【文徒】2018年(平成30)11月16日(第6巻216号・通巻1390号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】『GG』休刊&倒産の裏に「アスペクト」あり?(岩本太郎)
2)【本日の一行情報】
3)【人事】電通 2019年1月1日付執行役員人事
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1)【記事】『GG』休刊&倒産の裏に「アスペクト」あり?(岩本太郎)

元『LEON』編集長の岸田一郎による月刊誌『GG(ジジ)』(2017年6月創刊・今年9月に休刊)を発行していた出版社「GGメディア」が11月6日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。
https://www.j-cast.com/2018/11/14343738.html
』でも1カ月ほど前に伝えた通り『GG』は9月22日に発売された11月号を最後に休刊していた。当初は岸田が11月号を最後に編集長を退き、片腕と言われてきた副編集長の荻山尚が10月24日発売の12月号から編集長に就任、岸田はイベントやECサイト運営など新規事業の責任者として引き続き同誌をバックアップしていく、と報じられていた。
https://www.wwdjapan.com/706206
https://www.fashionsnap.com/article/2018-09-27/gg-kishida-stepdown/
ところが実際には12月号発売を1週間後に控えた先月中旬になって結局発売が取りやめとなってしまった。休刊理由、岸田や荻山の今後の役職についても未公表。公式サイトは残っているが、休刊の件も含めて沈黙したままだ。
https://www.fashionsnap.com/article/2018-10-17/gg-magazine11/
http://ggmediainc.com/
『GG』をめぐっては外部協力者へのギャラ不払いも生じていたようだ。クラウドソーシングサイトを通じてライターを集めていたのだろうか、クラウドワークスのサイト『みんなのお仕事相談所』には昨年末、報酬未払いを告発するこんな投稿がなされていた。
《『GG Media』というクライアントの記事を7月から11月にかけて20本程度執筆しましたが、いまだに一度も振り込みがありません。再三、振り込みの確認をしておりますが、回答がない状態が続いております。
とりあえず、誠意ある回答を期待して、もうしばらくペンディングしたいと思います。しかし、だんまりの対応であれば、今後の警鐘の意味でも次のステージを考慮しているところです。》
https://crowdworks.jp/consultation/threads/8632
東京商工リサーチが伝えるところによれば、今回のGGメディアの破産に伴う負債総額は《債権者89名に対して約1億3700万円》。同社には大手旅行代理店のH.I.Sのほか、富士山マガジンサービスも出資していた。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20181114_02.html
ただ、それよりも私が上記を見ながら「おや?」と目にとめたのは同社代表の「高比良公成」の名前だ。昨年以来『』や『メディアクリティーク』(直近では今年8月31日号)で、その著者への印税や原稿料の不払い問題を私がレポートしてきた出版社「アスペクト」の社長と同じ名前ではないか。
http://www.aspect.co.jp/corporate-profile/
念のため、不払い問題についての取材でしばらく前に会っていたアスペクトOBに問い合わせたところ、やはり「同一人物です」とのこと。高比良公成は「西(和彦)さんに誘われセガからアスペクト入りした」(そのアスペクトOBの証言)といわれる人物で、先にアスペクトが全額出資のうえ設立した「アスペクトデジタルメディア」の代表も務めている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000000166.html
上記のアスペクトOBは以下のように証言してくれた。
「『GG』創刊前に岸田グループがいろいろな版元に頼んで回っては断られていたところにアスペクトというか西さんが食いついたようです。西さんから『お前が背負え』と言われて人の好い高比良さんが引き受けさせられた、ということらしい。GGメディアの編集部も実は上野のアスペクトの本社と同じフロアにあって、経理などはアスペクト経理部門が兼務。岸田氏にも良い額の報酬が払われていたのではないでしょうか」
取材のうえ、いずれ続報したいと思う。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎新潮社および同社から2013年にノンフィクション『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』を上梓していたジャーナリストの清水潔が、「Amazonプライム・ビデオ」で2017年12月22日より配信されたドラマ『チェイス』の内容が同作と「酷似している」と指摘していた問題で、ドラマを制作した「ジョーカーフィルムズ」が13日、公式サイトに「お詫びとお知らせ」を掲載。
《関係者間で協議を重ねた結果、清水氏及び新潮社、そして北関東連続幼女誘拐殺人事件のご遺族様への配慮が至らなかった点につきまして、ここに謝罪いたします》
http://jokerfilms.tokyo/topics/chase
これを受けて清水と新潮社は《本ドラマの配信再開については異議を唱えないことにいたします》と表明。清水は《今回は先方が謝罪をし、参考献・番組が明示され、事件被害者と遺族へ対する哀悼の意がドラマ末尾に追加されたという事実を受け入れる事とします》と新潮社を通じてコメントした。
https://www.shinchosha.co.jp/news/article/1422/
https://www.asahi.com/articles/ASLCF6HLRLCFUCLV00V.html
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1811/13/news131.html …

◎2017年12月9日発売の「vol.30」を最後に紙版が休版の発行が終了していた『WIRED』日本版が、デザインや判型を一新した「リブート号」として13日に復刊。編集長の松島倫明が公式サイト上で「編集長から読者の皆さんへ」と復刊に際してのメッセージを掲載した。同誌のクリエイティヴィレクターに就任した伊藤直樹への松島らによるインタビューも行われている。
https://wired.jp/2018/11/13/vol31-editors-letter/
https://wired.jp/2018/11/13/naoki-ito-interview/
今日16日から20日まで六本木のTSUTAYAで「リブート号刊行イベント」も開催される。期間中にはゲストを招いてのトークも行われ、松島や伊藤のほか、ドミニク・チェン(早稲田大学化構想学部准教授)、真鍋大度(アーティスト・インタラクションデザイナー)も登壇する予定。
http://real.tsite.jp/ttr/event-news/2018/11/wired-vol31.html
紙版の前編集長だった若林恵による「休刊の辞」は、昨年末に若林が『ダイヤモンドオンライン』の取材に応じた以下のインタビュー記事、および若林が岩波書店から今春上梓した『さよなら未来 エディターズ・クロニクル 2010-2017』を参照のこと。
https://diamond.jp/articles/-/154252
https://www.iwanami.co.jp/book/b355578.html

海賊版サイト問題などをめぐりネット上での鞘当てがこのところ目立っていた川上量生山本一郎だが、山本が上席研究員を務める情報法制研究所(JILIS)に対し、川上が7日付で「抗議配達証明付きの速達郵便で送付し、13日にはその全を自身の公式ブログで公表。
http://ch.nicovideo.jp/kawango/blomaga/ar1697280
山本も抗議をもらったことを13日付のブログで報じ、翌日には川上を相手に訴訟を提起した旨を表明。
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13205827.html …
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13205966.html 
ちなみに年末恒例となっているネット上のネタ企画『裏紅白歌合戦』の「ガチ相撲裏紅白場所 2018 前半戦」では山本と川上量生の「取組」なんてのが組まれていた。これを引き合いにしつつ山本はブログの末尾でこんな風に結んでいた。
《真剣勝負です。本件訴訟においても、法廷を舞台に最後まで戦い抜きたいと存じます》
http://jiyujoho.a.la9.jp/ukoh18.htm
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1811/14/news110.html

◎その川上量生ドワンゴは「ニコニコ生放送」を「健全化するため」に規約を強化。迷惑行為による利用規約違反とアカウントの再取得を最終警告後も繰り返す放送者に対しては「配信停止措置」を取るようにしたとのこと。
https://blog.nicovideo.jp/niconews/92804.html
http://gogotsu.com/archives/45098

保守系サイトの1つとして知られる『netgeek』の運営について『BuzzFeed Japan』が取材を進めているらしい。周辺関係者から『netgeek』側に「取材を受けた」旨の連絡が入ったほか、同編集部に対しても《特定の名前を名指ししたうえでこれが真実かと尋ねる問い合わせ》が《11月15日正午までにご回答ください》との回答期限も添えつつ『BuzzFeed Japan』記者の播磨谷拓巳から送られてきたそうだ。当然『netgeek』は抗議を表明。
http://netgeek.biz/archives/130823

◎『Yahoo!ニュース』不破雷蔵によるメディア動向解説。今年9月のマス4媒体の広告売上高はいずれも前年同月比でマイナス。中でも雑誌は12.0%減と、4媒体中で下げ幅が最大。インターネット広告の金額はとうとう新聞広告の3倍に達した。 https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20181114-00104026/

◎絵本出版社の老舗・福音館書店の月刊『こどものとも』で編集長を務める関根里江が『ほぼ日刊イトイ新聞』のインタビューに登場。代表的なベストセラー『ぐりとぐら』は1963年の初版以来既に223刷を重ねているとか。「ロングセラー」の基準を問われた関根はこんなふうに答えている。
《そうですね、明確にはありませんけど、多いものですと、1回に1万冊以上を刷っていて、それが100刷を越えて、50年くらい経った本ならば、ロングセラーと言っていいでしょうか》
https://www.1101.com/oshigoto/fukuinkan/2018-11-15.html

◎京都の牧野出版が、市内の二条城近くにある町家を改装のうえ「ブックカフェ兼オフィス」として活用すべく、クラウドファンディングプロジェクトを9日から「Readyfor」で始めた。締め切りは12月27日。オープンは来年4月上旬を予定している
https://readyfor.jp/projects/nishidai318
牧野出版代表の佐久間憲一は新潮社で『FOCUS』取材記者や『新潮OH!庫』編集長などを経てバジリコの創設時に移籍。以後ポプラ社でWebマガジン『ポプラビーチ』の編集などを担当し、2004年に牧野出版を買収。還暦を迎えた昨年から京都に移住している。
https://lifeshift-japan.net/archives/2098
http://www.hituzi.co.jp/editor/editor.html

リクルートホールディングスが今年4~9月期連結決算を発表。求人サイト「インディード」や人材派遣事業などがいずれも好調で、売上収益は前年同期比8%増の1兆1433億円。純利益が前13%増の926億円となった。
https://recruit-holdings.co.jp/who/value/post_70.html
https://recruit-holdings.co.jp/ir/library/securities/
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL13HLJ_T11C18A1000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37707840T11C18A1DTC000/

電通が2018年度第3四半期累計期間(1月1日~9月30日)連結決算を発表。
収益は前年同期比で8.8%増、売上総利益は同7.9%増、調整後営業利益は4.4%減。デジタル領域での増収や連結子会社の好調、受注案件の増加などにより国内事業の売上総利益は増えたものの、労働環境改革の推進によるコスト増から調整後営業利益は減少した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/1114-009654.html

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3)【人事】電通 2019年1月1日付執行役員人事

電通は2019年1月1日付で以下35名の執行役員を選任する。
社長執行役員     *山本 敏博 (現 社長執行役員
執行役員・社長補佐  *髙田 佳夫 (現 執行役員・社長補佐)
執行役員・社長補佐  *遠谷 信幸 (現 執行役員
執行役員・社長補佐   桜井 俊  (現 執行役員
執行役員       *ティム・アンドレー (現 執行役員
執行役員       *五十嵐 博 (現 執行役員
執行役員        柴田 淳  (現 執行役員
執行役員       *曽我 有信 (現 執行役員
執行役員        八木 隆史 (現 執行役員
執行役員        石川 豊  (現 執行役員
執行役員        大久保 裕一(現 執行役員
執行役員        前田 圭一 (現 執行役員
執行役員        日比野 貴樹(現 執行役員
執行役員        松尾 秀実 (現 執行役員
執行役員        榑谷 典洋 (現 執行役員
執行役員        石田 茂  (現 執行役員
執行役員        中村 潔  (現 執行役員
執行役員        上條 典夫 (現 執行役員
執行役員        山岸 紀寛 (現 執行役員
執行役員        安藤 亮  (現 執行役員
執行役員        広瀬 哲治 (現 執行役員
執行役員        坂田 憲彦 (現 執行役員
執行役員        伊谷 以知郎(現 執行役員
執行役員        中村 将也 (現 執行役員
執行役員        足達 則史 (現 執行役員
執行役員        高橋 惣一 (現 執行役員
執行役員        辰馬 政夫 (現 執行役員
執行役員        大内 智重子(現 執行役員
執行役員        鈴木 宏美 (現 執行役員
執行役員        孫 生京  (現 執行役員
執行役員        吉崎 圭一 (現 執行役員
執行役員        ニック・プライデイ (現 執行役員
執行役員(新任)        前田 真一 (現 関西第1ビジネスプロデュース局長)
執行役員(新任)        林 信貴  (現 第1統合ソリューション局長)
執行役員(新任)        山口 修治 (現 デジタルプラットフォームセンター局長、
                        株式会社電通デジタル 代表取締役CEO)

*印は、監査等委員でない取締役の兼務者で、その任期は2019年3月開催の定時株主総会までとなる。同定時株主総会に推薦する取締役候補者については、2019年2月度取締役会への付議を予定している。

(2)執行役員の退任
退任する執行役員は以下の4名。
望月 渡  (現 執行役員・社長補佐)
谷 尚樹  (現 執行役員
ジェリー・ブルマン(現 執行役員
佐藤 宗平 (現 執行役員

望月 渡は、執行役員退任後も当社取締役を任期満了まで務める。
退任後、谷 尚樹は当社の特命顧問、ジェリー・ブルマンは特別顧問に就任する
佐藤 宗平は株式会社電通テック監査役(常勤)に就任予定。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/1114-009652.html