【文徒】2017年(平成29)年2月9日(第5巻25号・通巻954号)

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1)【記事】"クックパッドを除外するメディア"Quugleのサービスとは?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】"クックパッドを除外するメディア"Quugleのサービスとは?(岩本太郎)

Googleならぬ「Quugle」と言う。プロの料理人や料理研究家が作ったレシピなどを検索できるサービスとして目下注目を集めているようだ。
http://quugle.blogspot.jp/
https://twitter.com/quugle1
当然そこで誰しも「クックパッドとどう違うの?」「それじゃクックパッドがいらなくなるんじゃないか?」と思うところだろうが、まさにQuugleは明らかに「クックパッドを除外してレシピ検索ができるサービス」として考案されている。例えば『ITMediaNEWS』は6日付の記事で次のように紹介している。
Googleで「料理名」+「レシピ」で検索すると、必ずといっていいほどクックパッドのレシピが上位に並ぶ。有用なものもあるが、プロの本格的なレシピを知りたい人には不便だ。
Quugleの開発者は、「Web上には『無責任なレシピ』が無数に転がっており、優良なレシピが埋もれてしまっていると指摘。「素晴らしいレシピがなるべく短時間でストレス無く発見出来るよう」Googleのカスタム検索を2カ月間かけて最適化し、開発したという》
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1702/06/news112.html
同じ日に『かみあぷ』もQuugleについて書いていた。ユーザーたちが「クックパッドではない」情報を求める際に従来用いていた、まさにこうした手段に代替するものだろう。
《検索上位に表示されるってことはCookpadで一番人気のレシピなのかな?と思いますが、そうとも限らないんですよね(本来、人気レシピのランキングはCookpadのプレミアム会員にならないと見られないので)。
先日「Googleの検索技」でご紹介した、キーワードを除外する方法でググっても良いんですが、いちいち「-Cookpad」と入れるのも面倒だし…。(略)そんな方は「Quugle」が便利に使えそうです!》
http://www.appps.jp/254415/
上記の『かみあぷ』はカッコに括ってちらりと書いているが、ユーザーたちは「人気レシピのランキングはプレミアム会員にならないと」見られず、そうでなければ本当に一番人気のレシピかどうかわからないというクックパッドのサービスに対して、既に疑念を感じているのだ。加えて昨今、とりわけDeNA騒動以降ユーザーたちの間にもたげるようになったキュレーションメディアに対する不信感もそのすぐ隣に横たわっているはずだ。
Quugle自身もそこは明確に意識ないし主張している。1月7日付に「レシピ検索サイトQuugleのアルゴリズム」と題して掲載した記事中、「Googleアルゴリズムクックパッド」と具体名を含めた中見出しの下にクックパッドを明確に批判している。
《一例を挙げると現時点でキーワード「焼き茄子 レシピ」でGoogle検索をかけ、一番上に掲載されたクックパッドのリンクをクリックして、最初に目に飛び込んできたレシピのタイトルは「超簡単!ホットプレートで変わり焼きナス」でした。検索でアレンジレシピを拾いたい場合は「焼き茄子 アレンジ」と検索すれば良いのですから、基本的な調理法を探している方には使い勝手が悪い。クックパッドはこのようなアレンジレシピが非常に多く、玉石混淆となっています。更にその焼き茄子のレシピを覗くと材料に「ナス 好きなだけ マヨネーズ 好きなだけ 鰹節 好きなだけ 醤油 各数滴ずつ」と記されていました。これは最早レシピではありません。
これを車に例えるのであれば、「日産 スポーツカー」と検索した場合に期待するのは日産スポーツカーの一覧や日産が生産してきた歴代のスポーツカーの一覧であると思います。しかし、現状では「日産マーチをスポーツ魔改造カー(化)」のような記事が上位に表示され、内容をよく読んでみたらミニカーの話だった。大げさに言うとこんな状態です。特にレシピを検索する際に最も優先的に発見したいのは面白い投稿ではなく、信頼できるレシピとアイディアだと信じておりますので、現在Quugle検索ではクックパッドがヒットしない設定になっております》
http://quugle.blogspot.jp/2017/01/quugle_7.html
DeNAなどのキュレーションメディア、クックパッドに代表されるコンシューマ・ジェネレイテッド・メディアの品質が疑問視され始めたところに、より信頼性を売りにした次のプレーヤーが登場して成り代わろうしているということだろうか。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎『ニュース女子』の件で所属先の東京新聞謝罪記事を掲載したことについて「言論の自由への侵害」などと批判した長谷川幸洋東京新聞論説副主幹)に対し、同じ東京新聞記者の望月衣塑子(著書に『武器輸出と日本企業』など)が《彼が批判されるのは、社是と違う言論だからでなく、裏付けのないヘイトを垂れ流した故。その理由に一切触れず、謝罪もせず問題をすり替えるな》とTwitterで批判。さっそく産経新聞がそれを見つけて《同紙の女性記者が》と、なぜか匿名で記事にしている。
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/828643555987988481
http://www.sankei.com/entertainments/news/170207/ent1702070012-n1.html

◎日販は2月16日から雑誌時限再販企画「女性実用雑誌 得々キャンペーン」を取引書店1200店で実施する。昨年夏に実施した売り伸ばしフェア「雑誌夏トクキャンペーン」での成果を踏まえた企画で、前回特に成果の良かった女性実用誌を対象に時限再販を適用する。
対象となるのは期間中の発売日順に『わかさ』『天然生活』『Mart』『Martバッグinサイズ』『健康』『ESSE』『CHANTO』『saita』『PRESIDENT WOMAN』『栄養と料理』『レタスクラブ』『からだにいいこと』『美ST』の13誌(11社)。
http://www.nippan.co.jp/news/zasshi_tokutoku_2017/

◎もう一つ日販の話題。ブティック社から昨日8日、『ディズニーてづくりBOOK』『ディズニーツムツムてづくりBOOK』が日販のPB商品として2誌同時発売された。
http://www.nippan.co.jp/news/pb_disneymook/

電通の1月度単体売上高。全社では対前年比109.7%で雑誌は同78.5%
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017014-0207.pdf

ADKの1月単体売上高。全社では対前期比101.2%で同95.2%。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/02/release_Billing201701j.pdf

KADOKAWAは2015年9月に発売してすぐに完売し重版(翌年2月)になった『ボイメンWalker』の第2弾『ボイメンWalker2』を3月下旬に発売すると発表。完全受注生産で今日9日より予約受付を開始している。発売を記念した握手会も、名古屋・東京・大阪の3エリアで実施予定とのこと。
http://www.jiji.com/jc/article?k=000003038.000007006&g=prt
http://www.kadokawa.co.jp/product/321507000003/

◎マガジンハウスは『&Premium』の編集者(経験者)採用を今月末の応募締切で実施中。
http://magazineworld.jp/premium/premium-editor/

◎『カーセンサー』(リクルートマーケティングパートナーズ・現在はウェブメディア)はVR技術を活用して車を内装から外装まで360度見られる機能と、各車種・グレードのスペックを比較できる機能をサービスに追加した。
http://www.recruit-mp.co.jp/news/release/2017/0207_3153.html
http://www.carsensor.net/catalog/

◎『CREA』の初めてのアニメ特集が話題になっているらしい。
http://top.tsite.jp/news/anime-song/o/34370041/?sc_cid=tcore_a99_p_taff_0_tw__2C4D3A4F852A07FA-40000101C0018D43_

パソナが淡路島にアニメパーク「ニジゲンノモリ」を7月オープンする。
http://www.pasonagroup.co.jp/news/index112.html?itemid=2077&dispmid=798
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020600979&g=eco

◎『進撃の巨人』の初めての舞台化作品となる『ライブ・インパクト「進撃の巨人」』(7月28日から9月3日まで。全55公演)のスタッフ・キャストが発表された。講談社からは『進撃の巨人』担当編集者の川窪慎太郎がプロデューサーとして参加するそうだ。
http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cpia201702060002.html

◎『週刊少年サンデー』で1996~2008年に連載された高橋留美子の人気漫画『犬夜叉』が、ゴールデンボンバー喜矢武豊主演で舞台化されることになった。天王洲の銀河劇場で4月6〜15日に上演の予定。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2085560.html

◎新潮社『月刊コミック@バンチ』のウェブコミック配信サイト『くらげバンチ』で連載中の、群馬県を舞台にた作品『お前はまだグンマを知らない』(井田ヒロト)が、間宮祥太朗の主演により日本テレビ(関東ローカル)で3月6日より4週連続ドラマ化。さらにはその後に映画化されることも決定したそうだ。
http://www.shinchosha.co.jp/news/article/362/
http://www.ntv.co.jp/omagun/
http://mainichi.jp/articles/20170206/dyo/00m/200/022000c

◎『SWITCH』が次号(2月20日発売)で糸井重里を特集するそうだ。同誌編集長の新井敏記と『ほぼ日刊イトイ新聞』で連載した対談の完全版やロングインタビューなど《文字数は10万字を超え、ページ数は150ページ以上》のボリュームだという。
http://www.switch-store.net/SHOP/SW3503.html
http://www.fashionsnap.com/news/2017-02-07/switch-itoishigesato/

石原慎太郎小池百合子都知事へ「私からある提案をします」と公の場で1対1の対談を申し込む意向らしい。フジテレビ系番組の取材に対し「来月、ある雑誌が発売されるタイミングで小池知事に面会を申し込む予定」と答えたそうだ。
https://www.daily.co.jp/gossip/2017/02/07/0009895182.shtml

◎杉並の書店Title店主・辻山良雄の新著『本屋、はじめました』についての、武田砂鉄による書評より。
《「マーケティングから売れる本」ではなく、「替えがきかない『切実な本』にこそ、人の興味はある」と著者は言う。本屋もまったく同じだ。替えがきかない「切実な本屋」を求めている。「Title」には何度か訪ねているが、駅からお店まで十数分かかる。「意外と遠いっすね」と告げたら苦笑いされたが、電車を乗り継ぎ、しばらく歩いて、あの店に体を預けたくなる。開かれた本屋からの帰り道は、カバンが少々重くなる。》
http://mainichi.jp/articles/20170207/org/00m/040/020000c

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3)【深夜の誌人語録】(岩本太郎)

骨休みしながらも骨を折ってこそ、骨のある人間になれる。