【シリーズ】講談社広報室の劣化 「ViVi」における不適切な表現について

「ViVi」の公式ツイッターが復活したことは報告したが、炎上する以前の6月10日に次のような投稿がなされていた。
「ニコル『私はもう本当にその人しか見えなくなる。盲目タイプ?
星夏『それは昔から変わんないよね(笑)』
ニコル、星夏、愛花の3人が恋バナのため焼肉屋さんに集合。2時間ノンストップの赤裸々トークを特別に大公開しちゃいます!」
https://twitter.com/vivi_magazine/status/1138034042375462913
を見てみると藤田ニコルが「私はもう本当にその人しか見えなくなる。盲目タイプ?」と語ると、古畑星夏が「盲目(笑)。それは昔から変わんないよね(笑)。でもニコルのことは昔から知っているけど、恋愛観は大人になったと思う」と応じている。
https://www.vivi.tv/post28870/?utm_content=2380674149
視覚障碍者の存在を念頭に置いたとき、果たして、ここで「盲目」という言葉を使うべきかどうか、当然のごとく編集者は悩みに悩んだ末に「盲目」という言葉を確信的に選択したのだろうが、その判断は正しいのだろうか。他にも言い換えは可能なはずである。それだけに「ViVi」のツイートに対して、「使うべきではないと思う」というレスがあったことを報告しておこう。
「盲目は差別用語ではないという見解があるが、使うべきではないと思う。講談社自民党とのコラボで大失敗をやらかしたばかりなのに、無神経過ぎやしないだろか?」
https://twitter.com/deltaforceJP/status/1139438603220557824
私も「盲目」という言葉を「ViVi」のような大衆誌において使うことは避けるべきだと考える。
何故なら、「盲目」には視覚障害者に対して社会に存在する差別意識が歴然と現れていると私は考えているからだ。小林健治の次のような指摘を引用しておこう。
「それでは、視覚障害をもつ人たちは、この言葉についてどのような思いを抱いているのか。拙著『差別語・不快語』の中でまとめている、遠藤織枝氏の調査(2000年)から見てみよう。
 先に例にだした『めくら蛇に怖じず』に対して、『容認できる』と答えた視覚障害者は23.5%。『避けたい』『絶対に言わない』と答えた人は53.0%である。
『群盲象をなでる』については、容認は23.1% 拒否は45.8%
『盲目的』(盲目ではない)については、容認が45.3%、拒否42.3%と意見が分かれている。『盲目的』と『盲目』では、『盲目』のほうがより強い表現のように思われるが、それでも半数近くの視覚障害者が差別感(不快感)をもっている」
http://rensai.ningenshuppan.com/?eid=183
問われるべきは講談社の人権感覚である。渡瀬昌彦常務や乾智之広報室長は、何も答えずに済むとでも思っているのだろうか。私たち出版人は「ViVi」が選択した表現に対して正式に抗議したい。私たちが正式に抗議するのは創業以来、初めてのことである。決して軽く受け止めてもらいたくはない。まさに講談社の言論(表現)の質が問われているのだ。
それにしても私も個人的にかかわっている差別論研究会には講談社の社長室や編集総務局からも参加し人権に関する知見を深めていたのではないか。残念である。むろん、そうした研究会で乾智之広報室長の姿を遂に見ることは遂になかった。