【文徒】2021年(令和3)2月1日(第9巻19号・通巻1916号)つづき


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4)【記事】「少年ジャンプ+」のリニューアル&メンテナンスの一部始終

ACCESSは、今年創刊7周年を迎え、1,600万ダウンロード突破のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」(Android版/iOS版)を、集英社と共同でリニューアルした。リニューアル版では、動作の高速化や安定化、基本性能の向上を実現し、マンガを読む際の使い勝手を大幅に向上させた。「少年ジャンプ+」 編集長 細野修平は次のようにコメントしている。
《「少年ジャンプ+」は、前身となる「少年ジャンプLIVE」以来、ACCESSの電子出版技術をベースに開発・提供しています。リニューアル版では、さらに上流となる企画の段階からACCESSに関わっていただきました。当社編集部と綿密に打ち合わせし、読者視点での提案もいただき、開発に取り組んでいただきました。今回のシステム・リニューアルにより、アプリの高速化や安定化を実現でき、今まで以上に読者の皆様に楽しんで頂けると確信しています。また、今後、新機能も積極的に追加していこうと考えています。引き続きACCESSと共に、「少年ジャンプ+」のファンの皆様へ今までにないデジタルならではのマンガの楽しみ方を提供して参ります。》
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000283.000011476.html
1月27日午後0時4 分に細野修平はツイートしている。
少年ジャンプ+アプリのリニューアルが明日(というか今晩)行われます。日が変わって28日午前2時から午後1時までがメンテ期間となってアクセスできなくなります。ブラウザ版の方は見られます。ご不便・ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします!》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354264109462687745
1月28日午後0時35分。細野はメンテナンスが遅れることを報告。
《13時終了予定だったジャンプ+アプリ・メンテナンスですが少し延びそうです。申し訳ありません!詳細は改めてお知らせします。》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354634148162359299
少年ジャンプ+」公式がツイートしている。
《【アプリ・メンテナンス終了時刻変更のお知らせ】
アプリ・メンテナンス作業の終了を13時から16時に変更させていただきます。
大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。》
https://twitter.com/shonenjump_plus/status/1354650886455259141
午後4時27分、細野はリニューアルに不具合が生じたことを報告している。
《リニューアルしたばかりですが、不具合報告を…。ジャンプ+にログインした状態でコメントを書き込むと、コメントのアイコンがデフォルトで『猫田びより』の猫田さんになってしまいます。》
《しかも、この猫田さんの右下に「ジャンプLIVE」って描いてないか?ジャンプ+の前身アプリの。》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354692567317716996
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354725431430139910
何故、こうした事態になったのか。細野はツイッターでしっかりと説明している。
《このバグが起こった理由。①マイページの自画像を変更できるようにしていたが実装を先送りした。②自画像のサンプルとして猫田さんを使用。③なぜか、サンプルの猫田さんがデフォルトに設定される。みたいな感じです。》
《④開発会社の人が猫田さん好きだった。という可能性もあります。》
《なので、自画像を変更できる機能は後ほど入れますので少々お待ち下さい。》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354728631537340419
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354728997800697856
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1354729206660296706
1月29日午前11時20分、「少年ジャンプ+」公式がツイートしている。
《【アクセスしにくい現象について】
現在 サーバ障害のためアプリにアクセスしにくい状態が続いております
正常に表示されない場合は、恐れ入りますが時間をおいて再度ご確認下さい。》
https://twitter.com/shonenjump_plus/status/1354977780568453123
1月29日午後8時37分、細野。
《ジャンプ+、リニューアル後いろいろ不具合出ていますが、鋭意修正中です。ご不便おかけします!》
《ちなみに、過去話の閲覧数がおかしな計測値だったので修正しました。改めて見ると『SPY×FAMILY』1話は1000万閲覧越え、『怪獣8号』1話は470万閲覧越えでした!》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1355117811908055045
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1355118893228953603
少年ジャンプ+」公式が再度のメンテナンスを発表した。
《【アプリ緊急メンテナンスのお知らせ】
1月30日(土) 深夜2:00~2:30頃まで、不具合対応の為 緊急メンテナンスを実施致します。
メンテナンス中、アプリの全機能が停止致します。
大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。》
https://twitter.com/shonenjump_plus/status/1355144889973886981
公式でのアナウンスのみならず、細野も公式をリツイート
《すいません、またメンテします。これで購入履歴の不具合が直る予定です!》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1355146507104571400
これも細野。
《ジャンプ+、日付が変わって土曜日の作品が更新されていますが、2時から30分メンテ入るのでお気をつけください!》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1355170135279980547
こうした細野のツイートを読んでいると、細野は透明性や公開性に拘っていることがよくわかる。しかも、対応が早い。恐らく、細野は読者=オーディエンスに開かれた「少年ジャンプ+を志向しているのだろう。

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5)【本日の一行情報】

津田大介の指摘に同感だ。
《AbemaTVが抱える問題は単純で「地上波では取り上げられない『メディアに出してはアカン人』を出演させ長くしゃべらせてしまうところ」にある。これは米国のケーブルテレビやクリアチャンネル問題と相似系をなしていて、Qアノンが暴走してテロ起こしてる今、テレ朝が深刻に対処すべき話だと思いますね。》
https://twitter.com/tsuda/status/1355017393962029059
地上波にしても同じような傾向にあるのではないか。映像コンテンツが雑誌化しているという言い方もできなくはあるまい。

◎映画評論家・添野知生のツイート。添野は「映画秘宝」の執筆者のひとりである。
映画秘宝の話、もう一回書きます。加害者を擁護し、被害者のあら探しをするツイートを見てめまいがしています。今回の件、被害にあった方の行動や属性は一切関係なく、加害者側にすべての落ち度と責任があります。被害にあった方にはただただ申し訳なく思うのみです。》
《それとは別に、私は編集部の内情を知る立場にはありませんが、近年の映画秘宝の方向性を支えてきた若い編集者、奈良さん、小沢さん、岡本さんたちが、いま身を切られるような情けない気持でいるだろうと思うと本当にやりきれません。一執筆者に過ぎませんが、私の立場は彼らと共にあります。》
https://twitter.com/chise_soeno/status/1354460396938137604
https://twitter.com/chise_soeno/status/1354460398414557187

◎アマゾンは1月26日、3~12歳の子どもを対象に児童書、知育コンテンツ、ビデオ、ゲームなどを年齢に応じて提供する子ども向け定額サービス「Amazon Kids+」のAndroidアプリをリリースした。Amazon Kids+は1か月間無料で、その後、プライム会員は月額480円、一般会員は月額980円となる。
https://news.mynavi.jp/article/20210127-1675277/

朝日新聞デジタルは1月23日付で「バブル世代の幻冬舎のスター 退社後苦しんだ『ねば病』」で、「バブル」(光社)の山口ミルコを取り上げている。山口は幻冬舎の創業期より籍を置き、五木寛之の「大河の一滴」などを手がけてきた編集者である。そんな山口が「バブル」では自身の人生と見城徹の「経営」を活写している。見城徹は「ボス」として描かれる。
《すべてを会社に捧げては、褒められるの繰り返し。とにかく会社が好きだった。働き方は、幻冬舎に移ってからも変わらなかった。93年、「ボス」は幻冬舎を立ち上げる。数カ月後に合流したミルコさんは、もっと会社に尽くしていった。食事は100%外食。朝はマクドナルドでゲラを読みながら済ませた。
当時の同僚だった編集者は「朝も昼も、土日もいるんですよ、会社に。だれよりも忙しい、だれよりも働いている上司でした」と振り返る。》
山口が幻冬舎を去るのは2009年のこと。
《2009年3月、会社に捧げた人生が転換する。山口さんは減給をきっかけに会社を辞める決断をした。
あれほど働いていたはずなのに。“会社からNOが出た。そう受け止め、黙ったまま会社を去ることしかできなかった”
「一番つらいことですよね。こんなに頑張ってきたのになって、心が折れました」
愛した会社を去る。それだけではなく、山口さんは乳がんを発症してしまう。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP184CQTNDPUCVL029.html

◎デジタルコミックエージェンシーのナンバーナインは、KADOKAWAと連携し、デジタル配信サービス「ナンバーナイン」を通じて漫画家より預かった漫画作品の中から紙単行本の出版・流通の強化を図る。
第一弾として、自社オリジナル漫画「異世界行ったら、すでに妹が魔王として君臨していた話。」の単行本第1巻を1月27日(水)に発売した。第二弾は、2月27日に同作第2巻と八木戸マト氏の「就活失敗したサキュバスさんを拾いました」第1巻を発売する予定だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000027584.html

楽天は、4月から社名を「楽天グループ」に変更する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ284250Y1A120C2000000/

◎日本トレンドリサーチの調査によれば、コロナ禍になり、以前と比べて紙の書籍・雑誌を購入する機会が増えたかどうかのアンケートで一番多かったのは「変わっていない」で75.5%。一方、「増えた」は14.1%、「減った」は10.4%。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000257.000044800.html

朝日新聞デジタルは1月29日付で掲載している「霞が関、崩壊への危機感 職場を愛した元官僚が語る現実」(聞き手 編集委員・浜田陽太郎)は新潮新書「ブラック霞が関」の著者である千正康裕へのインタビュー記事である。千正は言う。
《「日本学術会議の任命拒否でも、政権側が『人事だから説明できません』などと木で鼻をくくったような答弁を繰り返していることは、説明責任を果たしていないと感じる人が多いと思います。僕も、納得できる説明をすべきだと強く思います」
「ただ、それでも大きく政権の支持率が下がらず、野党の支持率が上がらないのだから、戦略的には余計な情報を出さない方がプラスになっていまいます」》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1T2PDQP1PULFA01D.html

◎ロイターは1月28日付で「東京五輪、観客制限して開催を=ロムニー米上院議員」を配信している。
《米共和党の重鎮で2012年の大統領選候補だったロムニー上院議員は東京五輪を観客を制限して開催するよう訴え、新型コロナウイルス下の世界を励ますイベントになると強調した。
ロムニー氏はツイッターに「東京五輪の開催を」と投稿。「アスリートたちは調子を最高の状態にするようにトレーニングを積んできた。会場の観客を制限せよ。いずれにせよわれわれの多くはテレビで観戦する」と指摘した。》
https://jp.reuters.com/article/olympics-2020-romney-idJPKBN29X0HO
アメリカ選手団は参加してくれそうである。
朝日新聞デジタルは1月28日付で「森会長、無観客の可能性『考えておかないと』 東京五輪」を掲載している。
新型コロナウイルスの感染拡大で開催への懐疑論が広がる東京オリンピック(五輪)・パラリンピックを無観客とする可能性について、大会組織委員会森喜朗会長は28日、「そういうことはしたくないが、それを考えておかないとシミュレーションにならない」と述べた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1X6GJQP1XUTQP006.html
森の舌好調に作家の村山由佳が呟く。いや、本当にそうだよね。
《お言葉ですが、あなたは乗る側じゃなく乗せる側じゃないんですか。
整備士がこれを言って許されるわけがない。
「(安心、安全の)判断の基準があるかというと、ないですよ」
「事故が起こると思って列車に乗っている人はないし、飛行機に乗る人はいないんじゃないですか」》
https://twitter.com/yukamurayama710/status/1354781425342455811
いずれにしても、IOCや政府、東京都、大会組織委員会は東京五輪は中止ではなく、最悪のケースとして無観客開催を考えているのだろう。
時事通信は1月29日付で「米メディア『契約に見合う価値』 米での7年を評価―田中楽天復帰」を配信している。
《NBCスポーツ(電子版)は「東京五輪で日本代表としてプレーすることが可能となった。代表に選出された場合、日本だけでなく米国ファンにも最も知られた五輪選手となる」と伝えた。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012900432&g=spo

◎日販は、1月29日(金)、「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」および「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック」のランキングを発表し、同日より取引書店約1400店で店頭フェアを開催している。
「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」ランキング上位15作品
1位:「わたしの幸せな結婚」(原作:顎木あくみ 富士見L庫/KADOKAWA
   作画:高坂りと キャラクター原案:月岡月穂/スクウェア・エニックス
2位:「葬送のフリーレン」(原作:山田鐘人 作画:アベツカサ/小学館
3位:「マッシュル-MASHLE-」(甲本一/集英社
4位:「【推しの子】」(赤坂アカ×横槍メンゴ集英社
5位:「カッコウの許嫁」(吉河美希講談社
6位:「アンデッドアンラック」(戸塚慶集英社
7位:「煙と蜜」(長蔵ヒロコ/KADOKAWA
8位:「よふかしのうた」(コトヤマ小学館
9位:「パリピ孔明」(原作:四葉夕卜 漫画:小川亮/講談社
10位:「見える子ちゃん」(泉朝樹/KADOKAWA
11位:「シャングリラ・フロンティア」(原作:硬梨菜 漫画:不二涼介/講談社
12位:「女の園の星」(和山やま/祥伝社
13位:「忍者と極道」(近藤信輔/講談社
14位:「ここは今から倫理です。」(雨瀬シオリ集英社
15位:「メダリスト」(つるまいかだ/講談社
「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック」ランキング上位10作品
1位:「女の園の星」(和山やま/祥伝社
2位:「カラオケ行こ!」(和山やま/KADOKAWA
3位:「葬送のフリーレン」(原作:山田鐘人 作画:アベツカサ/小学館
4位:「【推しの子】」(赤坂アカ×横槍メンゴ集英社
5位:「忍者と極道」(近藤信輔/講談社
6位:「水は海に向かって流れる」(田島列島講談社
7位:「ダブル」(野田彩子/ヒーローズ)
8位:「僕の心のヤバイやつ」(桜井のりお秋田書店
9位:「図書館の大魔術師」(泉光/講談社
10位:「自転車屋さんの高橋くん」(松虫あられ/リイド社
https://www.nippan.co.jp/news/osusume_comic2021/
やはり注目は「女の園の星」だろう。どのくらい化けるかが見物だ。コミックス第2巻が3月8日に発売される。「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック」では、集英社小学館講談社、KADOKAWAを抑えて第1位なんて嬉しいじゃないか。
https://www.shodensha.co.jp/onnanosononohoshi/
祥伝社で星というと、広告の星亨を思い出してしまうんだよね。

◎エヌ・ティ・ティ・ソルマーレが提供する「コミックシーモアは、祥伝社との共同レーベル企画の一環として、「マンガ Jam」作品を  1 月 28 日(木)より独占先行配信している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000351.000009284.html

凸版印刷のグループ会社である総合電子書籍ストア「ブックライブ」は、業務提携している三省堂書店と合同で「冬の大抽選会2021」を1月29日(金)から3月7日(日)の期間、全国の三省堂書店22店舗で実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000162.000022823.html

電通グループは「世界の広告費成長率予測(2020~2022)」を発表した。これによると世界の広告市場は、コロナ禍の影響で2020年は8.8%の減少となる見通しだが、2021年には5.8%の成長が見込まれ、世界の総広告費は約5,790億ドルになると予測。2022年には広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻る見通しで、6.9%の成長により、総広告費は約6,190億ドルになると予測している。
ちなみに2021年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の媒体別シェアは初めて50.0%に達する見通し。
https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000371.html

電通は、全国80大学に支部を持つ就職活動支援団体「エンカレッジ」を運営するRECCOO(リクー)と共同で、企業が学生とサークル単位で接点を持つダイレクトオファー機能による採用ブランディングサービス「サークルアップ」を開発、1月29日にローンチした。なお、運営は大学生向けプロモーションを専門に行うユーキャンパスが行う。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2021003-0129.pdf

◎「春オンライン」編集部は、特集班としてスクープを目指す記者を募集している。同時に、アンケートの集計などの編集補助業務や、資料集め・張り込みなどの取材補助を行うアルバイトも募集する。待遇は月給33万円~。「春オンライン」として募集する。
https://bunshun.jp/articles/-/43055

毎日新聞は1月29日付で掲載している「安易な言葉に乗ってはならない 帚木蓬生さん、コロナを乗り越えよう」(聞き手・林奈緒美)は精神科医であり、小説家でもある帚木蓬生のインタビュー記事だが、帚木は次のように語っている。
《手軽というのは、私に言わせれば「反知性主義」と同じことです。新型コロナでは、米国のトランプ前大統領が医師や科学者の意見を無視して「マスクをするのは弱い人間だ」なんて言いましたが、あれは反知性主義の極致でしょう。
日本でも感染拡大が収まっていない段階で政府が「GoToキャンペーン」を始めました。旅行を推奨しながら、感染拡大を防止するというのは矛盾している。心理的にも人を混乱させる、情報の悪い与え方です。新型コロナで、慎重さに欠けた政治家の姿勢や国民性が露呈したと思います。》
https://mainichi.jp/articles/20210129/k00/00m/040/107000c

◎「デイリー新潮」は1月29日付で「『講談社元編集次長・妻殺害事件』 “無罪”を信じて帰りを待つ『会社』の異例の対応」を掲載している。
《二審で続けて有罪判決が出た場合でも、会社の方針が揺らぐことはないのだろうか。
「それはわかりません。朴は上告するでしょう。ただ、その後に待ち受けるのは最高裁だけです。さすがに確定してしまえば、懲戒解雇せざるを得ないという声もある。刑が確定する前に、朴に自主退職させるというシナリオもあると聞いています」(講談社関係者)
すなわちそれは、会社が朴被告に退職金を支払うということを意味する。ある中堅社員はこう指摘する。
「朴さんが会社に莫大な利益をもたらした実績も間違いなく加味されていると思います。累計1億部を超えた『進撃の巨人』も、朴さんが『別冊少年マガジン』の編集長時代に始まった企画。彼が立ち上げた『七つの大罪』はその後スマホゲームとなり、今も毎月1億円の利益をもたらしていると聞いています。退職金を払ってもあまりある貢献です」》
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/01281725/?all=1&page=1
こんなこともあった。産経新聞は2019年3月27日付で「殺人罪で実刑判決の講談社元次長に保釈決定 極めて異例、検察は高裁に抗告」を掲載している。
《東京都京区の自宅で妻=当時(38)=を殺害したとして殺人罪に問われ、1審で懲役11年の実刑判決を受けた韓国籍講談社の青年コミック誌「モーニング」編集部の元編集次長、朴鐘顕(パク・チョンヒョン)被告(43)=休職中=について、東京地裁は27日、保釈を認める決定をした。保釈保証金は800万円。検察側は同日、決定を不服として東京高裁に抗告した。これを受け、地裁は保釈の執行停止を決定。》
https://www.sankei.com/affairs/news/190327/afr1903270023-n1.html
結局、保釈は認められなかった。産経新聞は2019年4月5日付で「殺人罪実刑判決の被告、地裁で異例の保釈決定 最高裁も保釈認めず」を掲載している。
殺人罪で懲役11年の実刑判決を受けた韓国籍講談社の青年コミック誌「モーニング」編集部の元編集次長、朴鐘顕(パク・チョンヒョン)被告(43)=休職中=について、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は、保釈を認めない決定をした。4日付。最高裁が朴被告側の特別抗告を棄却。保釈を認めた東京地裁決定を取り消し、保釈請求を却下した東京高裁決定が確定した。》
https://www.sankei.com/affairs/news/190405/afr1904050025-n1.html

毎日新聞が1月30日付の書評面で元AV女優の峰なゆかによる自伝的マンガ「AV女優ちゃん」第1巻(扶桑社)を取り上げている。評者は東北芸術工科大学講師のトミヤマユキコ。
《彼女の半生は波瀾万丈だが、一方で、なんだか「ありそうな話」でもある。いや、しかし、わたしたちは何をもって「ありそう」と思うのだろう。
ヒントは巻末に収録された田嶋陽子との対談にある。田嶋は家父長制社会において「女は男の快楽と男名義の子孫をつくる『穴と袋』扱いで、人間じゃなかった」とした上で「男社会が自分たちの都合で女に『処女と貞淑』を求め、『袋』である主婦を大事にして制度の中に入れて、『穴』である遊び相手は軽視して軽く扱うというのはおかしい」と語る。つまり、家父長制による「穴と袋」的な価値観を内面化していればこそ「ありそう」と思えるというわけだ。》
https://mainichi.jp/articles/20210130/ddm/015/070/008000c
とても鋭い指摘である。家父長制による「穴と袋」的な価値観を内面化していればこそ男女別姓にも反対なのかもしれない。

朝日新聞社の社長に4月1日付で中村史郎副社長(コンテンツ統括/デジタル政策統括/バーティカルメディア事業担当)が就任する。経歴は《東大卒。86年朝日新聞社入社。国際報道部長、東京本社広告局長、執行役員編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長などを経て20年6月から副社長。57歳。》。
東大は農学部だったはず。ここには書いていないが中村は政治部の出身。
中村の次と思しき角田克も常務執行役員に昇進し、編集担当となる。角田は社会部の出身である。渡辺雅隆社長は6月24日の株主総会で取締役を退任する予定だという。
https://digital.asahi.com/articles/ASP1Y54ZJP1YULZU008.html

◎ロイターは1月29日付で「アップルCEO、SNSの慣行を批判 FBとの対立深まる」を配信している。
《クック氏はプライバシーやデータ保護などをテーマにした会合で、一部のアプリは過度に多くの個人情報を収集し「エンゲージメント(投稿への反応)率が高いという理由だけで、陰謀論や暴力的な扇動」を優先していると批判。
アルゴリズムによって虚偽情報や陰謀論の拡散が助長されている今、できる限り多くのデータを収集する狙いであらゆるエンゲージメントを良しとする理論に、もはや目をつぶることはできない」と述べた。
フェイスブックを名指しすることは控えたものの、両社の間ではこのところ対立が表面化している。》
https://jp.reuters.com/article/apple-facebook-idJPKBN29X34C

毎日新聞は1月30日付で「エレカシ宮本浩次さんが昭和歌謡見た「原点」 初のカバーアルバム好評」(清水有香)を掲載している。エレファントカシマシのボーカル・宮本浩次はソロ第2弾として20年11月にカバーアルバム「ROMANCE」をリリースした。そこには中島みゆきの「化粧」や、ちあきなおみの「喝采も収められているのだが、宮本は、このインタビュー記事の中で次のように語っている。
《たとえばアルバムに入っているちあきなおみさんの「喝采」という歌は当時から全部暗記するくらい歌詞は覚えていましたが、年輪を経た今になって歌詞の意味合いを自分なりに感じることができた。最近、プルーストの小説「失われた時を求めて」を読み終えたんですが、そういう超長編の物語を読む感動とはまた違って、「喝采」には短い時間にすさまじいエネルギーが入っている。そういう歌詞や歌手の思いに対する感動がありました。》
https://mainichi.jp/articles/20210127/k00/00m/040/218000c
遂に「失われた時を求めて」まで読破してしまったのか、宮本は!

毎日新聞社朝日新聞社は1月29日~2月25日と2月26日~3月18日の2つの期間で「高校野球応援キャンペーン」を合同で行う。春のセンバツ、夏の選手権の両大会をそれぞれ主催する社同士が協力して両大会を盛り上げようと、高校野球にまつわる3種類のオリジナルグッズを製作し、まずは3月19日開幕のセバツを前に両期間とも各196人に抽選でプレゼントする。なお、今回のキャンペーンの事務局は朝日新聞社に置く。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000032749.html

◎「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が小学館から発売された。
https://www.axismag.jp/posts/2021/01/332858.html
未見の方は是非。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/eiko-ishioka/
石岡は資生堂が生んだ天才のひとりである。

ギー・ドゥボール学部コルトレーン学科なんてあっても良いかななんて思っていると、松岡正剛の「千夜千冊」がギー・ドゥボールの「スペクタクルの社会を取り上げているではないか。同名の映画に衝撃を受けた映画ファンもいることだろう。むろん、監督はギー・ドゥボールだ。松岡はこんなことを書いている。美馬達哉の「〈病〉のスペクタクル」に目をつけているのは、さすがとしか言いようがない。
《ぼくは「レトリスム」や「転用」について、そしてやっぱりスペクタクルについて(社会論だけでなくスペクタクルそのものについて)、もうすこし議論が沸騰するほうがいいと思っている。
たとえばカール・シュミットの『政治的ロマン主義』(未来社)やパルチザンの理論』(ちくま学芸庫)、フェリックス・ガタリの『三つのエコロジー』(平凡社ライブラリー)、ダニエル・コーエンが68年5月から始めてAIまでを説きおこした『ホモ・デジタリスの時代』(白水社)、SARSのときに今日のコロナ禍状況を見抜いた美馬達哉の『〈病〉のスペクタクル』(人書院)あたりを読んでもらうといい。》
https://1000ya.isis.ne.jp/1763.html
コロナ禍にあって美馬達哉の「〈病〉のスペクタクル」はもっと注目されて良いはずだ。
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b66350.html
しかし、悔やまれるのは松岡と朝倉喬司の対談を実現できなかったことである。松岡は朝倉について次のように書いている。
《いかにもいま読んだばかりというふうにわざとらしく書いてきたけれど、実は朝倉喬司はぼくの大学時代の仲間の一人である。朝倉がこのような書き方でしか章を書かない男であることは、よっく知っている。
しかし、朝倉を紹介するには、この「知らないふりして、入っていく」という手が一番なのである。
そもそも朝倉喬司の生き方がアウトローに近く、異界をばかり覗きこんできた。朝倉は根っからアナーキーであって、また放浪漂泊的であって、それでいてその真情は「籠もりトポス」そのものなのである。むろんそのような男たちは、少なくない。けれども、そういう男が章を書くと、ヤクザの回顧録がよくそういうふうになっているのだが、妙にまじめくさくなっていく。
また、アウトローを好んで書く多くの筆家たちも少なくないけれど(たとえば笹沢左保には『天保国定忠治無頼録』がある)、かれらは案外、淡々と抑制の効いた章を書きたがる(朝倉もながらく週刊現代』の記者だった)。
ところが、朝倉はそのような自分の感覚を体にまで及ぼさないではいられない。朝倉はそれをこそモットーとしたフリーライターなのである。すなわち香具師を描けばその口上となり、河内音頭を綴れば音頭口調が体になり、国定忠治をものすれば、いつしか赤城山に立て籠もっての覚悟をする章になっていく。
実は、早稲田を出てから一度も朝倉には会っていないけれど、数年前に『遊歌遊侠』(現代書館)を読んでいてむしょうに懐かしくなっていた。》
https://1000ya.isis.ne.jp/0810.html
実は今春、現代書館から「朝倉喬司芸能論集成――芸能の原郷 漂泊の幻郷」が刊行される。編集は向井徹。帯を飾るのは五木寛之の「名」だ。「芸能の原郷 漂泊の幻郷」ってサブタイトルはオレも一枚噛んでいる。

橋本治の「草薙の剣」が新潮庫化された。解説を書いているのが仏教学者の末木美士だ。仲俣暁生がツイートしている。
《末木美士さんの庫解説が素晴らしかった。草薙の剣でも迎え火を打つ石でもなく、そのまわりに生えていて薙ぎ切られ燃え上がる草が大切なのだと。そのとおりだと橋本さんも言ったはず。》
https://twitter.com/solar1964/status/1355148144628035588

◎「デイリー新潮」は1月29日付で「人気俳優が次々Netflixへ……民放が頭を抱える『もの凄く高いギャラ』の相場とは?」を発表している。民放プロデューサーの次のような発言が重要だ
《「Netflixは『全裸監督』をヒットさせるために、広告費に10億円をつぎ込んだと言われています。その宣伝効果もあって、作品はヒットしたのです。もちろん制作費も潤沢です。Netflixのドラマ制作費は1話2億円と言われています。全8話で計16億円と、信じられない額です。もちろん出演者のギャラにも反映されます。
大ヒット中の『今際の国のアリス』にW主演している山崎賢人は、地上波ドラマなら1話のギャラは250万円程度です。全10話で2500万円。さすが人気俳優と言いたいところですが、Netflixのオリジナル作品の出演料はこの4倍、1話1000万円だそうです。これだけ高額なら、所属事務所だってやらせたいと思うに違いありません。それは監督や脚本家など制作側にも言えること。コロナ禍で作品が撮影中止、お蔵入りとなっているため、地上波ドラマの3~4倍ものギャラを出すNetflixは魅力でしょう」》
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/01291100/?all=1&page=1

東京新聞は1月31日付で牧村康正の「ヤクザと過激派が棲む街」(講談社)を書評している。評者は米田綱路だ。
《戦いをくぐった各人の証言には、“戦後”にまで貫かれた無党派という生き方の自負と誇りがかいま見える。
そんな戦闘的な少数派は「絶滅危惧種」としつつ、著者が「党の季節の再来を予感している」と擱筆することに希望を見る。寄せ場が派遣や非正規の労働に姿形を変えて存続する限り、山谷はこの社会に遍在しているからだ。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/83037?rct=shohyo
無党派」をアナキズムと読み替えても良いだろう。私が「ヤクザと過激派が棲む街」にじ不満なのは主要参考献に竹中労の「山谷 都市反乱の原点」や原口剛の「叫びの都市: 寄せ場釜ヶ崎、流動的下層労働者」(洛北出版)が入っていなかったことである。船本洲治との関係を考えても竹中の一冊は欠いてはならないはずだ。
http://www.rakuhoku-pub.jp/book/27255.html
http://www.arsvi.com/b1900/6909tt2.htm

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6)【深夜の誌人語録】

捨てられないものなど何もないはずだ。