【文徒】2017年(平成29)年3月2日(第5巻40号・通巻969号)

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1)【記事】出版デジタル機構についての復習
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版デジタル機構についての復習

メディアドゥが完全子会社化することになった出版デジタル機構だが、これまでの歴史を簡単に振り返っておこう。
「今般、株式会社産業革新機構(以下『INCJ』) (本社:東京都千代田区丸の内 代表取締役社長:能見公一)は、あらゆる出版物を対象にデジタル化を目指す『株式会社出版デジタル機構(以下、『新会社』)』に対して、総額150億円を上限とする投資を行うことを決定しました」(2012年3月29日)
http://www.incj.co.jp/PDF/1417676037.01.pdf
http://www.incj.co.jp/PDF/1417676037.02.pdf
学士会館で記者会見が開かれた。私も出席している。
「現代ビジネス」(講談社)は2012年5月27日に「大手15社『出版デジタル機構』設立 半官半民の『産業革新機構』が150億円出資[電子書籍]」を発表している。
出版デジタル機構には国内大手出版15社が出資し、約300社の出版社が賛同を表明したというが、最大の特徴は、半官半民の投資ファンド産業革新機構』も150億円を出資して最大株主となっている点だ。書籍電子化のための公共の基盤を提供しようとする本気度がうかがえる」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32495
昨年、6月27日に官報に発表された決算公告を見ると、産業革新機構の投資は150億円には及ばなかったようである。あくまでも150億円は「上限」を示す数字であったらしい。
http://kanpo-kanpo.blog.jp/archives/4271071.html
出版デジタル機構はビットウェイを吸収することで電子取次としての活路を見い出す。
「株式会社出版デジタル機構は、平成25年9月27日開催予定の株主総会で承認されることを前提に、平成25年10月1日付で完全子会社である株式会社ビットウェイを合併により統合する予定です」(2013年8月29日)
http://www.pubridge.jp/info/news/80/
こんな文章も読むことができる。
「事故が頻発している状況において、出版社、電子書店の信頼を大きく損なう危険性が増大している。
戦略出版社から、取次切り替えや取引停止となれば、社の存続にも影響する問題となりかねない。
出版社拡大、電子書店拡大も重要ではあるが、それよりも事故撲滅を優先する」(2014年4月24日)
https://drive.google.com/file/d/0B2eVxJtFskpeNUZURkVjSGZCRms/view
「株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)(本社:東京都千代田区代表取締役社長:勝又幹英)は、保有する株式会社出版デジタル機構(以下「出版デジタル機構」)(本社:東京都千代田区代表取締役社長:新名新)の株式の一部を、出版デジタル機構に売却しましたのでお知らせ致します。なお、INCJ が売却した株式は、出版デジタル機構
発行済株式の 39.4%に相当します」(2015年9月1日)
http://www.incj.co.jp/PDF/1441072277.03.pdf
こんな「怪文書」を読むこともできる。
http://anond.hatelabo.jp/20151218181125
出版デジタル機構と緊デジの関わりについては、林智彦の次のような文章も参考になるのかもしれない。
https://japan.cnet.com/article/35071434/
https://japan.cnet.com/article/35071738/
https://japan.cnet.com/article/35072110/

                                                                                                                      • -

2)【本日の一行情報】

一迅社は文芸編集部を発足させ、6月に第1弾として第2回日本ホラー小説大賞 短編賞他、業界に多くの受賞履歴を持つ小林泰三の「わざわざゾンビを殺す人間なんていない。」(装画:YKBX)を刊行する。今後のラインナップは、「小説家になろう」にて人気上昇中の「きみを殺すための5つのテスト」(狐塚冬里)をはじめ、2016年発表の一迅社文庫大賞の受賞作品「人魚に嘘はつけない」(半田畔)などを予定している。
https://www.atpress.ne.jp/news/122952

花沢健吾の「アイアムアヒーロー」が、27日発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)13号で最終回を迎え、約8年の連載を終えた。コミックスは累計800万部を突破している。
http://spi-net.jp/special/iamahero/
http://mantan-web.jp/2017/02/27/20170226dog00m200006000c.html
ウェブサイト「やわらかスピリッツ」で連載していた公式スピンオフ作品「アイアムアヒーローin IBARAKI」「アイアムアヒーローin NAGASAKI」も発売された。最終第22集は3月30日に発売される。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09189317
https://www.shogakukan.co.jp/books/09189318
スピンオフ第一弾の「アイアムアヒーロー in OSAKA」も重版出来。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09187566

芥川賞作家の又吉直樹は、400字詰め原稿用紙換算で約300枚の長編恋愛小説「劇場」を「新潮」4月号(3月7日発売)で発表する。「新潮」は純文学誌からすれば、異例の4万部を発行する。
http://www.sankei.com/life/news/170227/lif1702270046-n1.html
又吉は「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」所属。

文藝春秋は、MOOK「文藝芸人」を3月16日に発売する。文藝春秋と笑いの総合商社たる「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」が文芸誌でタッグを組んだ。
http://news.yoshimoto.co.jp/2017/03/entry67563.php
よしもとが「日本文学」を支える時代だ。

◎これはあってはならないことだ!資生堂は、アイライナー「インテグレート キラーウインクジェルライナー」に関して製造過程で破損した商品を流通させ、破損部分でけがをさせてしまったケースも報告されているようだ。昨年2〜10月に製造された約25万8千本を自主回収する。
「当社の販売するアイライナー『インテグレート キラーウインクジェルライナー』の平成28年2月から10月に製造した商品の一部において、製造時に本体プラスチック先端部が生産機器にあたり破損した不良品が発生し、ご使用の際に眼の周辺に思わぬけがをする場合があることが判明しました。
つきましては、お客さまにより安全に、安心してご使用いただくために、対象商品を自主回収し、商品交換いたします。
なお、本件に関するお知らせを、当社ウェブサイト、当社総合美容サイト『ワタシプラス』および『インテグレート』公式ブランドサイト・公式SNS等のほか、平成29年2月28日(火)付の新聞朝刊にて告知する予定です」
http://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002134
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170227/k10010892121000.html

◎日販は、日本最大級のBL(ボーイズラブ)専門レビューサイト「ちるちる」を運営するサンディアスならびに全国約800店の取引書店の協力のもと、日販主催「全国書店員が選んだおすすめBLコミック2017」と、ちるちる主催「BLアワード 2017」とのタイアップ企画を、3月14日(火)より開催する。
http://www.nippan.co.jp/news/osusumebl_blaward_2017/

◎「ぴあ映画生活」は鈴木清順を追悼し、ユーザーが選ぶ“清順映画ベスト10”投票を実施している。
http://cinema.pia.co.jp/feature/suzukiseijun/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000392.000011710.html
一本となれば、私の場合は「刺青一代」だな。

◎ニュース閲覧アプリ「SmartNews」チャンネルプラスにおいて、光文社の提供により「JJ」「CLASSY.」チャンネルがスタートした。
http://about.smartnews.com/ja/2017/02/28/20170228jjclassy/
また小学館提供の「Woman Insight」チャンネルがフルリニューアルし、「CanCam」チャンネルとして新しくスタートした。
http://about.smartnews.com/ja/2017/03/01/20170301cancam/

◎フジテレビは、FODで月額コース会員向けにブラウザのみで提供してきた雑誌の読み放題サービスを「FODマガジン」としてアプリ版での提供を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000636.000000084.html

サマンサタバサジャパンリミテッドは、「DIESEL」のアーティスティック・ディレクターを務めるニコラ・フォルミケッティを迎え、伊勢丹との新プロジェクト「ピンクワールド」を始動させたが、ニコラと11のファッション誌とのコラボレーションバッグも販売する。「BAILA」(集英社)、「CanCam」(小学館)、「CLASSY.」「HERS」「JJ」(光文社)、「Ray」(主婦の友社)、「オトナミューズ」「Sweet」(宝島社)、「ViVi」「with」(講談社)、「美人百花」(角川春樹事務所)。
光文社が3誌だ。
https://www.wwdjapan.com/391549

◎AAA(トリプル・エー)の大特集を組んだ小学館の女性ファッション誌「CanCam」4月号は重版が決定した。重版は創刊から35年の424号にして初めてのことだという。
http://www.oricon.co.jp/news/2086723/full/

小学館のライフスタイル局が運営する中国人向けインバウンドWEBメディア「微日伴」(ウェイリューバン)が、直近31日間(2017年1月28日(土)〜2月27日(月))で250万PVを突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000013640.html

電子書籍販売サイト「コミック小学館ブックス」が、3月1日からサイト名を「小学館eコミックストア」に変更した。
https://csbs.shogakukan.co.jp/

共同通信によれば、新入社員に違法な残業をさせたとして、労働基準法違反容疑で書類送検された電通について、東京や愛知、大阪など10都府県が、電通が起訴された場合、入札参加停止処分の実施の是非を検討するとしているという。
https://this.kiji.is/198717155599369718?c=110564226228225532

◎Media Shakersが運営する「R25」が4月28日をもってサービスを終了する。
http://bit.ly/2mKfPdP
「『R25』の島雄輝編集長は、ハフィントンポストの取材に対して『親会社であるリクルート電通の判断で、広告マーケットの変化から持続的に事業を継続していくのが難しいという判断に至りました』と、サービス終了の理由を説明した」
http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/01/r25-vanish_n_15075022.html
雑誌のデジタルシフトの難しさを象徴している。難しいけれど、避けては通れないところが辛い。

エイチ・アイ・エス(37.7%)、富士山マガジンサービス(37.7%)、アルゴ・パブリッシング(13.3%)、ライトハウスメディア(11.1%)が出資するGGメディアは6月24日、50〜60歳代の富裕層の男性に向けたライフスタイル雑誌「GG」(ジジ)を創刊する。
編集長は岸田一郎!それにしても懲りない人だなあ。
https://www.wwdjapan.com/391783
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08114/a1c78b33/05fc/4368/a577/931ad617c156/140120160905488541.pdf

◎第3回「少年ジャンプ+」連載グランプリの応募受付を開始した。読者と編集部で選考していくマンガ賞「少年ジャンプ+」連載グランプリは、「少年ジャンプ+」での連載&ジャンプコミックス化確約のグランプリを1本以上必ず選出する。
http://rookie.shonenjump.com/info/entry/2017/02/28/131843

高橋陽一のサッカーマンガ「キャプテン翼」(集英社)が舞台化されることになった。
http://natalie.mu/comic/news/222567

主婦の友社は季刊誌「Como」を5月6日発売の2017年夏秋号をもって休刊する。

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3)【深夜の誌人語録】

石橋を叩いて渡りたくとも、石橋を叩いているうちに別の橋ができてしまう時代に私たちは生きている。