【文徒】2017年(平成29)10月11日(第5巻191号・通巻1120号)

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1)【記事】「デジタル=中心」と「紙=周縁」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「デジタル=中心」と「紙=周縁」

ハースト婦人画報社が運営するウェブ媒体「エル・ガール」は、「ティファニー」とタッグを組み、東京の“今”を体現するミレニアルズ13名を起用したミュージックビデオを初プロデュースした。表参道にオープンする期間限定ストア「ティファニー ハードウェア × トーキョー」を記念した、このミュージックビデオは、「エル・ガール」特設サイトで公開されている。
https://www.hearst.co.jp/whatsnew/corp-171006-ELLEgirl-TIFFANY-produce-musicvideo
和製女性ファッション誌はグローバルブランドに見捨てられつつあると書いたら書き過ぎだろうか。少なくともグローバルブランドが紙よりもデジタルの選択的集中を加速させていることは厳然たる事実だ。
日本ロレアル デジタル&メディア事業本部 デジタル戦略統括責任者をつとめる長瀬次英は「マーケジン」に掲載された「『広告予算を100%デジタルに』残り3年、日本ロレアルの“CDO”が今考えていること」で次のように述べている。
「僕が入社した時点で、日本ロレアルは全メディア予算の約27%をデジタルに投じていました。翌年の2016年には30%台後半、今年の9月で既に50%を超えています。肌感ですが現状で日本企業の平均がおそらく20%後半程度だと思うので、かなり高いと考えますね。
グローバルで見ると、やはり市場ごとにメディアの成熟やデジタルの普及度合いが異なるので、国によって差がありますが、アメリカだともう70%以上をデジタルに割いているような状況です」
https://markezine.jp/article/detail/27069
ロレアルは2020年までに広告出稿の100%をデジタルにする目標を掲げ、8割くらいロードマップもできている段階だそうだ。もう一つ。私は紙が絶滅するとは言っていない。ただし紙のメディアは周縁化すると私は予測している。これは否定的な意味で言っているわけでは決してない。

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2)【本日の一行情報】

◎学研プラスは、iOSのアプリ「Newsstand」で、月刊のアニメ誌「アニメディア」の電子版定期購読配信を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001313.000002535.html

秋田書店は、毎日更新され、TwitterなどのSNSツールで読める1ページ漫画媒体「日刊月チャン」を10月6日より配信している。
https://www.atpress.ne.jp/news/139847
https://twitter.com/nikkangecchan

KADOKAWAは「月刊コミックビーム」から、デジタル版の増刊「コミックビーム100」を10月6日に創刊した。一人のベテラン編集者・本気鈴に委ね、1ページたったの1円で、スマホで気軽に買えて、電車の中で読み切れる。
http://www.enterbrain.co.jp/comic/comicbeam100/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003775.000007006.html
私は「1ページたったの1円」と考えられない。100円でも高いと思ってしまう。スマホを介してタダで読めるメディアはゴマンとある。秋田書店の「日刊月チャン」にしてもそうだけれど、発想がどこか「紙」なんだよね。「紙」を「神」だと考える「物神礼拝」は間違いである。

ダイヤモンド社が運営する「週刊闇株新聞」の「『第二の東芝か?』あのハゲタカファンドが 今度はアサツーDKの非上場化で暗躍!?」の指摘が鋭い。
アサツーDKは2014年頃からWPPに提携解消を申し入れていたようですが、今回の件はWPPが承諾していない見切り発車のようです。契約書には一方が通知すれば12カ月後に提携を解消できると書かれているそうですが、最初から喧嘩を売るような発表は『まるで東芝とWD』のようです」
「買収が完了してアサツーDKを非上場にしたら、ベインキャピタルはSPCとアサツーDKを合併させます。つまり銀行から借りた1000億円超は、その後アサツーDKがせっせと返済しなければならないのです。TOBの3割だけ自腹を切って全株式を握ったベインキャピタルは、アサツーDKを再上場させるときにその株を売りガッツリ儲けるという仕組みです」
「この選択をしたアサツーDKのサラリーマン経営陣は、業績が上がらなければ(再上場が遅れると)即刻自分たちがクビになることを知らないようです。このあたりも『まるで東芝』です」
http://diamond.jp/articles/-/144988

KADOKAWAは「世界一かんたん定番年賀状」をはじめとした2018年版年賀状素材集を14タイトル刊行する。年賀状素材集売上部数では、KADOKAWAがトップだそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003773.000007006.html

◎「日刊大衆」によればフジテレビは「新潮社が発行する『週刊新潮』がスクープした豊田真由子衆院議員(42)の“秘書恫喝暴行”記事とその音声の使用料として、合計で1000万円以上を新潮社に支払った」らしい。
https://taishu.jp/detail/29789/
週刊文春」にしてもそうだが、週刊誌はB to Bビジネスを確立しはじめたということでもある。

◎南池袋にオープンした11坪程度の新栄堂書店、雰囲気なかなか良いじゃないか。
http://www.switch-store.net/hpgen/HPB/entries/287.html
私が羽仁五郎の「都市の論理」(勁草書房)を買ったのは池袋駅前の新栄堂書店であった。芳林堂ほど尖ってはいなかったが、それでもそういう本を昔は街の書店でも売っていた。

◎「本屋をもっと楽しむポータルサイト」を謳う「BOOKSHOP LOVER」をご存知ですか。
http://bookshop-lover.com/blog/post-17130/

◎アマゾンは有料会員サービス「Amazonプライム」の新たな特典として、電子書籍などが読み放題になる「Prime Reading」開始した。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1084547.html
リアル書店のお得意さんになると何か特典はあるのだろうか。「Amazonプライム」の会員は、そう考えて当然だろう。ちなみに私は「Amazonプライム」の会員である。ユーザーの多くは楽天よりもアマゾンに軍配を上げることだろう。

ソフトバンクは、雑誌・マンガ読み放題サービスの「ブック放題」(月額500円)を、10月5日より、ソフトバンク以外のスマホタブレット、パソコンから利用できるようにした。また、「ブック放題」のコンテンツに旅行ガイドブック「るるぶ」を100冊以上、追加した。
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20171004_02/
ソフトバンクは何だかんだと言っても運動神経の良い企業であることは私も認めているし、評価しているところだ。

◎中国女性誌でトップシェアを持つ瑞麗グループの関連会社であるRay Japanが、9月29日に中国越境ECに対する悩み解決新戦略セミナーを開催したところ、メーカー企業67社から約150名が参加したそうである。
https://www.atpress.ne.jp/news/139899
http://www.rayjapan.co.jp/

◎光文社は乃木坂46が、11月7・8日に開催する初の東京ドームライブを記念したファッション誌「N46MODE」を11月1日に発売する。「bis」と連動させれば面白いのにね。
http://www.oricon.co.jp/news/2098534/full/
いずれにしても、こういうノリがなければ若者の雑誌離れはつづくだろう。

オレンジページは、「オレペ大感謝まつり」を11月12日(日)に東京ドームシティ プリズムホールで開催する。2400名を無料で招待するということだが、こういうリアルイベントを有料化することをオレンジページは考えるべきではないのか。販促のための読者サービスとしてイベントを位置づけるのではなく、「オレンジページ」と連動しながらもメディアとしての自立を模索することなしに時代の核心部分に触れることはできないのではあるまいか。
https://www.atpress.ne.jp/news/139829

吉本興業は専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」を2018年4月に沖縄・那覇市に開校する。マンガコースでは、「週刊少年ジャンプ」の編集長を経て、コアミックスを設立した堀江信彦が講師をつとめる。
http://news.yoshimoto.co.jp/2017/10/entry76187.php

◎「MERY」公認ライターの募集が開始された。「月60時間以上、及び週3日以上で勤務可能な方」で時給1000円って、発想が何だか紙だよね。大丈夫なのかな。私であればクラウドソーシングという方法を簡単には捨てないけれど。
https://hrmos.co/pages/mery/jobs/0000004

小学館が運営する「CanCam.jp」は3月1日にローンチ後、確実にユーザーの支持を集め、9月期には、2,129万PVを達成、ユニークユーザー数も553万を数える。
https://www.atpress.ne.jp/news/139852
CanCam.jp」が紙の「CanCam」を圧倒し、凌駕することで「CanCam」は紙のメディアとして再活性化するはずである。

講談社は電子BL雑誌「ハニーミルク」を母胎として単行本レーベル・ハニーミルクコミックスを創刊した。
http://natalie.mu/comic/news/251533

◎ビューティー特化動画メディア「DINETTE」(ディネット)は独立系ベンチャーキャピタルのPE&HRが運営するSocialEntrepreneur2投資事業有限責任組合から資金調達を実施した。
http://www.dinette.jp/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000026615.html
尾崎美紀は24歳の女社長である。しかも中大OBか!尾崎は日本テレビの「PON!」でお天気お姉さんをしたり、「週刊プレイボーイ」のグラビアを飾ったりしていたそうだ。

◎「美少女戦士セーラームーン」のオリジナルクリアファイルがもらえる「講談社 2017秋の女性誌キャンペーン」が実施されている。
http://natalie.mu/comic/news/251670

山口県周南市は、JR徳山駅前に建築中の「徳山駅前図書館」のオープン日を2018年2月3日(土)に決定した。徳山駅前図書館はカルチュア・コンビニエンス・クラブが指定管理者をつとめる。3フロアからなり、図書館、カフェ、書店、飲食施設、交流室、市民活動支援センターで構成される。書店は、むろん蔦屋書店。
http://www.ccc.co.jp/news/2017/20171004_005290.html

はてなが開発したマンガビューワ「GigaViewer」は集英社の運営するWebコミックサイト「となりのヤングジャンプ」に採用された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000006510.html

砂子屋書房の「現代短歌文庫シリーズ」の一冊として「尾崎まゆみ歌集」が刊行された。阪神大震災を詠んで「破壊もまた天使であるとグレゴリオ聖歌が冬の神戸を駆ける」とは、さすが塚本邦雄のお弟子さんである。
https://mainichi.jp/articles/20171005/ddf/012/040/005000c

◎10月8日(日)、AbemaTVで見城徹がMCを務めるトーク番組「徹の部屋」に安倍首相がゲスト出演した。
http://www.asahi.com/articles/ASKB63JJ6KB6UTFK005.html
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=14178

◎ルミネは、「LUMINE SPECIAL DAYS - TOKYO MIX CULTURE -」を11月13日(月)までルミネ全館にて開催している。今回はマガジンハウスの「GINZA」とコラボして、「GINZA」編集部と考えたプレゼントキャンペーン「当たれ、ルミネガールズ!」を実施している。
https://www.lumine.ne.jp/newsrelease/pdf/release_171005.pdf

◎「C CHANNEL」の全世界でのSNSファン数が10月2日時点で延べ2,000万人を突破したそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000025680.html

◎宝島社がプロデュースする北欧デザインのブランド「kippis」(キッピス)と、ライオンの食器用洗剤「Magica」(マジカ)が提携し、「kippis」のオリジナル柄を使用したポンプボトル(4種)を「Magicaつめかえ用大型2個+ポンプ品」として11月17日から全国のスーパーやドラッグストアで発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000584.000005069.html

◎フェア「白泉少女漫画団〜悪い男は好きですか?〜」が、12月31日まで全国約2000書店で開催されている。
フェアの対象作品は赤瓦もどむ「兄友」、友藤結「贄姫と獣の王」、千歳四季「蒼竜の側用人」、仲野えみこ「劉備徳子は静かに暮らしたい」、晴海ひつじ「斎王寺兄弟に困らされるのも悪くない」、斎藤けん「天堂家物語」、西形まい「GAME〜スーツの隙間〜」。
http://www.hakusensha.co.jp/mangadan2017/

◎「AIスピーカー」が続々と発売される。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21913680V01C17A0MM0000/

◎23年ぶりに大リニューアルを行った「角川新字源 改訂新版」の特装版函イラストをイラストレーターの中村佑介が手がけた。
http://promo.kadokawa.co.jp/shinjigen/
http://top.tsite.jp/news/magazine/i/37320496/

ノーベル経済学賞リチャード・セイラーカズオ・イシグロノーベル文学賞につづき、またしても早川書房だ。「行動経済学の逆襲」を昨年刊行している。
http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2017-10-10-101605.html
ノーベル物理学賞は「重力波」であったが、早川書房は「重力波は歌う」も刊行している。言ってみればノーベル賞三冠王なのである。
http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2017-10-04-181405.html

世界文化社の「OWN」秋冬号が発売された。公式ホームページもオープンした。
http://www.own-magazine.jp/
https://twitter.com/own_magazine_ne

文藝春秋「文藝春秋」10月号に掲載された楠木新の「『良い定年後』と『悪い定年後』」を再編集し、電子書籍オリジナルとして「豊富な実例から見えてきた『成功の法則』 『良い定年後』と『悪い定年後』」をリリースした。発売から1カ月間は特別価格100円。
https://www.atpress.ne.jp/news/139964

◎日経によればカルチュア・コンビニエンス・クラブ傘下の北海道TSUTAYAは大型複合施設の「蔦屋書店」を道内に10店規模で展開するという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22000900W7A001C1L41000/

◎米コンデナストは、LGBTQをテーマにしたウェブメディア「them.」を10月末にローンチするそうだ。
https://wired.jp/2017/10/07/condenast-them/

東洋経済新報社の「会社四季報」編集長に岡本享が就任した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000004767.html

電通の9月度単体売上高。全メディアで前年同月比割れ。雑誌は87.1%。新聞は82.8%。紙のメディアは一際厳しい。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017111-1006.pdf

集英社女性誌「MORE」「BAILA」「LEE」の三誌はディズニー映画「美女と野獣」のMovieNEX発売記念イベントに協力した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000011463.html

◎投稿コミュニティサイト「エブリスタ」から生まれ、双葉社によってコミックスが刊行され、シリーズ累計320万部(既刊10巻)の大ヒットとなったマンガ「奴隷区僕と23人の奴隷」のTVアニメ化プロジェクトがスタートした。
http://doreiku-anime.com/
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1507271250

◎日販は、現在申込受付中の検定試験「第2回 ごはん検定〜めしけん〜」の合格者を対象に、お米をテーマにしたアニメ「ラブ米」とコラボした合格認定カードを2,500円(税込)で販売する。
http://www.nippan.co.jp/news/lovekome_card/

電通を中途退職した田中泰延の「ひろのぶ雑記」。田中は「24年間の会社員生活で、私は1ヶ月以上の入院を、じつに4回もすることとなった」そうだ。
「その前の年のクリスマスに起こった悲しい事件を私が知ったのは、2016年の年明けだった。
私は、社内の訃報掲示と、社内報に載った追悼文でそれを知った時、驚きと共に、心のどこかが慟哭しているのを感じた。そして『これは、おそらく、大きなうねりになる』と確信した。
その時。初めて告白するが、私は、あることをしてしまった。
私は、自ら命を絶った彼女と、面識はなかったのだが、同じ会社の新入社員ということで、ツイッターのフォロー/フォロワーの関係として、言葉を交わしたことがあったのだ。
彼女がこの世を去る数ヶ月前のできごとだ。深夜3時ごろ、会社で徹夜作業をしていた私の目に、つぶやきが飛び込んできた。
『まだ会社にいる しんどい』
みたいな内容だったと思う。私はそれに反射的に
『おれも会社で徹夜 がんばろう』
というような言葉を返してしまったのだ」
http://www.machikado-creative.jp/planning/62091/

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3)【深夜の誌人語録】

できないことはできないと言う勇気を失くしてはなるまい。