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1)【記事】最近書店閉店事情 青山ブックセンター六本木店
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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- 2018.5.10 Shuppanjin
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1)【記事】最近書店閉店事情 青山ブックセンター六本木店
私が元麻布に住んでいた頃の話である。ニール・セダカのカバー曲「恋の一番列車」を大ヒットさせた清原タケシが経営する六本木のバー「WHO」に入り浸っていた。「WHO」を私に紹介してくれたのは電通雑誌局の鳥居達彦であった。鳥居とは一時期、毎晩のように会っていた。私は電通の社員ではなかったが、「噂の真相」の岡留安則とともに鳥居グループの班会(=飲み会)にも出席していた記憶がある。
私は「WHO」で酒精を胃袋に流し込んだ後、必ず青山ブックセンターに立ち寄って帰路についた。出版業界では六本木で書店と言えば誠志堂を指す時代であった。今でもありありと覚えているが、セゾングループの映画館であるシネ・ヴィヴァン六本木の並びに立地していたこともあり、中2階の映画関連書コーナーは私のお気に入りであった。加えて人文書が充実していたのが有り難かった。チェ・ゲバラがデザインされたTシャツを買ったのも青山ブックセンターであった。
そんな青山ブックセンター六本木店が既報の通り6月25日をもって閉店することになった。オープンしたのは1980年であったが、その当時、青山ブックセンターは六本木店しかなかったのである。広告代理店のボードが経営していた。何度か経営危機が襲い経営母体も洋販を経て現在ではブックオフの傘下にあるが、表参道の本店は残るものの遂に六本木店が閉店となってしまうのだ。
ツイッターでも青山ブックセンター六本木店の閉店は話題になっている。
「お世話になった青山ブックセンター六本木店も三省堂京都駅店も閉店。
買いたいと思ってもらえるものを、どんどん書くしかないですな。いままでも頑張ってきたつもりだけど、これからもっと頑張ります。面白そうだと思ったら、ぜひ書店で買ってくださいね」(道尾秀介・小説家)
https://twitter.com/michioshusuke/status/993475002572750849
「まだ六本木に事務所があった頃。時給は790円で、ベルファーレが現存していて、漫喫は存在してなかった。夜に行き場がなくて、ガスパンで酒を奢ってもらって、朝まで青山ブックセンターで立読みをしていた。感謝しかない」(「ボクたちはみんな大人になれなかった」の燃え殻)
https://twitter.com/Pirate_Radio_/status/993483541731131394
「青山ブックセンター六本木店は、高校時代に深夜バスで東京着て宿をキャンセルして一晩立ち読みした思い出の書店だが25年前から進化がない。そりゃ潰れるよ。書店の未来については私の考えは7年前に書いたままである」(田端信太郎・スタートトゥデイコミュニケーションデザイン室長)
https://twitter.com/tabbata/status/993653618984157184
「ABC六本木店閉店という衝撃。80年代-90年代のサブカル文化をWAVEとともに支えていたランドマーク。当時、朝まで開いていた本屋さんってここしかなかったし。芸能人もたくさんいたなあ。合掌」(福原伸治 BuzzFeed Japan)
https://twitter.com/shinjifukuhara/status/993371853442854912
「六本木界隈へいくと覗いて、いい本を見つけていたのに残念です」(孫崎享)
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/993488647562280960
「青山ブックセンター六本木店閉店か。今を去ること30年前、今は亡きシネヴィヴァンに勤めてた時、丸四年間週六日毎晩行ってた。当時は毎日深夜4時までやってた」(佐々木敦)
https://twitter.com/sasakiatsushi/status/993417872679493633
「2004年、再編されるまでの青山ブックセンター六本木店は社員9割:バイト1割という比率で、美術・ビジネス・文庫など全員経験豊富なプロフェッショナル(もはやキュレーター)が揃っていたので各棚のクリティカル度がすごかった。あらゆることを学ばせていただきました、ありがとう」(斎藤あき子・ライター)
https://twitter.com/akiko_saito/status/993469541668737025
「若い頃、都内で深夜でもやっている書店の代名詞だった。ネットがない時代、大至急の資料はここに駆け込むイメージだった。青山ブックセンターの名前は、きっと僕らくらいの世代には書店以上の何かの代名詞だったと思う。二回も破産してるから仕方ないけど寂しいね」(中島かずき・脚本家&元双葉社)
https://twitter.com/k_z_ki/status/993401400754257920
「六本木の青山ブックセンターは、書店というのは漫然と本を並べる場所ではないと教えられた書店だった。書棚にどんな本をどう並べるかという点において書店員のセンスがどれだけ重要か。ここで見つけた本はどれもそこで私を待っていてくれたという気がしている」(七月鏡一・マンガ原作)
https://twitter.com/JULY_MIRROR/status/993385951429738496
「青山ブックセンター六本木店が6月25日で閉店とのニュースを目にしました。出版社の営業マン時代、新刊本の注文を初めて100冊まとめてもらったのが、このお店でした。その時の気持ちの高ぶりの記憶は、今も胸の奥にしまってあります。時代の流れでしょうか。本の居場所がまたひとつ消えていくのですね」(はらだみずき・小説家)
https://twitter.com/startsfromhere/status/993438069771522048
「97年『HANA-BI』撮影中の殿の運転手を4カ月程やった。当時夜はほぼ必ず六本木界隈のどこかの店で食事会があり、運転手の僕は殿から太い食事代を貰い車中で待機。その食事代を切り詰め、六本木の青山ブックセンターでサブカル色の強い本を買って車の中で読むのが楽しみだった。無くなっちゃうのか」(アル北郷)
https://twitter.com/alkitago/status/993730432452587520
「ふうう、青山ブックセンター六本木店も閉店されるのか…。大学生の頃、ここをよく当時の彼氏との待ち合わせ場所にしていたなぁ。このお店で背伸びして難解な本を沢山購入したし、知識や眼を与えてくれる場所だった。『場所』が消えるのは本当に哀しい…。仕事がんばらなければ!」(ヤマウチナオコ・小学館)
https://twitter.com/Na0oCo/status/993485805493473280
「青山ブックセンター六本木店閉店。本当に寂しい。田舎から出てきたのは映画が見たくて、当時WAVEでロメールを見て、シネマテンで眺めのいい部屋を見て。携帯もない頃なので、ぴあの小さい映画案内地図を頼りに辿り着いて、お金もないし、心細いなか青山ブックセンターに入って、中二階に写真集や映画関係の本がたくさんあって、時間を忘れて読んで、少しお金が使える時は何冊か買って。お洒落な人しかいなかった六本木で居場所がなくてなんとか息をつかせてくれる場所だった。今も時々寄っては甘酸っぱい気持ちになってました。ありがとうございました。最終日前には伺いたいです」(松田奈緒子・マンガ家)
https://twitter.com/mazdanaoko/status/993472257593827328
https://twitter.com/mazdanaoko/status/993473014766370816
「青山ブックセンター六本木店さん、長い間おつかれさまでした。
これからもABCに背中を押された書店員たちが本屋を守っていきます」(ブックユニオン新宿)
https://twitter.com/bookunionshinju/status/993419882522791936
「六本木の青山ブックセンター閉店のニュース、驚きました。20代前半の一時期(90年代後半)、夜22時から朝までの深夜帯で店員バイトをしていました。いろんなことがあったな。ナマのキョンキョンの可愛さに衝撃を受けたり、万引き犯の女の子を追いかけて六本木通りをダッシュしたり」(河出書房新社「ニッポン大音頭時代」の大石始)
https://twitter.com/OISHIHAJIME/status/993411823738105856
「昨日、自分の青春時代が、とか、身体がもぎ取られるような、とか思わせぶりなことを書きましたが、情報解禁になってしまいました。青山ブックセンター六本木店が6月で閉店。いま、おそらくアクセスが集中し、サイトがたいへん重くなってます。とうとうこんな日が来てしまった」(「わたしのブックストア」の北條一浩)
https://twitter.com/akaifusen/status/993383885428867072
あの頃、青山ブックセンターに集う女性ってみんなジーン・セバーグに見えた。私にとってゴダールの映画に登場させたい書店だったのである。私が元麻布に引っ越す相当以前のこと、そう80年代の前半であったと思うが、佐藤泰志の「きみの鳥はうたえる」(河出書房新社)を買ったのも確か青山ブックセンターである。人生において買わねば良かった一冊があるとすれば、私にとっては「きみの鳥はうたえる」に他ならない。この小説、三宅唱監督で映画化されたんだね。
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2)【本日の一行情報】
◎マガジンハウスの「POPEYE」6月号が約15年ぶりとなる音楽特集。「ぼくの好きな音楽。」と題してミュージシャンに限らず、俳優、作家、映画監督、お笑い芸人など「好きな一曲」「音楽の楽しみ方、聴き方」を披歴する。私としては「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソンや「ブギーナイツ」「マグノリア」のポール・トーマス・アンダーソン、「きみの鳥はうたえる」の公開を控える三宅唱が、どんな一曲を選んでいるか興味はある。
この特集で紹介した曲を音楽ストリーミングサービス「Spotify」でプレイリストにしているそうだ。
https://www.atpress.ne.jp/news/155586
◎既報の情報だが、やや詳しく記しておくことにする。「ジャンプルーキー!」について、だ。もともとアプリ「少年ジャンプ+」内に投稿サービスとして「少年ジャンプルーキー」を展開していたが、このサービスを名称も少年を外したうえで、新たなアプリ「ジャンプルーキー!」として5月7日にリリースしたのである。スマートフォンでの閲覧に合わせた縦読み専用で、コミュニティー機能も搭載していることも特徴である。言ってみればマンガ版「小説家になろう」にほかなるまい。ただし、「ジャンプルーキー!」の場合、投稿作品の閲覧ページに搭載される広告の収益は100%投稿者に還元される仕組みである。
この「ジャンプルーキー!」は、集英社と「はてな」が共同開発したアプリである。
http://hatenacorp.jp/press/release/entry/2018/05/07/150000
スポーツニッポンは次のように絶賛している。
「今回のアプリ配信は、ジャンプの枠にとどまらない投稿の場を目指しており、青年漫画や少女漫画、成人女性向けの漫画なども募集する。広告収入を全て投稿者のものとすることで、作家にとって画業による収入確保の道が広がる可能性があり、新人の成長を促す可能性もある。描き手と読み手がより自由でオープンな関係で結び付くことで、漫画業界全体の活性化につながることも期待される」
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2018/05/07/kiji/20180507s00041000206000c.html
もしかすると「ジャンプルーキー!」のようなマンガの投稿サイトが「雑誌」が果たしていた役割を果たす時代がやって来るのかもしれない。いや、そういう危機感があればこそ先手を打って「ジャンプルーキー!」を立ち上げたのだろう。…ならば集英社が「はてな」を買収するというようなダイナミクスがあっても良いんだよなあ。いずれにせよ、海賊サイトが過去に寄生する犯罪だとすれば、「ジャンプルーキー!」は未来を切り拓く可能性そのものだとも言えるだろう。
◎サントリービールが、5月1日(火)より、集英社「少年ジャンプ+」で連載中の「左ききのエレン」(かっぴー/nifuni)とのコラボ企画を展開していることも既報しているが、何と公開1週間で40万人以上に読まれたそうだ。
連載マンガ内で登場人物達によってデザインされた「ザ・プレミアム・モルツ」の広告ポスターが、5月8日(火)より作品の世界を飛び出してJR渋谷駅(ハチ公口改札外)で掲出された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000033886.html
集英社は「広告」ビジネスにおいても進化を遂げようとしている。良いね!
◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された「ニセコイ」が実写映画化され、ヒロインに日本マクドナルドや資生堂「シーブリーズ」のCMなどに出演する女優の池間夏海が起用された。
https://mainichi.jp/articles/20180507/dyo/00m/200/027000c
◎第47回日本漫画家協会賞の大賞は諸星大二郎の「諸星大二郎劇場」(小学館)に決まった。優秀賞は田亀源五郎の「弟の夫」(双葉社)。
https://mainichi.jp/articles/20180508/k00/00m/040/018000c
諸星大二郎の本格的なデビューは「週刊少年ジャンプ」の主催する手塚賞に入選し、「週刊少年ジャンプ」で「妖怪ハンター」の連載を開始したことによる。手塚賞入選の「生物都市」は筒井康隆編「'74日本SFベスト集成」(徳間書店)に収録されている。
http://book.geocities.jp/yasukenyan/anthology/74sf.html
◎「The Daily」には着目しておきたい。田中善一郎は次のように書いている。
「NYタイムズが2017年1月に立ち上げたポッドキャストThe Dailyの勢いは凄まじい。これまで280万回以上もダウンロードされ、毎日、平均すると100万人が聴いている」
「今やThe Dailyは、NYタイムズの一部ユーザーにとって、新聞紙やサイトに代わる事実上のフロントページ的な存在になっているようである」
https://www.huffingtonpost.jp/zenichiro-tanaka/podcast-20180507_a_23428468/
◎WPP系列メディア投資グループのグループエムの「State of Digital」は、2018年に初めて世界でオンラインメディアの視聴時間がテレビの視聴時間を上回ると予想している!
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180507/prl1805071051028-n1.htm
◎「週刊少年マガジン」連載の福本伸行「賭博覇王伝 零」がNEWS加藤シゲアキ主演で日本テレビ系の日曜ドラマ「ゼロ 一獲千金ゲーム」として実写ドラマ化される。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201805070000556.html
◎「がんでも人生フルスイング」(双葉社)の大島康徳は医師から余命1年と宣告を受けていた…。こういうハナシ、他人事じゃないのよ。
http://www.sanspo.com/baseball/news/20180507/npb18050720330008-n1.html
◎ニューヨークのブランド「AGELESS EINZELGANGER」のシーズンムービーを米倉強太が手がけている。米倉は「メンズノンノ」(集英社)モデル出身の映像作家である。「WWD」が米倉にインタビューしている。
https://www.wwdjapan.com/609549
二階堂ふみの彼氏として有名だ。
https://smart-flash.jp/showbiz/36002
◎「ダイヤモンドオンライン」が「一世を風靡したニコニコ生放送が『オワコン化』した理由」(岡田光雄)を掲載した。ニコ生はスマホシフトに失敗したのである。
「ユーザーのニコ生離れは止まらず、今や一部のネット民からは、『まだニコ生なんかやってんの?』と嘲笑の対象にされてしまっている現実もあるようだ」
http://diamond.jp/articles/-/169290
◎モニタスは、全国都道府県2830人を対象にした調査「Facebook・Instagram・Twitterの使用率」の結果を発表した。
Facebookの全国利用率は33.6%。最も利用率が高い県は、福島県の47.5%。2位は鳥取県(46.5)、3位は佐賀県(45.5)。
Instagramの全国利用率は27.0%。最も利用率が高い県は、富山県の41.0%。2位は愛知県(39.7)、3位は福島県(39.0)。
Twitterの全国利用率は33.4%。最も利用率が高い県は、京都府の57.4%。2位は北海道 (44.2)、3位は東京都(42.4)。
https://monitas.co.jp/sns_47research
◎「週刊現代」を素晴らしい雑誌であると久しぶりに思った。5月19日号の「リレー読書日記」で武田砂鉄が岩本太郎の「炎上!100円ライター始末記」(弊社刊)を絶賛しているじゃあ〜りませんか。
次のような一文を読むとオレまで嬉しくなるぜよ。オレたちの流儀を「理会」してくれているんだもの。
「愚痴が続く本だが、でも愚痴が憤怒に切り替わり対象を刺しに行く。
モトシンカカランヌーはかくあるべし」
https://www.fujisan.co.jp/product/1120/new/
竹中労は「理解」と書かず、出会いの意味を込め「理会」と書いたものである。ちなみに布川徹郎のドキュメンタリー映画「沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー」に竹中は深く関わっている。
「私はむしろ『モトシンカカランヌー』という作品が、文字通りモトシンカカランヌー(娼婦・やくざ)の怒りを激発し、スクリーンを切り裂かれフィルムを焼かれるという事態こそ、心中ひそやかに望んでいたのだ。そう、彼らにはその権利がある。彼らの世界に不遜に入りこんで、勝手なルポルダージュを書き、映画を撮っていく大和の糞ったれども、布川徹郎や竹中労をたっくるす(たたき殺す)理由が、彼らにはある」(竹中労「琉球共和国」)
私は「ストトン節」をこの映画を見て初めて知った。
「四つ、夜中に起こされて/五つ、いやとはいえません/ストトン、ストトン/六つ、むりやりさしこまれ/七つ、泣いたり笑ったり/八つ、やられた後からは/九つ、子供ができたのよ/ストトン、ストトン/十で、とうとうできました/男の子なら 東大へ/女の子なら 吉原へ/それで親子は楽するね/ストトン、ストトン」
武田砂鉄の「日本の気配」(晶文社)はゴールデンウィークに読んだ。犀のマークにぴったりの内容であった。
https://www.shobunsha.co.jp/?p=4686
◎「週刊文春」によればNHK「Rの法則」のスタッフに言われて被害女性は山口達也と連絡先を交換させていたというし、フジテレビ「プライムニュース イブニング」の反町理キャスターがパワハラで謝罪していたという。
http://bunshun.jp/articles/-/7302
http://bunshun.jp/articles/-/7305
で、文藝春秋の社長人事はどうなったのだろうか。
◎日経によればセブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン&アイ出版が月刊の生活情報誌「クックパッドプラス」を9月に創刊する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3021387008052018TJ2000/
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3)【深夜の誌人語録】
力を出し切るために欠かせないのは力を抜くことである。