【文徒】2019年(平成31)4月26日(第7巻75号・通巻1495号)


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1)【記事】NGT48荻野由佳を起用したプロモーションが突如中止
2)【本日の一行情報】
----------------------------------------2019.4.26 Shuppanjin

1)【記事】NGT48荻野由佳を起用したプロモーションが突如中止(岩本太郎)

アパレル大手のアダストリアが運営している女性向けファッションブランド「Heather」が、NGT48の荻野由佳を広告に起用したプロモーションを4月17日からスタート。ところがそれから1週間も経たない23日にそれが突如中止へと追い込まれる事態が発生した。
NGT48といえば上記プロモーション開始から4日後の21日に、例の暴行被害に遭った山口真帆がグループ卒業を発表した件で盛り上がっていたところでもある。荻野は山口とのグループ内での「不仲」が噂され、暴行事件への関与を疑う声も出ていただけに、そんなタイミングでの起用が裏目に出たということらしい『Business Journal』は24日付記事で次のように伝えている。
《Heatherは4月17日にツイッターで、「『おぎゆか』こと荻野由佳ちゃんによるスペシャル連載がスタート」と告知。同ブランドの浴衣を着用した荻野の動画を公開したところ、「まだ暴行事件が解決されていないのに、なぜこのタイミングで起用したのか」「企業としてあり得ない」などとクレームが殺到した。さらに「もう2度とHeatherは買いません」との声も多く上がり、“不買運動”の動きが広まり始めた》
https://biz-journal.jp/2019/04/post_27656.html
萩野自身が火をつけた部分もあるらしい。山口の卒業が発表された翌日の22日、荻野はInstagramに《NGT48、ひとつになって頑張ります!》と投稿。しかしそこに《ゆきりん(引用注柏木由紀)さんが今日の千秋楽をもってNGT48との兼任が解除となりました》《NGT48、ひとつになって頑張ります!》とあるものの山口の引退への言及がなかったため、コメント欄も大荒れの様相になった。
https://www.instagram.com/p/BwguQ_9lRYP/
山口も21日に行われた「チームG」劇場公演での卒業発表で読み上げた手紙や、25日に引退後に初めて綴ったツイートでも《私がこうして世間に発信してからも、寄り添ってくれたのは、(長谷川)玲奈と、(菅原)りこと、もふ(村雲颯香)でした》と3人への謝意を表明。荻野の名前は挙げなかったことから、これもまた背景への憶測を呼ぶこととなった。
https://twitter.com/maho_yamaguchi/status/1121212299342012416
https://www.oricon.co.jp/news/2134388/
一方、この件について報じた『WEZZY』は《荻野由佳と犯行グループとのつながりは完全に誤解です》などの関係者コメントも併せて紹介している。
https://wezz-y.com/archives/65526
とはいえ火の粉は萩野を起用したクライアントにも容赦なく降りかかった。
Heatherはプロモーション開始以来ウェブ上で展開してきた関連コンテンツを全て削除し、公式サイトに以下の「お知らせ」が掲載された。荻野の「お」の字も出てこない面だ。
《先週公開したプロモーションについて、様々なご意見を頂戴いたしました。
頂戴したご意見を踏まえ、本プロモーションに関するコンテンツを削除することといたしました。日頃よりご愛顧頂いているお客さまには、ご心配をおかけし申し訳ございませんでした。
今後はより一層注意して活動を行ってまいります。》
https://heather-diary.jp/%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/190423-3?utm
公式Twitterアカウントでの関連ツイートも既に削除済み。だがユーザーからは他のテーマに関してのツイートにもリプライが寄せられ、そこには以下のような騒動の雑誌がまだ残っている。
アダストリア、いくつも好きなブランドあったけどもう買いません。持っている服も気分悪いのでしばらく着ません、服には罪はないので捨てはしませんが。好きになってもらって欲しいと思わせるのが大切なはずのアパレルが自分から嫌われに行ってどうするんですかね、幻滅しました。》
https://twitter.com/3i_io/status/1120338597150806016
《ヤフーコメントからきました。どうせ確信犯で炎上商法してるんだろ。店舗の売り上げ落ちても販売員のせいにするなよ》
https://twitter.com/___aka1/status/1120375284513902593
《一企業として、世間の声も気にせず、この時点でNGTメンバーの起用には心底幻滅しました。今起用するということは、AKS同じく金のためなら社員も世間もないがしろにする金の亡者としか印象は生まれないと思います。しばらく不買します。》
https://twitter.com/SSSSSecret/status/1120354593517363201
《問題は解決していないのでこちらにもコメントします
「荻野由佳」は気に入らないNGTのメンバーをSNSで「イジメ」続けていますが、起用するのは御社のイメージダウンになります
https://twitter.com/0846sama_/status/1120645417929023489
暴行事件後、NGT48の起用を見送るクライアントが多数出ていることはご承知の通り。新潟日報の23日付報道によれば、9月に地元で開催する「国民化祭」「全国障害者芸術・化祭」のスペシャルサポーターにNGT48を起用していた新潟県は再契約しない方向で調整に入ったという。暴行事件が発覚した今年1月以来、同県には県内外から約2600件の意見や苦情がメールや電話、手紙などで届いているという。21日の公演で山口が運営側の対応を改めて批判したことなども勘案したそうだ。
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20190423464992.html
アイドル情報をメインの一つに扱う『おたぽる』も「スポンサー離れでNGT48のオワコン化が加速か」と24日付で報じている。
https://otapol.com/2019/04/post-62887.html
アイドル事情に疎い自分には、荻野が言われているほど悪いのか、山口が全面的に正しいのか、はっきり言ってわからない。だが確かなのは、運営であるAKSが山口に完膚なきまでに叩きのめされ、次の主力とたのんだ荻野が潰れかけている、という事実だ。
すべては運営(経営)の問題であり、危機管理すなわち広報の問題だということだ。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎TBS NEWSはホームページで次のように書いた記事を掲載していた。
《ゴーン被告が先月6日に保釈された際に裁判所はその条件として、指定した事件関係者との接触は弁護士を通して以外、禁じていました。しかし、ゴーン被告の妻のキャロルさんが保釈中に複数の事件関係者と電話やメールで接触していたことが関係者への取材 ...》
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20190422-00000052-jnn-soci
しかし、上記のURLをクリックしても現在では「ファイルがみつかりません」という表示が掲載される。
弁護士の高野隆は自らのブログに「TBS NEWSの報道について」を掲載し、TBS NEWSが報じたような内容は事実に反していると書いている。
《これは全く事実に反します。3月6日に保釈されたあと、ゴーン氏本人はもちろん、妻のキャロルさんやお子さんたちも、裁判所が設定した厳しい保釈条件に厳密に従って生活しておりました。裁判所が接触を禁じた人々にゴーン氏もキャロルさんもお子さんたちも直接に接触したことなどただの一度もありません。そのようなことをすれば、保釈が取り消され10億円の保釈保証金も没収されます。今現在保釈が取り消されておらず、検察から取消し請求もなされていないことは、彼らが保釈条件を遵守していることを如実に物語っています》
http://blog.livedoor.jp/plltakano/archives/65942951.html

◎「第50回大宅壮一ノンフィクション賞」の候補作が24日に発表された。以下の5作だ。
河合香織『選べなかった命』(藝春秋)
先崎学うつ病九段』(藝春秋)
旗手啓介『告白』(講談社
松本創『軌道』(東洋経済新報社
安田峰俊『八九六四』(KADOKAWA
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/ohya/index.html
https://twitter.com/shinko_kai/status/1120930444634021888
「あれ、そういえば大宅賞って名前変わったんじゃなかったっけ?」という向きあてに公式Twitter(日本学振興会)ではさりげなく以下のツイート。
《#大宅賞は、昨年、一昨年と「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」の名称で選考・授賞をおこないましたが、今回より名称を元の「大宅壮一ノンフィクション賞に戻すとともに、回数を通算で第50回といたしました。なお、ネット上での読者投票および読者賞は廃止いたしました。》
https://twitter.com/shinko_kai/status/1120930683453489152
ともあれ、下馬評についてはさっそく中島岳志が《選考委員ではないですが、私は【松本創『軌道』(東洋経済新報社)】に一票。》とリプライをつけていた。
https://twitter.com/nakajima1975/status/1121003645204455425

◎元『ユリイカ』編集長で現在はフリー編集者の郡淳一郎が23日、《「御恵贈(投)頂き(賜り)ました」ツイートの胸糞わるさ。いったい、誰に向けて発信しているのか。》との前振りで以下のようなツイート。
《わたしには、「皆の衆、俺(私)はコネがあるんだぞ、大事にされているんだぞ、偉いんだぞ」というメッセージしか受け取れない。恥ずかしい。商業出版された本は商品なのだから、それをタダでもらったと吹聴するのは、はしたないことだと、なぜわからないのか。黙って本を読むことが中抜きされていると感じる。書物が社交の道具に貶められていると感じる》
https://twitter.com/khorijunichiro/status/1120478913216512005
これに堀之内出版の編集担当で「よはく舎」代表の小林えみが《本を社交の道具に貶めているのは「コネがあるんだぞ」という狭量なメッセージを勝手に読み取る人の方だ》と反論。
《元ツイートを厳しく批判したいのは「コネ自慢」という勝手な解釈があたかも正当なもののようにされている点です。また、そうして「献本お礼」SNSを牽制することで、一体だれにとって何がプラスになるのか》
《むしろ「書物の公共圏」の新しい時代に逆行する害悪だと感じたため、反対意見を表明します》
https://twitter.com/koba_editor/status/1120832949287407616
このやり取りの末に郡が発した以下のツイートをめぐって炎上。
《本を出せればいい、宣伝できればいい、流通して拡散して繋がれればいい、という即自的にポジティヴなだけの書物観には同意しない。書くことは断念することであり、編集は捨てることであり、出版は閉じ込めること。そんなこともわからないんだったら、出版やめて、クッキーでも焼いてフリマで売ってろ。》
https://twitter.com/khorijunichiro/status/1120855261571239936
小林はこの郡のツイートをスクリーンショットにとり拡散。togetterでは「まとめ」も立つ騒ぎに発展した。
https://togetter.com/li/1341322
小林自身は「いきなり知らない人からキツイ意見がきた」と受け取られたのではないかと反省しつつ、いずれ直接対話できたらとの期待を表明。しかし一方の郡は「よく言うよ」と、今のところとりあう気はないようだ。
https://twitter.com/koba_editor/status/1120983780469043201
https://twitter.com/khorijunichiro/status/1121161171128610816

◎1948年の創刊から今年で72年目を迎える『現代用語の基礎知識』が大幅リニューアルに向けた準備に入ったらしい。今年2月には記事を執筆する複数の著者に対し、昨年発売の「2019年版」をもって《これまでと同じかたちでの『現代用語の基礎知識はいったんお休みすることといたしました》との書面が送られてきたそうだ。但し『JCASTニュース』の取材に同編集部は休刊を否定。具体的なリニューアル内容は今後改めて発表すると回答したという。
https://www.j-cast.com/2019/04/23355987.html

◎『プレジデント』は6月から雑誌の発売日を従来の毎月第2・第4月曜日から同第2・第4金曜日に変更する。
https://president.jp/articles/-/28494

◎作家で出版社勤務の編集者でもある川崎昌平が『小説宝石』に連載してきた漫画『ぽんぽこ書房 小説玉石編集部』が19日に光社より単行本化。この発売を記念したトークイベントが5月22日夜に東京・阿佐ヶ谷ロフトAで開催される。
https://eplus.jp/sf/detail/2948860001-P0030001
川崎のトークは私も昨年同じ会場で開かれた『編プロ☆ガール』の発売記念イベントでも聴いたが、終始1人だけのステージで「司会者&ゲスト」をテキパキとこなす話術はなかなか見事だった。

自由報道協会による第8回「自由報道協会賞」の授賞式が23日に東京・永田町の参議院議員会館で行われた。今回の受賞作品は博報堂出身の本間龍の著書『ブラックボランティア』と、フリージャーナリストの田中龍作が撮影した写真「安倍総理真備町水害者避難所訪問の裏側」を選定。
https://fpaj.jp/topics/award/8331/
https://www.fphime.biz/posts/6114599 
http://tanakaryusaku.jp/2019/04/00020023

フリーランスライターで開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』著者の畠山理仁が、change.org」で「選挙が終わっても選挙公報を消さないでください!」と題した署名活動を立ち上げた。有権者に対する立候補者たちの公約を告知した選挙公報が、投票時間終了と同時に自治体のサイトからも削除されて記録されない現状への異議申し立てを行うものだ。
https://twitter.com/hatakezo/status/1121057292852457473
https://www.change.org/p/%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%81%8C%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%82%E9%81%B8%E6%8C%99%E5%85%AC%E5%A0%B1%E3%82%92%E6%B6%88%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84

◎内戦下のイエメンを取材予定だったフリージャーナリストの常岡浩介が24日、外務省から旅券返納命令を受けて出国できなかった件について、返納命令の取り消しなどを国に求める訴訟を東京地裁に起こした。
https://www.j-cast.com/2019/04/24356208.html

ジュンク堂書店池袋本店では25日から「立教大学学部書店~池袋に化の灯台を~」を開催中(10月31日まで)。同学部で教鞭を執る教員約60人が、学問の入り口となるような本から自身の専門分野の本まで約700点を選書した企画で、店内イベントスペースでのトーク「出張講義」や、教員が本棚の前で自身の専門分野について解説する「本棚会議」などのイベントも月1~2回予定しているという。
https://ikebukuro.keizai.biz/headline/2227/
ちなみに立教大学と言えば、昨年のちょうど今頃に表面化した「立教キャンパス丸善」での店員退職騒動も記憶に新しいところである
https://togetter.com/li/1224443
https://nyawaraban2014.amebaownd.com/posts/4135126
http://d.hatena.ne.jp/teru0702/20180608/1528422979

◎24日で創業10周年を迎えたジュンク堂書店那覇店は明日からの10連休中に記念イベントを企画。28日には明治大学教授の齋藤孝によるトーク&サイン会、5月3日にはFM沖縄ハッピーアイランド」の公開生放送を予定しているという。店長の森本浩平は23日に沖縄県庁で行われた記者会見で、「本が売れない」と言われていた沖縄でここまで生き抜いてきた理由について「サイン会などのイベントを積極的に催し、発信したことで受け入れられたのではないか」「(県産本や沖縄関連本の出版規模は)他府県とは比較にならないほど大きい」などと語ったそうだ。
https://mainichi.jp/articles/20190424/rky/00m/040/014000c

◎『ベストセラーはもういらない ニューヨーク生まれ 返本ゼロの出版社』(秦隆司著・ボイジャー)に登場するジョン・オークスが1月31日開催の記念イベントで来日した際、当日の参加者に会場で配布された彼の著書『アイデア錬金術』が、ボイジャーの「理想書店」を通じて希望者に無料提供されることになった。
https://store.voyager.co.jp/special/you-dont-need-bestseller-anymore/event?fbclid=IwAR0yVXqVkqbBl-F5jXj8y67lKBW9K6xK5dcs6vOmdwe40rtXWxxuujHG4cA