【文徒】2019年(令和元)6月5日(第7巻97号・通巻1517号)


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1)【記事】ジャーナリズムを支える新エコシステムを模索するスローニュースの設立
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.6.5 Shuppanjin

1)【記事】ジャーナリズムを支える新エコシステムを模索するスローニュースの設立

スマートニュースは、子会社「スローニュース株式会社」を設立した。スローニュースの代表取締役には瀬尾傑が就任する。スローニュースは、ジャーナリズムの分野において重要視されている「調査報道」と、それを支えるジャーナリスト、メディアの活性化を目的に設立された。その最初の取り組みとして、「調査報道支援プログラム」をスタートさせる。
瀬尾傑は1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。88年 日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。 経営企画室、「日経ビジネス」編集部など を経て退職。 93年 講談社入社。「月刊現代」、「FRIDAY』」「週刊現代」各編集部、ジャーナルラボなどを経て、「現代ビジネス」創刊編集長、第一事業戦略部部長などを歴任。2018年8月にスマートニュースに入社、同年8月に設立した「スマートニュース メディア研究所」の所長に就任し、ジャーナリズムの発展や調査報道の支援に従事。19年2月にスローニュース株式会社代表取締役を兼職。19年4月より、インターネットメディア協会代表理事を務める。
https://kyodonewsprwire.jp/release/201905306974
ジャーナリズムを支える新しいエコシステムをつくり出そうという意欲的な取り組みである。第1期プログラムの参加ジャーナリスト・団体はフロントラインプレス合同会社とメディカルジャーナリズム勉強会。
フロントラインプレス合同会社フリーランスのジャーナリストらが「チーム」として調査報道に取り組むため、設立された。元北海道新聞記者で北海道警察北海道庁の裏金問題で新聞協会賞、菊池寛賞などを受賞した高田昌幸(現・東京都市大学メディア情報学部教授)を中心に、約30名のジャーナリスト、カメラマン、編集者らが所属する。
https://frontlinepress.jp/
メディカルジャーナリズム勉強会は2016年にメディア関係者と医療者の有志により発足、メディアと医療者、当事者、支援者などが垣根なく、医療健康情報のよりよい発信手法について学びあうことを目的に活動し、医療健康情報の発信に関するイベントやセミーを定期的に開催している。
https://medicaljournalism.jp/
「日報隠蔽 南スーダン自衛隊は何を見たのか」(三浦英之との共著・集英社)で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞した布施祐仁が早速反応している。
「素晴らしい。公募されたら、ぜひ応募したい。このように調査報道を支援する動きが様々な形で広がっていってほしい」
https://twitter.com/yujinfuse/status/1135471577145925632
BuzzFeed Japanシニアフェローの吉田大輔の評価も高い。
「調査報道を支援する団体は世界に複数ある。ICIJとかIREとかGIJNとか、NiemanとかKnightとかも。日本でも動きが広がるの素晴らしい。僕もいろんな方法でこういう動きに貢献したい」
https://twitter.com/masurakusuo/status/1135466168305586176
中公新書ラクレ ONLINE」が瀬尾傑と成毛眞の対談「講談社社員が給料『減』でも転職したワケ ミドルの『決断』で最も大事なものとは?」を掲載している。次のようなやり取りが掲載されている。
「【成毛】今、講談社を辞める人は多いですか?
【瀬尾】 そうでもないです。とてもいい会社ですからね。僕の後だと、VRの担当者とITベンチャー投資担当の若者が辞めたくらいかな。
【成毛】 インターネットの世界に触れた人から脱出、みたいな。より面白い世界があるのを知ってしまうとね。似て非なる業界ですが、出版に閉塞感があるだけに、そっちが面白くなっちゃう。瀬尾さんが辞めたとき、社内の反応ってどうでした?
【瀬尾】 年上の人は『なぜ辞めるのか』って訊ねてきました。『そういえば瀬尾の実家、医者だしな』とか。えっ、関心がそこなの、という感じでしたが。ある世代以上からすると、関心が『なぜ会社を辞めるという決断をしたのか』なんですよね。逆に若い世代だと、『次に何をするという決断をしたのか』になる。若い社員は、今もよく『お昼食べに行っていいですか』とかいって、話を聞きに来ます」
http://www.chuko.co.jp/laclef/online/interview/150660_112397.html
「ある世代以上」からすると高給に目が眩み次に何をするかなど、どうでも良くなってしまうのだろう。高給さえ保証されれば、それで良しと。

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2)【本日の一行情報】

小学館の少女まんが誌「ちゃお」が運営している公式YouTubeチャンネル「ちゃおチャンネル」のチャンネル登録者数は10万人を突破し、総再生回数5,470万回、総再生時間は2億分に到達した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000302.000013640.html

長岡弘樹の小説 「教場」「教場2」(小学館)が、 フジテレビ開局60周年特別企画として、2020年新春に二夜連続放送でドラマ化される。舞台は警察学校、主演は木村拓哉脚本は「踊る大捜査線」の君塚良一という布陣。
https://www.oricon.co.jp/news/2136746/full/
https://www.fujitv.co.jp/kyojo/

東宝とサンリオは、集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載中のマンガを原作とするTVアニメ「僕のヒーローアカデミア」とサンリオキャラクターがコラボすることを決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000037629.html

鴻巣友季子はカトリーヌ・ムリス著、大西愛子訳「わたしが『軽さ』を取り戻すまで “シャルリ・エブド”を生き残って」(花伝社)を「週刊ポストの書評で取り上げ次のように書いている。
「同テロに対するデモでフランスの人々が叫んだのは、『自由、平等、ユーモア!』だった。苦しみの極限でも発揮されるユーモアに、彼らの強靭な知性を感じる。主人公は何によって『軽さ』をとりもどすか? 本作の紹介に尽力した訳者に感謝したい」
https://www.news-postseven.com/archives/20190602_1379119.html

スペシャルウィークを廃止したTBSラジオの三村孝成社長が「PRESIDENT Online」に登場。「王者TBSラジオが社内改革を止めないワケ」で次のように語っている。
「ここ10年の広告主の変化があります。広告主が求めるものは2カ月に1回の数字ではありません。「『たまむすび』という番組にはリスナーが100万人います、半分が男で半分が女です、年齢はこういう分布です」というだけでは、媒体として評価してもらえません。「じゃあ車が好きな人、月に1~2回ドライブする人は何人ぐらいいるんですか?」と訊かれるわけです。
そういったリスナー属性をリアルタイムで分析するには、ラジコを使うしかない。ラジコはインターネットですから、そういう分析はどんどん進化するはずです。それならスペシャルウィーク聴取率金科玉条のように目標にする必要はありません」
https://president.jp/articles/-/28849
雑誌広告関係者も三村の発言から学ぶべきことは多いはずだ。

◎これまでも、船井電機とNTT ぷららは、NTT ぷららが運営している映像配信サービス「ひかりTV」を船井電機のテレビに提供するなどの連携をしてきたが、新たな業務提携に踏み出すことになった。船井電機の「長年培ってきた映像技術とグローバルな生産体制」と NTT ぷららの「ネットワーク通信技術や映像配信サービスに関するノウハウ」を掛け合わせ、家庭の生活プラットフォームとなる新しい製品とサービスを提供していくことになる。両社は今後、5G 時代を見据え、あらゆる人とモノとコンテンツがつながる、いままでにない事業の創出に取り組むという。
https://www2.funai.co.jp/usr/dl.php?path=http://www2.funai.co.jp//images/news/1559519307/1559519307_4.pdf

一迅社は、「私に天使が舞い降りた!」のイベントショップを新宿マルイアネックスに6月27日(木)~7月8日(月)の期間限定でオープンする。
https://www.atpress.ne.jp/news/185185

◎ロイターによればアマゾンは格安携帯キャリアの「Boost Mobile」の買収に興味を示しているようだ。
https://jp.reuters.com/article/us-sprint-corp-m-a-t-mobile-amazon-com-e-idUSKCN1T02OV
「Forbes JAPAN」が公開した「アマゾンの『通信キャリア』参入で予測される巨大な衝撃」は、次のように書いている。
現代の音楽消費の大半はモバイルで行われている。スマートスピーカー市場のリーダーであるアマゾンが、モバイルの音楽ストリーミング市場の地盤固めに乗り出すのは自然な流れだ」
https://forbesjapan.com/articles/detail/27588

サイバーエージェントは、デジタルインファクトと共同で実施した「店舗集客型デジタル広告(O2O広告)」の市場動向調査によれば、2019年の店舗集客型デジタル広告市場は、昨対比約2倍の405億円に成長し、2024年には2019年比約6.4倍の2,586億円に到達見込みであるとした。
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=23249

サイバーエージェントは、短尺に特化したオンライン動画広告の企画・制作を行う連結子会社として、「株式会社6秒企画」を6月3日に設立した。テレビよりもスマホのほうが時間の流れ方が速いのだ。
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=23267

楽天は、7月31日(水)から8月3日(土)の計4日間、パシフィコ横浜にて、楽天グループのエコシステム(経済圏)の概念とサービスへの理解促進、ブランド価値の向上を目的としたイベントであり、楽天グループとして史上最大規模のイベントである「Rakuten Optimism 2019」を開催する。
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2019/0603_02.html

◎プレジデント社から刊行された「社会学用語図鑑」は私も重宝している。
https://presidentstore.jp/category/BOOKS/002311.html
社会学が何故大切かというと上野千鶴子がセクハラを事例にして説明しているように「カテゴリーができると、パラダイムが変わる」のである。
https://president.jp/articles/-/28787

◎Amaziaが運営するフリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」の累計ダウンロード数が5月に1,000万件を突破したそうだ。Amaziaは2015年10月にメディアドゥと資本業務提携したことを契機に提携出版社及び配信作品を増やすとともに2018年1月からは一部原稿料を当社が負担するという形で、出版社等と協業して「ドラゴン桜2」「ガンニバル」等の新作マンガの制作にも注力してきている。
https://amazia.co.jp/news/notice/%e3%83%95%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%9f%e3%82%a2%e3%83%a0%e5%9e%8b%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ac%e3%82%a2%e3%83%97%e3%83%aa%e3%80%8c%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%acbang%e3%80%8d%e7%b4%af%e8%a8%881000%e4%b8%87/

◎学研プラスが運営するダイエット&フィットネス&ヘルスケア情報WEBメディア「FYTTE」 https://fytte.jp/ は、昨年3月にフルリニューアルしたところ、急速に拡大し5月には、月間1100万PV、300万ユーザーに到達したという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002211.000002535.html

◎どんなジャンルの本でも「広告」という二字がタイトルにあれば買いに走るのは私の習性なのかもしれない。学研プラスは、ティーンズ館シリーズ『よろしくパンダ広告社』(間部香代:作 三木謙次:絵)を刊行した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002206.000002535.html

◎「ダ・ヴィンチニュース」が「業務用携帯を握ったまま過労死した元NHK記者、佐戸未和さん(享年31)を忘れてはいけない」を公開し、岩波書店から刊行された尾崎孝史の「未和 NHK記者はなぜ過労死したのか」を取り上げている。
「ベッドで横たわったままの未和さんの手には、業務用携帯が握られたままだった。
しかし、数日の無断欠勤状態にもかかわらず、参院選後とあってか、未和さんのことを気にしたNHK職員はいなかった。
その変わり果てた姿を発見したのは、丸2日連絡がつかないことを不審に思って駆け付けた、遠距離恋愛中の婚約者だった。しかも、婚約者はその間に一度、連絡がつかない異常事態をNHKに電話で連絡している。にもかかわらず、未和さんは放置されたのだ」
https://ddnavi.com/review/539918/a/
現代の奴隷工場のようなマスコミの現場は決して少なくあるまい。

津原泰水が次のようにツイートしている。
「『日本国紀』関係者に意見交換の意思はないらしく、幻冬舎社長見城徹さんはツイッターからの撤退を宣言、著者・百田尚樹さん、編集者・有本香さんは僕をブロックなさいましたが、これまでに散見された不都合な存在を侮辱や悪評の流布で貶める手法には、徹底して抗戦して参りますので、ご報告宜しく」
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1135651556559167488
私の場合は、掲載の記事に根拠のない言いがかりをつけ、これまでつづいてきた取引をビジネスにおける公式書の体をなさない失礼極まりない章で切り捨てるという暴挙に出た講談社の渡瀬昌彦常務取締役と乾智之広報室長という「黒幕ウソツキスト&実行犯ゴロツキスト」に対して徹底的に抗戦することにする。
「八九六四」(KADOKAWA)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した安田峰俊のツイート。
「100田氏&見●氏(出版業界)や松本氏(芸能界)に限らず、ある業界の偉い人がヤバい言動をおこなった場合に同じ業界の人がそれを非難するのは相当の勇気と正義感が要るのよな。自分が直接攻撃されているなら戦うしかないけれど、そうじゃない場合にたしなめるともなれば」
https://twitter.com/YSD0118/status/1135524148371869703

◎「創作表現規制に反対する10代の会」が国連に送ったパブリックコメント!これは読んでおく価値がある。カネ儲けは悪いことではないのだろうけれど、カネ儲けのことしか考えられなくなったら商業出版の堕落し、出版化は頽廃する。その按配を綱渡りするのが商業出版に身を置く編集者の役割なのである。
http://hantaisuru10dai.livedoor.blog/archives/16385532.html

毎日新聞社で早期退職の募集が開始された模様だ。リストラなう!である。部長職以上は7月まで、一般社員は12月までの募集となる。50代前半の記者だと約2000万円の退職金が積み増しになるようだ。

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3)【深夜の誌人語録】

不良を気取ったところでサラリーマンは所詮サラリーマンである。