シリーズ 講談社広報室の劣化 # 「政治的な意図がまったくない」なんてない!


「ハフポスト日本版」が公開した「『ViVi』が自民党とコラボした理由は? 講談社が説明『政治的な背景や意図はまったくない』」。講談社コメントは次の通りだった。恐らく全文を載せるように講談社広報室は「ハフポスト日本版」に要求したに違いない。
「このたびの自民党との広告企画につきましては、ViViの読者世代のような若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供したいと考えました。政治的な背景や意図はまったくございません。読者の皆様から寄せられておりますご意見は、今後の編集活動に生かしてまいりたいと思います」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/vivi_jp_5cff2981e4b0da64c5368e4b
BuzzFeed News」が公開した「『政治的意図はない』ViViと自民党コラボ? その狙いは」は「BuzzFeed News」と講談社広報室の次のようなやり取りを掲載している。
「――企画の経緯を教えてください。
経緯につきましては回答を控えさせていただきます。
――選挙前のタイミングでの自民党ロゴ入りのTシャツ無料頒布に批判もあがっていますが、どう捉えられていますか?
皆様からのご意見は謙虚に承ります。
――シャツの費用は講談社自民党、どちらの負担になるのでしょうか?
回答は差し控えさせていただきます。
――他の政党との同様のキャンペーンは予定しているのでしょうか
予定はありません。
――PR表記がございますが、自民党側からはいくら支払いがあったのでしょうか?
回答は差し控えさせていただきます。
――他党とのキャンペーンの予定はないとのことですが、政治的意図や背景がないなかで、自民党だけを選ばれた理由はどこにあるのでしょうか?
回答は差し控えさせていただきます。
――自民党と「ViVi」のどちらが持ち掛けた企画でしょうか?
回答は差し控えさせていただきます」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/vivi-jimin
要するに講談社広報室は何も答えていない。それでいて「ハフポスト日本版」にも掲載させたコメントをここでも掲載させている。このコメントを全文掲載させることが講談社広報室が取材を引き受けるに当たっての条件であったに違いない。
しかし、こうした講談社広報室の対応がSNSでの「炎上」にガソリンをぶっかける役割を果たしてしまった。それにしても、講談社広報室の乾智之広報室長、いつもだったら自らの写真つきで前面にしゃしゃり出て来る目立ちたがり屋だが、今回はお隠れ遊ばれた。講談社広報室のメディアに対する対応は匿名でなされている。私たちは「炎上」の現場に降り立つことにした。
「美しい顔」では講談社の強い味方であった佐々木敦も今回はこんな風に助言している。
「ViVi問題、講談社が『政治的な背景や意図はまったくない』って言っても自民党は政党なんだから一種のネイティヴアドと思われても仕方ない、というか当然自民党が(名目はどうあれ)広告費を出してるのだろうから、開き直るなら『お金出してくれれば共産党ともコラボります』とでも言えばいいのだ」
https://twitter.com/sasakiatsushi/status/1138443023409434624
珍しく開き直らなかったのである。とすれば高圧的な態度で開き直らなかったのが失敗だった…と総括するのだろうか。
「路地裏の迷宮踏査」の文芸批評家・杉江松恋は言う。
「これで政治的な意図がまったくないと強弁するなら、講談社当該担当者は『私には政治というものを理解する能力がまったくありません』と言っているに等しい」
https://twitter.com/from41tohomania/status/1138351286028386304
断言はできないが、乾智之広報室長あたりに政治を理解する能力があるとは思えない(あくまで私見だが)。今日こうした事態を迎えているのは乾智之広報室長の政治力のなさに起因していると私たちは理解している。
天声人語」を6年担当した冨永格は講談社を叱咤する。
「すでに多数のツッコミが入っていますが、〈政治的な背景や意図がまったくない自民党の広告〉という説明がすでに矛盾しています講談社しっかりしろ」
https://twitter.com/tanutinn/status/1138320192763678720
冨永は保阪正康の新刊をめぐって朝日新聞出版と講談社が激しくぶつかったことをご存知だろうか。朝日新聞出版は講談社の言い分を飲んだが、講談社の高圧的な態度にはさすがに腹が立ったようだ。
講談社広報室の対応は、総てその場しのぎであって、その場しのぎのためであれば、たとえ辻褄が合わなくても情報発信してしまえということなのだろう。山崎雅弘は見逃さない。
「2019年3月1日現在の自由民主党の女性衆議院議員比率は、わずか7.8パーセント。講談社の公式説明によれば、自民党とコラボした理由は「若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供したい」という話だが、話の辻褄が全然合わない。つまり講談社は本当の理由を説明していない」
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1138323061453647872
能町みね子の指摘する通りだ。
講談社が黙秘しまくってる」
https://twitter.com/nmcmnc/status/1138426511638188032
「これでわかった!超訳特定秘密保護法」(岩波書店)の弁護士・太田啓子は、講談社広報室の対応にこう詰め寄っている。
「政治話はファッション誌でもされたほうがいいけど、でもViViは『社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供』したのではなく自民党イメージアップに貢献という応援をしたわけでそれは否定できないでしょ。それで政治的意図ないって何。応援だというのは認めようよ」
https://twitter.com/katepanda2/status/1138330244039958528
「ハロー・ワールド」で吉川英治文学新人賞を受賞した藤井太洋危惧している。
「政権に寄り添う発言や運動を『政治的でない』と言い抜けるのはとても危険なことだ」
https://twitter.com/t_trace/status/1138388534027403264
しかし、広報担当の渡瀬昌彦常務取締役は文芸担当でもある。
香山リカ
「『講談社、おまえもか』」
https://twitter.com/rkayama/status/1138067536577097728
これも香山リカのツイートだ。
講談社は『政治的な背景や意図はまったくございません』と説明。いや、若い読者に政治を考え、発言してもらうのはおおいにけっこう。問題になってるのは、それがなぜ #自民党2019 のハッシュタグつきがマストか、ということです」
「たとえば『自民党はなぜ強い?』のテーマで識者が多様な意見を述べ、読者が議論、ならありでしょう。でもインスタでモデルもはっきり『自民党キャンペーンのタイアップ』と言ってます。講談社の『若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表面する場』という説明はウソじゃないですか」
https://twitter.com/rkayama/status/1138343338887733248
https://twitter.com/rkayama/status/1138350327495680000
そう嘘をついているのである。
今回の件で「政治的な背景や意図はまったくない」と発言することは嘘をついていることと同じなのだ。ファッション・クリエイティブ・ディレクターの軍地彩弓が「ニュースピックス」に書いている。
「朝この記事をみて腰が抜けた。ViViは古巣です。2000年初頭まで在籍してファッションページを編集してました。
#自民党2019 って完全政治色じゃないですか。これが『政治的背景がない』、のだとしたら
講談社自民党を政治政党と認識していないことになりますが。
タイアップ広告は双方の利害が一致して成立するものです」
https://newspicks.com/news/3965788?ref=user_126786&u=acynfl&from=twitter
言論機関の広報室が「嘘」を発信するようにったら…そろそろ講談社内部の良識派は蹶起すべきではいのだろうか。私は手遅れになることを心配する。弁護士の渡辺輝人のツイート。歴史は繰り返しているのだ。
国家神道『神社は宗教にあらず』
ViVi『自民党は政治にあらず』
この種の言い分は、歴史的には、特定の思想を国民に押しつけて縛り上げるためのものだろう」
https://twitter.com/nabeteru1Q78/status/1138601575570583552
ミステリ評論家の千街晶之講談社広報室の対応に「不誠実」であり、「バカ」だという評価を下している。
「『ViVi』と自民党のコラボの件に対する講談社の言い訳、不誠実なのかバカなのか少し悩んでしまったが、特定の政党に協力しながら『政治的な背景や意図はまったくない』と言えてしまう点は不誠実だし、そんな言い訳をすれば再炎上するのが予想できない点はバカだし、たぶん両方を兼ねているのだろう」
https://twitter.com/sengaiakiyuki/status/1138380723864330241
非営利の独立メディアOurPlanetTV代表の白石草のツイート。
講談社。政治的な意図ないって、お金もらえば何でもやりますという意味?」
https://twitter.com/hamemen/status/1138413670717722625
まあ、商業出版はお金をもらえば何でもやるものなのだが、女性誌とはいえ政治マネーからは、これまで距離を取っていたものである講談社の広告OBも今回の件では「あり得ない」と溜息をついていた。次のようなツイートを講談社広報室は聞き流すのだろうか。
講談社『ViVi』編集部は企画を取り止めることでしか『政治的意図がなかった』ことを証明する術はない。それができたら弁明を受け入れる。でなかったら確信犯と断定する」
https://twitter.com/tkatsumi06j/status/1138349022693879808
講談社からは「スターダストパレード」を刊行している小説家の小路幸也も怒っている。
「関わってない講談社の編集者が全員舌噛んで死にたくなるんじゃないかと心配になるほどセンスも良識も矜持も欠片すらないじゃないか。何をやっているのか」
https://twitter.com/shojiyukiya/status/1138252793439956992
政治学者の山口二郎の歯ぎしりが聞こえて来るようである。
講談社自民党の宣伝のために協力することも、政治的な意図はないと言い訳した。まさに、政府・与党にひれ伏すことは非政治的ということ。やんぬるかな」
https://twitter.com/260yamaguchi/status/1138369782271447040
書店人も声を上げる。ときわ書房志津ステーションビル店の日野剛広がツイートしている。
「『政治的な背景や意図はまったくない』
さすがにこれは無理があるだろう。
私にも立場があり、このツイートも業界関係者の方の目に触れるだろうが、この広告への嫌悪感は表明させていただく」
https://twitter.com/Nanoruhino/status/1138338452775157760
日本推理作家協会賞の贈呈式で版元の幻冬舎を勇気をもって批判した「凍てつく太陽」の葉真中顕もただ呆れるばかりである。
「〝講談社が説明『政治的な背景や意図はまったくない』〟
んなアホな。私がこれを客観的事実とする原稿書いたら、講談社校閲だって
『政党のハッシュタグつけてるので政治的な背景や意図があるのは明確では?』
みたいなエンピツ入れるだろ」
https://twitter.com/akihamanaka/status/1138354563432370176
ミュージシャンの写真を撮り続けているフォトグラファーの石田昌隆は編集タイアップ企画に登場したのが「ViVi model」ではなく、「ViVi girl」であることに注目している。
「ViViの自民党Tシャツ問題。モデルは『ViVi model』じゃなくて立場が弱い『ViVi girl』を起用していたんだね。それでもインスタに出せば『いいね』が数百つく。インスタに出すことを条件に起用されているのでは? 『ViVi model』を巻き込まないように温存した講談社は卑劣」
https://twitter.com/masataka_ishida/status/1138386877654769665
これも石田の投稿。彼女たちを食い物にしたのは自民党だけではあるまい。
自民党Tシャツ来ていた女性のインスタ見たら、こういう投稿あった。〈ViVi専属モデルオーディションには落ちてしまいましたが、憧れのViViさんの雑誌に載ってViVi girlとして活動できるということは、本当に私にとって夢のようです。〉自民党はこういう人を食い物にするな」
https://twitter.com/masataka_ishida/status/1138417832708829186
今回の炎上について大塚英志は次のように見立てている。
「安倍政権の国民舐めきった態度が役人(金融庁)や取り巻き(幻冬舎)や広告利権に集まるメディア(講談社)に様々な綻びとして露呈していてこの『ふざけんな感』の拡散は今、政権周りにとって一番嫌な展開の気がする。大事なのはその『ふざけんな感』は選挙で政権の審判として投票で現すことです」
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1138408460599537665
弁護士の佐々木 亮のツイート。
「政治的な意図がないという説明のほうが怖いよ。普通に『当雑誌自民党を応援しております』というべきじゃないのかな。変なの
https://twitter.com/ssk_ryo/status/1138394481743388672
「完璧じゃない、あたしたち」の小説家・王谷晶がダメ出し。
「おいおい講談社さんマジかよ 何考えてますのん? ファッション誌が政治を語るのは大いに応援するけど政権与党ピンポイントでピックアップってダメ過ぎますでしょ」
https://twitter.com/tori7810/status/1138084073144954882
牧眞司のツイートは渡瀬常務や乾広報室長の耳に届くのだろうか。「世界文学ワンダーランド」(本の雑誌社)の牧眞司である。
「出版のことを知っていないとわかりにくいかもですが、個々の出版物がかならずしもその社全体の意向をあらわしているわけではない。『新潮45』のときも、今回の『Vivi』もそうだけど、版元を批判をするのは『社内で自浄してほしい』からで、新潮社なり講談社なりを滅ぼせというのではない」
https://twitter.com/ShindyMonkey/status/1138397210716954634
渡瀬常務ー乾広報室長体制では残念ながら自浄能力に期待できない
「日本人の〈ユダヤ人観〉変遷史」(論創社)の松浦寛がこんなツイートを投稿している。
「大日本雄辯會は講談社の前身で『少年倶楽部』には、大佛次郎鞍馬天狗』、山中峯太郎の『敵中横断三百里』など大衆小説によって、日本人の間に長州史観を浸透させ、大陸雄飛の夢を掻き立てた ... ある意味で、講談社はまた〝大日本雄辯會〟時代の大政翼賛の歴史を繰り返そうとしているのである」
https://twitter.com/HiroshiMatsuur2/status/1138403295519621120
松浦のツイートが単なる妄想でないことは共著に「亡国の武器輸出」(合同出版)や「武器輸出大国ニッポンでいいのか」(あけび書房)を持つ杉原浩司の次のようなツイートを読めば納得できるかもしれない。
講談社の『はじめてのはたらくくるま』が自衛隊の武器を平仮名で紹介。爆買いされるF35や米国輸出が狙われるF15まで。かつて『あたらしい憲法のはなし』では、戦車や戦闘機や軍艦が消防車や電車や商船に生まれ変わっていた。今や大手出版社が政権に忖度して武器を子どもに刷り込むまでに」
「『ViVi』で自民党と前代未聞のコラボをしながら、『政治的な背景や意図は全くない』と詭弁を弄する #講談社 は、爆買いされるF35や米国輸出が狙われるF15などの武器を載せた『はじめてのはたらくくるま』も出版。腐りゆく出版社」
https://twitter.com/kojiskojis/status/1098757262162575361
https://twitter.com/kojiskojis/status/1138374543330881537
「夜の記憶―日本人が聴いたホロコースト生還者の証言」や「原爆被爆者三世代の証言―長崎・広島の悲劇を乗り越えて」などの著書で知られる看護学者の澤田愛子は決断したようである。
「もう講談社が出版する本は買わないことにしました。自民からお金が流れているからとしか思えない。公選法に引っかかることをする出版社だとは思わなかった!もう、私は講談社の本は買いません
https://twitter.com/aiko33151709/status/1138431333997301762
講談社広報室の対応が狂い始めているようだ。現場の反乱が始まったのかもしれない。次のようなツイートを発見した。
公選法的には6月中ならセーフだというのが講談社見解ですが、
私達の血税を使って与党がこのようなキャンペーンを張るのは
ものすごく問題があるのでは?と伝えたところ
『たしかにそうです』と広報。
声が大きくなれば中止・謝罪があると思うのでぜひ電話を。
講談社広報室 03-5395-3410」
https://twitter.com/mesangel_/status/1138334675250761728
しかし、その一方で岩本太郎には取材拒否!
https://air.ap.teacup.com/taroimo/1944.html
「#講談社不買」が立ち上がっている。渡瀬昌彦常務、乾智之広報室長という広報体制では、問題が起きても解決する方向に向かうのではなく、ガソリンをぶちまけ炎上・拡散するだけだということを講談社はいつ気がつくかである。小田嶋隆がこうツイートしている
「ViViのコラボ広告にはおどろかされた。
講談社とはかれこれ30年以上の付き合いがある。世話になった編集者も多い。とてもがっかりしている。自民党に対しては特段の感情はない。好きにすれば良いと思っている。ただ、良心的な業界人を暗黒面に引き込む所業は、なるべくなら控えてもらいたい」
https://twitter.com/tako_ashi/status/1138610636441522178