【文徒】2019年(令和元)7月30日(第7巻135号・通巻1555号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】講談吉本興行の「迷走」はまだまだつづく
2)【記事】ブロッキング議論が再開される?!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】講談吉本興行の「迷走」はまだまだつづく

吉本興業が7月26日付で「宮迫博之氏に関する報道についてご報告」なる章を発表している。そこには、こう書かれている。
《7月19日発売の「フライデー」にて、宮迫博之氏が金塊強奪事件の主犯格とされる人物との会合に同席し、金銭を受け取っていたとする報道がなされました。宮迫氏は7月20日に国民の皆様の前で行われた田村亮との記者会見の場において、金銭受領の否定を強く主張されており、弊社のヒアリングに対しても「絶対に受け取っていない。2,000%受け取ってない。」とも主張されております。
しかしながら、複数のメディアにおいて「宮迫氏は金銭を受け取っていた」とする報道がなされ、弊社が行った「反社会的勢力主催パーティ参加の真偽確認」の際にも、宮迫氏より虚偽報告を受けていることから、弊社としてもどちらを信じていいのか、困惑しております。弊社としましては、宮迫氏の主張を疑うことなく信じておりますが、万一にも、一部報道が事実であれば、先日、会見の場で発表させて頂いたマネジメント契約解消の撤回についても、再度検討せざるを得ない状況です。しかし、我々としては宮迫氏の主張を信じ、同じテーブルについて頂けるよう、引き続き打診を続けていきたいと考えております。》
https://www.yoshimoto.co.jp/
私などの年代の者からすると、金塊強奪事件の主犯格と所属タレントの発言で「どちらを信じていいのか、困惑しております」という「心情」も「論理」も理解できかねる。恐らく吉本興行としては現状において契約解消が有効であると判断し、宮迫には「氏」をつけ、田村には「氏」をつけていないのだろう。
しかし、岡本昭彦社長は記者会見において「マネジメント契約解消の撤回」を言明した以上、このように両者の証言が食い違い、「元」所属タレントの証言を裏付ける証拠がたとえなくとも、「元」所属タレントの発言を信じるのが「ファミリー」経営を謳っている企業としての「筋」というものではないだろうか。「弊社としましては、宮迫氏の主張を疑うことなく信じて」いるのであれば、「万一にも、一部報道が事実であれば、先日、会見の場で発表させて頂いたマネジメント契約解消の撤回についても、再度検討せざるを得ない状況です」などと書く必要はないのである。
この章から芸能プロダクションと所属タレントの間に当然、醸成されていてしかるべき信頼関係がまるで見えて来ないのである。日刊スポーツは7月27日付で「吉本、困惑…宮迫が話し合い応じず、新疑惑の懸念」を掲載し、次のように書いている。
《吉本サイドにしてみれば、岡本社長が涙で「戻ってきていただけるなら」と、宮迫との和解、復帰へ向けた地ならしを検討してきたが、一向に話し合いに応じないことで、シビレを切らした格好だ。この日の声明は、両者の溝が依然として深く、会社の対応も迷走していることを示していた。》
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201907260000913.html
吉本興業は、川上和久(国際医療福祉大学教授)を座長とする経営アドバイザリー委員会を設置することも発表した。
https://www.yoshimoto.co.jp/corp/news/media/media190725.html
しかし、この人選も、私たちの常識からすれば、筋違いなものではないだろうか。こうした委員会を設置することは良いことだと思う。しかし、その座長に選ぶべき人物に利益相反があってはなるまい
川上座長は、芸人たちがお笑いの枠を超えて化人たちと「国際問題」「社会問題」「身近な地域問題」を徹底的に深く・鋭く・面白く論議する、吉本興業にしか出来ないトークイベント「オモ論議」に出演しているヨシモト系の化人ではないか。
https://blogs.yahoo.co.jp/yoshimotoliberalarts/folder/1609385.html?m=lc&p=1

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2)【記事】ブロッキング議論が再開される?!

吉本興業の大崎洋会長は7月26日に開催された政府の知的財産戦略本部の検証・評価 ・企画委員会を欠席した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072600896&g=pol
知的財産戦略本部の検証・評価 ・企画委員会の現委員は以下リンクの通り。産業財産権とコンテンツ分野が一本化され、コンテンツ分野では竹宮惠子野間省伸福井健策が外れ、川上量生、林いずみは重任となっている。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/meibo_2020.pdf
三崎尚人のツイートによれば昨年の「混乱」を「反省」してか、委員会運営が大幅に変更されたようだ。
《昨年の混乱の「反省」か、検証・評価・企画委員会の運営が大幅変更。傍聴者の録音・録画禁止の明記。座長が会議・会議資料・議事録を必要に応じて非公開可能、委員・参考人・傍聴者が会議で知り得た情報を外部発信する場合は発言者の所属・氏名を特定しないよう求める(最初が今年度、2枚目が昨年度)》
https://twitter.com/nmisaki/status/1154720024138940417
時事通信が7月26日付で「海賊版ブロッキング、議論再開を=政府先送りに有識者意見」を発表した。
《これに対し、26日の会議では、出席委員が「一刻も早く議論を再開すべきだ」と主張。別の委員は、ブロッキングの法制化断念など政府の海賊版対策の迷走ぶりを念頭に、「手続き論と結論が曖昧だ」と苦言を呈した。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072601135&g=pol
三崎の指摘する「チャタムハウスルール」の弊害とは、こういうことである。
《早速会議で誰が発言したかわからない弊害が。ブロッキングについて「一刻も早く議論を再開すべきだ」と主張したのはまあ川上氏で、「ブロッキングの法制化断念など政府の海賊版対策の迷走ぶりを念頭に『手続き論と結論が曖昧だ』と苦言を呈した」のはたぶん瀬尾氏かな。》
https://twitter.com/nmisaki/status/1154725594271059969
中村伊知哉のツイート。
総務省で検討中の「アクセス警告方式」が進まないのであれば、ブロッキングについて再考すべきだ、という議論が起こりました。ただ「チャタムハウスルール」が導入され、誰がどう発言したかが報じられていません。それはそれで議論になるのでは。》
https://twitter.com/ichiyanakamura/status/1154889542630965248
一般財団法人ソフトウェア情報センター (SOFTIC)が投稿していた。
《あれ?今日10時から開催の知財本部「検証・評価・企画委員会」の議題の筆頭に「インターネット上の海賊版対策について」と書かれている・・・。最初に議題が公表されたときは「「構想委員会」(仮称)の設置について」くらいしか書かれていなかったような気がするんだけどな?》
https://twitter.com/SOFTIC_JP/status/1154533900560900096
山田太郎は先の参議院選挙で自民党から全国比例で立候補し、当選した。
《選挙中もその懸念を訴えて来ましたが、いよいよブロッキング話が知財戦略本部から再び出てきました。表現の自由を脅かしかねないこの問題、しっかり対応してきたいと考えています。事実関係を週明けから関係者に問い合わせていきます。》
https://twitter.com/yamadataro43/status/1154797387694559232
楠正憲(国際大学GLOCOM 客員研究員)が「COMEMO」に「海賊版サイト対策 ブロッキングの前にやるべきこと」を発表している。
《日本のプロバイダ責任制限法では、事業者が通知を受けても権利侵害コンテンツを消す義務は負っておらず、発信者を特定して直接交渉する必要がある。結果として迅速な対応は難しく、発信者を特定できない場合など泣き寝入りとなりがちだ海賊版のアップロード側を取り締まるのであれば、まずはプロバイダ責任制限法を改正し、海賊版サイト対策で実効的に使える制度に改める必要がある。》
《…漫画村に代表される海賊版サイトの問題からは、我が国におけるサイバー犯罪対策の不備が様々なかたちで明らかになっており、知的財産戦略本部ブロッキングばかり議論して時間を費消しているようであれば、非常に残念なことだ。》
https://comemo.nikkei.com/n/n576ff142d5f9
楠もこうツイートしている。
《名前を隠して物事を進めようとする人たちに、責任を持って政策を遂行する資格はないんじゃないですかね?利益代表なら利益代表らしく堂々とやればいいんですよ。それも仕事なんだからさ。堂々とできないんだったら、どうせ説明責任を果たせないんだから引っ込んでろとしか》
https://twitter.com/masanork/status/1155006772911824897
「生き残るメディア 死ぬメディア 出版・映像ビジネスのゆくえ」のまつもとあつしも「チャタムハウスルール」には反対だ。
表現の自由と大いに関わるブロッキングを議論するのであれば、当然発言者も含め公表されるべきです。チャタムハウスルールが適用されることは国民の知る権利を阻害するものとして反対です。》
https://twitter.com/a_matsumoto/status/1155332618100961280

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3)【本日の一行情報】

KADOKAWAのBL誌「CIEL」が創刊25周年を迎えた。同誌の人気作「LOVE STAGE!!」(原作:影木栄貴/作画:蔵王大志)も実写映画化されるという。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006058.000007006.html

◎ロイターが発表したコラム「デジタル広告、アマゾンがグーグルのシェア奪う構図」は、こう書いている。
《グーグルは依然としてデジタル広告市場のトッププレーヤーだ。eマーケターによると、世界全体では約1040億ドルの広告収入を稼ぎ、シェアは30%を超える。
しかし第2・四半期のグーグルの広告収入は16%の増加と、前期よりさらに低調にとどまった。本来、グーグルならば20%台半ばの伸びが当たり前だったのだ。今回の結果はリフィニティブがまとめた予想を超えたとはいえ、グーグルは自社株買いで投資家をなだめる必要を感じた。
一方アマゾンが立ち上げてから日が浅い広告事業が、市場で攻勢を続けている。同社は広告収入だけを区分していないものの、売上高全体における「その他」項目のほとんどを占め、第2・四半期は30億ドルに達した。前年同期比37%という伸びは、クラウドコンピューティング部門と同じぐらい高く、実店舗部門やオンライン店舗の拡大ペースよりもずっと急速だ。》
https://jp.reuters.com/article/amazon-google-ads-idJPKCN1UL065

◎「ReLIFE」で知られる夜宵草による青春グラフィティ「ブルーハーツ」(マンガ配信サービス「comico」で連載中)の1巻が8月8日に双葉社から発売される。7月25日発売の「月刊アクション9月号」(双葉社)では、同作の3話までを出張掲載した。
https://natalie.mu/comic/news/341082

◎7月25日(木)、立命館大学は、講談社が運営するクラウドァンディング・プラットフォーム「ブルーバックスアウトリーチ」に最初のパートナー機関として参加するとともに、同プラットフォームにおいて、「年縞(ねんこう)に刻まれていく地球の歴史。その瞬間を水中カメラで記録したい!」「ミクロの世界との遭遇 触覚をもったマイクロロボットハンドがあなたの触覚とリンク。」「新薬の可能性は『毒きのこ』にあり。創薬の未来につながるデータベースをつくりたい!」「数奇な運命をたどった『酒呑童子絵巻』を修復し、''みんな''で共有・活用したい。」という4つの研究プロジェクトを始動した。
https://www.u-presscenter.jp/2019/07/post-41972.html

◎お笑いの「カラテカ」の片割れ矢部太郎の単行本「大家さんと僕 これから」が7月25日に新潮社より発売された。
https://www.shinchosha.co.jp/book/351213/
カラテカ」は闇営業で吉本興行を追放された入江慎也とのコンビであった。ツイッターで「カラテカ」の矢部太郎として6月8日に次のように投稿している。
《相方であり友である入江慎也が多くの方々にご迷惑、ご心配をおかけし本当に申し訳ありません。
入江には心から反省し、これまでの自身のあり方を見つめ直し、失ったものの大きさを考え続けてほしいと伝えました。
今後も僕はカラテカ矢部太郎として活動させて頂きます。》
https://twitter.com/tarouyabe/status/1137328425012621312

アスコムは「従業員40名ほどの小さな会社」だが、この6年の間でミリオンセラーを2冊、50万部を越えるベストセラーを4冊出している!そのすべては「実用書」と言われるジャンルの商品である。アスコム取締役編集局長の柿内が「現代ビジネス」で「50万部超の書籍連発、異能の編集者が大切にする『4つのこと』」を発表している。
《小さな会社が戦うために「選択と集中」をしてきました。出版点数をできるだけ絞り込み、1冊1冊に資源を注力する。また、出版ジャンルも絞り込む。私たちが主に刊行しているジャンルは「実用書」です。芸書やコミックは爆発的なヒットが出ることがありますが、それは著者の知名度などに大きく左右されます。一方、「実用書」は著者自身の知名度よりも、コンテンツの中味が大きく左右します。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65808

トーハンは、TVアニメ「フルーツバスケット」を題材にした「本屋巡り謎解きゲーム」を8月1日から全国16エリア32書店で開催する。
原作コミック「フルーツバスケット」(高屋奈月著・白泉社・全23巻・愛蔵版全12巻)は全世界累計発行部数が3,000万部を超えるなど連載完結後も人気で、ファンには「フルバ」の愛称で親しまれている。4月からは高屋奈月を総監修に迎えたTVアニメが放映中である。
https://www.tohan.jp/news/20190726_1450.html

◎絵本や図鑑、児童図書など約5万冊を展示・販売する岡山トーハン会主催の「こどもの本ブックフェア2019」が7月26日から28日まで、岡山市北区大内田のコンベックス岡山小展示場で開催された。
https://www.sanyonews.jp/article/923010/

パナソニックの写真コミュニティ「LUMIX CLUB PicMate」は、「ヤングチャンピオン烈」(秋田書店)に連載されている釣り漫画「放課後ていぼう日誌」(小坂泰之)のTVアニメ化決定を記念して、「放課後ていぼう日誌」とのコラボで「大自然と釣りフォトコンテスト2019」を開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000258.000024101.html

◎「Eleganceイブ」(秋田書店)に連載されているコナリミサトの「凪のお暇」が黒木華主演でTBS系連続ドラマ化されたが、7月19日放送の第1話無料見逃し配信の再生数が7月25日までで196万回を超え同局ドラマの過去最高記録を達成した。
https://www.oricon.co.jp/news/2141064/full/

◎ぴあが刊行を開始した「妖怪人間ベム COMPLETE DVD BOOK」の創刊号は売切店が続出したそうだ。第2巻が発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001286.000011710.html

◎「コロコロコミック」(小学館)のYouTube動画チャンネル「コロコロチャンネル」は7月26日、27日、28日にニューヨークで開催された「FORTNITE WORLD CUP」決勝戦の模様が生配信された。FORTNITE(「フォートナイト」)は世界中でユーザー数2億人以上とされている、米エピック・ゲームズ社提供のオンライン・バトルゲームである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000347.000013640.html

◎オンラインサイトでは世界48ヶ国で展開しているハースト・デジタル・ジャパン運営のグローバルメディア「COSMOPOLITAN」(コスモポリタン)は、7月27日(土)に「PLUSTOKYO」を会場にして、読者が海外セレブのように大胆にドレスアップをして楽しめる1日限りのサマーパーティ「COSMOPOLITAN SUMMER Party」を開催した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000022874.html

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4)【深夜の誌人語録】

簡単な足し算を毎日つづけていくことが努力なのである。