【文徒】2017年(平成29)年5月12日(第5巻87号・通巻1016号)

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1)【記事】広告モデルをめぐるネットニュース好調2社の好対照なスタンス
2)【本日の一行情報】
3)【人事】マガジンハウス 2017年4月26日付機構改革および人事異動
4)【人事】ぴあ 2017年6月17日付人事異動

                                                                                • 2017.5.12 Shuppanjin

1)【記事】広告モデルをめぐるネットニュース好調2社の好対照なスタンス(岩本太郎)

『ニューズピックス』編集長の佐々木紀彦が朝日新聞のインタビューに応えている。昨年末の時点で有料会員は3万2000人弱。同12月期決算でも黒字に転化したという。インタビューのタイトルは「広告モデルのサイト、関心ない」。その理由を佐々木はこんなふうに語っている。
《広告モデルでページビューばかりを追い求めると、どうしても内容が薄いコンテンツになってしまい、クオリティーが下がります。それとクックパッドやメルカリを研究して、彼らのやり方をどうやってメディアビジネスに生かせるだろうか考えたりしています(略)リーマン・ショックのようなことがおきると、いきなり経営が不安定になる。それに対して購読料モデルは安定して収入が入ってくるので、将来の投資計画が立てやすくなります。それに具体的な読者の顔を見てサービスをつくりやすくなる。広告収入に100%依存すると、いかに編集と広告を分離しているといっても、広告を気にするカルチャーがうまれかねません》
http://www.asahi.com/articles/ASK4V5SVGK4VULFA02F.html
このあたりは、少し前だが『バズフィードジャパン』社長の上野正博が今春に《年内に社員70人に増強、今年は広告「元年」に》と題されたインタビューで語っていた内容と好対照だ。『バズフィード』の場合は米国版がもともと「スポンサード・コンテンツ」と銘打ったネイティブ広告を主な収入源としてきた経緯があり、日本版でも昨秋から販売を開始。2017年中に社員をその時点での50名から70名へと増やす計画だが、増員分は《編集部門と広告部門で半々ぐらいになりそう》とのことだった(一方の『ニューズピックス』は現在、社員50人中、広告担当は10人だそうだ)。
《メディアの読者の増加に広告収入がついていくのには時間差があります。日本版開設からちょうど1年なので、これからだと思います。今年が(広告の)元年になるのではないでしょうか。(略)昨年秋に(スポンサード・コンテンツの)販売を開始した頃には、お客様から「海外の事例はあるけれど、日本の事例がないと検討しづらい」という声をいただきました。今は、(広告を配信した)事例ができて、さらにいろんなお客様にご案内しています》
https://mainichi.jp/articles/20170309/mog/00m/040/004000c
もとより経済ニュース特化型でアプリ中心の戦略を、東洋経済出身の佐々木のもとに展開している『ニューズピックス』と、リクルートからダブルクリックなどを経てヤフーも出資する『バズフィードジャパン』にやってきた上野とでは、アプローチがまるで異なるのは当然ではある。ただ、どちらも先のDeNA問題については精力的に取り上げてきており、騒動が一段落して不気味な余韻が漂っている市場を注意深く見据えながら、言葉を選んで発言している様子は伺える。
《私はもう他のメディアよりもスマートニュースやヤフー、メルカリなど他のサービスの操作性をライバル視しています。もう新聞社をベンチマークにはしていません》(佐々木)
《バズフィード・ジャパンは昨年、調査報道系で注目されたので、そちらを中心としたイメージがあると思うのですが、クイズや軟らかい話題も、ものすごく楽しんでいただいています。ヤフーニュースやスマートニュースでは、(配信した)ニュース記事が中心ですが、ツイッターやLINEなどのプラットフォームでは、ニュースよりも、クイズやライフスタイル系の記事が読まれています》(上野)
このあたりのネットニュースごとの方向性の違いが、この先はより鮮明になっていくような気がする。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎フジテレビ亀山千広社長が退任へ。日枝久会長も相談役に退く見通しという。『踊る大捜査線』などを手掛けたヒットメーカーとしての亀山の退任のほうに巷の関心は集まっているようだが、放送業界関係者の間では、まもなく80歳に届こうとする日枝がここまで君臨していたことが現在のフジの低迷の一因だとする見方も多い。
そもそもかつて1992年に鹿内宏明を追い落として社長の座に就いた日枝がいつしか「鹿内化」したとの批判は以前からあった。また、その日枝が鹿内を放逐した後にフジサンケイグループ内の組織をきちんと整理しておかなかったところを後にライブドアに突かれた、とも。
日枝は取締役相談役となる。代表権は外したものの取締役の肩書きを残したことろに、フジの低迷はまだまだ続くと予想することができる。あるいは、フジの黄金時代とは鹿内春雄の遺産だったともいえるが、日枝時代に30年かけて食いつぶしたということろか。
http://www.asahi.com/articles/ASK595TX4K59UCVL01Z.html?ref=tw_asahi
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ09I2K_Z00C17A5000000/

ジャストシステムが5月10日に発表した今年4月度「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」の結果によると、10代が利用するSNSはLINE(88.0%)、YouTube(81.0%)、Twitter(75.0%)の順。一方でカメラアプリ「SNOW」の利用者が49.0%と、Instagram(43.0%)を上回る結果が出たという。
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1705/10/news124.html

朝日新聞集英社が2015年3月に共同で創刊した『T JAPAN』は、今年1月から「T JAPAN web」を本格稼働。さらに5月10日には、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムDAC)も協力のうえ新サービス「TJ BRAND STUDIO」の提供を開始したことが発表された。「T JAPAN web」のほか、朝日新聞デジタルや広告主のオウンドメディア、SNSなどの各メディアにブランドコンテンツを最適なタイミングで配信していくという。
https://japan.cnet.com/article/35100925/

さいとう・たかをの劇画『ゴルゴ13』の連載(小学館ビッグコミック』)が来年で50周年を迎えるのを記念して、シナリオと作画の分業体制で制作された作品を表彰するマンガ賞「さいとう・たかを賞」が、小学館の後援のもと一般財団法人さいとう・たかを劇画文化財団により創設されることが発表された。第1回贈賞式は2018年1月を予定。
http://www.saito-pro.co.jp/gekigafound_info.html
https://mainichi.jp/articles/20170510/dyo/00m/200/006000c

◎「hon.jp」が個人作家向けの有料電子書籍PRサービス「KENPON」をスタート。プログラマーの藤井正尚が2013年に個人公開したもので、電子書籍をhon.jpサイト登録会員たちにDRMフリーで送り、内容についての評価やメディア上での紹介をしてもらうという有償サービス(価格は税抜980円)。藤井が昨年hon.jpにパートナー参加したことに伴いこのほど譲渡・移管された。
https://hon.jp/news/1.0/0/11235

学研ホールディングス傘下のデジタル事業会社ブックビヨンドが、出版社などを対象に電子書籍やプリント・オン・デマンドの取次事業を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000324.000009949.html

◎ジャーナリストの横田増生が取材し、『文藝春秋』4月号(3月10日発売)に寄稿した「ベテラン運転手が違法残業の実態を告発 ヤマト運輸は『ブラック宅急便』だ」が10日に電子書籍で発売された。
http://bunshun.jp/articles/-/2479

角川歴彦毎日新聞主催で16日に池袋で開催される「第294回毎日メトロポリタンアカデミー」で講演するそうだ。演題は「私が考える近未来〜メディアは再定義される〜」。
https://mainichi.jp/articles/20170510/ddl/k13/040/008000c

◎芸能事務所の(有)タレントユニオンが破産。主に地方のテレビ局や結婚式の司会などで活躍するキャスターやレポーターなどが所属していた。東日本大震災後のイベントキャンセルなどで業績が悪化し、借り入れ負担が重荷となっていたらしい。
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4316.html
https://freedom-indonesia.click/tarentyunion-tousan/

◎都内武蔵野市の三谷商店街の一角にある古本屋「BOOK ROAD」は広さわずか2坪で24時間経営。しかも店員が常駐しない「無人古本屋」だという。経営するのはIT企業に勤めるサラリーマン。購入する客は店内に置かれた「ガチャガチャ」に本の値札に書かれて金額を投入し、カプセルに入っている袋に本を入れて持ち帰るだけ。それで2013年4月の開店以来黒字とのことだ。
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/05/10/84366/

◎『ナショナルジオグラフィック』に寄稿していたアメリカ人フリーライターが実はナチス党員で、第二次世界大戦中にはドイツから世界に向けて熱烈なナチス支持のプロパガンダ放送を行っていたという、「ナショジオ史上最悪のスキャンダル」なる記事を同誌が2回に渡って特集している。もっとも、これは同誌自身による煽りタイトルである。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/050800170/?n_cid=nbpnng_twed
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/050900174/?n_cid=nbpnng_twed

◎連休中、神社本庁が以前から制作のうえ配布していたポスター「私、日本人でよかった」のモデル問題(実は中国人?)をめぐってネット上で発生した大炎上について、ノンフィクションライターの窪田順生が『ダイヤモンドオンライン』で触れている。6年も前に制作され、既に一部では知られた存在だったポスターが、なぜ施行から70年の憲法記念日の前後になって俄かに注目が集まり炎上へと至ったのかを論考している。
http://diamond.jp/articles/-/127488

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3)【人事】マガジンハウス 2017年4月26日付機構改革および人事異動

〈機構改革〉
デジタル戦略局デジタル戦略室を新設する
〈職務担当変更〉
石渡健文(取締役編集総局長)
デジタル戦略局局長兼務を委嘱する

〈役職変更〉
松原亨(カーサブルータス編集部編集長)
デジタル戦略室室長兼務を委嘱する
宮下菜苗(アンアン編集部キャップ)
デジタル戦略室係長兼務を委嘱する

〈異動〉
前田こころ
新:クロワッサン編集部勤務とする
旧:総務部

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4)【人事】ぴあ 2017年6月17日付人事異動

木本敬巳(昇任)
新:常務取締役執行役員
旧:取締役

小林覚(新任)
新:取締役執行役員
旧:執行役員 社長室管掌兼広報室長

一條和生(新任)
新:取締役(社外)