【文徒】2019年(平成31)1月9日(第7巻3号・通巻1421号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「週刊SPA!」は女性軽視記事の常習犯!
2)【記事】ZOZOの前澤友作社長 「お騒がせ」も宣伝のうち?!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.1.9 Shuppanjin

1)【記事】「週刊SPA!」は女性軽視記事の常習犯!

フジサンケイグループの出版社である扶桑社の「週刊SPA」が昨年、12月に特集した「ヤレる女子大学生RANKING」について「女性を軽視した出版を取り下げて謝って下さい」なるキャンペーンが署名サイト「Change.org」で開始された。問題にされている記事の正確なタイトルは12月25日号に掲載された「ヤレる[ギャラ飲み]実況中継」。
https://www.change.org/p/%E9%80%B1%E5%88%8Aspa-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%82%92%E8%BB%BD%E8%A6%96%E3%81%97%E3%81%9F%E5%87%BA%E7%89%88%E3%82%92%E5%8F%96%E3%82%8A%E4%B8%8B%E3%81%92%E3%81%A6%E8%AC%9D%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84
J-CASTニュース」に取材を受けたようだ。
「『週刊SPA!』編集部の担当者は1月7日、J-CASTニュースの取材に『ギャラ飲みの現場で何がおき、どういったやりとりが行われているのかを一般大衆誌の視点で報じております』と特集の趣旨を説明。
しかし、『『より親密になれる』『親密になりやすい』と表記すべき点を読者に訴求したいがために扇情的な表現を行ってしまったこと、(マッチングサービス)運営者の体感に基づくデータを実名でランキング化したこと、購読してくださった読者の皆様の気分を害する可能性のある特集になってしまったことはお詫びしたいと思います』。
今後は、『セックスや性にまつわる議論については、多種多様なご意見を頂戴しながら、雑誌として我々にできることを行ってまいりたいと思っております』としている」
https://www.j-cast.com/2019/01/07347390.html?p=all
朝日新聞は1月7日付「週刊SPA!『扇情的な表現お詫び』 女性軽視との批判」で、「週刊SPA!」編集部が出した次のようなコメントを紹介している。
「本特集は『ギャラ飲み』という社会現象について特集したものです。ギャラ飲みの現場で何がおき、どういったやりとりが行われているのかを一般大衆誌の視点で報じております。その取材の過程で、ギャラ飲みの参加者に女子大生が多いということから、ギャラ飲みのマッチングアプリを手掛けている方にも取材を行い、その結果をランキングという形で掲載したものです。そのなかで『より親密になれる』『親密になりやすい』と表記すべき点を読者に訴求したいがために扇情的な表現を行ってしまったこと、運営者の体感に基づくデータを実名でランキング化したこと、購読してくださった読者の皆様の気分を害する可能性のある特集になってしまったことはお詫びしたいと思います。また、セックスや性にまつわる議論については、多種多様なご意見を頂戴しながら、雑誌として我々にできることを行ってまいりたいと思っています」
https://www.asahi.com/articles/ASM175750M17UCVL01T.html
こうしてお詫びと反省を掲げながら、問題の「週刊SPA!」12月25日号は市場に放置したままなのである。扶桑社のホームページにアクセスし、「この本を購入する」をクリックすれば買えるのである。また、「ヤレる女子大学生」は今もdマガジンで公開されている。「週刊SPA!」編集部のお詫びと反省は口先だけということになる。その場凌ぎにしか過ぎないということがよく理解できる。
https://www.fusosha.co.jp/magazines/detail/4910234541285
「Business Insider Japan」の「SPA!『ヤレる』女性大生企画で謝罪。大学と署名女子大生の怒りの声」は次のように「週刊SPA!」の常習性を指摘している。
「同誌は2018年10月23日号でも『この女子大生がエロい!2018年ランキング』という特集で 『ヤリマン生息数が多い大学』『合コンお持ち帰り率の高い大学』『ストリートSEX率の高い大学』『就活ビッチの多い大学』というランキングを掲載している。
『コンプレックスが強く頭の良い大学出身者の押しに弱い』『偏差値が高くないので肩書きに弱い』など誹謗中傷のような内容で、ランキング自体もイベントサークルの代表やナンパ塾の講師・ナンパ師などの個人の見解に基づくものだ。SPA!編集部は『ヤレる女子大学生RANKING』はギャラ飲みの実態を描く過程で作成したものだと主張するが、以前から類似の企画は繰り返されており、言い訳に過ぎないだろう」
https://www.businessinsider.jp/post-182800
しかし、一方で私はキャンペーンの主旨に書かれている次のような記述にどうしても引っかかる。
「日本で初めてのG20が今年、2019年に開催される中新年早々こんなランキングを出版するのは、冗談にもほどがあると思います」
ここに唐突にG20が登場することに違和感を禁じ得ないのである。女性軽視の表現を反するのにG20が何で関係あるのだろうか?私には、ここでG20を持ち出す意味がサッパリわからない。「n個の性」よりも「国家」を優先させる発想がここに透けて見えはしないだろうか。

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2)【記事】ZOZOの前澤友作社長 「お騒がせ」も宣伝のうち?!

ZOZOの前澤友作社長がTwitterリツイート数の世界記録(今までは355万RT)を上回り、世界記録を達成した。
https://twitter.com/yousuck2020/status/1082136308938551296
前澤のRTが562万を超えたツイートは、ちゃんと記録しておこう。
ZOZOTOWN新春セールが史上最速で取扱高100億円を先ほど突破!!日頃の感謝を込め、僕個人から100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼントします。応募方法は、僕をフォローいただいた上、このツイートをRTするだけ。受付は1/7まで。当選者には僕から直接DMします!」
https://twitter.com/yousuck2020/status/1081544630754103296
前澤のフォロワーは600万を突破した。オレもフォローしちゃったし、リツイートしちまったクチである。こうしたなか「偽物」ツイートも出現したそうだ。日刊スポーツが1月7日付で「前澤氏に便乗『偽物ツイート』も5万件超リツイートを掲載している。
「『フォロワー様』と記した年賀状の画像もそのまま使って、1月6日午後7時2分に投稿。『現在とても多くのRTにつき、本垢けでは1/7までに全てのフォロワーの把握が難しいので、こちらのサブ垢で急遽対処することになりました。この垢をフォローとRTしてください!把握のためにすいませんがお願いします』と呼び掛けている」
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201901070000164.html
スポーツ報知の「ZOZO前澤社長、現金1億円お年玉で“日本新”300万リツイート突破…運用ルールに引っ掛かる!?」は次のように指摘しているけれど…。
「ただ、前澤氏のツイートは『ツイッターの運用ルールに引っ掛かるのではないか』との指摘も出ている。ルールでは『アカウントへの反応(フォロワー、リツイート、いいねなど)を購入、販売または作為的に誇張しようとした場合』をスパム行為とみなし、禁止している」
https://www.hochi.co.jp/entertainment/20190106-OHT1T50275.html
これについては「BuzzFeed News」が「ZOZO前澤社長の『1億円お年玉』は規約違反Twitter社に聞いてみた」で「Twitter Japanに取材したところ、こんな回答があった」そうだ。
「いただきましたご質問に対する回答ですが、前澤さまの個人によるツイートは
Twitter利用規約に違反はしておりません」
https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/maezawa
「貧困クライシス」「下流老人」「貧困世代」の藤田孝典がこんなツイートを昨年末に投稿している。
「年末年始も懸命に働くZOZOの非正規、派遣労働者の皆さんに新習志野駅で街宣活動をしています。労働組合に参加してくださる仲間がいれば連絡がほしいです。よろしくお願いいたします」
https://twitter.com/fujitatakanori/status/1079648026287734784
1月4日放送の「情報ライブミヤネ屋」(日本テレビ系)で前澤は、2人の女性との間に3人の子供がいることを告白したそうだ。
https://sirabee.com/2019/01/04/20161950143/
東洋経済ONLINE」の「ついに始まる?アパレル『ゾゾ離れ』の現実味」は次のように書いている。
「約7000のブランドが出店する、国内最大のファッション通販サイト『ZOZOTOWN(ゾゾタウン)』。そのゾゾタウンで、『23区』や『自由区』などを展開する老舗アパレルのオンワードホールディングスが昨年12月25日、傘下に持つ全ブランドの商品販売を取りやめた」
https://toyokeizai.net/articles/-/258612
全身採寸スーツ「ゾゾスーツ」を使って仕立てるビジネススーツの評判もイマイチのようだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39189920Q8A221C1H11A00/
私も「ゾゾスーツ」を取り寄せてみようと思ったのだが、ここのスーツって、どう考えても、私の年齢にそぐわないことがわかり、やめてしまった。

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3)【本日の一行情報】

◎Next Paradigmは本日より、オフィスに最新、必要な本が一切の手間なしで置ける「オフィス書店」のサービスを正式に開始した。展示用ラック付き15種類×2冊の計30冊を1セットとし、月額20,000円/セット(税抜き)で利用できる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000037417.html

紅白歌合戦の瞬間最高視聴率が45・5%とは、明らかにサザンオールスターズ効果だろう。平均視聴率は第2部(午後9時~11時45分)が41・5%。2年ぶりに40%の大台を突破した
https://www.hochi.co.jp/entertainment/20190104-OHT1T50092.html
「レコ大」と「紅白」で初めて聞く曲の何と多かったことか…。流行歌って、もしかすると死語?

◎「東洋経済ONLINE」が「全国100局、飽和する『ラジオ』は生き残れるか」を掲載している。
総務省の統計によれば、日本全国には100局もの民間ラジオ局が存在する(2018年3月末時点、コミュニティ放送局を除く)。そのうち、いまだに存在感が強いテレビ局との兼営(ラ・テ兼営)が3割超で、残りの7割弱がラジオ単営の放送局だ。地方の単営局は経営環境が厳しいと言わざるを得ない」
地域メディアについて研究する京都産業大学脇浜紀子教授は『この先、ラジオ放送だけでのマネタイズは、多くの局で難しくなるのでは』と分析する」
「また脇浜氏も、マスメディア集中排除原則がなくなると仮定すれば、『米国で前例のある地域のラジオ同士や新聞、テレビといった他媒体との合併により、多角発信型メディアの一角を担うべき』と指摘する」
https://toyokeizai.net/articles/-/257569

琉球新報の連載「沖縄フェイクを追う ネットに潜む闇」。今回は「記事拡散 膨らむ利益 報酬は能力で階級分け」として「沖縄で基地建設に反対する人々を野生動物に例えるなど、侮辱する記事を発信しているウェブサイトnetgeek(ネットギーク)』」を取り上げている。
「報酬額は『シェア500未満』『500~』『1000~』『5000~』『10000~』の4段階に分かれている。1万件以上だとアナリストは3千円、アソシエイトは4500円、ディレクターは6700円だ。同じ共有数でも執筆者は階級によって報酬額に2倍の差が生まれている。
そして3階級とも『シェア500未満』だと、報酬額は一律『0円』だ」
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-856797.html
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-857498.html

乃木坂46生田絵梨花のセカンド写真集「インターミッション」が講談社から初版20万部で1月22日に発売される。講談社とっても、女性ソロ写真集として史上最多の初版部数記録を樹立したそうだ。
https://www.oricon.co.jp/news/2126907/full/

西岡研介のツイート。
斎藤貴男さんによる『拗ね者たらん』(後藤正治著、講談社)の書評。最後はこう締め括られている。
〈時代は移ろう。生前の本田が拠点とした本書の版元も、最近の話題は嫌韓・嫌中本のベストセラーだ。状況にフリーは抗う。編集者たちは今も闘っているのだろうか〉」
「ちなみに、斎藤さん自身もかつては『月刊現代』をはじめとした講談社の雑誌媒体のエース記者だった。
僕も斎藤さんと全く同感。
ノンフィクションを殺しているのは誰なのか?」
https://twitter.com/biriksk/status/1081834129111404544
https://twitter.com/biriksk/status/1081835527278493696
西岡もかつては「週刊現代」のエース記者だった。「マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」(講談社)で講談社ノンフィクション賞を受賞している。

◎西武・そごうのCM。安藤サクラがステキだ。
https://www.sogo-seibu.jp/watashiwa-watashi/
こんな解釈も話題になっている。
https://note.mu/karikomi/n/nb122bf9c9db4

中溝康隆はブログ「プロ野球死亡遊戯」を2011年にスタートし、累計7,000万PVを記録している。そんな中溝白泉社から小説「ボス、俺を使ってくれないか?」を刊行した。
白泉社の男性向けマンガ誌「ヤングアニマル」で連載していた小説「絶体絶命」を書籍化したものだそうだ。この作家、伸びるよ、きっと。
https://news.mynavi.jp/article/20190103-749521/

佐渡嶋庸平が「この本にひとめ惚れ」で辛島デイヴィッドの「Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち」(みすず書房)を取り上げている。
https://ddnavi.com/serial/510256/a/
私としたことが紹介しそびれていた(泣)。
https://www.msz.co.jp/topics/08700/

花田紀凱の評価。
「正月休み、各誌新年特大号をじっくりチェックしてみたが、読むに値するのは『週刊春』『週刊新潮』(ともに1月3・10日号)『ニューズウィーク日本版』(1・1/8)3誌のみ。他誌の奮起を促したい」
https://www.sankei.com/premium/news/190106/prm1901060010-n1.html
オレなんかは例えば「あなたの人生『最後の総力戦』」など、その取材力も含めて週刊誌らしいスクープ記事だったと思うけれど。少なくとも「伝統」は踏まえている。

◎宝島社は、1月7日(月)に、企業広告「敵は、嘘。」を読売新聞朝刊と日刊ゲンダイに、「嘘つきは、戦争の始まり。」を朝日新聞朝刊に、合計新聞3紙(全国版)に同時掲載した。制作が電通あることに注目したい。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000795.000005069.html

◎日販が2018~2019年の年末年始の売上動向調査の結果を発表した。雑誌 89.4%(前年 97.2%)。書籍 96.0%(前年 97.6%)。コミック 100.5%(前年 82.2%)。開発品 104.5%(前年 106.7%)。期間内の前年比は95.7%。
https://www.nippan.co.jp/news/report_2018-2019/
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2019/01/report2018-2019.pdf

◎日販の2018年12月の雑誌・書籍・コミックの合計売上は前年同月比100.0%。4年9カ月ぶりの100%超えである。内訳は、雑誌5.3%減、書籍2.0%減、コミック13.0%増、開発品5.9%増。
https://www.ryutsuu.biz/sales/l010723.html

◎「IDEAS FOR GOOD」が「英国、ジェンダー偏見を生む広告表現を規制へ」を掲載している。
「イギリスでは、国内すべての広告が広告コードに則っているかを監視するASA(英国広告基準局)と、広告コードを作成するCAP(広告実践委員会)という組織が存在する。(中略)そんな両組織は12月14日に、有害なジェンダーステレオタイプを生む表現を禁ずると発表した。このルールは2019年6月14日から施行される予定だ」
https://ideasforgood.jp/2019/01/07/england-gender-regulation/

◎「国内の主要出版社のうち少なくとも4割強にあたる18社が、視覚障害者らに対し、点字や音声に変換しやすい本や雑誌の電子データを提供していないことが、毎日新聞のアンケートで判明した」そうだ。
https://mainichi.jp/articles/20190106/k00/00m/040/176000c
奥付に「テキストデータ請求券」をつけて、「この本を利用出来ない人のために、営利を目的とする場合を除き、『録音図書』『点字図書』『拡大写本』の製作を認めます。その際は事前に当社までご連絡下さい。また、活字で利用できない方でテキストデータをご希望の方はご住所・お名前・お電話番号を明記の上、左下の請求券を当社までお送り下さい」と一を入れておけば良いのだ。現代書館など、大手書店の2017年売り上げ上位50の出版社にランクインしていなくとも、そうしている。

◎日経によれば米株式市場でアマゾン・ドット・コム時価総額マイクロソフトを抜いて終値で初めて首位に立った。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL08H2O_Y9A100C1000000/

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4)【深夜の誌人語録】

小さくまとまる必要など微塵にもないのである。