【文徒】2017年(平成29)11月14日(第5巻214号・通巻1143号)

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1)【記事】山尾志桜里バッシングで、小林よしのりに『FLASH』編集長が「謝罪・記事取り下げ」
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】山尾志桜里バッシングで、小林よしのりに『FLASH』編集長が「謝罪・記事取り下げ」(岩本太郎)

FLASH』で「よしりん辻説法」を連載中の小林よしのりが、衆議院議員山尾志桜里に対して同誌が行った取材を「ヤクザ顔負け」だと自らのブログ上で批判したことから騒ぎが持ち上がった。
山尾は例の「不倫疑惑相手」とされた弁護士・倉持麟太郎の政策顧問起用の件で目下またまた渦中というか火中の存在になっているが、記者がその二人のそれぞれの自宅に張り込んでは直撃取材をかけんとする『FLASH』の取材攻勢に対して、ブログ記事の冒頭でまず《度を越している》と批判。《外出時に急襲し、「奥さんは不倫相手の政策顧問になることを了承してるのですか?」と大声で叫びまくる》など、取材現場における同誌記者の行状を具体的に挙げたうえで、以下のようにとうとう連載執筆者という立場からの”奥の手”を持ち出すことを宣言したのだ。
《わしは来週発売の「FLASH」『よしりん辻説法』で、山尾氏の擁護をしたのだが、その同じ回に山尾バッシング記事を載せようとしてるらしい。
この仁義のなさ加減はどういうことなのか?
わしは一か月後の『よしりん辻説法』で描くことがあったのに、それはキャンセルだ。
全面的に「FLASH」批判を描かねばならなくなった。
編集部と大ゲンカになって、『よしりん辻説法』終了、単行本は別の出版社からということになるのも覚悟せねばなるまい。》
https://yoshinori-kobayashi.com/14458/
小林と言えばかつて自身を敵視し襲撃の目標とまでしていたオウム真理教に対しての『SPA!』のスタンスに異を唱えつつ、同誌での人気連載だった「ゴーマニズム宣言」を打ち切って『SAPIO』に移したという故事がやはり思い浮かぶ。小林自身もそこは意識しつつ上記のくだりの後で《作家の権力を使って編集権に介入するのは本意ではない》と言及している。
とはいえ、やはりこの宣言は『FLASH』編集部に少なからずプレッシャーをかける効果を生んだようで、上記の小林のブログには同日中に《「FLASH」編集長から電話》という以下のような短い記事が投稿されることとなった。
《さきほど「FLASH」編集長から電話があり、謝罪され、記事は取り下げになった。
怒りに任せて「FLASH」批判の『よしりん辻説法』を描き始めていたが、こちらも止める。
担当りか坊が、わしの思いを伝えてくれた。ありがとう。
編集長は基本的には常識ある人だが、現場は写真を撮るのに夢中で、暴走するらしい。
来週、編集長が会いに来るそうだ。》
https://yoshinori-kobayashi.com/14461/
この件については『ハフポスト』がさっそくレポート。また、小林が続けて『週刊文春』の編集者とも電話のうえ直接会うことになった旨を報告するなど、今後さらに続報が出そうな雲行きだ。小林も《山尾志桜里氏に対する間違った報道は必ず是正されねばならない》と、さらに状況に睨みを利かせていく姿勢を表明している。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/11/10/koba_a_23273890/
https://yoshinori-kobayashi.com/14463/
https://yoshinori-kobayashi.com/14465/
もっとも、以上のエントリからは取材攻勢を受けた山尾自身が、この『FLASH』からの取材攻勢や小林による助け舟についてどのように対応しているかは出てこない。しかし実は小林による最初の『FLASH』批判の記事が出た直後に、山尾も自らFacebook上で《拡散お願いします》としてそれを広めていた。
https://www.facebook.com/yamaoshiori/posts/726933880833048
そんなわけで、こうした小林・山尾らによる一連の動きについても、ウェブ上ではさっそく疑問視や批判の声が上がっている。
小林よしのり氏の記事は、山尾志桜里議員と倉持麟太郎弁護士の証言が基になっているものと思われ、写真週刊誌「FRASH」の取材方法を「ヤクザまがい」と痛烈に批判している。現職国会議員が自ら反論をせず、メディア批判を第三者にさせているのならば問題ではないだろうか?》
http://ksl-live.com/blog12014
《山尾議員へのFLASHの取材方法がひどすぎると、小林よしのり氏がブログに書いたところ、FLASH編集長から小林氏に謝罪の電話があったとのこと。もし山尾議員が立憲民主党に所属していたら、立憲民主党は同じように抗議してくれただろうか?過激な取材から所属議員を守るのも、もはや政党の仕事だろう。》
https://twitter.com/izfan31/status/929584766688550912
《小林さんも自分の都合だけ!他の議員の時も同じ様に批判してみなさい!そしたら少しは見直してあげるから!小林よしのり氏も不倫仲間?》
https://twitter.com/fujisuntarou/status/929646889217048576
FLASHが誤る(原文ママ。以下同じ)べき人間は小林よしのり氏ではなく、山尾議員と倉持弁護士ではないのか?小林氏が誤られたからと言って掲載を取り下げるのはおかしい。売名行為としか思えない》
https://twitter.com/fontainelive_jp/status/929876614292238336

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎高精細電子ペーパーを搭載した電子書籍『全巻一冊 北斗の拳』について日経が約3分半の動画でレポート。
開発にあたったプログレス・テクノロジーズ取締役・小西亨の《まだまだ電子書籍に移り切れていない紙のユーザーがいる》《その人たちには今のテクノロジーで「本を読んでいる」と脳を錯覚させてしまうくらいの形で引き出さないと新しい世界に入って来てくれない》とのインタビューに続いて、実際に同書籍(単4電池4本で駆動。紙の書籍のようなパラパラ感も味わえる)を読んでいる場面などを映像で見せつけられると、さすがの説得力を感じてしまうところだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO23284840Z01C17A1000000/


◎10月14日に開催された「青空文庫20周年記念シンポジウム」の模様をフリーライターの鷹野凌が前後編の2回に渡ってレポート。
前編では創設者の故・富田倫生と共に草創期を担ったメンバーらによる初期の回顧や著作権保護期間問題についての取り組み、後編では同文庫にボランティアとして関わりたい人々に向けた入門セッションなどが中心となっている。
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/digipub/1090333.html
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/digipub/1090529.html
なお、当日の模様はボイジャーの「Romancer」でも映像で公開されている。
https://romancer.voyager.co.jp/171024-aozora-video

◎フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』が今年7月に放送した、福岡市の屋台の女将を主人公にした回をめぐり、同市が「屋台行政に著しい誤解を生じさせ、信頼を失墜させた」などとしてBPO放送倫理・番組向上機構)に審議を申し立てたそうだ。屋台に対して市が退去命令を出した等の内容が「事実と異なり、一方的で公平・公正を欠く」などと主張。BPOはこれを審議せず、却下したらしい。なお、番組は九州では放送されていないが、フジテレビ側は「福岡市は放送前に、暗に放送中止を求める抗議文を送ってきており、自治体によるこのような行為は表現の自由を脅かしかねないものと危惧している」と批判。
https://www.nishinippon.co.jp/sp/nnp/national/article/372693/

◎”日本最大最悪の海賊版組織”として先頃摘発されて話題を呼んだ「はるか夢の址」による被害の実態について、おそらく”最大の被害者”の1つである集英社の『週刊プレイボーイ』が《週プレもジャンプも悪辣な被害を被っていた!》と怒りの長尺レポート。
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/11/08/94582/

毎日新聞が8日付で、米海軍佐世保基地のエアクッション型揚陸艇(LCAC)が地元の西海市との間で「騒音被害を考慮して夜間航行はしないよう調整する」との旨で結んだ協定に違反する形で訓練を実施した、などと報じたことについて、在日米軍司令部はTwitterの公式アカウントで「(日米間では)米海軍が夜間にLCACの訓練をしないという合意は一度もなされていません」と翌日付で抗議した。
https://rocketnews24.com/2017/11/10/980366/

◎北海道の池田町では唯一の書店である「趣味のナイガイ」が12月30日限りで閉店することを決定。1975年に開店し、出版物や文房具のほか、かつては喫茶店も併設し、レコード販売も行うなど若者たちが集まる場所になっていたという。コンビニの台頭や町の人口減少などで来店者は徐々に減っていたが、配達では町内の店舗や農村部の個人宅などに固定客を持ち、現在も週刊誌など月に1000冊以上宅配。官公庁への文具の納入も含めて黒字経営を続けてきたものの、67歳の店主が「体力の限界」を理由に、教科書販売などを町内の別の事業者に引き継ぐ形で閉店を決めたそうだ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/143959
http://www.tokachi.co.jp/news/201711/20171110-0027897.php

◎『君たちはどう生きるか』(原作・吉野源三郎原作、絵・羽賀翔一)の売れ行きはなおも止まらず、先週末時点で既に53万部の大ヒットに。最新オリコンランキングでは本の総合部門でトップに立ったほか、同時に発売した単行本の新装版も14万部に達したという。企画・編集を担当した同社執行役員の鉄尾周一も毎日新聞の取材に応えて「ここまで売れるとは正直思いませんでした」と驚きを交えながら以下のコメント。
《だいぶ前ですが、30代の男性社員の机の上に、岩波文庫版が置いてあって、若い人がこんな本を読むのかと驚きました。僕は大学生だった40年近く前、父親に『読め』と言われて反発した。漫画にしたら読んでもらえるのでは、と思い立ったのは5年前のことです》
https://mainichi.jp/articles/20171110/dde/012/040/015000c
先週末に我々が別件でマガジンハウスに取材した際も「『世界がもし100人の村だったら』(2001年)以来のミリオンセラーになるのでは」といった話が聞かれたほどの勢いだ。

◎2017年上半期ABC雑誌販売部数は宝島社の4誌が女性ファッション誌の1位から4位を独占。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000602.000005069.html

◎その宝島社の女性ファッション誌『steady.』が鳥取県と移住促進事業でコラボを開始。イベントとして今月15日には東京で「とっとり暮らし体験交流会」、25・26日には「とっとり暮らし体験ツアー」を鳥取県の智頭町などでそれぞれ開催する予定。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000601.000005069.html

◎街角でポルノ雑誌など子どもに見せたくない「有害図書」を投函する場所としてお馴染みの「白ポスト」は1963年に兵庫県尼崎市が白く塗ったドラム缶を設置したのが最初なんだとか。エロ本が壊滅状態の今日にあっては最早お役御免状態かと思いきや、尼崎市では10年前に比べて回収数が2倍以上になっているという。付録にDVDをつける雑誌が増え、回収時には雑誌と別にカウントされるために全体の数が増えているとのこと。
http://j-town.net/tokyo/news/localtv/251659.html

ADK武蔵大学が10月から学術交流協定を結んだことを発表。ADK保有する「生活者総合調査」のデータを、同大学社会学部に新設された「グローバル・データサイエンスコース(GDS)」の授業に供するほか、将来的にはADKが派遣する講師によるデータ分析に関する授業なども検討されているという。WPPやベインとの一件も含めて「今後の広告会社」について学べる活きた教材にはなりうるかもしれない。
https://www.adk.jp/12871.html
https://www.musashi.ac.jp/news/20171110-04.html

◎その武蔵大学社会学部のメディア学科教授としてジャーナリズムを教えている奥村信幸(元テレビ朝日報道局記者。『ニュースステーション』などで活躍)が朝日新聞YouTubeや「ユーチューバー」の可能性について論じている。
http://www.asahi.com/articles/ASKC84VHRKC8UWPJ004.html
武蔵大学の所在地は練馬区江古田。かつては「マスコミで江古田出身=日芸日本大学芸術学部)」といったイメージだったが、今では西武池袋線を挟んだ反対側(南側)の武蔵大が講師陣(元NHKディレクターの永田浩三などもいる)や設備、ウェブ関連の講座などをかなり充実させてきている。小川紳介三里塚シリーズ」を含めたドキュメンタリー16作品のフィルムも小川プロダクションから同大学が継承・保管しているのだ。

クックパッドは12月から料理動画事業に本格参入する。1日に始める「cookpad store TV」ではスーパーマーケットなどの流通企業と提携。既に8月から全国100店舗でトライアルで運用を始めているサイネージ端末の設置を同1000店舗(3000台)に拡大し、店舗の販売計画と連動した料理動画を配信するそうだ。
https://markezine.jp/article/detail/27444
2週間前の『文徒』でもクックパッドの「動画よりテキストが優位」との方針が「ズレている」とウェブ上で批判されている件を紹介したが、はたして戦略の転換がどこまで図られることだろうか。
http://komugi.jp/?p=400
ちなみに9日付の東証ではクックパッドの株価が今年1?9月決算での業績悪化を受けて大幅安となったそうだ。
https://r.nikkei.com/article/DGXLASFL10HEH_10112017000000?unlock=1

◎10月からテレビ東京ほかで放送が始まったアニメ『おそ松さん』の第2期は視聴率が芳しくないらしい。
http://www.cyzowoman.com/2017/11/post_159371.html

電通博報堂の10月度売上比較。マス4媒体は選挙のおかげで両社とも新聞のみがプラスだった。それにしても雑誌は電通の例だとこの2年半、2015年4月と同8月、2017年6月の3回しか対前年でプラスを記録した月がないという状況だ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20171111-00078002/

山口県山陽小野田市で創刊に向けて準備が進められている地域情報誌『とっとこ山陽小野田』は、同市立中央図書館の館長と、同館公式サイトでの募集により集まったメンバーがイベント企画などを行う「図書館創発会議」も編集にあたっているそうだ。今月26日に同館で開催される「図書館フェスティバル」にて冊子の形で初披露される予定だが、それに先駆けて公式サイトでウェブ版が既に公開されている。
http://library.city.sanyo-onoda.lg.jp/magazine/
https://yamaguchi.keizai.biz/headline/2937/

◎関西の作家や詩人たちの本を多数手がけてきた大阪の小出版社「編集工房ノア」代表の涸沢純平が著者たちとの交流について綴った回想記『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』を川本三郎が書評。
《小出版社だからこそ、きめ細かく著者と接する。よく著者と会い、酒を飲む。文学談義が最高の酒の肴になる。その熱意、意気に大御所の富士正晴をはじめ、多くの著者に可愛がられる。本が出来上がると、著者のもとに届けに行く。(略)編集工房ノアの本は装幀の品の良さでも知られているが、涸沢氏自身、日頃の仕事のなかで好きなのは、装幀や広告など版下の制作だという。三角定規が好きとも。鬼籍に入った著者たちが回想されてゆく。東京には聞えることの少ない詩人が多い。三十六歳の若さで妻子を残して自死した黒瀬勝巳の追悼文は心痛む》
https://www.news-postseven.com/archives/20171108_627013.html?PAGE=1#container