【文徒】2018年(平成30)11月5日(第6巻207号・通巻1381号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】出版と軽減税率について考える
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.11.5 Shuppanjin

1)【記事】出版と軽減税率について考える

産経ニュースが10月31日付で「【経済インサイド】書籍の軽減税率適用めぐり出版団体が攻勢に 財務省は反発」を掲載している。
「消費税率の引き上げが来年10月に迫る中、有害図書を除く書籍や雑誌に対して、税率を低く抑える軽減税率の適用を求める出版社団体と、適用に慎重な政府との対立が顕著になってきた」
「具体的には、法曹関係者や大学教授による第三者委員会を立ち上げ、有害図書の基準を作成。軽減税率が適用される書籍には『出版倫理コード』を付与し、各出版社は基準に照らして自主的に倫理コードを付与して出版する。コードを管理する団体として書協など4団体で構成する管理機構を設立する。さらに、出版後に有害図書疑いがある書籍が見つかれば第三者委の審議にかけ、有害図書と判断された場合は標準税率に戻すという」
https://www.sankei.com/premium/news/181031/prm1810310002-n1.html
新聞に軽減税率が適用されることに違和感を唱えた雑誌もあったかに記憶しているが、今度は自らも軽減税率を求める。商売を考えれば軽減税率が適用されたほうが良いだろう。むろん、「『なぜ出版物に軽減税率が必要か?』Q&A」も読んでいる。
https://shuppankoho.jp/faq/taxrate_qa.html
https://shuppankoho.jp/doc/taxrate01.pdf
https://shuppankoho.jp/doc/taxrate02.pdf
しかし、私はどこか腑に落ちないのである。私の心情を少し説明しておくことにしよう。
例えば「2018上半期ベストセラー」を見てみよう。これはトーハンのものだ。
http://www.tohan.jp/bestsellers/upload_pdf/180601bestseller_2018hy.pdf
ここにランキングされている「モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット」や大川隆法の「信仰の法」、「池田大作先生指導集 幸福の花束」に軽減税率が適用されることに納税者からすれば、納得できるのだろうか。もし、こうした出版物に軽減税率が適用されてしまったならば、出版業界は納税者の反発や反感を招くことにはならないのだろうか。少なくとも、この手の書物を生涯にわたって読まなくとも、それが学力や所得の格差に繋がるとは、到底思えないのである。目先の利益に囚われてしまうことで、何か大切なことを忘れてしまってはいないだろうか
佐々木俊尚のツイートは厳しい。
「出版業界が第三者の民間管理団体をつくり、有害図書を区分し、軽減税率適用かどうかを決める。こんな自主検閲は自殺行為だし、きれいな上澄みだけで生きていけると思ってる出版業界は100%間違ってる」
https://twitter.com/sasakitoshinao/status/1058859622067511296
仲俣暁生のツイートも厳しい。
「最悪の展開に。しかも業界側から自己検閲を申し出るとは。政府は突っぱねてほしい。業界4団体は恥を知れ」
https://twitter.com/solar1964/status/1058285152952963073
「公共ガバナンス論」(晃洋書房)の荻野幸太郎も、こうツイートしている。
「図書軽減税率と出版倫理コードの問題だけど、ヘイト本とか、キノコでガンが治る本とかの税率って、どうするんだろうね。
青少年の性規範や暴力衝動等への影響ではなく、税率判断の場合は社会にとって有害性があるかどうかで決めなきゃならないから、その辺、今までとは違った話になってくるよね」
https://twitter.com/ogi_fuji_npo/status/1058060288610643969
これはITアーキテクトの楠正憲のツイートである。
ブロッキングといい軽減税率といい政府による検閲を熱望しているのは出版業界ってディストピア
https://twitter.com/masanork/status/1058517855832965121
「検閲と戦ってきた出版関係者が、不健全図書を政府に差し出し先んじてうまいことやった新聞社を追従する醜態は本好きとして嘆かわしい…」とか、「行政が出版社へ表現の圧力を加えやすくなる、表現の自由の自殺行為的な仕組みだとも思う」といった呟きも投稿されている。
https://twitter.com/uten00/status/1058405817177661441
https://twitter.com/madarame/status/1058350637686022144
ツイッターから、他にも「呟き」を拾ってみよう。
「う~ん、心情的には、というか利害関係者として完全に軽減税率を望むが、客観的には認めたらグチャグチャになるだろうな。本屋で売るのは本だけじゃないし。っていうか、新聞に認めるからこうなる」
https://twitter.com/ObliQ_y/status/1058279166137618432
「これ、出版業界は、軽減税率という目先のエサに安易に食い付いてしまったのでは。政権側はほくそ笑んでるのでは。その『三者委員会』やら『管理機構』に有力者を送り込めば、『有害図書』を好きに決められることに。取り返しのつかないことになる悪寒が」
https://twitter.com/attention_on/status/1058372832927727617
「こういうの見てると、もう既存出版社にコンテンツを依存するのは危険で、新しい枠組みでの、作り手主体の、あらゆる媒体に対応するパブリッシャーを作らないといけないと思う」
https://twitter.com/nakakzs/status/1058285618881417216
「事実上の検閲(国会でつっこまれ済み)に出版業界が尻尾ふって協力するの図」
https://twitter.com/anatawatashihtn/status/1058236392076017664
「軽減税率のために、表現内容の事前審査を業界自らがやろうとするとはさすがに異常でしょ。そもそも『有害図書とした判断が正しいものかどうか、どうやって担保するつもりなのか」
https://twitter.com/ikasan_vb/status/1058190238672015360
「倫理コードが最悪手なのは当然として。その前に、軽減税率導入がやっぱり悪手だったと思うの」
https://twitter.com/Guro326/status/1058057571758526464
「書籍、雑誌業界が政治家を使うことで、借りができる。それを支払うために何を求められるか。こういうえこひいき構造が生じるのも、軽減税率の特徴」
https://twitter.com/hansuiokiro/status/1057855733079785472
「ていうか新聞と出版の軽減税率って何だよ。
国民の側に立って背水の陣を敷くどころか、『キミたちだけは助けてあげるから』って耳打ちされりゃホイホイ尻尾ふるようなコバンザメが、社会の公器だの木鐸だの偉そうなこと二度と抜かすなよ」
https://twitter.com/Bulldog_noh8/status/1058316209551101952
作家の藤井太洋も呟いている。
「新聞の軽減税率を報道しない新聞や、軽減税率と引き換えに「出版倫理コード」なんていうものを申し出ている出版社は、あの、なんの大義もない戦争をメディアがどう支えたのか理解していないのか?」
https://twitter.com/t_trace/status/1058896494072233984
「増補 エロマンガ・スタディーズ ─『快楽装置』としての漫画入門」(ちくま庫)の永山薫もツイートしている。
「軽減税率適用の件で賛否はともかく作家や編集者の声が少ないような気がしますが、ぶっちゃけ大手出版団体を批判するってオレだって多少はビビってんですよw お互い複雑な立場なのはわかってますのでドンマイ。表に出なくても団体内や社内で異論を唱えている方にはエールを送りたい」
https://twitter.com/Kaworu911/status/1058162970767683584
ライターの中尾真二のツイート。
「紙の本は好きだが、いまの出版社はむしろ紙もろとも消滅させる方向にしか目が向いていない。軽減税率適用になったところで衰退は止まらない。そもそも縮小している市場に、管理団体だの無駄なコスト増やして喜ぶのは仕事してない(できない)老人だけ」
https://twitter.com/bushdog/status/1058651774783971328
「ふつうの古本屋」のツイート。
「出版界が軽減税率を適用してくれって陳情するのは分からないでもないが、悪書はこちらで選別しますからっていうのはどうなのよ
これからは衛生無害の本しか出しませんて事なら、そんな出版社さっさと消えてもらって構わないな」
https://twitter.com/rKpdGO5YfFztqSm/status/1058631778129240064
祥伝社庫「マヤ終末預言『夢見』の密室」などの作品で知られているミステリ作家の小森健太朗のツイート。
「消費税上げには反対だが、軽減税率の導入にも反対。税率を分けることで、徴税コストが莫大にかかるのが不合理で非効率的。それと、新聞業界は、軽減税率を得ることで売上面で得をして伸びるか?というとそれも疑問。出版業界も、軽減税率を得たところで売上が上向くようになるともあまり思えない」
https://twitter.com/komorikentarou/status/1058018479314366464
ウラゲツの次のようなツイートを、私は心底理解できる。
コピーレフトGFDLパブリックドメイン、クリエイティブコモンズ、等々についてもっと考えを深める必要があります。軽減税率適応のために出版倫理コードという、政治家や官僚との厄介な取引ばかりがニュースになっている昨今ではありますが」
https://twitter.com/uragetsu/status/1057895552384286722
専修大学教授の植村八潮はフェイスブックに次のように投稿している。
「出版関係者は,『有害図書』をエログロ暴力に限定しているようだが,ひとたび『有害図書』が認知されれば,一人歩きして対象領域が拡大するのは目に見えている.『個人情報』を思い出してみれば十分だろう.
これまでも地方議会で,図書館と所蔵図書に関して,おかしな発言が飛び出していた.これからは,『標準税率の図書』を図書館におくのはけしからん,とドヤ顔で言い出す議員がいるに違いない.
誰かが『公権力批判』や『政治家スキャンダル』『安倍批判本』を有害と言えば,対抗して『リベラル』からは『ヘイト本』が指摘されるだろう.今だったら『新潮45』を標準税率にしろ,と言うに違いない.
みんなで『軽減税率本狩り』をすることで,表現の幅はどんどん狭まっていく」
https://www.facebook.com/yashio.uemura/posts/2370003379695923
植村は「Yahoo!ニュース個人」に「出版物の軽減税率適用と『自主規制』 言論表現機関としての出版社は生き残るか?」も発表している。
「出版界は、軽減税率適用を餌にして『自主的に有害図書』を選ばせるという、政府与党の巧みな戦略に、まんまとはまったのである。出版物の腑分けは、出版界の分断にもつながる。
出版物に二つの税率を業界自ら認めることは、蟻の一穴となって、出版活動を窮屈なものにしていく。繰り返しになるが本の価値は一人一人の読者が決めることであって、そこに税の差による区分を持ち組むべきではない。一枚岩でなくなった活動ほど、脆いものはない。内部分裂を繰り返し衰退していった組織の例など掃いて捨てるほどある。
願わくは、この動きが、言論表現機関としての出版界の終わりの始まりにならないことを」
https://news.yahoo.co.jp/byline/uemurayashio/20180629-00087400/
そもそも「知識に課税せず」という理屈を正面に出すのであれば、電子版を例外とすることはあり得てはならないことなのではあるまいか。紙と電子に「差別」があってはならないはずだ。いずれにせよ、出版物に軽減税率の適用を求める読者の呟きは少ないのである。それでもいくつか拾ってみた。
「なぜ新聞だけ軽減税率の対象にしたのか、財務省は説明する責任があるんでねぇの?新聞は決して生活必需品ではないよ、出版団体が攻勢に出るのも無理ないよ」
https://twitter.com/fly_cow/status/1058319644560252929
「種々の議論がありますが出版物への軽減税率適用は必要であろうと私も考えています」
https://twitter.com/tomichonet/status/1058876560843825153
「本が好き」はこの国の未来のために、出版物に軽減税率を求めている団体のようだ。鈴木富夫の「けやきぶんこ」も入っているのね。朝日新聞毎日新聞に全面広告を出している。この広告が掲載されてから軽減税率の適用を求める声が出始めている。ただし、どれもステレオタイプなんだよね。「地声」ではない
http://hongasuki.jp/
ブログ「『月松橋』活動報告」は「出版業界が軽減税率を認めてもらうための”有害図書”指定問題点まとめ」をエントリしている。
https://ameblo.jp/tsukimatsuhashi/entry-12405422728.html
有志舎の永滝稔社長が今から約3年前に「出版界は、あえて軽減税率を拒否した方が良いと思う」を書いている。
「出版界は、こんな官製『自主規制』をさせられるくらいなら、軽減税率を蹴って潔く消費税10%でいく方が良いと思う。
出版界の中で何が有害かを決めて、それを議員立法で認めてもらうなんて、自分の首を自分で絞めるようなもの。
ぜいぜい、裏切り者の新聞業界は軽減税率にしてもらって、御用化すればいいさ!」
https://blog.goo.ne.jp/yushisha2005/e/e947077681cd5f6366080dd92c92bdc5
http://yushisha.sakura.ne.jp/
日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長はホームページに掲載している「挨拶」のなかで次のように書いている。
「出版活動の根幹である『出版・表現・言論の自由』はなにものにも代えがたいものであり、 私たち出版人が自ら出版物を線引きするようなことは何であれ、してはいけないことです。 出版物を規制するような立法の動きには断固反対していきますが、その一方で、厳しく我が身を律し、 自主規制を進めていかなければ社会の理解を得ることはできません
http://www.jbpa.or.jp/outline/index.html
果たして軽減税率のための「有害」図書であるかどうかを選別することは「してはいけない線引き」なのか、「進めていかなければならない自主規制」なのかである。

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2)【本日の一行情報】

プロ野球のドラフトで、中日ドラゴンズが指名した大阪桐蔭高の根尾昂選手の愛読書が外山滋比古の「思考の整理学」(ちくま庫)と、近代資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一が一九一六年に書いた「論語と算盤」の現代語訳(ちくま新書)だと報道されたが、三省堂書店神保町本店では、一階レジと向き合うベストセラーコーナーに両書を並べて販売している。東京新聞は次のように書いている。
「二十五日のドラフト会議から一週間で『思考の整理学』は二十冊が売れ、前週の四冊から急増。前週一冊だった『論語と算盤』も十冊売れた」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018103102000275.html
「思考の整理学」は3万部の増刷。「論語と算盤」は2万部の増刷。版元はともに筑摩書房

中島岳志が「論壇時評」で「新潮45」騒動を論じている。共同通信の配信である。
「小川の章はLGBTへの差別以外の何物でもない。多くの批判を受けるのは当然であり、この章を掲載した『新潮45関係者の責任も重い」
「LGBT問題を政治から切り離し、学の問題へと還元することこそが、恣意的な政治である。小川の章は、差別表現だけが問題なのではなく、その主題においても間違えていると指摘しなければならない」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/rondan/CK2018102402000249.html
https://www.nishinippon.co.jp/feature/press_comment/article/461963/

不定期刊が決まった「SAPIO」では古谷経衡が「新潮45騒動を論じている。
「なぜ小川があんな醜悪な『作』を書いたのか。そしてなぜ同雑誌は該人物の『作』を載せたのか。(中略)いろいろな説があるが、答えは簡単だと思う。書いた方も載せる決断をしたほうも愚鈍だったのだ」
https://www.news-postseven.com/archives/20181102_794221.html?PAGE=1#container

小学館集英社プロダクションは、幼児・小学生向けの通信教育「ドラゼミ」「ぷちドラゼミ」のブランドを刷新し、2020年の教育改革に対応した新教材「まなびwith」を2019年4月号より提供することを発表した。受講申込みは11月1日より受付中。
https://resemom.jp/article/2018/10/31/47480.html

◎11月1日は「本の日」。林真理子三省堂書店有楽町店と明正堂アトレ上野店で一日店長をつとめた。
https://nikkan-spa.jp/1522226
「11月1日は本屋へ行こう!キャンペーン」は11月11日まで実施している。
https://honnohi.com/
https://www.toshocard.com/honnohi/
https://www.shogakukan.co.jp/pr/honnohi/
11月1日、私はいつものように神保町の本屋に出かけたが、会わなかったよ、出版社の人と。大手出版社の人がもっと本を買ってくれないと、この業界、終わるよ。っていうか本を読まない人がこの業界から自動的に去ってくれればリストラもしないで済むもの。名の知れた版元のリストラを見ていると、本をよく買う人が会社を去って行き、本を買わない人が会社に居坐っているという光景に出会うことがある。

◎第二回目となる「ジャンプ縦スクロール漫画賞」が開催される。今回は「少年ジャンプ」と、中国最大級のマンガアプリ「テンセン動漫」による共同開催となる。「テンセント動漫」はマンスリーアクティブユーザー1.2億を誇る漫画プラットフォームだ。
https://animeanime.jp/article/2018/10/31/41140.html

◎「第23回若山牧水賞」は穂村弘「水中翼船炎上中」に決まった
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/338217
「電車のなかでもセックスをせよ戦争へゆくのはきっと君たちだから」
君たちが戦争に行った後、時代を画する一首として評価されることになるのではないだろうか。

◎「アトリエ・セントー『鬼火』の世界」展が来年の1月15日(火)まで新潟市マンガの家で開催されている。
http://news.shodensha.co.jp/article/455671239.html
https://www.shodensha.co.jp/onibi/
https://www.shodensha.co.jp/onibi/ovj/index.html
「鬼火」は祥伝社から刊行されているバンド・テシネ(フランス語コミック)の日本語版である。

◎ADCグランプリは大貫卓也の「Advertising is」(グラフィック社)!「日本のアートディレクション展 2018」が開催されている。
https://www.advertimes.com/20181031/article279520/
http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=36502
大貫の代表作は新潮庫「Yonda?」や豊島園の「プール冷えてます」だろう。大貫は博報堂出身。大貫はこんなことを発言している。
「今って悩むことなくみんなが同じ方向を向く時代でしょう? その状況にうんざりしていて。次のステージへ行くための方法を提示したかったというのが近いかな。現状を否定するカウンターパンチで次のものを生んでいく、というのが僕のやり方だから、まあ現状に対する意見だよね」
https://hillslife.jp/culture/2018/10/30/advertising-is/
ADC会員賞は「新しい地図」が受賞している。

◎10月1日発売の「家の光」11月号に掲載されたJAグループの旅行会社「農協観光」の広告「こーんな鳥取知っ取る?」で、鳥取県の位置を島根県と取り違えた地図を使っていたというミスを指摘するツイッターの投稿が2万回以上リツイートされた。広告は日本地図を掲載し、「ここだっちゃ!」の吹き出しとともに鳥取県示すはずだったが、そこは島根県だったというわけだ。
これ、これ、この投稿が起点となり拡散していった。11月3日12時25分現在、リツイートが23,880件あり、いいねが 33,378件。
https://twitter.com/muto_dt/status/1056099102331568128
毎日新聞は10月30日付で「農協観光 鳥取の位置を島根と間違えて謝罪」を掲載している。
ツイッター上には『鳥取と島根の位置は間違えやすい』との擁護もあったが、同社の担当者は『あってはならないミス。お恥ずかしい限り。大変に申し訳ないことをしてしまい、おわびするしかない。チェック体制は強化したので、再発防止に努めたい』と平身低頭だ。同社は『家の光』12月号にも訂正と謝罪を掲載する」
https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00m/040/026000c
この記事を書いた大村健一記者のツイート。
「半分は『面白い話』として取材に行ったのですが、非常に神妙かつ真摯に謝っておられて、こちらが申し訳なくなった。誤植は人ごとではないので心も痛くなった」
https://twitter.com/k_oomura/status/1057202257454804992
鳥取県の平井知事が神対応をした。読売新聞の11月1日付「島根鳥取、取り違え…知事『心の内では歓迎』」は、こう書いている
「一方、平井知事は31日の定例記者会見で一連の騒動について触れ、『山陰らしいトピックス。(かえって両県の宣伝になったので)心の内では歓迎し、賛辞を贈りたい』と笑顔を見せた」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181031-OYT1T50130.html?from=ytop_ylist
平井は、かつて「スタバはないが砂場はある」でも話題になっている。そう鳥取には「鬼太郎空港」もあれば、「鳥取砂丘コナン空港」もある。
https://courrier.jp/news/archives/101623/

片岡物産は、「バンホーテン ココア 190周年」を記念して特設サイト及びYouTubeチャンネル上にて、美内すずえの「ガラスの仮面」(白泉社)とコラボレーションしたWEB限定ムービーを11月1日(木)10:00より公開している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000029838.html
https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=Xd0C4UjDN6Q
https://www.youtube.com/watch?v=osyMgSMj4Tw
https://www.youtube.com/watch?v=1lwWhcExL4Q

◎ぴあは、齋藤孝の「世界に広めたい日本語大全」を刊行した。この手の雑学ものは当たれば大きいんだよね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001017.000011710.html
「忖度」とか「自己責任」は世界に広めたくない日本語かも。

◎「週刊新潮」(新潮社)が報じたJRAの競馬記者による女性記者に対する「夜襲」事件だが、「Business Journal」が掲載した「JRA『女性寝込み襲撃』記者の蛮行発覚! 被害女性はショック消えず。『村社会』が記者にも悪影響?」は次のように書いている。
「当編集部が近辺に取材を行ったところ、被害者女性は「東京スポーツ」の記者とのことで、精神的な恐怖によりパニック障害となり『全治数カ月』、当面休養が必要な状況という話も入ってきた。ゆっくり静養して回復してほしいものだが......」
https://biz-journal.jp/gj/2018/10/post_8394.html

◎上巻768ページ、下巻746ページ、合わせて1500ページを超える大著「評伝 小室直樹」(ミネルヴァ書房)があちこちで話題になっている。「ダイヤモンドオンライン」の「過激な天才学者・小室直樹のすべてを描いた1500ページにわたる巨大な評伝は、いかにして生まれたか?」で著者の村上篤直は次のように証言している。
橋爪大三郎先生と副島隆彦氏の『小室直樹の学問と思想』(弓立社、1992年、その後ビジネス社より新版、2011年)という本の末尾に小室先生の献一覧があって、そこに載っている英語論がどうしても見つけられなかったことがあります。調べるうちに同論を発表したのは法社会学理論国際シンポジウムであり、その日本側の組織委員長が川島武宜先生だとわかったんです。北海道の札幌大学に川島庫があると知り、ならば英語論もそこにいけばあるかもしれないということで泊まり込みで探しに行きました」
かくして英語論は発見されるのだが、私などは、どうしても川島武宜という名前に着目してしまう。小室の「学問と思想」は決して異端ではなく、むしろ、正統の側で鍛えられて来たのである。
https://diamond.jp/articles/-/183766

トーハンは日本芸社と共同で、店頭で思わず目を引く黒いカバーの新書4点を集めたアウトレット企画「第1回最強に真っ黒な本はどれだ?!選手権」を10月31日より全国約400書店で販売している。価格はオールワンコインの500円だ。
http://www.tohan.jp/topics/20181031_1300.html

アサツー ディ・ケイは、新事業開発の創造をサポートするテクノロジー×クリエイティブによる、企業の新規事業開発支援プロジェクト「SCHEMA」(スキーマ/URL: schematokyo.com)を本日より始動した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000004328.html

◎マガジンハウスの「ブルータス」は、既存の電子版・Twitter・FacebookInstagramに加え、ウェブサイト「BRUTUS.jp」を11月15日に立ち上げる。「アーカイブ」と「キーワード」をコンセプトにするそうだ。
https://brutus.jp/
https://www.youtube.com/watch?v=SLvUaOjJK8g&feature=youtu.be

◎演劇月刊情報誌「シアターガイド」が2日発売の12月号をもって休刊。
「この度、弊社モーニングデスクは経営不振により、10 月31 日をもって業務停止し、月刊誌『シアターガイド』は、11月2日(金)発売・2018年12月号を最後に休刊することになりました。HP『演劇ポータルサイト シアターガイド ホームページ』も、今後運営を停止いたします。
1992年の雑誌創刊より長きにわたり、多くの読者に恵まれ、演劇に携わる全ての皆様のご厚情を賜りましたにも関わらず、このような事態を招きましたこと、心より申し訳なく思っております。
定期購読をご契約いただいていておりました皆様には、今後、お問合せ先等の通知が届くと思いますので、そちら宛にご連絡願えますと幸いです。
この事態に伴い、読者、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしますこと、重ねてお詫び申し上げます。
末筆ではございますが、皆様の益々のご健勝とご多幸をご祈念申し上げます」
http://www.theaterguide.co.jp/message/2018/11/01.php

◎世界化社は、通常版より小さくて軽い「家庭画報プレミアムライト」年間購読(一年間)に、デンマークのブランド「ボダム」の耐熱ガラス製マグ(ペア)を桐箱に入れて添えた「ボダム×『家庭画報』プレミアムギフトセット 2019」を11月1日(木)より、通常価格、21,430円(税込/定期購読14,400円税込+ボダム7,030円税込)のところ、約30%オフの15,000円(税込・送料無料)で限定100セットを販売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000512.000009728.html

◎Next Paradigmは、オフィスに最新・話題の本が置けるサービス「オフィス書店」の事前ユーザーを募集している。都内に本店所在地をおく企業で、限定5社での募集。オフィス書店は、展示用ラック付き10冊が1セットで月額2873円(税抜)で利用が可能だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000037417.html

◎6月に閉店した青山ブックセンター六本木店の跡地に日販の子会社リブロプラスが、新業態の書店「喫」(ぶんきつ)を12月11日にオープンする予定だそうだ。
https://www.wwdjapan.com/732627

オリコンによれば「乃木坂46写真集 乃木撮 VOL.01」(講談社)が、累積売上が30.1万部(30万1389部)を記録した。
https://www.oricon.co.jp/news/2122652/full/

◎第18回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」が決まった。
<大 賞>
公共奉仕部門
 森友学園加計学園の問題をめぐる政府の情報開示姿勢を問う一連の報道(朝日新聞朝日新聞デジタル
公共奉仕部門
 連載「駐留の実像」を核とする関連ニュース報道(琉球新報
公共奉仕部門
 NHKスペシャル「戦慄の記録 インパール」(NHK総合テレビ
草の根民主主義部門
 「日報隠蔽 南スーダン自衛隊は何を見たのか」(布施祐仁+三浦英之 集英社
<奨励賞>
草の根民主主義部門
 キャンペーン報道「旧優生保護法を問う」(毎日新聞
化貢献部門
 SBCスペシャル「消えた 村のしんぶん~滋野村青年団特高警察~」(信越放送 SBCテレビ)
https://www.waseda.jp/top/news/61785
「消えた 村のしんぶん~滋野村青年団特高警察~」は見てみたい。出版社では集英社のノンフィクションが草の根民主主義部門で大賞を獲得したのは意義あることである。

◎今年1月に亡くなった井家上隆幸が月村了衛の「土漠の花」(幻冬舎)を激賞していたことを思い出す。庫化に際しては井家上が解説を書いた。そんな月村の新作「東京輪舞」(小学館)は、井家上が存命であれば、これまた激賞したに違いない。月村は次のように語っている。
「例えば本作に載せた長官狙撃事件に関する質問主意書や政府側の答弁は全て原通り。〈御質問のような「人事抗争」については承知していない〉など、虚偽答弁も今に始まった話ではないんです。それでも国民を欺けると高を括る今の政治家と、〈いい政治というのは、国民生活の片隅にある〉と言った角栄の決定的な違いを見るにつけ、なぜこんな時代になってしまったのかと思う」
https://www.news-postseven.com/archives/20181101_790507.html?PAGE=1#container
https://www.shogakukan.co.jp/pr/rondo/
平成という時代はル・カレではなく月村了衛を選んだのである。

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3)【深夜の誌人語録】

問いが一つであっても解答は必ず複数用意しておくこと。