【文徒】2016年(平成28)4月6日(第4巻64号・通巻751号)

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1)【記事】出版情況への提言 コンビニの動向に気をつけたい
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版情況への提言 コンビニの動向に気をつけたい

客 ユニーが夢屋書店の店名で運営する57店舗のうち36店舗が日販のグループ企業に運営してもらうテナント方式に切り替わることになった。
主 ユニーからすれば書店は儲からないということなんだろうな。これはユニーに限ったことではないだろう。異業種から進出して来た書店は、撤退する方向にあると言って良いのではないだろうか。といって異業種が出版物に関心を示さなくなったかといえば、救いはそうじゃないことだ。ただ、無印良品など典型だけれど、「本を売る」ではなく「本も売る」というアプローチが主流になるはずだ。
客 一昔前まで、コンビニの雑誌売り場には人だかりができていたけれど、最近はいつ行ってもパラパラとしかいない。
主 ユニーとの絡みでいえば、コンビニの動向には気をつけたいよね。今後、雑誌売り場を大胆に縮小してしまう可能性があると思うんだよね。コンビニを支配しているのは効率主義だから、雑誌売り場の効率が悪いとなれば、やり方を変えるのは当然のことだろう。
客 そこはドライだろうね。雑誌のラックは手間もかかるしね。
主 そうなんだよ。コンビニは出版社に対して、雑誌でも書籍でもPB商品の供給を求めて来るのではないだろうか。例えば、セブン‐イレブンならセブン‐イレブンでしか買えない文庫というようにさ。当然、出版社の取り分を抑えて、コンビニの粗利をグンと増やすようなカタチでね。こういうところからも再販制は揺さぶられてくることになるやもしれない。
客 これまでもそういう動きはあったものなあ。
主 それがもっと露骨になると言ったら良いのかな。出版社はコンビニ弁当の工場と同じような状態に置かれかねないと思うんだ。出版社は薄利を強要されるということさ。

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2)【本日の一行情報】

◎マンガ家も大変なんだなあ。マンガ家に限らず、日本にはエージェント制がないから、作家にとって編集者がいつも「味方」であるとは限らないのである。江川達也フェイスブックで「週刊少年ジャンプ」の担当編集者に裏切られた過去を明らかにした。しかし、担当編集者からすれば、別に江川のエージェントであるわけではないのだから、江川を裏切ったとは思っていまい。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=522969317906031&id=100005789020536
http://news.livedoor.com/article/detail/11372273/

◎フジテレビは、同社のニュースメディア「ホウドウキョク」のニュース映像をエイベックス通信放送が運営し、NTTドコモが提供する月額500円の定額制映像配信サービス「dTV」に提供を開始した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000556.000000084.html

◎NHK朝の連続テレビ小説とと姉ちゃん」がスタート。主人公は「暮しの手帖」を花森安治とともに創刊した大橋鎭子だ。「暮しの手帖」元編集部員の唐澤平吉が「NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」のモデルとは?」を「YOMIURI ONLINE」に発表している。美智子皇后も愛読者のひとりだったのか!それにしても皇后が次のような発言をしていたとは不勉強にして知らなかった。
「この1年も多くの親しい方たちが亡くなりました。阪神淡路大震災の時の日本看護協会会長・見藤隆子さん、暮しの手帖を創刊された大橋鎭子さん、日本における女性の人権の尊重を新憲法に反映させたベアテ・ゴードンさん、映像の世界で大きな貢献をされた高野悦子さん等、私の少し前を歩いておられた方々を失い、改めてその御生涯と、生き抜かれた時代を思っています」
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160404-OYT8T50080.html?page_no=1

大阪屋栗田〜OaK出版流通〜がスタート。ポイントは東京、大阪の二本社体制をとったこと、日販の加藤哲朗専務が特別顧問となったことだろう。
http://www.osakaya.co.jp/newsrelease/archives/1

◎光文社の写真週刊誌「FLASH」の先週号(4月12日号)に掲載された「巨大権力局NHK『カネ』『出世』『オンナ』大調査」がネットで話題になっている。NHKの人件費と福利厚生費を合算すると1800億円になり、これを職員数約1万人で割ると、ひとり1800万円になるそうだ。
http://biz-journal.jp/gj/2016/04/post_167.html

日本テレビは2015年度の平均視聴率で「三冠」を達成した。二年連続である。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04H3U_U6A400C1000000/

NHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」の主題歌も、日本テレビのニュース番組「NEWS ZERO」のエンディングも音楽活動を再開した宇多田ヒカルの新曲だ。
https://33man.jp/article/000976.html
「ぴあMUSIC COMPLEX Vol.4」が宇多田ヒカルを特集している。何と「絶景のポリフォニー」の石川竜一とのコラボを実現している。

毎日新聞社ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は4日から、デジタル分野での提携を本格スタートさせた。毎日新聞のデジタルサービスの有料会員(デジタル毎日、愛読者プレミア)であれば、ニュースサイト「毎日新聞」内で、WSJのコンテンツを追加料金なしで閲覧できるようになる。
http://mainichi.jp/articles/20160404/ddm/010/040/053000c
毎日新聞は良い提携をしたと思う。

◎450 万ダウンロードを突破し、1 日約 100万人が訪れる小学館のコミックアプリ「マンガワン」と深夜のアニメ枠「アニメイズム」(MBS、TBS、CBCBS-TBS)は、4月クール枠で放送される「迷家マヨイガ‐」、「マギ シンドバッドの冒険」にてマンガとアニメの連動企画を実施する。
迷家マヨイガ‐」は、アニメと並行してコミカライズを進める。1話放送前の 4 月 8 日(金)24:00 に「マンガワン」でしか読めない前日譚・0話も配信する。「マギ シンドバッドの冒険」は、「マンガワン」で連載中の人気作品のテレビアニメ化であり、さらに更新曜日を水曜日からアニメ放送曜日金曜日 24:00(土曜日 0:00)へ移動する。
http://news.mynavi.jp/news/2016/04/05/002/

アメリカ大統領選でも、いかにソーシャルメディアを使うかが重要なようである。「WIRED」が掲載した「ヒラリーを支持するミレニアル世代の、ある肖像」に次のような記述がある。
「…サンダース陣営では、巧妙なオンライン戦略が敷かれている。ミレニアル世代の若者の支持者たちがハッシュタグ・#FeeltheBernを使ったストリーミング配信を活用し、常にソーシャルメディア・ストリームで大量の情報を発信できている。(中略)
ヒラリーの集会に出席した30歳の起業家、アシュリー・ビーレは『#ImWithHer』というアプリを草の根運動で立ち上げた。(中略)そのアプリを使えば、ほかのヒラリー支持者とつながって、ヒラリーにまつわるニュースや情報を得たり、地元でのイヴェントを見つけたり、選挙政策を調べたり、「ヒルフィー」(大まかに訳すなら、ヒラリーとの“自撮り”)をサポーターたちと共有したりできる。」
http://wired.jp/2016/04/04/millennials-for-hillary-have-a-plan/

◎LINEは、小学館集英社プロダクションへ委託していたLINE公式キャラクターのライセンス管理業務を4月1日(金)より自社へ移管した。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1313

◎「楽天GORA」の新感覚ゴルフ雑誌「GREENGORA」(グリーン・ゴーラ)と、幻冬舎の女性向けファッション誌「GINGER」が、第1回「ゴルコン」を開催する。「ゴルコン」とは「ゴルフ合コン」である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000178.000007254.html

◎ ?3日、東京・渋谷ヒカリエを会場にして、宝島社の女性ファッション雑誌「sweet」が主催するファッションイベント「sweet collection 2016」が開催され、AKB48小嶋陽菜紗栄子、大屋夏南、佐藤栞里らが登場した。
http://mdpr.jp/news/detail/1575491
紗栄子は「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの前澤友作社長と交際している。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20160403-OHT1T50143.html

◎サービス開始で年商100億円。クルーズが運営するファストファッションの通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」が好調だ。クルーズはゲームアプリを製作している会社であり、月間700万人が利用する女性に特化したブログメディア「CROOZ blog」も運営している。「SHOPLIST.com by CROOZ」が急成長できた要因のひとつは、このブログメディアを背景にしているからであろう。
http://eczine.jp/article/detail/2937
http://crooz.co.jp/

日本雑誌協会人権 ・ 言論特別委員会と日本書籍出版協会 出版の自由と責任に関する委員会は「堺市有害図書類を青少年に見せない環境づくりに関する協定』に対する声明」を発表した。
http://www.j-magazine.or.jp/doc/20160404.pdf

古屋兎丸のマンガ「帝一の國」が実写映画化され、主人公を菅田将暉が演じる。原作は「ジャンプスクエア」5月号をもって完結した。
http://natalie.mu/comic/news/182167

◎一橋大名誉教授の安丸良夫が死去。「出口なお」や「一揆・監獄・コスモロジー 周縁性の歴史学」から私は多大なる影響を受けている。「現代日本思想論 歴史意識とイデオロギー」で吉本隆明を高く評価していることに驚いた記憶もある。
一揆・監獄・コスモロジー 周縁性の歴史学」では「飢えた窮民が各地域で富豪の家をつぎつぎに襲う打ちこわしに転化した」甲州騒動を取り上げている。「出口なお」のあとがきでは「私の立場は、一言で言えば、個別的なものを歴史的全体性の光で照しだすとともに、歴史的全体性を個別的なもののあり方を通して把握しなおしてゆこうとするもの」だと述べている。
http://mainichi.jp/articles/20160405/k00/00m/060/011000c
「別冊 歴史読本」で朝倉喬司との対談を企画したことがあるんだよね。
http://goo.gl/1zZIQr

◎光文社の「GF」。
http://girlsf.jp/icon
こういうウエブサイトも良いだろう。まず習うより慣れろなのだから。ただ、私であればウエブ版「ねこ自身」を立ち上げてしまうけれど。あれウエブ向きだもの。いずれにしてもデジタルシフトによって「女性自身」や「FLASH」が蘇える可能性があるのは間違いない。ともかく手数を増やすことだ。

朝日新聞社は、英語ニュースサイト「The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch」(AJW)」を無料化した。
http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/44717/

サイバーエージェントは、アドテクノロジー商品の開発を行うアドテクスタジオで国内最大規模のアドネットワーク「AMoAd」で、集英社が提供するスマホアプリ「ONE PIECE 無料連載公式アプリ」と提携した。この提携により、「AMoAd」に出稿している企業は、新たに「ONE PIECE 無料連載公式アプリ」へ広告配信することが可能となる。
http://adtech.cyberagent.io/pr/archives/2393

◎エブリスタは、4月4日(月)より、集英社の「JUMP j BOOKS」編集部とエブリスタによる新しいレーベル「jBOOKS×エブリスタ」を「E★エブリスタ」上で公開した。「JUMP j BOOKS」の人気作が順次無料で公開されていくそうだ。
http://estar.jp/.pc/label/jbooks
http://www.gamespark.jp/release/prtimes/20160404/20559.html

主婦の友社とウィルゲートは、両社が運営する「暮らしニスタ」をニュース閲覧アプリ「SmartNews」(スマートニュース)の「チャンネルプラス」に加えた。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/9431/

蛯原友里高垣麗子が「AneCan」(小学館)を卒業することになった。「ドマーニ」に活躍の舞台を移すことになるのだろうか。それとも一気に「プレシャス」か…。蛯原と高垣の動向は、小学館の女性ファッション誌戦略にとって極めて重要な意味を持つはずだ。
http://anecan.tv/news/model/-yuri/yurireiko01.html

◎「@BAILA」が指摘するように「キャッチ=22」の新装版がかっこいい。装幀は川名潤。
https://baila.hpplus.jp/lifestyle/l_editors_eye/2998?utm_content=bufferd3e2e&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

◎「少年ジャンプ+」(集英社)は、「聴くジャン」としてボイスドラマの提供を無料で開始した。
http://animeanime.jp/article/2016/04/04/27872.html

◎神保町花月は、神保町シアター三省堂書店とタッグを組み「大阪」をテーマとした「桂文珍的ココロ『神保町大阪文化祭!』」を4月23日(土)から5月7日(土)まで実施する。
http://natalie.mu/owarai/news/182370

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3)【深夜の誌人語録】

「どうしよう」と狼狽えるのではなく、「こうしよう」と提案することが大切である。