【文徒】2016年(平成28)1月13日(第4巻6号・通巻693号)

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1)【記事】サイバーエージェントソーシャルゲームグランブルーファンタジー」に批判殺到中
2)【記事】世界文化社の2015年12月31日付役員人事が話題に
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.1.13 Shuppanjin

1)【記事】サイバーエージェントソーシャルゲームグランブルーファンタジー」に批判殺到中

ソーシャルゲームの「グランブルーファンタジー」がユーザーの批判にさらされている。消費者庁には苦情が殺到しているようだ。山本一郎は次のように書いている。
消費者庁によると,寄せられた苦情の概要はゲーム内での「ゆく年くる年レジェンドフェス」いうガチャサービスにおいて「対象期間内のみ『新規キャラ解放武器』の出現率がアップ」と表記しておきながら,指定された複数の有償キャラクターの間で出現率のアップ率が(有志によって調べられた範囲においては)大きく異なることから,消費者に過剰な期待感を抱かせて消費を喚起しようとしたという景品表示法の有利誤認,踏み込んで言えば広告の虚偽・誇大広告に近いと見られる事案です〉
http://www.4gamer.net/games/238/G023885/20160108049/
change.org」には「【グラブルグランブルーファンタジー運営会社に消費者庁による立ち入り検査を求める【景表法違反・疑惑】」がアップされている。
ソーシャルゲームグランブルーファンタジー』。2014年3月10日に正式サービスを開始した本格派RPGだ。
同ゲームの運営会社には虚偽の広告により、2015年12月31日〜2016年1月7日までの間あらゆる年代のユーザーから莫大な金額を騙し取った疑いがある。
この際、ユーザーからの指摘に対し『調査したが問題なかった』と表面上の回答のみで、2016年1月7日現在も詳細については沈黙を重ねている。
ソーシャルゲーム業界内部の実態を明らかにし、ソーシャルゲームに関するガイドラインを厳密化することで、誰もが安全にゲームが遊べる世の中であって欲しいという願いを共にする賛同者を募ることとした」
https://www.change.org/p/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%83%BC%E9%81%8B%E5%96%B6%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E6%B6%88%E8%B2%BB%E8%80%85%E5%BA%81%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E7%AB%8B%E3%81%A1%E5%85%A5%E3%82%8A%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B-%E6%99%AF%E8%A1%A8%E6%B3%95%E9%81%95%E5%8F%8D-%E7%96%91%E6%83%91
グランブルーファンタジー」はサイバーエージェントのゲーム事業といって差し支えあるまい。サイバーエージェントがプレスリリースを発表している。
「株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:藤田晋東証マザーズ上場:証券コード4751)グループのソーシャルゲーム事業会社である株式会社Cygames(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:渡邊耕一、以下サイゲームス)と株式会社CyDesignation(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:皆葉英夫、以下サイデザイネイション)は、株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO: 守安 功)が運営するソーシャルゲームプラットフォーム「Mobage(モバゲー)」にて、ファンタジーRPGグランブルーファンタジー」の配信を2014年3月10日に開始いたしました」
https://www.cyberagent.co.jp/news/group_press/id=8543&season=2014&category=sap
「ねとらぼ」によればゲーム内で「お客様には混乱を招きご不快な思いをさせてしまいましたこと、重ねて深くお詫び申し上げます」と謝罪したというが、この記事は運営会社を明記していない。サイゲームスの名前も、サイバーエージェントの名前も出て来ないところが、私からすれば「異常」だ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1601/08/news159.html
声優の田中理恵にはステマの疑いも浮上しているようだ。しかし、この記事にもサイゲームスサイバーエージェントの名前は出て来ない。「運営」とか「運営側」と書いてお茶を濁している。おかしな話だと思いませんか。何しろ「change.org」の署名集めの呼びかけですら、「運営会社」としか書かれていない。
http://dailynewsonline.jp/article/1071451/?page=1
インターネットにおいて藤田晋ひきいるサイバーエージェントはタブーのようである。

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2)【記事】世界文化社の2015年12月31日付役員人事が話題に

客 文徒でも報じたけれど、世界文化社の小林公成専務取締役が昨年12月31日付で退任し、退職した。年が明けて、みんなびっくりしていたよね。
主 12月31日付の役員人事だけに様々な憶測を呼んだ。小林専務の奥さんが鈴木美奈子社長の妹であることから何かあったんじゃないかとかね。
客 厳しい状況のなか経営方針をめぐって対立があったんじゃないかという話もあった。「関係者が世界文化社に確認を入れたら、社員も知らなかった」という話まで飛び出した。
主 大塚専務によれば、どれも根も葉もない噂話に過ぎないということだった。社員には昨年、小林専務が退任、退社することに関して知らせていたし、どう対応するかも意志統一していたと言っていたからね。大塚専務によると小林専務は前々から、自分でやりたいことがあったそうだ。突然の退任、退職でなかったことを強調していたよ。世界文化社は、言ってみればファミリー経営の出版社だけに、その一員が退職するとなると、どうしても様々な憶測を呼ぶのだろうね。

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3)【本日の一行情報】

朝日新聞の古田大輔 のみならず、毎日新聞の石戸諭も「BuzzFeed 」に移籍する。「edgefirstのブログ 」は次のように書いている。
東洋経済オンラインからNewspicksに移籍した佐々木紀彦氏は、2年ほど前(2014年5月)の朝日新聞のインタビューで『伝統メディアから新興メディアへの記者の移動が5年経たず来る』と予言した。ちなみにこのインタビューしていたのが当の古田記者だったのが象徴的な話だ。単純に金銭的な待遇だけの話ではなく、自分の実現したいこと、力を発揮するために最適な媒体を選んだ結果なのだろう。伝統メディアでデジタルを活用しようとすればするほど、その限界が見えてくるのかもしれない 」
http://edgefirst.hateblo.jp/entry/2016/01/09/194537

◎「水木しげるサン お別れの会」 が青山葬儀所で1月31日14時より18時まで 開かれる。荒俣 宏 を発起人代表として、京極夏彦KADOKAWA代表取締役専務執行役員 井上伸一郎講談社 代表取締役社長 野間省伸小学館 代表取締役社長 相賀昌宏、東映アニメーション 代表取締役社長 高木勝裕が発起人をつとめる。
http://mizukisan131.com/

◎アレクサンダー・ゴットリープ ・バウムガルテンの「美学」が講談社学術文庫から発売された。本書によって「美学」という概念が生まれたんだよね。これは「買い」である。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062923392
青山ブックセンター本店がツイッターで取り上げているぞ!「山下」という書店人は前から「できる」と思っていた。
https://twitter.com/Aoyama_book/status/686100752603848704
年末12月28日には「燃えるキリン 黒田喜夫 詩文撰」(共和国) を紹介していた。
https://twitter.com/Aoyama_book/status/681734488477405185

◎出版社で雑誌広告に携わっているのであれば、「戦争と広告」の馬場マコトによる「朱の記憶 亀倉雄策伝」(日経BP社)ぐらいは読んでおきたいところだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/lab/kamekura/index.html

◎「ニューズウィーク日本版」 元編集長の竹田圭吾膵臓癌で亡くなった。享年51歳。
http://mainichi.jp/articles/20160111/k00/00m/040/102000c
http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/10/obituary-of-keigo-takeda_n_8948656.html

◎茅花舎は内田清子による茅ヶ崎のひとり出版社。料理本がメインだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201601/CK2016011102000126.html
内田は小学館で、こんな仕事をしている。
http://blog.bookpeople.jp/kasaneni/

◎1年前の本だが「現代思想」2015年2月増刊号『網野善彦』!刺激的な文章が並んでいた。
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791712915
網野善彦平泉澄」って魅力的なテーマだと思うんだよなあ。

◎あゆみBOOKS小石川店の「公開書簡フェア」に注目だ。
https://twitter.com/ttori810/status/686196669663186944?lang=ja
これは久禮 亮太のツイート。
「往復書簡は、文庫や芸術書を担当している有地(あるち)くんといいます。店長ではないのですが小石川に長くいて、いろいろ面白いことをやっています。『書肆choose your weapon』と名付けたショップ・イン・ショップをやっています 」
https://twitter.com/ryotakure/status/686391860466561025

博報堂は、グロービス・キャピタル・パートナーズが組成する第5号ファンド「グロービス5号ファンド投資事業有限責任組合」への出資を行った。「グロービス5号ファンド」は、モバイルや通信といったネット関連のIT企業や非ITセクターによるIT活用を中心に投資する方針を掲げ、具体的には、ITとの融合サービスが進む金融(Fintech *1)領域やヘルスケア領域に加え、ITを使った教育領域に重点を置く計画を進めている。
*1:Fintech=Finance(金融)とTechnology(技術)を合わせた造語
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/25194

筑摩書房から刊行された橘玲「『読まなくてもいい本』の読書案内」が意外にも面白かった。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480816795/
「はじめに」が橘の公式ブログで公開されている。
http://www.tachibana-akira.com/2015/11/7001
橘は宝島社の元編集者。

◎「DRESS 」の山本由樹が「QREATORS 」で次のように語っている。
「紙というものの価値が落ちている時代だからこそ「紙はいいよね」というジャンルはこれからも残ると思いますよ。
そこはこれからも追求していきたいと考えていますが、そういう志向を持つ人はもうマジョリティではなくなった、ということですよね。
今までの紙媒体とその編集者は、上質なコンテンツを届けようとがんばってきました。
しかしプロが作り上げる上質なコンテンツが必要とされているか、読者にウケるのか、と言えばそういう時代でもない。
にも関わらず、まだまだ紙の編集者は質を上げることにこだわっている現状があります」
http://qreators.jp/content/398
山本は「プロの考える上質な情報より、個人が発信するリアルな情報のほうがよほど説得力を持っている、今はそういう時代ですよね 」とも語っているが、私流儀の言い方をさせてもらえば、人々は垂直軸のコミュニケーションではなく、水平軸のコミュニケーションを求め始めたということなのである。
リクルートキャリアの西村創一朗が「『紙からWebへ』という単純な図式で捉えるのは誤りで、いわゆる分散型メディアの一角として、雑誌をどう捉え、他のメディア(リアルな場も含めて)と連動していくか?を考える時代になった」と反応しているが、これもその通りだと思うよ。
https://newspicks.com/news/1336220/
「紙」を物神化してはなるまい。時代から「疎外」されるだけである。

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載の堀越耕平僕のヒーローアカデミア」がテレビアニメ化され、4月よりMBS・TBS系28局ネットの“日5枠”(毎週日曜 17:00)で放送されることになった。
http://news.mynavi.jp/news/2016/01/11/142/

◎1月9日付琉球新報に掲載された専修大山田健太教授のメディア時評「<メディア時評・新聞の軽減税率適用>政治との距離に疑念 当事者による理屈説明を」は「なぜいま新聞だけに軽減税率を適用するのかが見えてこない」と至極真っ当な指摘をしている。こうした発言を朝日新聞も読売新聞も毎日新聞も日経も産経も東京も全く掬い取ろうとしていないところが新聞ジャーナリズムのうさん臭さである。
「巷間では政権との貸し借り論があふれている。実際にそのようなことはないと信じたいが、そうした疑いを持たれること自体、ジャーナリズムとしては失格である。それは即、信頼の喪失につながるからだ。
 こうした疑念を持たれないためにも、なぜ軽減税率の対象になったのかを、メディア自身が『調査報道』によって明らかにし、きちんと理屈を立てる必要があるだろう」
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-201041.html

日本経済新聞がリリースしている英文アプリ「LissN」は月額360円。記事は1日5本配信され、日本語訳とネイティブスピーカーの読み上げ機能がついている。
http://www.appbank.net/2016/01/09/iphone-application/1148588.php

◎NHKのアナウンサー塚本堅一容疑者が、危険ドラッグ所持の疑いで厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕された。
http://mainichi.jp/articles/20160111/k00/00e/040/172000c
http://moneytalk.tokyo/lifestyle/4578

デビッド・ボウイ死す。アルバム「ジギー・スターダスト」は傑作としか言いようがなかった。ニコラス・ローグ監督の「地球に落ちてきた男」はボウイなくしては、あり得ないSF映画であった。大島弓子が作品でデビッド・ボウイをよく引用していたっけ。何で大島のコメントを新聞は取らないのか不思議だ。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1C625VJ1CUCVL010.html

◎高知出身の坂本嘉治馬冨山房を創業したのは二十歳になる直前のことだったのか!
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=350211&nwIW=1&nwVt=knd

◎本屋Title、さすがである。
「初日に売り切れた編集グループSUREの本も再入荷。鶴見俊輔『「思想の科学」私史』、山田慶兒『コーランを読んでみよう』など。井筒俊彦コーラン』などと併せて、イスラムの根本的な理解を」
https://twitter.com/Title_books/status/686748157036728320
「沖縄のボーダーインクから、沖縄本が届きました。ちょっと時間がかかったのが、日本列島の長さを感じさせます。珍しい本も多いので、ぜひ店頭にてお確かめください」
https://twitter.com/Title_books/status/686747251532664833
http://www.borderink.com/

◎「女性自身」ムックとして刊行された「ねこ自身」がニャンと累計8万2千部のヒットとなった。
https://twitter.com/nekojisin/status/685010134041427968
ちなみに「ねこ自身 公式」はライ・クーダーリツイートされているんだって(私にとっては「パリ、テキサス」のライ・クーダーである!)。
「先ほどのツイートを『ローリングストーン誌の選ぶ最も偉大な100人のギタリスト』8位のライ・クーダーさんがリツイートしてくれました。どういう経緯でこの写真を見たのか見当もつきませんが、奇跡を呼ぶねこ・ニャン吉、すごすぎです(編集Y)」
https://twitter.com/nekojisin/status/685343549919854592
この「ねこ自身」なんかデジタルシフトして、ソーシャル化できるんだけれどなあ。私たちの新戦力たる今井八朔も紹介しておこう。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=940964075957579&set=a.590931657627491.1073741825.100001319874238&type=3

ホーチミン市1区ベンゲー街区グエンバンビン通りで9日、書店専門街「本通り」がオープンしたという。「書店20か所のほか、ブックカフェやキオスク、子供向けの遊び場、ギャラリーなども設けられている」のだそうだ。行ってみたい。
http://www.viet-jo.com/news/social/160111060909.html

◎ヴィクトリア本店と三省堂神保町本店がコラボする。1月16日に三省堂神保町本店で「雪旅トーク」を開催。長野が舞台の大河ドラマ真田丸」にちなんで歴人マガジン副編集長らのゲストが、物語の舞台である雪国の魅力的なスポットを案内する。ヴィクトリアは、旅の達人エルブレス御茶ノ水店の店長が雪旅を快適に楽しめる装備品を紹介する。1月16日(土)から、ヴィクトリア本店 エルブレス御茶ノ水店 三省堂神保町本店の店頭で応募ボックスを設けスポーツギフト券または図書券が、それぞれ抽選で25名に当たる抽選企画も実施する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000333.000004149.html

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4)【深夜の誌人語録】

妄想であったとしても、リアリズムに裏付けされた理想主義を模索したい。