendar/index.php?day=20160116&mday=201601

リットーミュージックが 1 月 20 日に「立東舎文庫」を創刊。1975 年に刊行された松本隆のエッセイ集「微熱少年」が創刊ラインナップのなかに入っている。「さよならアメリカ さよならニッポン」と宣言した松本隆を10代の私は支持していた。
http://www.rittor-music.co.jp/news/img/RM_rittorshabunko1221.pdf

◎宝島社から1月12日(火)に「ねこあつめ オフィシャルキャラクターBOOK おっどさんバージョン」が発売されるが、書店で買えるのは「TSUTAYAだけ!」なんだそうだ。
http://top.tsite.jp/news/book01/campaign/26799895/

◎「TSUTAYA八戸ニュータウン店」がジュンク堂の真似をした。河北新報は次のように報じている。
青森県八戸市の複合書店『TSUTAYA(ツタヤ)八戸ニュータウン店』で20日未明、店に泊まって本やDVDを自由に楽しめるイベントが開かれた」
「東日本を中心にツタヤ約80店舗をフランチャイズで展開するVidaway(東京)が、売り場が最も広い八戸店(約2500平方メートル)を会場に企画した」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201512/20151221_23030.html

◎宝島社の女性ファッション誌「InRed」の箕浦ちさ子編集長の発言。
〈他の30代向けファッション誌は「職場」「家庭」といったシチュエーションを意識した企画が多いですが、『InRed』はあくまで自分がメイン。自分が着たい服、自分がしたいおしゃれを一番に考えて取り上げています。とはいえ、読者スナップにはママ読者もお子様と一緒に出てもらったり。色んなおしゃれ30代女子を見せることで、親近感ある誌面作りを意識しています〉
こうした世界観から「大人女子」という言葉が生まれたのだろう。
http://wotopi.jp/archives/31881

◎マンガ「黒子のバスケ」が舞台化される。
http://www.animate.tv/news/details.php?id=1450660093

◎日販とあゆみBooksは、12月19日(土)、あゆみBOOKS荻窪店を「文禄堂荻窪店」と改め、リニューアルオープンした。リニューアルに際して、3輪電気自動車に本棚を搭載したワゴンを導入したそうだ。約400冊の書籍・雑誌を収納することができ、平常時は「ひとつの書棚」として店内に置かれるが、野外イベントなどの人の集まる場所へ出張し、本の販売を行うこともできるという。
http://www.nippan.co.jp/news/bunrokudo_20151221/

セブンイレブンサントリーのビールを300円以上購入すると、「ストレイン」「ファーゴ」などの海外ドラマの第一話が無料で見られる。
https://cam.sej.co.jp/ep/CAPC070.do
海外ドラマではなく、電子書籍でもこういうキャンペーンは可能なはずである。

◎「NEXT MAGAZINE」主幹会社であるハースト婦人画報社の松延秀夫は次のように語っている。
「たとえば『東京のおいしいパン屋さんガイド』なら、Googleマップと連動して位置情報を連動させたり。ファッション誌の好きなコーディネートを”マイページ”としてフォルダに保存できたり。これらは技術的にはすでに可能なことです。また、これまで時として、試験的に紙の雑誌の入稿データを元に、手作業でスマホで読みやすいようにレイアウトを変えていたのを、人口知能でパッと自動的にできるとか。初期投資さえすれば、日本の技術なら低コストで実現ができるのではないでしょうか。こんなデジタルだからできる新しい雑誌を作れれば、新しい読者が生まれると思いませんか。しかも翻訳機能がついていて、各国版も簡単につくれる……ということになれば、日本の雑誌は世界的なコンテンツになりますよね」
http://getnews.jp/archives/1314676
ハーストにしてもコンデナストにしても日本市場においては一誌もABC公査に加わっていないが、このことを問題にする雑誌広告関係者はいないのだろうか。「NEXT MAGAZINE」も結構だが、ハースト婦人画報社のABC公査無視の姿勢こそ問われるべきだと私は考えている。

◎「VICE MAGAZINE」の編集主任を務めるエリス・ジョーンズの声明が紹介されている。
「三人の青年が立ち上げた雑誌としてスタートしたViceは、今や30カ国で展開するグローバルなメディアネットワークになりました。来年にはテレビ局、Vicelandも開局します。
しかし、雑誌はいつもViceの心臓部であり続けてきました。Viceが様々な話題を深く追及していく場の中心にしてきたのは、いつも雑誌でした。Viceが最も重要だと考える話題を取り上げてきたのも、いつも雑誌でした。
Viceには、雑誌としても成長する可能性が大いにあるということは、これを読んで下さっているみなさんなら私と共有して下さっている想いですよね?そこで、全世界で、VICE MAGAZINEを来年の3月からリニューアルすることにしました」
http://thehack.jp/209
原文はコレ。
http://www.vice.com/read/vice-magazine-announces-redesign-402

徳間書店が月刊で刊行していた「ラブベリー」がムックとして復活することになった。
http://www.love-berry.net/
http://www.fashionsnap.com/news/2015-12-21/loveberry-restart/

NTTぷららおよびアイキャストは、両社が運営するスマートTVサービス「ひかりTV」のテレビサービスとビデオサービスにおいて、4Kホラードラマ「伝染る物語 〜KADOKAWA 怪談実話〜」(全6話)を2016年1月24日(日)より提供開始する。
http://www.nttplala.com/information/2015/12/20151221.html

◎〈独走スクープ! アジア医科大学×日本クライン×サヤマ製作所 未完成品で臨床治験…患者の死因を隠蔽か!? 「世界最小最軽量 人工心臓コアハートに実験データ偽装疑惑!」〉の全文が公開されている!
http://www.news-postseven.com/archives/20151221_372095.html

VRを活用しようと考える女性ファッション誌は出て来ないのだろうか。しかし、「少年ジャンプ」が目をつけるのは早い。
http://www.inside-games.jp/article/2015/12/21/94285.html

ブックオフコーポレーションブクログの全株式を取得し、完全子会社化した。
「当社は、ブクログ社が提供するサービスが、当社グループの主力販売商品である書籍の店頭販売事業及び BOL が行う EC サービスとの親和性が非常に高いものと考え、両社が戦略的に連携することにより、インターネットの活用による顧 客利便性の向上や O2O サービスの提供、読書文化発展への寄与等での事業シナジーの創出が見込まれると判断し、ブクログ社を完全子会社化することといたしました。 具体的には、ブクログ社の保有する 700 万超の書籍レビューの当社店舗及び BOL 運営の『BOOKOFF Online』サイトでの有効活用、『BOOKOFF Online』サイトとブクログサイトとの相互送客、当社店舗とブクログサイトでの O2O サービスの 提供、当社運営新刊書店『青山ブックセンター』及び『流水書房』の書店員によるプロフェッショナルレビューの拡充などにより、相互に事業シナジーを生み出せるものと考えております」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1313004
http://booklog.jp/

◎Vivliostyle は日本電子出版協会(JEPA)が主催する第9回電子出版アワードで大賞を獲得した。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20151221_736439.html
ひとつのHTML/CSSソースから印刷 (PDF)・EPUB・Webにマルチ展開できる自動組版システムだ。
http://vivliostyle.com/ja/

◎やまもといちろうの発言。
「でも、アプリでも『Yahoo!アプリ』は圧倒的で、ニュースメディアにおけるYahoo!のシェアって65%くらいあるんです。今はSmartNewsとかGunosyとかいろいろありますけど、騒いでいる割にはシェアはそこまで高くないんですよ。Yahoo!は終わりだと騒いでいるアプリ界隈のほうがむしろバブル状態になってて、みんな赤字だったりします」
http://news.livedoor.com/article/detail/10980121/?p=1

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3)【深夜の誌人語録】

時間に対して主導権を取れないから遅刻するのだ。遅刻は仕事にとって堕落であり、頽廃であり、犯罪である。