講談社広報室の「奸計」に言語の鉄槌を!黒幕は渡瀬昌彦常務 実行犯は乾智之室長‼

加藤典洋は遺作となった『9条入門』で「人は過去を新しく獲得し直すことで、未来への態度を新しく更新するための足場を得ることができる」と述べている︱。

 

講談社広報室の乾智之広報室長を窓口に、同社の広報担当にして文芸担当の渡瀬昌彦常務取締役から、ほぼ40年間にわたって積み重ねてきた関係を渡瀬常務本人のサインもなければ押印もない、電子メールによる文章によって私たち出版人はバッサリと取引を切られてしまったわけだが、それがいかに礼を失した内容であり、法的にも問題の少なくない文章であることは、この間、「文徒」や「メディアクリティーク」を通じて、できる限り冷静に報じてきたつもりだ。

ここでは時間を遡りながら講談社広報室が私たちを切り捨てるに至る「奸計」の全体像を明らかにしていきたい。

まずは時計の針を2018年10月29日(月)15時21分に戻したい。毎年、この時期になると『出版人 広告人』の1月号と2月号を使って特集する出版社の社長インタビューで、それでなくても慌ただしい毎日に更に拍車がかかることになる。この企画は、東京アドエージから発行されていた『広告人連邦 日本の編集長』の1989年1月号が最初である。文藝春秋でいうと田中健五社長の時代である。田中社長が誕生したのが1988年のことである。この号には未だ講談社は登場していない。講談社がこの企画に加わるのは1990年1月号になってからである。最初に登場したのは野間佐和子社長ではなく、服部敏幸会長であった。このインタビューに入る前であったか、乾智之広報室長の父親にあたる乾源哉秘書と名刺交換することになった。

翌年から、野間佐和子社長をインタビューすることになるのだが、広報室長が三代目になる頃には、佐和子社長が体調を崩し、インタビューに応じられなくなると、私と講談社広報室でインタビュー記事を創造(まあ、捏造)したり、現在の野間省伸社長が佐和子社長に代わってインタビューに応じ、それを野間佐和子社長インタビューとして掲載するという形で続けられた。男性の発言を女性の言い回しに変えるのは、それなりに苦労をしたものである。何故、そうまでして野間佐和子社長インタビューに拘ったかといえば、それが講談社からの要請であったからである。いずれにしても、この社長インタビューは世紀を跨ぎながら30年近くつづけてきた企画である。そうした歴史的経緯は広報室長を過去に経験している渡瀬昌彦常務にしても、乾智之現広報室長にしても承知しているはずだ。

10月29日以前、その前の週だったと思う、何かの会合で会った折に、講談社広報室の乾智之室長に口頭で野間省伸社長へのインタビューを申し込んでいた。その確認の意味もあり、「今年も社長インタビューの季節がやって参りました。」と題して乾広報室長あてに次のような電子メールを送信した。CCで渡瀬昌彦常務にも読めるようにした。

乾広報室長さま

大変、お忙しいところ失礼いたします。

お願いがありメールさせていただきます。

実は、今年も「出版人 広告人」1月号で出版社の社長インタビューの特集を組みます。

つきましては例年と同様に野間社長さまにインタビューさせていただきたくスケジュールの調整を11月中でお願いいたします。

質問事項は日程が決まりましたら提出させていただきます。

何とぞ宜しくお願い申し上げます。

今井照容

  

例年であれば、その当日に返信があるのだが、昨年は二日後の10月31日午後2時23分になってから返信が届いた。当時は、忙しいから遅れたのだろうぐらいにしか思っていなかったが、「奸計」を練るには、そのくらいの時間が必要だったのかもしれない。返信の内容は次のようなものであった。

今井様

ただいま、

社長室に意向を打診しております。

少々お時間ください。

乾 智之拝

 

乾広報室長もCCに渡瀬常務を入れてあった。それにしても、とこの時も思った。あまりにも素っ気ない書き方に礼を欠いたメールだと思った。少なくとも「いつもお世話になっております。」と書き出すのが社会人としての必要最低限のマナーではないのか。いったい乾広報室長は何歳になるのだろうか。最低限のマナーさえも欠いたメールを他社の人間に平気で送れる神経を私には理解できない。また、それを許してしまう渡瀬昌彦常務とは、いったい何者なのだろうか。それとも、私たちをハナからバカにしているから、こういう内容のメールを送っても恥じないのだろう。いや、この段階で乾室長は、私たちを挑発していたのかもしれない。

これも例年であればの話になるが、野間社長へのインタビューはスケジュールが決定してから質問事項を講談社広報室に提出するという手順で進められる。ところが、昨年はスケジュールを決める前に質問が欲しいという要望が乾室長から伝えられた。

私たちは、これを了解し、質問を列挙して広報室に送った。ところが、この質問事項に対して乾室長はサイゾーの件や『解毒玉』についての質問をしないかどうか、その確認を電子メールで求めてきたのである。野間佐和子社長に実際にインタビューしなくとも、でっちあげ記事を講談社広報室とともに作成してきたという意味では、私たちは講談社広報室の共犯者であるが、それだけにこうした物言いを今更されるとは思いもよらなかった。さすがに、そうした問い合わせは失礼ではないかと電子メールで応じた。だいいち『解毒玉』について野間社長に聞いても何の意味もなかろうて。30年近くにわたって、そうした質問を私たちは佐和子社長にも、省伸社長にも、ぶつけたことは一度たりともない。渡瀬昌彦常務もよく知る「VIEWS」の元編集長Sが銀座のクラブホステスSK子と愛人関係になり揉めた際も、そのことを私たちは野間佐和子社長に問い質したであろうか。あるいは有名カメラマンの妻が浮気した現場を撮影しておきながら、『フライデー』に掲載しなかったのは何故かなどと私たちは聞いたことがあるだろうか。そう、このときの『フライデー』の担当編集者は若かりし日の乾室長である!

『解毒玉』について説明しておく必要があるかもしれない。講談社は昨年2018年8月10日付で「『解毒玉』(ISBN978-4-06-299881-9)、『解毒玉MEN』(ISBN978-4-06-512041-5)の販売中止のお知らせ」なる次のような文章を発表している。

弊社より刊行しました書籍、2017年9月刊『解毒玉』及び2018年7月刊『解毒玉MEN』につきまして、両書に掲載されている「ゲルマニウム」の効能について科学的に実証できない表現がありましたため、販売を中止するとともに、店頭在庫の回収を行うこととなりました。この度はご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

■すでにご購入になった方へ 返品方法のご案内

料金着払いの宅配便で本書をご返送ください。すでに壊れてしまった、箱が無い、冊子を捨ててしまったなど商品が一部分しかない場合には、お手元に残っている分だけまとめてお送りください。全て捨ててしまった場合には購入時のレシート等購入をご確認できるものをお送りください。

受領後、お送りいただいた方のご住所・お名前で消費税込みの代金を現金書留にてお送りいたします。

〈送付先〉

〒112-8001

東京都文京区音羽2-12-21

講談社 「解毒玉」回収係

電話番号 0120-552-578

お名前、ご住所、郵便番号、電話番号をご記入の上、送料着払いにてお送りください。

ゆうパックや宅配便のご利用をお願いします。送付状は複写式ですので、ご記入の際には内容が読み取れるよう、強めにお書きいただけると助かります。なお、お寄せいただいた個人情報は、本件以外の目的では使用いたしません。

ご不明の点がございましたら

フリーダイヤル 0120-552-578

受付日時8月11日(土)〜8月26日(日)10:00〜19:00

にお問い合わせください。

お手数をおかけします事を重ねてお詫び申し上げます。

 

「解毒本」には「ゲルマニウム」の効能について科学的に実証できない表現があったため、「解毒本」の販売を中止し、店頭在庫の回収も行うと発表したわけだが、実は、講談社広報室は「解毒本」に問題があることも、そのことをブログメディアで話題にされていることも何も知らなかったのである。この間、講談社広報室は乾室長のもと、「口先」を鍛えることはあっても、問題の所在を誰よりも早く感知するような時代に対する「触覚」、情況に対する「触覚」は劣化させてしまっていたのである。胸を張って言おう。その情報を講談社広報室にもたらしたのは、私たちにほかならない。まずは『文徒』に掲載した記事をお読みいただきたい。2018年(平成30)8月9日付『文徒』は第6巻148号、通巻1322号にあたる。

1)【記事】LINEが運営する「ブロゴス」が「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」を掲載!

 

ブログ「編集者の日々の泡」が「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」をエントリしている。この記事は「ブロゴス」にも転載されている。講談社が昨年秋に発売した「コリ、むくみ、冷えをギューッと吸い出す! 解毒玉 ゲルマニウムチップ入り」について、「これのなにが問題かって、書名にも入っているように『ゲルマニウムチップ入り』のところ。要はイカサマを国民生活センターに摘発された『ゲルマニウム商法』そのものじゃん」と指摘しているのだ。

かつて国民生活センターは「体に良いとうたうゲルマニウム使用のブレスレット」を発表している(2009年)。

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20090625_1.pdf

このとき国民生活センターゲルマニウム使用を謳ったブレスレットを取り扱う業界に次の3点を要望している。

ゲルマニウムのヒトに対する効果に関する表示について、明確な科学的根拠がなければ表示を取りやめるよう要望する。

インターネット上の広告について、薬事法に抵触するおそれがある表現がみられたため、改善を要望する。

ブレスレットは体に身に付けて使用する商品であることから、錆の生じにくい素材を使用するよう、要望する」

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20090625_1.html

ブログ「編集者の日々の泡」に掲載された「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」は次のように書いている。

「念のため改めて書いとくけど、国民生活センターによると『ゲルマニウムの人体への効果に関する論文はない』『業者に訊いても科学的根拠を出せなかった』『表示が薬事法違反の恐れあり』――だ。今回の講談社の商品、そのまままるっと全部当てはまるな」

「出版御三家の講談社ともあろう企業が、なんでこんなデタラメ商品に手を出したのか。こういうインチキ商売は、『ムー』の学研とか徳間、ごま書房とかが得意なイメージがあったんだけどなあ……。まさか講談社が。

出版社売上上位10社とかのクラスの社員だと、普通はコンプライアンスや倫理に関する研修を受けてるはずなんだけど。編集も営業も、誰一人この企画に反対しなかったのだろうか。残念だ」

http://blog.livedoor.jp/editors_brain/archives/1965799.html

http://blogos.com/article/316222/

アマゾンで講談社が販売している「コリ、むくみ、冷えをギューッと吸い出す!解毒玉 ゲルマニウムチップ入り」を検索してみると「内容紹介」には次のように書かれている。

《コリ、むくみ、冷え、疲れ・・・・・調子の悪い部分に吸い玉をつけるだけ。

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血行がよくなることで、体全体のだるさや疲れも改善されます。

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もし、「編集者の日々の泡」がエントリした、この「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」なる記事が間違いであれば、講談社は、このブログや「ブロゴス」を運営するLINEに対して、強く抗議するとともに、当該エントリの速やかなる削除と謝罪を要求すべきである。講談社がこの記事をこのまま放置しておけば、この記事の内容が正しいと認めることになってしまうのである。

少なくとも「ブロゴス」はLINEが運営する日本最大級の提言型ニュースサイトであり、その影響力は大である。ちなみにコミックを中心とするデジタルコンテンツ配信のグローバル展開を推進するためのLINEの連結子会社であるLINE Book Distributionは講談社小学館、メディアドゥ、LINEの4社による合弁事業会社である。

http://otakuindustry.biz/archives/54141

講談社では「解毒玉」に違法性があるのかないのかを含めて社内調査、聞き取りを開始したという。ブログへの対応は、その結果に鑑みてということになるようである。

しかし、である。LINEがビジネスパートナーである講談社を揶揄し、批判するブログ文章に対して、事実かどうかを検証することなく、そのまま転載してしまうことは許されて良いのだろうか。ビジネスパートナーである講談社に対する敵対的言動を振りまくことをLINEが是とするのであれば、講談社としては当然、LINEとの関係を見直さざるを得ないはずである。

 

この記事の中に「講談社では『解毒玉』に違法性があるのかないのかを含めて社内調査、聞き取りを開始したという。ブログへの対応は、その結果に鑑みてということになるようである」とあることに注意してもらいたい。私たちは『文徒』に記事を書く前に乾室長にこの問題のアウトラインを質問するというカタチで事前に伝えているのである。業界誌として、こういうサービスを提供するのは宿命のようなものである。私たちは、「お忙しいところ失礼します。質問があります。」というタイトルのメールを8月8日午前10時11分に送信した。その内容は次の通りである。

乾智之広報室長さま

ブログ「編集者の日々の泡」が8月7日付で「講談社がトンデモ疑似科学商売に勤しむとは……」を掲載しています。この記事は日本最大級の提言型ニュースサイト「ブロゴス」にも転載されています。

http://blog.livedoor.jp/editors_brain/archives/1965799.html

http://blogos.com/article/316222/

この記事には次のように書いています。

「これのなにが問題かって、書名にも入っているように『ゲルマニウムチップ入り』のところ。要はイカサマを国民生活センターに摘発された『ゲルマニウム商法』そのものじゃん」

「念のため改めて書いとくけど、国民生活センターによると『ゲルマニウムの人体への効果に関する論文はない』『業者に訊いても科学的根拠を出せなかった』『表示が薬事法違反の恐れあり』――だ。今回の講談社の商品、そのまままるっと全部当てはまるな」

「出版御三家の講談社ともあろう企業が、なんでこんなデタラメ商品に手を出したのか。こういうインチキ商売は、『ムー』の学研とか徳間、ごま書房とかが得意なイメージがあったんだけどなあ……。まさか講談社が。

出版社売上上位10社とかのクラスの社員だと、普通はコンプライアンスや倫理に関する研修を受けてるはずなんだけど。編集も営業も、誰一人この企画に反対しなかったのだろうか。残念だ」

講談社として、こうした記述は間違いだと抗議されたのでしょうか。また、当該エントリの速やかなる削除を依頼し、謝罪を要求されたのでしょうか。

 

さすがにこのときは反応が早かった。乾室長から次のようなメールがあったのは、8月8日午前10時35分であった。それは自らの「触覚」の鈍さを告白するものであった。

今井様

 

ご指摘ありがとうございます。

 

恥ずかしながら、

ご連絡をいただくまで当該のブログについて

把握しておりませんでした。

 

そもそも「解毒玉」に違法性があるのかないのかを含めて社内調査、聞き取りを開始しました。

その結果に鑑みて、ブログへの対応を考えます。

 

取り急ぎ御礼と返信まで。

 

乾 智之拝

 

この時点では乾広報室長は私たちに感謝していることは、文面からもうかがえる。しかし、翌日、『文徒』の記事を読んだ彼は豹変してしまう。8月9日(木)午前9時29分、乾広報室長は次のようなメールを送ってきた。

今井様

 

昨日の下記メールは、

私信ではなく、

私への取材だったのですね。

今朝のメルマガ文徒に私の返信した文言が記されていたので。

今後は公私きっちり分けていきましょう、

私が甘かったです。

 

ちなみに、

7月10日付、

野間及び渡瀬の意向を受けて抗議した案件については、

広報室長宛てにはなんらお返事はいただいておりません。

そちらにお答えいただくのが先かと思いますが、

ご見解はいかがでしょうか。

 

乾 智之拝

 

私は乾とは私信をやりとりするような親しい関係にはない。事実、乾と酒席をともにしたのは10回にもみたないはずである。講談社の歴代広報室長とは季節の変わり目ごとに酒席をともにしてきたが、乾とは、そういう関係を構築していない。あだしごとはさておき「野間及び渡瀬の意向を受けて抗議した案件」についても説明しておかねばなるまい。私たちは7月10日(火)午後2時42分に乾室長から次のようなメールを受け取っていた。 

今井様

 

お世話になっております。

 

本日の【文徒】2018年(平成​30)7月10日(第6巻127号・通巻1301号)について

社として抗議いたします。

 

サイゾーウーマン」の根拠のない中傷記事を受けて

各社(者)に拡大する形でこれを発信されたことは、

まことに遺憾です。

 

ご了解ください。

 

実は、このメールには私は腹が立っていた。そもそも私たちに「こうした記事がある」と紹介される前に「サイゾーウーマン」なり何なりに抗議をして記事を撤回させるのが講談社広報室の本来の仕事ではないのか。「各社(者)に拡大する形でこれを発信されたことは、まことに遺憾」とあるが、お前は何様のつもりなのか? 金を払っていれば自分の手下なのか? こうした居丈高な言い方に私は嫌悪感を抱いた。それでも、この7月10日付文徒の執筆を担当した岩本太郎をCCに入れ、感情を抑えて次のようなメールを送ったつもりであった。

乾さま

抗議、真摯に受け止めます

 

しかし、このメールを私は乾室長のアドレスに送り忘れていたのである。8月9日(木)に乾室長からのメールを一読した後、私たちはメールが乾室長に届かなかったことをむしろ喜んだものである。一方、岩本からは反応があった。

今井さま

抗議にご対応いただき、ありがとうございました。私も真摯に受け止めます。

岩本

 

この岩本のメールに対して私は次のように返信している。

岩本さま

バカ!お前は乾に怒りを抱かなければダメなんだよ。オレがお前だったら乾に抗議しているよ!

 

私たちは所詮、業界誌である。しかし、その「所詮」において圧倒的なプライドを持っているのだ。ただ、「文徒アーカイブス」からは、岩本が書いた一行情報は削除している。それもまた、所詮、業界誌なのである。(つづく)