【文徒】2018年(平成30)11月9日(第6巻211号・通巻1385号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】「テレビCMをネットで買える」ラクスル新サービスの衝撃(岩本太郎)
2)【本日の一行情報】
3)【人事】コンデナスト・ジャパン 11月7日付
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1)【記事】「テレビCMをネットで買える」ラクスル新サービスの衝撃(岩本太郎)

ネット上で印刷・広告のシェアリング・プラットフォームを運営するほか、テレビCMの制作も手掛けている「ラクスル」が、「テレビCMオンラインストア」と題し、サイト上で番組表や価格を見ながらCMの発注ができるというサービスを開始した。
《2ヶ月後のCM枠を1枠(15秒)から指定して放映が可能。番組名と価格が一目瞭然だから、あなたのターゲットと状況に合わせて、細かく放映プランを検討いただけます》と謳う。
https://tvcm.raksul.com/store
現在は日本テレビのみが対象。ただ、トップページの《日テレのCM放映を10万円から。》がいかにも刺激的だ。メディア業界関係者の間からは《ぇええええ!》(元NHK堀潤)《うっわ、すごい時代だな》(ITジャーナリストの三上洋)といった驚きの声がTwitterなどで次々に上がっている。
https://twitter.com/8bit_HORIJUN/status/1060088498319876097
https://twitter.com/mikamiyoh/status/1060277276229529600
広告やマーケティングの関係者にも衝撃が走ったようだ。「大手web広告代理店→デジタルマーケティング会社で事業戦略やプロダクトマーケ」を担当しているという「TG/エロ顔マーケター」なる人物はTwitterでこう呟いた。
《これ全然知らなかったのだけどマジ衝撃的なんですが、、いつからあったの?
リリースも出てないしみんな知ってるものなの?
テレビCMを半オープンに買い付けできるって…マジかよ
単価もそこまで高くないし、、使ってみたい(よだれが出る)》
https://twitter.com/tg_989/status/1060135230248349696
海陽学園1期生→一橋商→SUUMOの中の人→スペースマーケットのマーケ」だという「ほったりょーと」はこう書く。
《テレビCMの枠がデジタルの運用型広告並みの精度で回せるようになるかも。これまで代理店の専売特許だった「テレビCMの枠買い付け」を事業会社でもできるように。代理店からラクスルに圧力かかりそう笑》
https://twitter.com/ryo10hottie/status/1060351079324430336
「某広告代理店の社員」が管理人だという『中の人のアドテクニュース』もこんなふうに書いていた。
《いよいよ代理店いらなくなるというか。
それこそ電通とかでやるべきことな気もするけど、自分たちの人材をディスラプトする側はできないしね。
ラクスルはどんどん代理店を食いにきてるね。彼ら自身も客だったりするだろうからうまくやれないのだろうね》
https://adtechnews.hatenablog.com/entry/2018/11/08/140504
ラクスル自身も最近は「こんなにチラシを印刷しても1万円!」といったテレビCMで話題を呼ぶようになった新興スポンサーの1つである。今年5月にはマザーズに上場。2010年に始めた印刷通販の価格比較サービスサイト「印刷比較.comから次第にサービスを拡大し、2015年からは広告プラットフォームとして集客支援サービスのほか、運送事業も開始している。
https://jp.techcrunch.com/2018/04/27/raksul-ipo/
ただ、この「CMオンラインストア」には少し懐疑的な見方もあるデジタルガレージ関西営業所責任者でウェブ広告代理業にあたる諸石真吾の意見だ。
《このビジネスをラクスルが実行する、と言う点でクライアント像が見えるけど、焼畑にならないといい。影響無いレベルの出稿をして事実を作るだけならそれはそれで戦略だと思うので良いです》
https://twitter.com/jeepster_adad/status/1060170996223827969
ちなみに電通デジタル・ホールディングスは4年前にラクスルに出資していた。
https://japan.cnet.com/article/35043959/

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

安田純平の著書がさっそく出るそうだ。扶桑社のウェブサイト『ハーバービジネスオンライン』による編集のもと『シリア拘束 安田純平の40か月』のタイトルで11月29日に発売。拘束から解放までの記録のほか、先週の2日に行われたの記者会見と質疑応答を全収録。巻末に独占インタビューも収録しているという。
https://www.amazon.co.jp/dp/4594081339/
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784594081331
安田純平の40か月」というTwitterアカウントも立ち上がっている。
https://twitter.com/p9PLLorK75j5pth

◎その安田純平の件に絡めて「邦人保護費」の件が取りざたされていることについて、ITジャーナリストの神田敏晶が「安田純平んをバッシングする前に、パスポート発行費用の75%は邦人保護費年間『#363億円』だということを思い出してほしい」とブログ『KNN(Kanda News Network)』で指摘。
《パスポート発行に1~1.5万円かかると外国人に言うと驚かれる。日本以外ではただで発行するのが当たり前。税金払ってるんだから》
https://knnkanda.hateblo.jp/entry/2018/10/29/065732

元木昌彦も「自己責任論を否定できないマスコミの欺瞞 安田純平さんを批判してどうする」と『PRESIDENT Online』に寄稿。自身もかつて1985年に北朝鮮から「1カ月、単身で来ないか」と誘われ、勤務先(講談社)には内緒で有給休暇を使って平壌入り。事前に《親しくしてもらっていた河野洋新自由クラブ代表(当時)と中曽根康弘首相(当時)の秘書に、北朝鮮に行くこと、6月を過ぎても帰国しなかったときは、元木という人間が戻らない、どうしているのかを問い合わせてほしいと頼みに行った》とのこと。
https://president.jp/articles/-/26651

◎「スーパーボランティア」こと尾畠春夫の“初の著書”との触れ込みだった『一歩前へ』は、結局出版中止になったそうだ。発売元となるはずだったアチーブメント出版社の代表・塚本晴久が「出版中止のご報告」を6日付で同社の公式サイトにアップした。《取材が殺到して多数の取材がありこれ以上の取材対応は心身への負担が大きく困難であるため今後一切の露出を控えた》いとの意向が尾畑から版元に寄せられたという。
http://www.achibook.co.jp/news/1135/
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/1107/blnews_181107_0641659048.html
同書については『週刊春』(10月18日号)でも発売延期の件が報じられた。
アチーブメント出版は人材教育コンサルティング会社「アチーブメント」の子会社で1999年に設立。代表の塚本は2008年に入社し、親会社の代表・青木仁志の著書のほかニコラス・スパークスの小説『ラスト・ソング』の邦訳を手掛けるなどの実績を持つ。青木は塚本を「出版界の風雲児」と呼び、彼の入社でアチーブメント出版が大きく変貌したとブログで持ち上げている。
http://www.aokisatoshi.com/blog/2010/06/post-606.html

小学館サイバー・コミュニケーションズCCI)と共同で「小学館 ライフスタイル ブランドスタジオ」を設立した。『BE-PAL』『DIME』『サライ』などのライフスタイル誌やデジタルメディアで培ってきたノウハウを、広告主のマーケティング活動支援を目的としている。同社のブランドマネージャーに小学館ライフスタイル局チーフプロデューサーの水野麻紀子が、ビジネス開発担当に同広告局デジタルメディア営業センター副センター長の河村英紀がそれぞれ就任している。
https://brandstudio.shogakukan.co.jp/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000158.000013640.html

集英社のノンフィクション編集部が読み物サイト『よみタイ』を開設。群ようこ鈴木涼美酒井順子などの作家陣のほか、同編集部の志沢直子による「ひとみしり編集者のEMANON DAYS」などの連載がスタートしている。
https://yomitai.jp/

◎『Yahoo!ニュース』主催の「本屋大賞2018年ノンフィクション本大賞」は角幡唯介の『極夜行』(藝春秋刊)が受賞した。
https://news.yahoo.co.jp/promo/newshack/award/2018/books/
https://www.oricon.co.jp/news/2123049/full/?anc=148

仲俣暁生が編集人を務めるウェブメディア『マガジン航』が、研究施設やカフェなど各地に点在する書棚の情報をサイトで管理・提供するサービスの「リブライズ」とのコラボを開始。同時に都内世田谷区の「下北沢オープンソースCafe」に「編集部」を開設することとなり、さる7日に同所にて開設のお披露目が行われた。「すべての本棚を図書館に」を謳うリブライズを管理・運営する河村奨は下北沢オープンソースCafeのオーナーでもある。
https://wp.me/pap2RL-6gt
https://librize.com/ja
https://www.facebook.com/cognitom/posts/10214049763383509

◎自らの体験を綴った『顔面漂流記 アザをもつジャーナリスト』などの著書で知られ、顔にアザやキズがある人たちのグループ「ユニークフェイス」を主宰してきた石井政之が、近々「ユニークフェイス専門出版社」を立ち上げることを自身のブログで宣言した。
https://ishiimasa.hateblo.jp/entry/2018/11/07/061004
石井はかつて製薬会社のファイザーによる助成プログラムに応募し「自分が出演してでも完成させる」と交渉のうえ資金を獲得しつつドキュメンタリー映画ユニークフェイス・ライフ』を2006年に製作・公表していた。その後は会社員生活に入っていたが、最近退職して再びフリーランスとしての活動を始めた。
https://www.shibuyabunka.com/soft.php?id=977

◎月刊『磯・投げ情報』が9月号(7月25日発売)限りで休刊するなど、経営難から破産申請の準備に入っていた釣り情報専門出版社の海悠出版が、10月31日付で東京地裁にて破産開始決定。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20181107_01.html

朝日新聞新潟総局のTwitterアカウントが去る5日に第三者に乗っ取られていたことが判明。「I sent 1 BTC and got back 10 BTC!(1ビットコインを送ったら10ビットコインを送り返してもらえた)」などの不自然な書き込みがなされており(既に削除)、ビットコイン詐欺の宣伝に利用されたらしい。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37463220X01C18A1000000/

◎2007年に亡くなった佐藤真(ドキュメンタリー映画監督・『阿賀に生きる』など)を偲ぶ連載「『佐藤真の不在』」を里山社が公式サイトで始めた。第1回では、2016年3月に同社が『日常と不在を見つめて』の刊行を機に始めた佐藤の作品上映に併せて行われたゲスト対談(赤坂憲雄×旗野秀人×小森はるかの模様を再構成のうえ「前編」として掲載している。
http://satoyamasha.com/series/fuzai-taiwa/fukushima-zenpen-01

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3)【人事】コンデナスト・ジャパン 11月7日付

平石 敬晴
新:VOGUE JAPAN/VOGUE WEDDING/VOGUE GIRL 発行人 兼 ビジネスソリューション担当副社長
旧:VOGUE JAPAN/VOGUE WEDDING/VOGUE GIRL アソシエイト・パブリッシャー 兼 ビジネスソリューション担当副社長

山鳥 宜裕
新:GQ JAPAN発行人
旧:GQ JAPAN アソシエイト・パブリッシャー


櫻木 裕之
新:VOGUE JAPAN ビジネスソリューション部エグゼクティブ 兼 VOGUE GIRL アソシエイト・パブリッシャー
旧:VOGUE JAPAN ビジネスソリューション部エグゼクティブ 兼 VOGUE GIRL シニア・エグゼクティブ

藤代 聖彦
新:経営企画室 統括ディレクター 兼 コンデナスト・ヴィデオ統括ディレクター
旧:コンデナスト・ヴィデオ統括ディレクター

岡本 綱雄
新:WIRED JAPAN ビジネスソリューション部セールスマネージャー 
(※11月7日付で入社)