【文徒】2017年(平成29)年5月23日(第5巻94号・通巻1023号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】元朝日の柴山哲也が「BBCNHKとの番組交換を中止」と“誤報”。本人は明確に訂正・謝罪せず(岩本太郎)
2)【本日の一行情報】
3)【人事】小学館 5月22日付職制変更および人事異動

                                                                                • 2017.5.23 Shuppanjin

1)【記事】元朝日の柴山哲也が「BBCNHKとの番組交換を中止」と“誤報”。本人は明確に訂正・謝罪せず(岩本太郎)

共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について衆議院法務委員会での審議状況が緊迫の度合いを高めていた18日、ジャーナリストの柴山哲也が行ったツイートがネット上で話題を呼んだ。既に削除されているが、次のような内容だったそうだ。
《公共放送BBCはNHKとの番組交換を中止したということです。同じ公共放送とは考えられないという理由です。NHKは公共放送の役割をすでに放棄したと考えれば期待感もなくなるのではないか。戦時の大本営と変わらない。》
NHK共謀罪関連の国会中継を十分にしていないとの巷の声を踏まえてのもので、投稿から1日で4500回以上リツイートされたという。もっとも、少し放送に詳しい者であれば即座に眉唾モノだと見当がつくこの内容について、いくつかのメディアがNHKに問い合わせたところ、広報局が既にこれを把握しており、19日午後1時過ぎに公式アカウントで以下の見解を明らかにした。
ツイッター上に「公共放送BBCは、NHKとの番組交換を中止したということです。同じ公共放送とは考えられないと言う理由です」という書き込みがありました。BBCとの“番組交換”はもともと行っていません。番組の共同制作や相互購入、またニュース映像の交換など良好な関係を継続しています》
https://twitter.com/NHK_PR/status/865419760489463809
『弁護士ドットコム』などいくつかのネットメディアもさっそくこの件を報道。BBCワールドジャパンもBuzzFeed Newsの取材に対し《「問題のツイートですが、一切事実ではなく、NHK様とは今まで通りの関係が続いています」》とメールで回答したそうだ。柴山のもとにも問い合わせが押し寄せたのか、NHK広報局が上記の見解を明らかにする約2時間前に《『3.11記念のBBC番組に出演した人に聞いた話だが、BBCの担当者によればNHKとの番組交換は中止したということです』と直してくだいさい》とツイートしたらしい。
https://www.bengo4.com/internet/n_6114/
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/nhk-bbc-twitter?utm_term=.df8yz7krj#.glQZJXovR
もっとも、柴山自身はその後も明確な訂正を行っていない。今も自身のアカウントに残されているツイートでは、むしろ開き直るかのようにこんなことを書いている。
《この話はBBCの大物のプロデューサーとドキュメンタリーの仕事をした知人から聞いた。海を撮影するとき日本のテレビは人を海岸に立たせ回想するようなシーンをよく使う。そういう情緒的手法はBBCではやらない。思想の違いでBBCは同じ公共放送NHKでも、番組交換(売買)をやめるだろう。》
https://twitter.com/shibayama_t/status/865542683342675968
ところでどのニュースもどういうわけか、柴山が朝日新聞の記者出身だということには触れていない。それどころか《ジャーナリストのツイート》とあるだけで柴山の名前すら掲載していないものもある。朝日新聞サイト上の日刊スポーツ提供記事も《「イギリスの公共放送BBCがNHKとの番組交換を中止した」といった書き込みがネット上で拡散されている》と書くのみだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1705/19/news099.html
http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cfettp01705190042.html
そこはことさらに強調することではないとの判断なのかもしれないが、柴山は同志社大学の大学院新聞学科中退で、朝日時代には『朝日ジャーナル』編集部にも所属。退社後はハワイ大学客員教授京都女子大学教授、立命館大学客員教授などを歴任。『日本型メディアシステムの興亡』『戦争報道とアメリカ』などの著書もある人物だ。
http://www.heibonsha.co.jp/author/a72205.html
そうした人物が共謀罪問題をめぐる議論の高まりの中にあって、NHKBBCとの関係についてのこうした“フェイクニュース”を飛ばしてしまっているということは、むしろ明記しておいたほうがいいかもしれない。もとより、Twitterでは《なんで裏取りもせずにデマを流したの? 朝日新聞社員教育を受けると、デマ垂れ流しの老害になっちゃうの?》としっかり突っ込んでいる者もいるが。
https://twitter.com/ken17585319/status/865824624432435200

                                                                                                                      • -

2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

花田紀凱は産経に連載の「週刊誌ウォッチング」で、『週刊新潮』が告発した『週刊文春』による中吊り広告問題について《今週くらい、この欄を書くのに悩んだことはない》と前置きしつつ言及。
文芸春秋OBだから言うわけではないが、文芸春秋の体質、新谷学編集長の性格からしてスクープ潰しとかスクープ泥棒という悪どい意図はなかったと信じたい》
《週刊誌界のリーダー『新潮』としてはコラムでちょっと皮肉を飛ばすくらいで済ませた方がスマートだった》
http://www.sankei.com/premium/news/170521/prm1705210014-n1.html

◎一方、元木昌彦も『JCAST』に続き、『NEWSポストセブン』の取材に応えてこの件に言及。
《この業界では、汚いと言われようが情報を取ったほうが勝ち。新潮が怒るのもわからなくはないけど、ほかに追っかけるニュースがあるだろうと。ちなみに新潮から今回の件でコメントを求められたのでそう話したら、ボツになったけどね(笑い)》
なお、『週刊ポスト』自身は記事の末尾で以下のように表明。
《本誌が現代、文春、新潮の広告を盗み見たことは一切ない。そのことは、はっきり記しておく》
https://www.news-postseven.com/archives/20170521_557532.html

京都大学が公式サイトで公開した山極寿一総長の入学式式辞の中にボブ・ディランの歌の一節が含まれていることに「JASRAC日本音楽著作権協会)が著作権使用料を請求した」とネット上で話題に。もっとも、『弁護士ドットコムニュース』の取材に対してJASRAC側は《「あくまで利用状況について問い合わせをしただけで、具体的な請求はしていない」とコメント。著作権使用料の請求については明確に否定した》とのこと。
https://www.bengo4.com/internet/n_6112/

◎なおも全国各地の図書館で学校史などの切り取り被害が続くが、元兵庫県警刑事の飛松五男は『日刊ゲンダイ』の取材に《目的として考えられるのは、名簿屋に売るためです》《犯人はそうした名簿業者に切り取った内容を売っているのではないか。名前、顔写真、住所の3点が揃っていると、名簿屋も高く買い取りますから。他には振り込め詐欺架空請求のカモにしようと切り取っている可能性があります》とコメント。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170519/k10010987601000.html
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/205389

◎東京MXの番組「ニュース女子」の沖縄米軍基地建設反対運動報道についてBPO放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会が審理入りを決定。
http://www.bpo.gr.jp/?p=9094&meta_key=2017
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0517/ym_170517_6553916044.html

◎JR盛岡駅の駅ビル「フェザン」に、拡張現実(AR)の技術を使った書店「ORIORI」が19日オープン。同ビルの「さわや書店」が手がけた系列店で、店内の書棚にスマホタブレットをかざすと、画面にポップが浮かび上がってくるそうだ。
https://www.fesan-jp.com/fesan/shop/shop228.html
http://www.asahi.com/articles/ASK5M3DJ0K5MUJUB002.html

◎国会議事堂の構内で1967年から半世紀に渡って営業している書店「五車堂書房」店主の幡場益に産経が取材。もともとは先代が神保町で創業した書店で、参議院事務局からの要請で国会内に出店し、今はここだけが残っているとのこと。今の政治家に読書家はいないのかとの問いに、以下のように答えている。
《そりゃ細田博之自民党総務会長)さんでしょ。毎朝来てくれる。お父さん(細田吉蔵元運輸相)も大変な読書家だったからね。昔の政治家は教養人がたくさんいたんだよ。大平(正芳元首相)さんとか、前尾(繁三郎元衆院議長)さんとかね。いまはダメだねえ》
http://www.sankei.com/premium/news/170516/prm1705160002-n1.html

◎『FOCUS』の専属カメラマンだった鷲尾倫夫の写真展が半蔵門の「JCIIフォトサロン」で開催中。勝新太郎松井秀喜立川談志宮澤喜一ビートたけしなど各界の著名人を捉えたポートレートを中心に約80点(全作品モノクロ)を展示している。
http://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/photo-exhibition/2017/20170502.html
https://ichigaya.keizai.biz/headline/2556/

村上春樹の短編がスイッチ・パブリッシングからマンガ化される。フランスのアーティストが村上の代表的な短編9作を対象に行うもので、第1弾は6月20日発売の『パン屋再襲撃』。
http://www.switch-store.net/SHOP/BO0077.html
http://natalie.mu/comic/news/233272

ヒンドゥー教の聖地として知られるインド・バラナシのガンジス川畔に建つ、日本人バックパッカーには伝説的な安宿「久美子の家」を利用する訪ねる日本人が減少していると『フジサンケイビジネスアイ』がレポート(共同の配信記事)。文中ではバックパッカー旅行記で有名な蔵前仁一によるコメントも出てくるが、当の蔵前はFacebookで《私、サンケイビズから何も聞かれてませんが(笑)》と表明。共同からの取材も全くなかったとのこと。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170502/mcb1705020500005-n1.htm
https://www.facebook.com/jinichi.kuramae/posts/719236354868021?pnref=story

◎『メディアクリティーク』4月30日号で紹介した東京都立多摩図書館「東京マガジンバンクカレッジ」の「雑誌(ムック形式のデジタルマガジン)をつくるワークショップ」は好評のようだ。休刊した雑誌を館内の入り口脇に並べながら行っていた「復刊してほしい雑誌」のアンケートは既に終了し、さる12日の展示替え以降は結果のランキングが館内で展示されているそうだ。
http://www.library.metro.tokyo.jp/tabid/4284/Default.aspx

◎「2ちゃんねる」の管理人だった「ひろゆき」こと西村博之は現在フランスに在住しているが、過去に裁判所から支払いを命じられた約30億円にのぼる損害賠償金は《10年たつと時効だから(賠償金が)ゼロになる。払うよりも10年間逃げ切った方が得》などとして無視し続けているらしい。
https://www.bengo4.com/internet/n_6109/

                                                                                                                      • -

3)【人事】小学館 5月22日付職制変更および人事異動

〈職制変更〉
編集部・室を以下の通りに変更する(現職制→新職制)。
・Precious MEN'S Precious →Preciousブランド室へ統合・改称
OggiOggiブランド室に改称
・Domani →Domaniブランド室に改称
・しごとなでしこ事業室を新設
(以上、女性メディア局)
・通販ビジネス室、書籍コンテンツ企画室を新設。
・ネットメディア事業室、エディトリアルエキスパート室を廃止。

〈人事異動〉

山岡 秀雄
新:国際メディア事業局 エキスパートプロデューサー
旧:マーケティング局 エキスパートマネージャー

兵庫 真帆子
新:女性メディア局 エディトリアルエキスパート室 室長兼務を解き
  女性メディア局 チーフプロデューサー (兼) 美的ブランド室室長 (兼) Domaniブランド室室長 (兼) 書籍コンテンツ企画室室長
旧:女性メディア局 チーフプロデューサー (兼) 美的ブランド室室長 (兼) エディトリアルエキスパート室室長

橋本 記一
新:女性メディア局 チーフプロデューサー (兼) Preciousブランド室室長 (兼) 和樂事業室室長
旧:女性メディア局 チーフプロデューサー (兼) 和樂事業室室長

嶋野 智紀
新:女性メディア局 ネットメディア事業室 室長兼務を解き
  女性メディア局 チーフプロデューサー (兼) CanCamブランド室室長 (兼) Oggiブランド室室長 (兼)しごとなでしこ事業室室長 (兼) 通販ビジネス室室長 (兼)デジタル事業局 Webメディア推進室
旧:女性メディア局 チーフプロデューサー (兼) ネットメディア事業室室長 (兼) デジタル事業局 Webメディア推進室 (兼) CanCamブランド室室長

鈴木 深
新:女性メディア局 MEN'S Precious編集長兼務を解き
  女性メディア局 プロデューサー (兼) Preciousブランド室 編集長(MEN'S Precious本誌)
旧:女性メディア局 プロデューサー (兼) MEN'S Precious編集長

加藤 睦美
新:女性メディア局 ネットメディア事業室 編集長兼務を解き
   女性メディア局 プロデューサー (兼) しごとなでしこ事業室 編集長 (兼) Oggiブランド室 編集長(WEB)
旧:女性メディア局 プロデューサー (兼) ネットメディア事業室 編集長

田中 ゆか
新:女性メディア局 CanCamブランド室 副編集長
旧:女性メディア局 CanCamブランド室 デスク

小森 智子
新:女性メディア局 CanCamブランド室 デスク
旧:女性メディア局 CanCamブランド室

小林 桐子
新:女性メディア局 Preciousブランド室
旧:女性メディア局 Oggi

清水 玲子
新:女性メディア局 書籍コンテンツ企画室 副編集長
旧:女性メディア局 Domani副編集長

永川 大祐
新:女性メディア局 Domaniブランド室 副編集長
旧:女性メディア局 Domani デスク

菊谷 まゆ
新:女性メディア局 Oggiブランド室
旧:女性メディア局 Domani デスク

遠藤 智子
新:女性メディア局 Preciousブランド室 副編集長
旧:女性メディア局 Precious デスク

佐藤 明美
新:女性メディア局 書籍コンテンツ企画室 編集長
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室 編集長

篠原 欣介
新:女性メディア局 通販ビジネス室 編集長
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室 編集長

渡邉 恒一郎
新:女性メディア局 Preciousブランド室 編集長(WEB)
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室 編集長

下河邊 明子
新:女性メディア局 しごとなでしこ事業室 副編集長 (兼) Oggiブランド室 副編集長
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室 副編集長

上阪 泰幸
新:女性メディア局 通販ビジネス室 副編集長
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室 デスク

安村 徹
新:女性メディア局 Preciousブランド室 デスク
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室 デスク

村上 花名
新:女性メディア局 Oggiブランド室
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室

渡邉 みらの
新:女性メディア局 CanCamブランド室
旧:女性メディア局 ネットメディア事業室

神山 敦行
新:女性メディア局 Preciousブランド室 編集長代理(MEN'S Precious本誌)
旧:女性メディア局 MEN'S Precious 編集長代理

佐藤 友貴絵
新:女性メディア局 Preciousブランド室 編集委員
旧:女性メディア局 エディトリアルエキスパート室 編集長(兼)Precious

中村 絵里子
新:女性メディア局 Preciousブランド室 編集委員
旧:女性メディア局 エディトリアルエキスパート室 編集長(兼)Precious

井亀 真紀
新:女性メディア局 Domaniブランド室 編集長(WEB)
旧:女性メディア局 エディトリアルエキスパート室 編集長

福持 名保美
新:女性メディア局 和樂事業室 編集委員
旧:女性メディア局 エディトリアルエキスパート室 編集長(兼)和樂事業室

吉川 純
新:女性メディア局 Presiousブランド室 編集委員
旧:女性メディア局 エディトリアルエキスパート室 編集長(兼)Precious