【文徒】2018年(平成29)1月12日(第6巻5号・通巻1179号)

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1)【記事】「はれのひ」振り袖の転売疑惑でメルカリと楽天フリルはどう対応したか
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】「はれのひ」振り袖の転売疑惑でメルカリと楽天フリルはどう対応したか(岩本太郎)

振り袖の販売・レンタル業者「はれのひ」が8日の成人の日に突然営業を取りやめ、頼んでいた晴れ着を成人式に着られなくなった新成人が続出した問題に続き、実は2か月ほど前からメルカリに振り袖が大量に出品されていたという事実が明らかになった。ネットメディア『DESSART』によると、それは成人の日の翌9日、Twitter上での以下の投稿(現在では既に削除された模様)などを通じて表面化したらしい。
《メルカリに半年前からたくさんの振り袖捌いてるアカウントがいくつかあったので、この中に、はれのひ関連の被害に遭われた方、自分のがある方がいるかもしれません、もしかしたら、なのでアカウント名などは直接教えさせて頂きます》
https://lineblog.me/dessart/archives/13169257.html
同記事には、ケータイ小説などで活躍している戸田ミケが、やはり9日に入って早々にアップした以下のツイートも引用されている。
《例のはれのひの最悪なところはたくさんあるけど、中でも預かった着物を持ち逃げしてドロンはマジでやばい。着物、特に振り袖はちょっといいやつなら普通に7桁はいくし、それより何より着物の帯はガチで高価。晴れ着の帯なら下手したら着物より高い。そういうのまで一式盗まれたとあっちゃ当然重罪よ》
https://twitter.com/bokumike/status/950409038147215360
上記の削除されたツイートには、振り袖が出品されたメルカリの当該アカウントの画像も併せて引用されていたようだが、これもメルカリによって9日の夕刻には公開が停止されたようだ。騒ぎに目をつけたNHKがさっそく以下のように報じている。
《問題の発覚後、ツイッターにはネット上でフリーマーケットのように品物を売り買いできる「メルカリ」に、振り袖やその関連の商品ばかりが出品されているという指摘が投稿され、この出品者のページには2か月ほど前から振り袖のほか帯や草履など70品以上が出されていました。
その多くは買い手がついていましたが、9日午後6時半すぎまでにこのページから品物の画像がすべて削除されました。
これについてメルカリの運営会社はNHKの取材に対し、「横浜市の会社と関係があるかは不明だが、『法人利用』の可能性があり非公開にした」と説明しています》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180109/k10011283221000.html
メルカリは10日付で「一部報道について」と題した文書を自社公式サイトに掲載した。
《一部報道において、メルカリ上で「振袖」を複数出品しているアカウントが「はれのひ」の関係者ではないかという憶測がなされておりますが、現時点でそのような事実は確認されておりません。
なお、インターネット上でその関連性が指摘されている該当アカウントにつきましては、「はれのひ」との関係性の有無にかかわらず、法人利用の禁止という利用規約違反の疑いがあるため出品中の商品を一時的に非公開とし、商品の入手先や本人確認を行っております。
今後も健全なマーケットプレイスの提供に努めてまいります。》
https://about.mercari.com/press/news/article/20180110_notice/
もとより、ネット上では以下のような批判も上がっている。
《「法人使用かどうか」なんて生温い話ではない。盗品転売と同じではないか。いい加減、「運営者の事前チェックなしには出品できない」というルールを適用すべき。何もせずに手数料だけかすめ取るビジネスはあり得ない。》
https://twitter.com/radioya/status/950731457546346496
一方で『BuzzFeed NEWS』は同日、メルカリ以外に楽天のフリマアプリ「フリル」にも、メルカリでのケースと同じ出品者と見られるアカウントが《数ヶ月の間に10数品の商品を出品していた》と報道。
フリルの運営企業「Fablic」も10日の午前には《全商品を非表示とする対応を取った》という。
同記事中、「はれのひ」と出品者との関連は認められなかったのかとの『BuzzFeed NEWS』からの質問に対して 「Fablic」の広報担当者は、出品者本人と連絡をとったかについては伏せたうえで以下のように答えたそうだ。
《身分証で、本人確認をされている方です。この方は、現時点で『はれのひ』さんとの関係は確認できていません(略)本人確認を一層強化していきます。また、警察から協力要請があれば、協力します》
https://www.buzzfeed.com/jp/kensukeseya/harenohi-fril?utm_term=.ssZGL6Lxv#.os4Om1mpz

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

産経新聞が4日付で配信した「沖縄県が観光収入を過大発表 基地の恩恵少なく見せ、反米に利用か」という記事について、『BuzzFeed NEWS』が「ミスリード」だとする記事を11日付で掲載。
産経が表題のように報じる根拠とした「県民経済計算」の「参考資料」が、これまで翁長知事が沖縄経済の米軍基地への依存度の低下を示す際に使ってきた資料とは別の、全く意味合いの異なるものであることや、この報道にあたって産経から取材がなかったと沖縄県側が応えたことなどを挙げながら検証している。
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/sankei-okinawa?utm_term=.viGK4D4ML

◎一昨日も取り上げた「漫画村」などの違法なタダ読みサイトの問題に関し、『Dr.コトー診療所』の作者・山田貴敏がAbemaTV『AbemaPrime』の取材に「盗っ人猛々しい」と怒りのコメント。
《正直に言うと、僕や仲間たちは食えちゃっているので、このことについて強く言うヤツはいないが、電子書籍で出すと言われた若手作家たちにロイヤリティーが入ってこない》
《言い方は悪いが、見せしめがないと誰も止めないと思う。日本では漫画が軽視されているために対策が遅れているとも思う。(略)ここでこういうことを言うのは正しいかわからないが、意外にも出版社の方や編集者が紙媒体にしがみついているのが現状だ。どうしても電子書籍に距離を置きたがるところがある。"紙媒体は衰退しているが、なくなりはしませんから"という言い方をする。確かに見開きで見た時は電子書籍よりも紙の本の方がいいとは思うけれど、もうちょっと出版社が電子書籍寄りにいかないと、本気の対策にならない》
https://abematimes.com/posts/3516261

◎人気ユーチューバー「ヒカル」が昨年夏のVARUを舞台にした「インサイダー疑惑」での炎上騒動について回顧。Twitter上にiPhoneの「メモ」機能につづった1196字のスクリーンショットを公開する形で以下のように述べていることからすると、どうもあまり懲りてはいないようだ
《詐欺をしていないのに詐欺師と言われて、憶測で全て悪い方向に話を進められる(略)これからも暴れていく。ヒカルらしく。いつか好感度爆上げされるから覚えといて。時代は変わるから。まだ俺に追いつけてない》
https://twitter.com/kinnpatuhikaru/status/950503108580319232
https://www.j-cast.com/2018/01/10318378.html

20日に発売される『SWITCH』の最新号はのん(能年玲奈)特集。独占ロングインタビューの他、7人の写真家(川島小鳥、高木将也、神藤剛、若木信吾新津保建秀、池田晶紀、永瀬沙世)による撮り下ろし写真も掲載されている。発売を記念して写真展「SEVEN WONDERS OF NON展」が全国のTSUTAYA・蔦屋書店7店舗で開催されるほか、21日には代官山蔦屋書店でのんによるトークイベントも開催される予定だ。
http://top.tsite.jp/news/magazine/i/38419491/

フリーランスの「科学(サイエンス)ライター」である粥川準二は2016年から毎月1回、毎日新聞夕刊のコラム「ナビゲート」欄にて大手メディアの科学記事についてのレビューを掲載しているが、さる9日付夕刊では当の毎日新聞ウェブ版で昨年4月26日に掲載された記事を俎上に載せていた。その前日の「英科学誌」に発表されたという、米国フィラデルフィア小児病院の研究チームが「人工子宮」につながる実験に成功したとの記事(共同通信の原稿)についてだ。
《筆者は詳細を知りたくなり、論文を読もうと思った。しかしその記事は具体的な雑誌名を書いていなかった。幸いにもネットを英語で検索したら、その「英科学誌」が「ネイチャー・コミュニケーションズ」であることがわかり、論文を特定できた。 (略)英語圏の記事はほぼ必ず雑誌名を明記する。ウェブ記事なら論文へのリンクがある場合も多い》
《雑誌名を書かないのは記事を短くするためだろうが、「元ネタを読まれて記事内容を検証されたくない、という無意識が働いているのでは」と勘ぐってしまうこともある。(略)記事にはその内容を他者が検証するために必要な情報を盛り込むべきである。読者による記事の検証はもう始まっている。検証から逃げるよりも、むしろ検証を歓迎するような姿勢こそ、報道をより強くするだろう》
https://mainichi.jp/articles/20180109/dde/018/070/020000c

テレビ朝日系の「帯ドラマ劇場」(月〜金の昼12:30〜50)で昨年4〜9月に放送された倉本聡脚本の『やすらぎの郷』は、現在のテレビ業界や世相についての皮肉や批評を織り交ぜた内容が好評で近年の昼ドラマでは異例の高視聴率を上げたが、実はこの企画は最初はフジテレビに持ち込まれたのだという。元テレビマンユニオンのディレクターで現在は上智大学教授の碓井広義による『日刊ゲンダイ』でのインタビューで、倉本自身がその舞台裏を明かしている。
《僕が話をしたのは(引用注:フジテレビの)制作部長です。なにしろ、フジも中村敏夫(「北の国から」のプロデューサー)が死んじゃってからパイプが細くなったんですよね。(同ディレクターだった)杉田成道や山田良明は外の会社にいるから直接のパイプがなかなかなくなってしまった。(略)だから社長のところまで「やすらぎの郷」の話がいったかどうかは分からない。ただ、フジに断られたっていう事実はある。株主総会では日枝さん(現相談役)吊し上げを食らっちゃったっていうね》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/220889

◎昨日も告知させていただきました来月刊行予定の私(岩本)の著書『炎上!一〇〇円ライター始末記 マスコミ業界誌裏道渡世』の内容が、これから発売される作品を書店員や図書館員など影響力のある会員の方々に事前に電子データで提供するサービス「Net Gallay」に掲載されました。ぜひよろしくお願いします!
https://www.netgalley.jp/catalog/book/129407