【文徒】2016年(平成28)年12月7日(第4巻228号・通巻915号)

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1)【記事】「WELQ」余震はつづく──遂に「MERY」も全面非公開へ
2)【記事】八戸ブックセンターがオープン
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.12.7.Shuppanjin

1)【記事】「WELQ」余震はつづく──遂に「MERY」も全面非公開へ

WELQ」余震というべきなのだろう。サイバーエージェントのサイトでも一部の記事を「非公開」としたようだ。「ねとらぼ」の「キュレーションメディアで記事の削除・非公開化続く『Spotlight』『by.S』でもでも一部記事を非公開に」は次のように書いている。
サイバーエージェントの担当者によると、運営する『Spotlight』『by.S』でもWELQの件を受けてあらためて掲載中の記事を精査。もともと『Spotlight』には約10万件の記事がありましたが、その中で今回非公開になったのはおよそ数千件。『by.S』に関しても約3万5000件あった記事に対し、数パーセントにあたる記事が非公開となっているとのこと。今回非公開となった記事は登録ライターによって書かれた記事で、十分に確認できない情報が含まれる可能性があるものに対し行われたもの」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/05/news084.html
DeNAのキュレーションメディアほど、「不良記事」は多くない。いかにDeNAが「不良記事」に依拠していたビジネスを展開していたかがわかる。
リクルートも「グルメや美容などの情報サイト『ギャザリー』で健康に関する約1万6000の記事を一旦非公開にした」(日テレNEWS24)。
http://news.livedoor.com/article/detail/12376460/
MERY」も全記事が12月7日から完全に非公開になる。
https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/dena-mery?utm_term=.ncMlRglWyO#.quvVwLVXgb
紙版の「MERY」のみ書店に並ぶことになる。広告会社は真っ青だろうなあ。この一連の問題で名前をあげたのは「BuzzFeed」であることは間違いあるまい。
サンリオが「MERY」とのコラボ企画を取り下げた。「withnews」の「サンリオが『MERY』とのコラボ撤回」は次のように書いている。
「サンリオは『DeNA内部で今後の方針が定まっていない。仮にキャンペーン途中でMERYが非公開になれば、お客様にご迷惑がかかる』と判断。コラボの取り下げをDeNAに依頼し、12月3日からキャンペーンの内容を変更しました」
http://withnews.jp/article/f0161206003qq000000000000000W03610701qq000014387A
今回の件を踏まえて「だからネットメディアは駄目なのだ!」と短絡的に考える紙のメディアの住人も少なくないのかもしれないが、残念ながら歴史に逆行はあり得ないのである。

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2)【記事】八戸ブックセンターがオープン

青森県八戸市が運営する「八戸ブックセンター」がオープンした。北海道新聞は次のように書いている。
「ブックセンターは、地元企業が再開発した4階建ての複合ビル『ガーデンテラス』の1階に開店した。315平方メートルの店内には、海外文学や自然科学、芸術など、専門書を中心に約9千冊をそろえている。整備費は1億1千万円。
読書用の椅子が各所に配置されており、売店で買ったソフトドリンクやアルコールを飲みながら、本を読むことができる。物書きするための『カンヅメブース』や、読書会用の専用部屋もある」
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/donan/1-0345122.html
こちらは河北新報
「…カウンターで買ったコーヒーを片手に本と触れ合える。読書席として同市出身の作家三浦哲郎さんの文机部屋を再現したコーナーやハンモック席が用意された」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161204_23007.html
コーヒーばかりではなく、アルコールも提供するという。
「店内ではアルコールを含む飲み物も販売し、椅子に掛けてくつろぎながら購入前に本を読める空間にした」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161205-OYT1T50000.html
「GetNaviweb」も八戸ブックセンターを紹介している。
「『八戸ブックセンター』の運営を支えるのは、もちろん市民の税金。年間の運営費は約6000万円程かかる見通しだ。ただ、この年間運営費に対し、売り上げの目標金額は2000万円。毎年約4000万円の赤字がでる計算になり、この赤字分は市の負担となる」
http://getnavi.jp/entertainment/89301/
Web東奥は次のように書いている。
「地元書店も運営に協力することにしており、関係者は『本との出合いの場が増え、本そのものへの興味が広がってくれれば』と期待を寄せる。一方で、『利用客が限られ、公共サービスとして公平でない』と、批判的な意見もある」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161126-26103343-webtoo-l02

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3)【本日の一行情報】

KDDIBSジャパン、バスキュール、HAROiDの4社は、スマホとテレビを連動させたWebサイト「流星放送局」を12月15日まで開局している。ふたご座流星群も楽しむことができるのだそうだ。
http://response.jp/article/2016/12/02/286362.html

産経新聞ソウル支局長が2014年に名誉毀損で在宅起訴されたが、韓国大統領府が「産経を懲らしめなければ」と捜査指示を出していたという。
「当時、加藤氏への任意聴取や起訴は、市民団体の告発を受けて行われたとされていた。メモにより、検察が捜査を始めた背景に、大統領府の指示があった可能性が強まった」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201612/CK2016120302000127.html

内田理央集英社から刊行した二冊の写真集「だーりおといっしゅうかん。」「だーりおのいっしゅうかん。」は、ともに発売後に即日重版となったそうだ。
http://mainichi.jp/articles/20161203/dyo/00m/200/001000c

◎「週刊文春」の特集デスク・渡邉庸三がTBSラジオ「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!」に12月10日と17日の二回にわたって出演する。
http://www.tbsradio.jp/97098
「文春砲」関係者は引っ張りだこなんだろうな。

◎「HARBOR BUSINESS Online」に掲載された「カドカワ、業績好調な巨大メディアグループで問われる伸び悩み『ドワンゴ』の真価」は、次のように指摘している。
「利益構造を見ても、売上原価がかさみ、ほとんど利益が出ていないことがわかる。衰退傾向にある出版業界と成長著しいIT業界だが、両者の融合を試みるカドカワにおいては、逆転現象が起きているのだ」
https://hbol.jp/118842
ドワンゴKADOKAWAを呑み込んだ栄光は既に遠い昔になりつつある。スマホの時代に「ニコニコ動画」が過去の遺物になりかかってしまったのである。その点、KADOKAWAの紙の出版はしぶとい。しかし、来年に「君の名は。」はない。

KADOKAWAグループのブックウォーカーは、マンガ誌を含む電子雑誌の定額制読み放題サービス「マガジン☆WALKER」を12月5日に月額500円で立ち上げた。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000761.000001227.html
講談社小学館集英社、マガジンハウスといった出版社の女性誌は読めないが、主婦と生活社の「ar」は読める。
https://www.magazinewalker.jp/mwfront-web/magazine_general
男性マンガ誌で読み放題の対象となるのは、たったの4誌だけ。
https://www.magazinewalker.jp/mwfront-web/manga_male
この貧弱なラインナップでは魅力ないよ。しょぼいコンテンツばかりじゃないか。

◎「神奈川本大賞受賞」なんてのもあるんだね。確かに、この手の賞は増えているし、「ご当地小説」がブームなんだろうね。これ共同の配信なのかな?
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016120502000214.html
http://www.sankei.com/life/news/161205/lif1612050036-n1.html

秋田書店の作品グッズを販売するオフィシャルストアが、大阪・心斎橋のアメリカ村に期間限定でオープンしている。
http://natalie.mu/comic/news/211792

◎「ママスタジアム」はインタースペースが運営するママ向け情報サイト。月間580万人以上のユーザーに利用されているそうだ。
http://mamastar.jp/
インタースペースの創業は1999年。当初はアフィリエイトサービスだけを手がけていた。
https://www.interspace.ne.jp/company/history.html
「ママスタジアム」はStyle1から事業譲渡されたものだ。
http://www.news2u.net/releases/23387
河端伸一郎社長は大和証券の出身である。
https://www.interspace.ne.jp/company/director.html
河端の父親は「京都きもの友禅」の創業者。河端雄樹という。インタースペースは父親から借りたカネで創業しいる。
http://diamond.jp/articles/-/2031
http://ijin.keieimaster.com/new/kaityou/299.html
セブン&アイ出版の「saita」と組んでいる。
http://mamastar.jp/special/201602_saita_archive_x.do

TOKYO FMは、グループ会社のジグノシステムジャパンと共同でラジオ発のニュースアプリ「TOKYO FM+」をiPhone版につづき、Google Play版でもリリースした。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000944.000004829.html

◎新潮社系のピコハウスが運営する定額制音声聴き放題サービス「LisBo」は、岩波書店、新潮社、PHP研究所保有する文化人の講演音源に加え、新潮社と小学館保有する柳家権太楼、柳家さん喬立川談志柳家小さんの貴重な落語音源の配信を開始した。
http://www.dreamnews.jp/press/0000143611/
落語にもっと特化した聴き放題サービスは可能性があるのではないか。

◎「日経エンタテインメント!」が毎年発表しているヒット番付。今年の横綱は「君の名は。」と「ポケモンGO」。
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO10156850R01C16A2000000?channel=DF280120166614&style=1

◎「VOGUE JAPAN」の公式サイトは、ウェブ限定のオリジナルコンテンツを拡大中だそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000322.000000930.html

◎朝日広告社は、クラウドソーシングを活用し、動画の制作から配信までをワンストップで提供するローコストの動画サービス「ASAKO VIDEO CROWD」を開始する。
http://www.asakonet.co.jp/images/topics/pdf/title_relation_file_20161201131309.pdf

トーハンは、ブティック社の協力を得てオリジナルムック(PB企画商品)「ディズニー塗り絵&イラストBOOK」を12月7日より取引先書店で販売する。
http://www.tohan.jp/news/20161205_877.html

◎LINEはニュース配信機能を外部メディア向けに開放する「LINEアカウントメディア プラットフォーム」の展開を開始し、来年1月より、1記事単位もしくは、数記事がパックになった号単位で課金し購読する有料記事「Premium Article」を導入することになった。ユーザーはLINE内の仮想通貨「LINEコイン」を利用して課金を行う。
「Premium Article」導入第1弾メディアは「週刊文春」。「週刊文春」が配信する「Premium Article」では、誌面発売前日に届く“短文スクープ”を受けて事前に課金が可能な「予約型課金」により、誌面発売日の朝、いち早くLINEでスクープ記事を受け取ることが可能になる。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1585

◎「小コレ!」が開催されいる。小学館のオススメタイトルが一堂に会するオールコミックフェアである。
http://www.shogakukan.co.jp/pr/scc/
http://mantan-web.jp/2016/12/05/20161205dog00m200035000c.html

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4)【深夜の誌人語録】

人間関係を円滑に進めるためには聞き流すことも必要である。