【文徒】2015年(平成27)12月28日(第3巻237号・通巻687号)

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1)【記事】KADOKAWAが作家に無断で小説を改竄!
2)【記事】筑摩書房朝日新聞に異議申し立て!
3)【本日の一行情報】
4)【人事】12月16日付 祥伝社役員人事
5)【人事】12月24日付 マガジンハウス人事
6)【深夜の誌人語録】
7)【お知らせ】

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1)【記事】KADOKAWAが作家に無断で小説を改竄!

12 月 25 日発売予定 だつた谷津矢車の角川文庫「からくり同心 景 黒い好敵手」が発売中止となった。KADOKAWAが発表した「お詫び」には次のように記されている。
「2015 年 12 月 25 日発売予定の角川文庫『からくり同心 景 黒い好敵手』(谷津矢車:著)におきまして、校正ゲラを確認中の谷津先生より、原稿の改変が行われているのではない かとご指摘を受けました。 これを受け編集部にて調査の結果、当初の原稿とは異なる箇所が多数にわたって確認され、 担当編集者が谷津先生に無断で原稿を改変していたことが判明いたしました。 またシリーズ第 1 巻『からくり同心 景』(2015 年 8 月 25 日刊)につきましても、同様の改 変があると確認いたしました。
弊社はこの事態を大変重く受けとめ、谷津先生に謝罪を申し上げたうえ、著者のご意向に 沿い、本文庫を発売中止、第 1 巻を回収のうえ絶版とさせていただきます。 原稿の無断改変は、決して行ってはならないことであり、弊社は深く反省するとともに、入稿チェック体制の厳重強化、編集者の指導、教育を徹底し、二度とこのようなことを起 こさぬよう、再発防止に努めて参ります。 本件につきましては、読者の皆様、谷津先生、また関係各位の皆様に多大なるご迷惑をお かけしましたこと誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます 」
担当編集者が作家に無断で作品を書き直してい たということだ!そうKADOKAWAによる「改竄」が行われていたのだ。文芸の編集者であるにもかかわらず、作家が、自分の書いた原稿に一字一句であっても変更を許さないという気分の持ち主であるということを知らなかったことが驚きである。 谷津は歴史・時代小説の世界では「若手の切り札」とさえ評されている作家だ。
谷津もKADOKAWAの公式ホームページに「お詫び」を発表し、そのなかで次のように語っている。
「『からくり同心景』第二部のゲラチェックの際、明らかにわたしのものではない文章が 混入していました。しかも、中にはキャラクターの台詞などの小説にとって核である要素 にさえ手が加えられていた形跡がありました。何者かが、わたしの文章を大幅に改竄していたのです。その改竄に気づいたわたしはこの事実を出版社に報告し、協議を重ねました。 その中で、改竄者が担当編集者であったこと、さらにはその改竄範囲が広範にわたること も併せて判明するに至り、もはやわたしの著作物と胸を張れる代物ではなくなっていたこ とが判明したのです。以上のことから、著作者権限で既に印刷段階に入っていた『からくり同心景』第二部を発売中止にし、同シリーズを凍結させるという決定を下しました」
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20151224_c9mgz.pdf
谷津は深く傷ついたのだろう、自らのブログで次のように書いている。
「担当編集者がなぜこんなことをしたのか、今のわたしにも分かりません。理由を聞く気にもなれません。というより、聞きたくもありません。
でも、もし、こんなことに手を染めてしまったあなたがこれを見ていることがあったら。想像してみてください。あまりに他人の手が入り過ぎて手直し不能になっている自作を前にした小説家が、一体何を思ったのかを。そして、あなたなら知っていたはずです。わたしがどれだけ入れ込んでこの小説を書いていたのかを」
http://blogs.yahoo.co.jp/yatsuyaguruma_sousaku/13834797.html
私が信じられないのは、これほどの「大事件」を起こしながら、KADOKAWAから発表された文章の名義が「文芸・ノンフィクション局」名義になっていることだ。その程度の問題としてしか認識していない証左である。本来であれば、カドカワなり、KADOKAWAの社長名義で発表すべきではないのか。KADOKAWAであれば松原眞樹 が社長だし、カドカワであれば川上量生が社長ではないのか。自分には責任はないとお思いか?しかし、松原は、逃げるのだけは相変わらず上手だな。

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2)【記事】筑摩書房朝日新聞に異議申し立て!

筑摩書房が怒っている。塩原賢、竹内誠人 による12月24日付の記事「アマゾンが本の値引き販売 出版界、根強い警戒感」について「事実が曲解され、一方の側に偏っている点、誤解を招く恐れが強くあり、看過できぬ 」として、代表取締役山野浩一 名義で「朝日新聞平成27年12月24日朝刊の記事について 」を発表した。筑摩書房が問題としているのは次の三点である。
〈1、 筑摩書房創業75周年記念企画「読者謝恩価格本セール」(本年12月から2016年3月までの期間限定)の割引販売を当社では春から予定しておりました。記事にありますように、『フローベール全集』はじめ全14セット品目(記事には8タイトルとなっていますが)を対象としております。お蔭様で約100書店様からのご参加があり、12月からセールをスタートしました。その中に、アマゾンジャパンも参加した、というのが正確な表現になります。つまり、「参加するのは筑摩書房」と記事にはありますが、そうではなく、当社の読者謝恩価格本セールに「アマゾンジャパンも参加した」というのが、事実です。
2、 上記「読者謝恩価格本セール」は、事前に業界紙などを通して全国の書店様に等しく告知し、参加を募りました。また、日本書店商業組合連合会(会長=舩坂良雄氏)からも、書店の実情に鑑みたよい企画であり、よい条件であると評価とご支援をいただいております。また、この謝恩価格本セールは今回が初めてではなく、過去(2001年、2002年、2011年)にも行なってまいりました。直近の2011年にもアマゾンジャパンには参加していただいておりますし、他の複数の書店様にも同様に参加していただいてまいりました。
3、 記事全体をざっと読みますと、筑摩書房が率先して「脱再販」に加担しているような文脈として読めてしまいますが、上記「謝恩価格本セール」は、再販売価格維持制度の弾力的運用の一つである「時限再販」の一形態です。謝恩価格本セールのほかにも2010年には『幕末 写真の時代 第2版』の時限再販も行ないました。これらはむしろ、再販を護持するための方策の一つであると理解し、小規模ながら率先して実施してまいりました。当社では、当該記事の意図するところとはむしろ、正反対の理念と意志のもとに展開するものであることを、あらためて表明させていただきます〉
http://www.chikumashobo.co.jp/blog/news/entry/1240

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3)【本日の一行情報】

◎CNNによれば「夜間に泥棒に入られる被害に遭った米ラスベガスのタコス料理店が、防犯カメラに映った犯人たちの映像をユーモアたっぷりのCMに仕立て上げ、インターネットで評判になっている 」そうだ。
http://www.cnn.co.jp/usa/35075439.html
https://www.youtube.com/watch?v=kzdv4FUHqP8
https://www.youtube.com/watch?v=DgaRGs_Qy4w

講談社から刊行されたAKB48高橋みなみ の新書「リーダー論」は初版6万部でのスタート。昨年発売された指原莉乃の新書「逆転力」は9万部も売っている。
http://news.mynavi.jp/news/2015/12/23/112/

◎「デジモノステーション」(エムオン・エンタテインメント )2月号の付録は、ソネットとのコラボSIM【0SIM by So-net】(ゼロシム バイソネット)。
http://www.digimonostation.jp/0000050263/

◎五輪エンブレム審査員の一人で あっただけに平野敬子 のブログには迫力がある。12月18日に公表された「旧エンブレム選考過程に関する調査報告書 」に正面から異を唱えている。
http://hiranokeiko.tokyo/?eid=45
http://www.hiranokeiko.tokyo/?eid=36
http://www.hiranokeiko.tokyo/?eid=37
http://www.hiranokeiko.tokyo/?eid=39
http://www.hiranokeiko.tokyo/?eid=41
http://www.hiranokeiko.tokyo/?eid=27

◎「第1回少年ジャンプ+連載グランプリ」のグランプリ受賞作「誰が賢者を殺したか?」(三雲ネリ)の第1話が2016年1月31日まで、ネットに公開されている。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1512/22/news111.html
http://animeanime.jp/article/2015/12/23/26237.html

◎「Hanako世代」って、もう51歳から56歳になるのか。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151217-OYT8T50089.html#

◎「講談社ラノベ文庫4周年記念フェア」が開催されている。
http://lanove.kodansha.co.jp/campaign/fourth_anniversary/

◎「VOCE」のAndroid版アプリが漸くリリース された。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000863.000001719.html

◎説得力があるなあ。
「『何故テレビを見なくなった』答えのひとつとして、『ネットがあるから』。
ネットの中にはSNS、LINEといった暇をつぶすツールが沢山あります。ゲームも有ります。なんでもあります。つまり面白いものがいっぱいあるので人間はそれでいいのです。
テレビを見なくなった原因なんてありません。
今は世の中に面白いものがいっぱいあるからそれで十分なのです。たとえネットが無くなっても面白いものが次々に登場するでしょう。それが時代の流れではないかと」
http://www.yukawanet.com/archives/4984975.html

日本テレビ土屋敏男の発言。
「テレビなんて、もともとヤクザな商売なんだから。世間一般の常識でモノづくりを考えていったら、そりゃ、つまらなくなりますよ。そして、そんなイカレた人間たちを、社内の他の部署や電通博報堂といった広告会社も、耳元で小さく『頑張れ…』って応援し続けていってほしいんです(笑)」
http://www.advertimes.com/20151224/article213543/

大日本印刷は、明治期に活版印刷で使用していたイラストと同社ののオリジナル書体「秀英体」を、LINEで使えるスタンプ(全40種類、税込120円)に加工して発売している。
http://www.dnp.co.jp/topic/10118100_2517.html

トーハンは、2016年NHK大河ドラマ真田丸」の放送スタートに合わせて、関連書フェアを全国約900書店で開催 している。
http://www.tohan.jp/news/20151224_655.html

トーハンは、タカラトミーが2016年1月から発売する「トミカ」初の書店向け商品「トミカ武将コレクション」シリーズ(全6種)をトーハン独占販売のMVPブランド商品として販売 する。
http://www.tohan.jp/news/20151225_656.html

栗田出版販売の債権者集会が12月24日に開かれ 、再生計画案 について851人が投票し、議決権額で88.94%、9割超の806人 が賛成し、東京地裁から即日、認可決定を受けた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HPY_U5A221C1TI5000/

◎「小学館新人コミック大賞」 の少女・女性部門で大賞を受賞したのは、ときわ藍 。何と中学三年生、14歳!「ちゃお」4月号で、受賞作掲載され、漫画家としてデビューする。
http://mantan-web.jp/2015/12/25/20151225dog00m200000000c.html

◎オプティムは、トータル電子雑誌サービス「タブレット使い放題・スマホ使い放題(タブホ)」へのコンテンツ提供について、新たに主婦の友社と業務提携を行い、「Ray」「mina」「S Cawaii!」「ゆうゆう」をはじめとした合計9誌のコンテンツを追加 した。
http://www.optim.co.jp/news-detail/19054

◎「スターツ出版文庫」が2015年12月28日(月)に創刊される。
http://ddnavi.com/news/277765/a/

ジュンク堂書店 が立川に進出する。立川駅周辺は、これまでオリオン書房が独占してきたエリアだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO95498470U5A221C1L83000/

◎「オレンジページ」に新編集長誕生…なぁんだ、男か。
https://www.atpress.ne.jp/news/85839

大川隆法の著作が2000点を突破した!
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10668

◎「FOD」(フジテレビオンデマンド)が雑誌66誌読み放題サービス を本格始動!
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/release/20151225_736915.html

◎メドレーは、日経BP、既存株主であるイースベンチャーズおよび個人投資家である本田謙を引受先とし、総額約2.3億円の第三者割当増資を実施し、併せて、日経BP社と資本・業務提携に関する契約を締結した。この提携により、日経BP社が運営する医師・医療従事者のための総合医療情報サイト「日経メディカル Online」と、メドレーが運営する医療介護分野の人材不足を解消する求人サイト「ジョブメドレー」の連携を強化し、双方の事業の拡大を目指す。
http://www.medley.jp/news/release/post-581/

リクルートホールディングスは、2016年1月より、自宅など会社以外の場所で仕事ができる「リモートワーク制度」を導入する 。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1512/25/news152.html
http://re-recruit.jp/

◎12月25日付朝日新聞に掲載された「池上彰の新聞ななめ読み」は、新聞に軽減税率が適用されることについて危惧を表明している。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12132986.html
朝日新聞の丹治吉順がこれに反応。
池上彰さんの趣旨に全面賛同すると同時に、、斉藤鉄夫・公明党税制調査会長による『有害図書排除』発言も、表現規制への第一歩として最大限警戒したい」
https://twitter.com/tanji_y/status/680184478640164868?lang=ja
丹治は既に既に次のようなツイートもしている。
「新聞業界の一員として、わずか2%の軽減税率を受け入れたこと、それが出版・雑誌の表現規制に悪用さるようで慚愧に耐えない。特に後者は、税を口実に編集内容に国家が口を挟絶好の口実になる。マルティン・ニーメラーの言葉を思い出して仕方ない。エログロ頑張れ。そこが最初の砦だから」
https://twitter.com/tanji_y/status/679840930292076544
丹治は新聞への軽減税率2%の適用に反対するとハッキリ明言している。そのうえで、こうもツイッターに投稿している。
「これは以前にも書きましたが、知識・情報の流通への税負担を軽減するという考え方の先例は欧州にあります。しかし21世紀の今日、その文脈で軽減税率を主張するなら、いま最も盛んな情報流通の場であるウェブやそのインフラである通信網までも含めた議論をしなければ、説得力はないでしょう」
https://twitter.com/tanji_y/status/679893167408189440
私もそう思う。次のような指摘も重要だ。
「分断は支配のテクニックの初歩の初歩だというのに、新聞が自ら(出版からの)分断に乗り、出版もその分断にはまり込むお膳立てが用意され、出版自体が内部から分断されていく… 」
https://twitter.com/tanji_y/status/680426011062714369

小学館のキュレーションサイト「P+D MAGAZINE」 にはand factoryが一枚噛んでいる。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000014185.html

◎「報道ステーション」を降板する古舘伊知郎 。日刊スポーツは次のように書いている。
「来年3月31日の放送でテレビ朝日報道ステーション』を降板することになったキャスター古舘伊知郎氏(61)が24日夕、同局で行われた記者懇談会で心境を語った。番組を引き受けた当時『自由に、あなたの絵をかいてほしい』と口説かれたことを振り返り『やってみたらものすごく不自由な10年間だった。綱渡り状態でやってきた』と話した」
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1583382.html
「NEWS23」 の岸井成格 も降板。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1583511.html

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4)【人事】12月16日付 祥伝社役員人事

代表取締役社長  辻 浩明
取締役      只野 孝一

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5)【人事】12月24日付 マガジンハウス人事

■芝山 喜久男
 新)取締役(マーケティング局、経理・製作局担当)
 旧)取締役(マーケティング局、経理・製作局担当)兼宣伝プロモーション部部長

■熊井 昌広
 新)執行役員広告局局長兼クロスメディア事業局局長兼企画制作部部長
 旧)執行役員広告局局長兼クロスメディア事業局局長兼企画制作部部長兼カスタム事業部部長

■西村 吾郎
 新)経理・製作局局長兼制作管理部部長
 旧)経理・製作局局次長兼制作管理部部長

■浪花 寛通
 新)マーケティング局局長兼営業部部長兼宣伝プロモーション部部長
 旧)マーケティング局局次長兼営業部部長

■西田 善太
 新)第四編集局局長兼ブルータス編集部編集長
 旧)第四編集局局次長兼ブルータス編集部編集長

■松本 和也
 新)カスタム事業部部長
 旧)カスタム事業部部長代理

■菅野 正美
 新)ムック編集部編集長代理
 旧)ムック編集部副編集長

■班石 悦夫
 新)営業部部長代理
 旧)営業部課長

■古賀 浩介
 新)制作管理部部長代理
 旧)制作管理部課長

■齊藤 賢治
 新)企画制作部部長代理
 旧)企画制作部部長

■仙石 譲
 新)営業部課長
 旧)営業部

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6)【深夜の誌人語録】

相思相愛よりも片思いを大切にしたい。