【文徒】2017年(平成29)11月16日(第5巻216号・通巻1145号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】日経BP社「日本イノベーター大賞」はメルカリの山田進太郎に決定
2)【記事】ABC公査部数余話
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.11.16 Shuppanjin

1)【記事】日経BP社「日本イノベーター大賞」はメルカリの山田進太郎に決定

日経BP社による「日本イノベーター大賞」は、「フリマ経済圏」を作り上げたメルカリの会長兼最高経営責任者(CEO)の山田進太郎に決定した。アプリのダウンロード数は日本国内で6000万。
http://business.nikkeibp.co.jp/innovators/
山田は学生時代に楽天インターンとして楽天オークションの立ち上げを経験している。大学を卒業するとソーシャルゲームのウノウを創業する。ウノウをジンガに譲渡し、その後に退社して2013年にメルカリを立ち上げている。今年の3月「カンパネラ」にインタビュー記事が掲載された。
「パソコンは、1人1台のパーソナルコンピュータにはなりませんでした。でも、スマホは1人1台の端末になる。であれば、個人対個人がもっとつながりやすくなるから、CtoCはもう一段階、ギアが上がるのではないかと思ったわけです」
http://business.nikkeibp.co.jp/atclcmp/15/270964/030300001/?P=3
メルカリは米国にも進出していて、アプリのダウンロード数は2500万を突破している。
「じゃあ、どうやれば米国に受け入れられるかというと、まずは、言葉すらなくても、万人が理解できる、すごく分かりやすいコンセプトが必要なんですよね。実際、FacebookInstagramGoogleも説明書なんてありません。もはや文字すらほとんど無くて、何となく使っていれば使えるし、そうでなければ世界には広がらない。
メルカリは、まだ多少難しい点があります。簡略化して、ちゃんとコンセプトを理解してもらうというところでは、まだ複雑さが抜け切れていないんです」
http://business.nikkeibp.co.jp/atclcmp/15/270964/030300002/
メルカリの社長兼COOの小泉文明は、山田についてこんな風に語っている。ちなみに小泉はミクシィの出身。
「ぶっちゃけアメリカのマーケットを獲れた方が大きいから、日本は最悪失敗してもいいんだよねみたいなことを社内でも言うんですよね」
https://industry-co-creation.com/management/5200
山田の次のような認識は、出版関係者も共有したほうが宜しかろう。
「やはりインターネットを通じて個人対個人がつながれることが面白いと思っています。今までは例えばテレビや雑誌も含めて、誰かが発信して受け取るという形でした。インターネットならば誰でも掲示板やブログから発信をすることができます。文明ができていく過程はほとんど人と人との関わり合いの中でできてきたと思っているんです。その関わり方が根本的に変わるということがインターネットの革命的なところだと思っています」
http://www.sensors.jp/post/shintaro-yamada-mercari.html
ちなみにメルカリにおいて、本はエンタメ・ホビーのカテゴリーに属するが、商品は100万点以上あるそうだ。こんな具合に売られている。
https://www.mercari.com/jp/category/668/
https://www.mercari.com/jp/category/671/
https://www.mercari.com/jp/category/670/
https://www.mercari.com/jp/category/672/

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2)【記事】ABC公査部数余話

2017 年上半期(17年1〜6月)のABC公査部数が発表された。確かに宝島社が言うように女性ファッション誌においては「sweet」の25万7554部をトップに2位「リンネル」19万3001部、3位「GLOW」18万4783部、4位「InRed」で15万2729部と、ベスト4を宝島社が独占している。
以下、ベスト20まで見てみよう。
5「nicola」(新潮社)14万9014部
6「LEE」(集英社)14万7004部
7「VERY」(光文社)14万5063部
8「mini」(宝島社)14万3572部
9「セブンティーン」(集英社)14万685部
10「STORY」(光文社)13万5403部
11「美人百花」(角川春樹事務所)13万3471部
12「ノンノ」(集英社)12万6239部
13「大人のおしゃれ手帖」(宝島社)12万3429部
14「SPRiNG」(宝島社)12万2868部
15「ポップティーン」(角川春樹事務所)12万1647部
16「オトナミューズ」(宝島社)12万1466部
17「MORE」(集英社)12万81部
18「CLASSY.」(光文社)11万3484部
19「ママガール」(エムオン・エンタテインメント)11万496部
20「steady.」(宝島社)10万1725部
スト20のうち宝島社が9誌を占める。これに続くのは、集英社で4誌、光文社で3誌、角川春樹事務所で2誌。新潮社とエムオン・エンタテインメントが1誌ずつ。マガジンハウスの女性誌がベスト20に入らないのは驚きでも何でもないが、女性ファッション誌を母胎にした広告ビジネスで頂点を極めた小学館講談社の女性ファッション誌がABC公査部数ではベスト20にランクインしない時代なのである。
さて、今回の発表において日本ABC協会講談社を激怒させる校正ミスを犯してしまった。「参考データ」として「読み放題(UU)」も発表されているが、講談社の「FRIDAY」に関して当初「177038」と誤記してしまのったのである。正しい数字は「398239」。その差は20万以上に及んでいたのである。自慢するつもりは毛頭ないが、私たちも校正ミスが少ないほうでは決してあるまい。しかし、数字がなによりも生命線の日本ABC協会にあっては、これは決して許されないミスである。
https://www.wwdjapan.com/508530

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3)【本日の一行情報】

◎「母性のディストピア」(集英社)の宇野常寛が「プレジデントオンライン」で「『政治と文学』は家族的なコミュニティが前提ですが、『市場とゲーム』では友愛的なコミュニティの可能性を考えることができる」と発言している。
http://president.jp/articles/-/23575
政治は市場ではないのか、文学はゲームではないのか…などと独り言つ。

◎笑いながら読んだ。中核派全学連委員長が「週刊ダイヤモンド」で激白。
「リベラル勢力が復活することは無理だと思います。要はリベラルとは、左派でも右派でもないということですし、労組とかそういう基盤なくやるんだというのが一つの筋になってますから。要は選挙とか、そういう場所以外においてストライキとかで強制しようという論理の筋道がない以上、彼らはじり貧になっている。復活の道はその先にはないと思います」
http://diamond.jp/articles/-/148939
http://diamond.jp/articles/-/148969
http://diamond.jp/articles/-/149125
週刊ダイヤモンド」の読者って、こういう記事が好きな世代なんだろうなあ。

◎「ぴあアイドルフェスタ」第3弾が、11月25日(土)大阪・ESAKA MUSEで開催される。
http://ure.pia.co.jp/articles/-/125017
雑誌「ぴあ」から「チケットぴあ」へというデジタルシフトは、雑誌の未来にとって示唆的である。女性ファッション誌や情報誌は単に情報を提供するだけではなく、その先のサービスそのものを提供するビジネスへシフトさせる必要があるということだ。

緑川ゆきのマンガ「夏目友人帳」(白泉社)はテレビアニメ化されているが、音楽朗読劇「SOUND THEATRE×夏目友人帳」として2018年1月6日(土)に、東京国際フォーラム ホールAでの公演が決まった。加えて夜公演の模様を、全国各地の映画館でライブ・ビューイングすることも決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000732.000003481.html

◎インターネットを中心に古本の買取・販売を行うバリューブックスは、新事業「VALUE BOOKS ECOSYSTEM(バリューブックス・エコシステム)」の運用を開始した。バリューブックスは毎年、出版社別のリユース率を算出しているが、その数字が 90% を超えている出版社のうち、パートナーになった出版社に対して、バリューブックスがその本を売って得た売上の 33% を還元するというもの。パートナー出版社はアルテスパブリッシング、英治出版トランスビュー、夏葉社の4社である。
https://www.valuebooks.jp/vb10th/project3/detail
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000026949.html

◎「ベル」とBEAUTY&LIFESTYLE MAGAZINE「CYAN/シアン」は新しいWEBマガジン「cyanmag.jp」をスタートさせた。
「ベル」は現在、「andGIRL」や「Tokyo Cawaii Media」など9媒体の女性雑誌のWEBメディアを共同運営している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000014644.html
http://corporate.vell.jp/vell_media_guide.pdf

◎来日した「ツイッター」創業者の一人であるジャック・ドーシーCEOが毎日新聞の単独インタビューに答えている。「ネガティブな使用方法を止めるため、特定の措置を取る予定はあるか?」という問いに対して次のように答えているのが印象的である。
「一律の答えがあるわけではない。事態は刻々と変化している。我々が取り得る最善の方法は、敏捷であり続け、検討が必要かもしれない新しいことに可能な限り素早く学習できるようにすること。ツイッターユーザーを補助する方法を常に求め、否定的でなく、前向きに使われるよう働きかけている。だが、解答は常に変化する。俊敏であり続けて、解答を素早く実現することが肝要だ」
https://mainichi.jp/articles/20171114/mog/00m/040/006000c
https://mainichi.jp/articles/20171114/mog/00m/040/007000c

小林よしのりが自らのブログに「狂気に走った週刊文春」を公開。記者やカメラマンの名前や写真まで公開している。
https://yoshinori-kobayashi.com/14467/
https://yoshinori-kobayashi.com/14472/
https://yoshinori-kobayashi.com/14476/
この神田知子っていう記者は「週刊朝日」でも仕事をしていたよな。こんな記事を書いていた。
https://dot.asahi.com/wa/2012092600422.html?page=1
小林は「週刊文春の敗北宣言だった!」で、こう述べる。
「タイトルが『山尾志桜里、一泊二日一緒に大阪出張』となっているが、これは大衆に誤解を与えることを狙ったものである。
山尾氏と倉持氏は、別々に大阪に行って、別々に帰った。
『一緒に』行ったわけではない!
宿泊場所も全く別!山尾氏は友人宅。倉持氏はわしが予約した『ゴー宣道場』の師範たちと一緒のホテルだ。
さらに尾行記者の質問が嘘である。
記事では『昨夜、大阪で一泊されていますが、何をされていたんですか?』となっているが、実際は『大阪で倉持さんと泊まりましたよね?』だ。
デマ記事を作ろうと思っていたが、わしに先手を打たれて、作れなくなった。
せめて印象操作で、二人で不倫出張したかのごとく、読者に勘違いさせようと苦肉のタイトルを作ったのである」
https://yoshinori-kobayashi.com/14490/

◎映画「君の膵臓をたべたい」が、韓国で大ヒット、観客41万人を突破したという。
http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2082096

ファミリーマートが何と「忖度」を商品化する。
「お待たせしました!
投票結果に上司も驚いてましたが、、、
皆さんから頂いたご意見通り
#忖度 を商品化することになりました!
こんなに投票して頂けて、ヒビノ嬉しかったです!(><)
発売した際には、ぜひ買ってくださいね!少なくとも61,239いいね分は売れ…ますよね…?」
https://twitter.com/famima_now/status/929982180700196864

アサツー デ ィ ・ ケ イが「WPP グループによる仮処分命令の申立てに関するお知らせ」を発表した。
「既にお知らせしているとおり、当社としては、当社解約通知及び当社株式処分通知に基づき、WPP グループは、WPP 保有当社株式の売却を行う契約上の義務を負っており、WPP グループによる本申立てにおける主張は失当であると考えております。今後の裁判手続においては、当社の主張の正当性を粛々と裁判所に説明し、WPP グループの主張に積極的に反論してまいります」
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/ae268c6cd187ab14a97ff6b0c2e3525f.pdf

◎学研プラスの、「学研幼児向けワークブックPlay Smartシリーズ」が米の「ファミリー・チョイス・アワーズ」(Family Choice Awards)を受賞した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001359.000002535.html

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4)【深夜の誌人語録】

前のめりになり過ぎると転ぶぞ。