【文徒】2018年(平成30)4月12日(第6巻67号・通巻1241号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】本屋大賞辻村深月かがみの孤城
2)【記事】ハリルホジッチ解任劇に物申す
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.4.12 Shuppanjin

1)【記事】本屋大賞辻村深月かがみの孤城

2018年本屋大賞辻村深月の「かがみの孤城」(ポプラ社)に決まった。辻村は4度目のノミネートで初の大賞を受賞した。
https://mainichi.jp/articles/20180411/k00/00m/040/100000c
辻村の次のようなスピーチは評判が良かったようだ。
「10代のころ逃げ場がない気持ちでいたとき、私の部屋の鏡は光りませんでしたが、その代わりに、かたわらにいつもあったのが本でした。かばんの底とか本棚の片隅で光って私をいろいろな世界への冒険に連れていってくれました。そういう作家さんたちや、私が愛した小説への恩返しができたらとてもうれしいです」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180410/k10011397931000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_006
実業之日本社 久保田」のツイートも良い。
かがみの孤城が素晴らしい小説なのはもちろんとして、今日の辻村さんの受賞スピーチが本当に素晴らしかった。全国の中学校だけでなく小学校でも流してほしい。小説で救われる子供がきっといるし、人生が変わる一冊になると思う。小説にはその力がある」
https://twitter.com/jippikubota/status/983686691918495744
石戸 諭が早速、辻村にインタビューしている。辻村はこう言っている。
「小説家の仕事は安易な名づけをすることではなくて、名づけられないものを、名づけられない形で、誰かに仮託して物語にすることだと思っています」
https://news.yahoo.co.jp/feature/939
2位以下は次の通りだ。得点では「かがみの孤城」の圧勝といって良いだろう。
2位「盤上の向日葵」柚月裕子中央公論新社
3位「屍人荘の殺人」今村昌弘/東京創元社
4位「たゆたえども沈まず」原田マハ幻冬舎
5位「AX アックス」伊坂幸太郎KADOKAWA
6位「騙し絵の牙」塩田武士/KADOKAWA
7位「星の子」今村夏子/朝日新聞出版
8位「崩れる脳を抱きしめて」知念実希人実業之日本社
9位「百貨の魔法」村山早紀ポプラ社
10位「キラキラ共和国」小川糸/幻冬舎
https://www.hontai.or.jp/
翻訳小説部門はステファニー・ガーバー著、西本かおる訳「カラヴァル 深紅色の少女」(キノブックス)。「冒険と恋に翻弄される少女を描くファンタジー」(朝日新聞)だそうだ。
「実売では900冊だが、出版社キノブックスの宣伝室室長は『わずか10人の編集部で宣伝費も多くかけられない。本当に売れてないんです』。受賞を受けて3万部の増刷を決め、攻勢を強める」
https://www.asahi.com/articles/ASL4B51JCL4BUCVL016.html?ref=tw_asahi
伊野尾宏之のツイートが印象に残った。
「内々の話になりますが、本屋大賞の何がありがたいかって発表翌日に受賞作が店頭に届くよう、第1回を開催する時に関係者が尽力してくださったことなんですよね。他業界では当たり前なのかもしれませんが本屋的にはずっと当たり前でなかったので、最初に道筋をつけてくれた方々には心から感謝してます」
https://twitter.com/inooshoten/status/983871559658946560
昨年、「羊と鋼の森」(文藝春秋)で既に本屋大賞を獲得している宮下奈都のツイート。
「朝、出がけに、息子に『今日、本屋大賞の日だよ』と言ったら、『あ、とった?』と聞かれたので『うん、とった』と答えてきました。今ひとつ意味がわからなかったけど、彼はちゃんと登校しただろうか……」
https://twitter.com/NatsMiya/status/983525895024488449
https://twitter.com/tokyobunkabu/status/983669656601817089

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2)【記事】ハリルホジッチ解任劇に物申す

ハリルホジッチ・プラン サッカー後進国日本 逆転の戦術論」(星海社新書)を上梓する予定であった五百蔵容は次のようにツイートしている。
「皆さま、本当にありがとうございます。ただ今関係者雁首揃えまして、加筆・再構成をどのように行うか熱心に検討中です。残された時間はわずかですが、ハリルホジッチさんの仕事には及ばぬものの少しでも良いもの、本来の内容とともに新たな関心を捉えた読み応えのあるものになるよう努力します」
https://twitter.com/500zoo/status/983351528894283777
「十分な情報を公開しない・しなくてもよい状態を作為し、『内部のコミュニケーションミス』を原因にあげるのは、それ自体が良い意味でも悪い意味でも政治的ふるまいである可能性を疑うべきだろうと思います。これはマネージメント経験のある大人ならわかるはず」
https://twitter.com/500zoo/status/983509171134840833
「拙著『ハリルホジッチ・プラン』、書名を『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか?』と変え、再起動致します。5月25日頃発売予定。現在、再構成加筆内容プロット作成中。随時内容など公開して参ります。皆様のお陰でAmazon新着1位、新書2位戴きました。有り難うございます!」
https://twitter.com/500zoo/status/983538152995303425
かつて日本代表監督をつとめたトルシエのアシスタント(通訳)をつとめたフローラン・ダバディも次のようにツイッターに投稿している。
トルシエさんが日本を去った後、反対派閥がどんどん彼をスケープゴートにするために批判記事を味方に書かせた過去、、、その記憶が蘇えるだけに私は吐き気がします。卑怯ですよ。ハリルさんも、エディさんも、トルシエさんも欠点が多く、スパルタでしたが、世界基準を知っている彼らを抜擢したのは誰?」
https://twitter.com/DabadieTV/status/983502983462711297
NHKからして、私に言わせれば早くも「偏向」しているのではないだろうか。
「しかし、その指導方法をめぐっては、関係者によりますと、選手に体脂肪率の上限を設定するなど厳しい体調管理を求めたり、映像を見ながら長時間のミーティングを実施したりしたことで、一部の選手から不満の声があがっていたということです」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180409/k10011395841000.html
日本代表ではゴールキーパーを務めて来た川島永嗣のブログには感動した。
「フランスでもヴァイッドは厳しい監督で有名だ。/クレイジーだと言っても誰も驚かないだろう。/でも、彼自身の選手時代にも自分自身にも厳しかったこともとても有名だ。/だからいつだってヴァイッドの要求は僕にも厳しかった。/褒められたことは一度もない。代表も外された。/お前は代表に呼ばれる立ち場にないとも言われた。/でも、キャリアの中で、成長するきっかけをくれたのは、/いつだって自分にNOと言ってくれる人だった」
http://globalathlete.jp/eiji-kawashima/598
清水英斗は「ハリルホジッチの解任は“戦略なき戦術”。広がり続ける、日本と世界の差」で次のように書いている。
「生まれて初めて、日本代表を応援できない気持ちになっている。この10年で日本と世界の差はずいぶん広がったが、まだ序章に過ぎないのかもしれない」
http://www.legendsstadium.com/column/01/185/

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3)【本日の一行情報】

◎機能性レンズの研究開発型メーカーであるホプニック研究所(福井県鯖江市)は実業之日本社のアウトドア総合情報誌「GARVY(ガルヴィ)」とコラボしたサングラスを開発し、販売を開始した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29175810Z00C18A4LB0000/

◎「アンチックAN」「太ゴB101」「リュウミン」「正楷書CB1」など何とフォントをキャラクターモチーフとした「フォント男子!」(ヴァージニア二等兵)がKADOKAWAの無料Webコミックサイト「ヤングエースUP」で連載が始まったが、モリサワが協力している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000010848.html

電子書籍ストア「honto」は、10週年を迎えるTBSラジオの「東京ポッド許可局」とコラボし、過去の「東京ポッド許可局」ジャパンツアーイベント会場で販売されていたパンフレットと、「許可局十年史」を電子書籍化し、4月9日(月)から販売を開始した(「許可局十年史」は4月14日(土)15:00より発売)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000323.000011577.html

朝日新聞社採用チームのこのツイートが話題になっている。
「各社の採用担当者のみなさん、『リクルートスーツで来なくていいですよ』と共同宣言しませんか? 採用担当者は受験者の個性を見たいわけで、服装もひとつの自己表現です。でも、そう宣言すると、逆に受験者たちが迷ってしまうんですよね。どうしたらいいか、簡単なようで難しい・・・」
https://twitter.com/Asahi_saiyo/status/978127430731808768
このツイートを踏まえて「週プレNEWS」が「朝日新聞の『リクルートスーツで来なくていいですよ』共同宣言に、現役JDから『ありだけど、今のままでも…』な理由」を掲載している。
「意外と、スクルートスーツ廃止に賛成!という声はあまり聞かれませんでした。私服OKと言われても、普段着てるようなラフすぎたり個性的すぎたりするファッションは浮いてしまい、結局、ビジネスに合うオフィスカジュアルに落ち着いてしまうとの意見が多く寄せられました」
http://wpb.shueisha.co.jp/2018/04/10/102866/

白泉社は「MOE40周年 島田ゆか酒井駒子・ヒグチユウコ・ヨシタケシンスケ・なかやみわ 5人展」を4月18日(水)から5月7日(月)まで松屋銀座8階 イベントスクエアで開催する。
http://www.moe-web.jp/picturebook/moe40th.html

◎「鯉のぼり図鑑」(小学館)!
https://www.shogakukan.co.jp/books/09682255

◎書店・喫茶店コワーキングスペースの複合施設「神保町ブックセンター with Iwanami Books 」がオープンした。岩波書店の出版物を買うには便利だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000006647.html
これも今流行りの「兼業変態書店」である。

◎「東洋経済ONLINE」が「テレビ・新聞が慌てた『放送法4条騒動』の不毛」を掲載している。
「…改めて考えてみると、DAZNもネットフリックスもアマゾンもYouTubeも、すべて外資系だ。昨年までスカパーで見ていたプロ野球は、今年はDAZNになった。コンテンツは同じ野球でも、配信している会社は外資系になったわけだ。
さらに、家庭にあるテレビはパナソニックソニーなどの国産ブランドが多いだろうが、DAZNを見るスクリーンはiPhoneAndroidフォンだろう。つまり、いつの間にか、映像市場には外資のプレーヤーが増えている。技術革新によって、既存のテレビ市場の外側に新しい映像領域が形成されており、そこに日本のプレーヤーはまったく参加できていないといえる」
https://toyokeizai.net/articles/-/216003
フェイスブックも、ツイッターも、アマゾンも外資系だ。LINEにしても韓国系企業である。

KADOKAWAは、「電撃文庫」創刊25周年を記念して、電撃文庫の大ヒット作品「ソードアート・オンライン」のヒロイン・アスナをフィギュア化した「電撃文庫25周年プレミアムグッズ『ソードアート・オンラインアスナ 水着Ver.」の予約受付を、4月10日(火)より電撃ブランドの公式オンラインストア「電撃屋」で開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004415.000007006.html

中川淳一郎にとっての「恩人」は次の6人である。
博報堂ケトルの嶋浩一郎さん、元サイバーエージェントの須田伸さん。あとはR25創刊編集長の藤井大輔さん。この前亡くなってしまいましたが、元週刊ポスト編集長でオレが今も編集にかかわっている『NEWSポストセブン』を立ち上げた粂田昌志さん、オレが書いた本『ウェブはバカと暇人のもの』の編集者の柿内芳文さん、常見陽平さんの6人です」
https://gurusuguri.com/special/regular/gift/spcu-article_0017/?__ngt__=TT0e2c393d5006ac1e4aec9bN-0L0NSn-VEGomnAwXMRpo

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4)【深夜の誌人語録】

戦いに欠かせないのは武器でも怒りでもなく、志である。