【文徒】2017年(平成29)年2月23日(第5巻35号・通巻964号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】講談社など5社共同「ATOMプロジェクト」&『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』創刊発表会
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2017.2.23 Shuppanjin


1)【記事】講談社など5社共同「ATOMプロジェクト」&『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』創刊発表会(岩本太郎)

ATOMプロジェクト」のお披露目と、講談社から4月4日に“コミュニケーション・ロボット”と銘うち創刊のうえ全国発売されるパートワーク『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』についての発表会が、22日14時から都内・東銀座の時事通信ホールで開催された。私(岩本)も参加したが、新聞やテレビも含めてかなりの数の報道陣が詰めかけ、座席がぎっしり埋まり立ち見が出そうな超満員だった。
言うまでもなく「鉄腕アトム」は日本ではほとんど知らない人がいないほどの不世出のキャラクター。来年(2018年)はその生みの親である漫画家・手塚治虫(1928〜89年)の生誕90周年にあたる。今回はその記念企画であるほかに講談社の創業110周年企画でもあるという位置づけだ。ただ、講談社の単独ではなく、手塚プロダクションNTTドコモ富士ソフトVAIOを含めた5社が共同して、来たるべきAI時代に向けて日本が誇る科学技術やマンガ・アニメなどのコンテンツ制作力も結集したコミュニケーション・ロボット「ATOM」を制作し、一般家庭向けにも販売しようというプロジェクトだ。公式サイトも発表会当日の22日からオープンした。
http://atom2020.jp/
https://www.facebook.com/Atom2020-754188364747813/
https://twitter.com/MyFirstATOM
ATOM」には、富士ソフトが高齢者福祉施設にて既に8年間・700台の運用実績を持つロボット「PALRO(パルロ)」で使われたOSとAIが組み込まれたほか、インターネットを通じてNTTドコモによる自然対話プラットフォームに接続。そこからクラウド上で会話力を次第に向上させていくことができるという、“成長する”ロボットになっている。キャラクターについては講談社手塚プロダクションが当然ながら監修しており、外観のデザインはもとより、声についても2003年からアニメの「鉄腕アトム」の声を担当している声優の津村まことの声が採用されている(ちなみに今回のロボットとしての身長は44cm。原作やアニメでの設定の3分の1ぐらいの大きさだとか)。
発表会の冒頭、主催者を代表して挨拶に立った講談社野間省伸社長は今回の企画の意義を以下のように述べた。
「日本の科学技術の象徴であり、同時に人間味があるという世界でも類を見ないユニークなロボットキャラクター『鉄腕アトム』は、講談社グループの光文社で当時発売されていましたコミック誌『少年』で1952年に連載が始まりました。日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』の記念すべき第1回は1963年の元旦に放送され、同じ年の9月にはアメリカのNBCも『アストロボーイ』として放送を始めており、ニューヨークでの当時の視聴率は実に30%を記録しています。まさに日本初の海外進出を果たしたアニメキャラクター、今でいうクール・ジャパンのはしりであるわけです。
私ども講談社は1977年から20年をかけて手塚治虫先生の漫画全集を刊行しております。現在この全集はすべて電子版でも配信し、今なお新しい読者を見つけています。出版に限らず、コンテンツの未来を考えた時、全く新しい発想で“アトム”の名を冠したプロジェクトを、企画から3年を経て、パートナー企業のみなさまのご協力を賜り立ち上げ、手塚治虫生誕90周年企画としてお披露目できますことを大変光栄に思っております」
現在は『手塚治虫漫画全集』を再構成のうえ、手塚生誕80周年を記念して2009年より刊行した『手塚治虫文庫全集』が以下より発売されている。
http://comic-sp.kodansha.co.jp/tezuka80/
『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』はそのプロジェクト第一弾であり、具体的には4月4日の創刊号から来年9月11日発行の最終号まで計70号のパートワークを通じてユーザー自身の手で“一家に一台のATOM”を作り上げてもらおうというものだ。もちろん、組み立てるのが苦手なユーザー向けには、かつてあの「AIBO」でも実績を積み重ねたソニー時代からの流れを汲むVAIOによる組み立て代行サービスもある。ちなみに価格はパートワーク(定価は創刊号が830円で通常号は1843円)の全70巻で本体18万4474円。組み立て代行サービスを使うと21万2900円だそうだ(以上、価格はいずれも税別)。
さらに、講談社で本プロジェクトのリーダーを務める奈良原敦子は『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』のコンセプトを次のように説明した。
「まず私たちはマーケットリサーチとして25〜65歳の男女1000人を対象に、いま家庭用ロボットに対してどういう機能を求めているかを調査しました。その結果『会話が楽しめてコミュニケーションできる機能』を挙げた人が80%と圧倒的で、2位に『話しかけることを少しずつ覚え、成長する自動学習機能』、3位が『可愛いしぐさやパフォーマンスで癒してくれる機能』……と、まさに友だちや家族に求める側面があることがわかりました。
専門メーカーではない出版社の私たちにパートナー企業の皆様より様々なアドバイスを含めて技術協力をいただきました。今回私たちが送り出すロボット『ATOM』は、いくらAIが飛躍的に進化したと言われる2017年にあってもなお、手塚先生の描いたアトムには遠く及びません。しかしこの『ATOM』は今後それこそ秒速で進化する現代の科学技術に合わせて、AIの進化をまさに家庭で体験できるロボットです。実は手塚先生は生前『アトムはキャラクターデザインは普遍性が充分あるが、性格や行動すべてを現代っ子に変化させたい』との構想をお持ちだったそうです。本日から公式サイトで始めたキャンペーン『あなたはATOMと何を話しますか?』などで読者や一般のユーザーから募集したアイデアは、これからドコモと講談社が共同開発するクラウドAIのシナリオの基礎データとして、(完成した)ATOMがしゃべり出す2018年に活かしていきます」
4月からはNHK総合テレビで派生アニメ『アトム ザ・ビギニング』の放送も始まるそうだ。
http://atom-tb.com/

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎大江英樹+井戸美枝の「定年男子 定年女子」(日経BP社)刊行記念トーク&サイン会が3月21日に八重洲ブックセンターで開催される。「老後破産」は社会問題化しそうだ。
http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/11403/

でんぱ組.inc最上もがが編集長を手がける雑誌「最上もがのもがマガ!」が4月10日に祥伝社から発売される。AbemaTVで放送中のレギュラー番組「最上もがのもがマガ!」で、最上自身が約1年間をかけて雑誌作りを勉強し、制作した成果だ。オールカラー96頁で、付録がショルダーミニポーチで、5000円(税込)、2000部限定という設定を私は評価したい。完売すれば1000万円なんだよね。
https://www.barks.jp/news/?id=1000138559

◎「AERA」(朝日新聞出版)は「ワーキングウーマンのための“新ライフマネジメント論”」を3月14日(火)に浜離宮朝日小ホールで開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000161.000004702.html

◎新潮社から刊行される村上春樹の書き下ろし長編小説「騎士団長殺し」だが、発売前に二巻で累計130万部となった。
http://www.sankei.com/life/news/170220/lif1702200025-n1.html
市場経済的には村上春樹が文学を独占してしまっている!?

◎日販の4月1日付役員人事。吉川英作副社長が代表権を持った。酒井和彦常務が専務に昇任。
http://www.nippan.co.jp/news/officers_20170221/

◎コミックエッセー「鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!(2)」(KADOKAWA)がヒット。1巻と2巻の累計で累計60万部を達成した。
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO13034810X10C17A2000000?channel=DF280120166614
ウエブを母胎にしている。
http://www.comic-essay.com/episode/54

講談社の2016年11月期単独決算。デジタル分野の売上高は前の期比44.5%増の175億円。書籍の売上高は1.1%減の173億円。更に日経は「今回の決算で注目すべき点がもう一つある」としたうえで、「海外版権ビジネスだ。売上高の絶対額こそ36億円と小さいが、前の期からの伸び率は16%に達した」と書く。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HLH_R20C17A2000000/
デジタルも海外も、その中核を担っているのが、マンガだという点も押さえておきたい。その一方でマンガ誌は苦戦し、コミックス市場も徐々に縮小しはじめているということも含めてである。

◎戸田真琴の文章って良いじゃない。「『友達』は、あなたの見ている小さな『あなただけの世界』の外からやってきて、あなたの本当の輪郭を触って教えてくれる誰かのことです」
http://kai-you.net/article/38414
切通理作をして「僕はたぶん、この文章を読んだことも一生忘れないでしょう」と言わしめている。
https://www.facebook.com/risaku.kiridoshi/posts/1330521917009914
人気のAV女優なんだよね。
http://www.dmm.co.jp/digital/videoa/-/list/=/article=actress/id=1035021/
ブログも読ませるんだな、これが。
「まこりんがまじめな連載始めたけど興味無いよ?っていう方や、エッチなもの関連が見たくてこのブログやTwitter見てるだけだよ?っていう方は、まじめなブログやコラムは読まなくてもぜんぜん大丈夫ですからね!(フリでもなんでもなく素直にそう思います!)
その逆も同じで、ブログやコラムが好きでまこりん見てるよーて方で、AVが苦手な方がいましたら、もちろん自分が不愉快なく見れるものだけを見ていただければ大丈夫です」
http://blog.livedoor.jp/toda_makoto/

主婦の友社の「mina」4月号の表4をニューアルバム「SPLASH☆WORLD」をリリースしたmiwaが飾った。「mina」とmiwaは一字違いということで、「mina」のタイトルと同じフォントで登場している。
http://www.excite.co.jp/News/music/20170221/E_talentbank_29050.html

◎「ワセダクロニクル」が「買われた記事〜電通共同通信に成功報酬」を続報すべくクラウドファンディングで支援を募ったところ、19日間で目標金額の350万円を達成した。
https://motion-gallery.net/projects/waseda-journalism
https://www.value-press.com/pressrelease/178501

◎ゴシックミステリー小説「バチカン奇跡調査官」(角川ホラー文庫)がテレビアニメ化される。
http://animeanime.jp/article/2017/02/20/32631.html

◎2月11日から16日まで清水富美加にインタビューし、千眼美子「全部、言っちゃうね。〜本名・清水富美加、今日、出家しまする。〜」としてまとめ、2月17日に発売したそうだ。要するにインタビューの翌日に本が完成しているというわけだ。幸福の科学出版による驚異的なスピード出版である。
http://www.cyzo.com/2017/02/post_31619_entry.html

楽天の社員が覚醒剤密輸容疑で逮捕された。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H8M_R20C17A2CC1000/

◎「ゆめみる本屋さん」(熊谷市石原)は絵本と雑貨の店。
「同店は秩父線石原駅の目の前に位置し、入り口で靴を脱いで友人の家に遊びに行くようにゆっくり本を選ぶことができる。無料でおむつ交換ができる場所『赤ちゃんの駅』(授乳利用はなし)としても登録され、トイレには幼児用の補助便座も用意する」
http://kumagaya.keizai.biz/headline/40/

ハースト婦人画報社は、フィットネスやウェルネスなどのヘルシーなライフスタイル情報を発信する「Women’s Health」と「Men’s Health」をデジタルメディアとしてローンチする。「メンズヘルス」は、2月21日(火)より、メンズライフスタイル総合サイト「MEN’S+」内の1カテゴリとして、まずスタートした。
両メディアはアメリカの出版社ロデイルからのライセンスのもと展開し、ハースト婦人画報社の100%子会社であるハースト・デジタル・ジャパンが編集やセールス等の日々のオペレーション業務を展開する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000008128.html

TSUTAYAの格安スマホ、トーンモバイルはハードウェアの企画から、ソフトウェアの開発、ネットワークの提供までをすべて自社で行う独自の強みを活かし、ユーザーに寄り添った新しい機能やサービスを開発する「Co-Development Project」を開始した。その第一弾として、30代を中心とした子育て世代のママたちをターゲットにした女性誌「VERY」とコラボレし、徹底したママ目線で生まれた時からスマホが身近にある環境で育った“スマホネイティブ”世代の子どもと親が安心して使える「ママが子どもに持たせたい」スマホサービスを追求する。
http://tone.ne.jp/press/20170221_very.html

◎「DIGIDAY」の「代理店の過重労働問題、テクノロジーはどう貢献できるか?」は、次のように書いている。「働き方の改革が求められるいま、労働生産性の高い運用者、広告代理店及び新しいテクノロジーの導入に理解のある広告主が、広告パフォーマンスを出せる時代が早々に来るだろう」
http://digiday.jp/agencies/how-can-technology-contribute-to-agent-overload-work-problems/
広告会社は大きく変わることになるだろう。広告業界から弾かれる人材も大量に出るのではあるまいか。広告会社のデジタルシフトとは、単にメディアのデジタルシフトと同義ではないのである。

講談社の女性ファッション誌「ViVi」4月号に、映画「PとJK」で共演する土屋太鳳と「ViVi」モデルの玉城ティナが二人で登場している。
PとJK」の原作は講談社の「別冊フレンド」の連載マンガ。公式サイト「NET ViVi」 では、期間限定で原作の3話分の試し読みができる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001247.000001719.html

主婦の友社は、雑誌「主婦の友」の創刊100周年を記念し、大正6(1917)年に2月14日に刊行された「主婦之友」創刊号の電子版を電子書店で販売開始。価格は108円(税込み)。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/10961/

◎ベネッセは「進研ゼミ小学講座」でオリジナルの学習専用タブレット端末を使って学習する講座「チャレンジタッチ」の延べ利用者数が100万人を突破したと発表した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000558.000000120.html

鈴木清順、死す。
http://www.asahi.com/articles/ASK2Q4QV7K2QUCLV00B.html
http://mainichi.jp/articles/20170222/k00/00e/040/281000c?fm=mnm
美術監督木村威夫とのコンビから数々の傑作が生まれた。「春婦伝」とか「刺青一代」とか、オレは好きだなあ。

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

待ち時間に何もしないことほど時間の無駄使いはあるまい。