【文徒】2019年(令和元)11月15日(第7巻207号・通巻1627号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】「ヤフー・LINE経営統合」をめぐるネット上の反
2)【本日の一行情報】
----------------------------------------2019.11.15 Shuppanjin

1)【記事】「ヤフー・LINE経営統合」をめぐるネット上の反響(岩本太郎)

日本経済新聞が13日夜に「ヤフーとLINE経営統合へ」とスクープした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52139820T11C19A1I00000/
さっそくウェブ上では、メディア関係者も含めて驚きの声が続々。元『BuzzFeed日本版』編集長の古田大輔は意表を突かれたらしい。
《この噂について「どうですかね」と話題にあがるたびに「カニル分野ありすぎてないでしょー」と言ってたらこのニュース。不明を恥じるしかない。ペイの統合とかは想像できるけど、あとはどうするんだろう》
https://twitter.com/masurakusuo/status/1194625206540623878
「note」プロデューサーの徳力基彦も驚きの第一声。
《うひゃー、まじかー、こう来たかー。
まぁ、GAFAと対抗するとしたら論理的にはこれしかないと思いますが。
もはや空中戦ですねぇ》
https://twitter.com/tokuriki/status/1194602170139602945
『ハフポスト日本版』編集長の竹下隆一郎も同様の見解。
《ヤフーとLINEの経営統合。世界的に成長するGAFAに対抗するための施策なのだろうか。(略)そして、何よりユーザーから膨大なデータを集めることになる。欧米規制当局とGAFAの緊張関係が生まれたように、ルール作りもポイントになってくるだろう。》
https://twitter.com/ryuichirot/status/1194606419422564353
ライブストリーミングサービス「SHOWROOM」代表の前田裕二は即座に孫正義の決断を賞賛。
《世界に「機能(役に立つ / インフラ)」と「意味(ブランド / エンタメ)」の戦いがあるとしたら、孫さんが「機能」の戦いを根こそぎ全部取りにいってる印象。本気で世界をとりにいってることが分かる。何だかめちゃくちゃワクワクするし、震えます。》
https://twitter.com/UGMD/status/1194601620505391106
ZOZO執行役員田端信太郎は仰天したようだ。
《なにぃいいいい!》
https://twitter.com/tabbata/status/1194598460755828737
しかし「コルク」佐渡島庸平ホリエモンからこんな話を聞いていたという。
《ZOZOがYahooに買収された日、堀江さんと飲んでたら、俺なら次はLINEいくね、と予想していた。
堀江さんの予想の正確さに驚く。YouTubeでのニュース解説楽しみ》
https://twitter.com/sadycork/status/1194622194254401536
一方でこのスクープ、当事者であるYahoo!の『Yahoo!ニュース』や『LINE NEWS』にも何故かなかなか上がってこなかった。古田大輔も上記ツイートからしばらく後「あれ?」という感じで再び言及。
《「ヤフーとLINEの経営統合」という超弩級のニュースが、ヤフーニュースでもLINEニュースでもトップに上がってない。ニュース産業はそれほど微妙で難しい世界で、経済だけでは語れない
https://twitter.com/masurakusuo/status/1194629016063377408
元朝日新聞記者でフリーランスジャーナリストの亀松太郎も疑義を表明。
《ヤフトピに「ヤフーLINE経営統合」ニュースがまだ上がっていない不思議。自社のニュースは扱わない方針とはいえ。。。まだ決定していないという点も考慮しているのだろうが、NHKなど主要メディアがトップで報じているニュース。「公共性」の観点からみて、どうなのか》
https://twitter.com/kamematsu/status/1194782252195934208
同じ日経新聞でも編集委員で『ワールドビジネスサテライト』解説キャスターの滝田洋一は醒めた見方だ。LINEの今年1~9月期が339億円の赤字だったとの共同記事を引用しつつ呟く。
スマホ決済を巡っては、事業者間で利用者の囲い込みを狙った競争が激しくなっている。ラインは、5月に実施した300億円の還元キャンペーンに伴う費用が業績を圧迫した。
ーー競争激化のなかの統合。囃す話だろうか》
https://twitter.com/yoichitakita/status/1194609135741853697
毎日新聞グループホールディングス取締役(元社会部長など)の小川一も冷静な見方をしている。
《大学で講義をしていますが1、2年生は「ヤブトピ」も知りません。みんなLINEでニュースを読んでいます。メディアの観点からは高齢化進むヤフーが自分たちの届かない年齢層を一気に手にすることになります。フェイスブックのインスタグラム、グーグルのユーチューブのように。》
https://twitter.com/pinpinkiri/status/1194726195515908096
慶応の理工学部出身でバーチャルホームロボット『Gatebox』のプランナーも務めた安川尚宏もこう呟く。
ソフトバンクと韓国ネイバーで、YahooとLINEをお互いに差し出し合う座組みなんね。LINEがソフトバンクグループになるのも衝撃だけど、Yahooが韓国ネイバーの傘下に入るのもえらい話やな》
https://twitter.com/nijuni_yasu/status/1194627642856599552
ジャーナリストの森岡英樹は10月の時点で『春オンライン』にソフトバンクグループの窮地で孫正義が狙うLINE買収」を寄稿している。
《その仲介役とみられるのが、みずほフィナンシャルグループだ。SBとLINEの共通のメインバンクで「SBから得る手数料は多い年に数百億円で、一蓮托生の関係」(メガバンク幹部)。また、みずほとLINEは共同でネット銀行「LINE Bank」を設立、来年開業を目指している。》
https://bunshun.jp/articles/-/14493
ニュースを聞くなり一刀両断にしたのが田中康夫
《負け犬同士の生き残り策》
https://twitter.com/loveyassy/status/1194601532668252160
山本一郎が今後の展開を予測する。
《無いとは思うけど一応は独占禁止法上の制約はありやなしやというところも含めて、日本政府がこれに介入するのかどうかは注目していかざるを得ません》
Yahoo!JAPAN、LINEともに取り組むべき課題のハードルが高いところへ、さらなる飛躍を求めたこの経営統合の交渉がどうなるのかは見ものですが、国内事業のさらなる収益化や、国際展開が劇的に改善に向かうような取り組みはこのディールでは完結しないので、ソフトバンクグループがより大きな国際的取引を仕掛ける可能性もあるのではないでしょうか》
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20191113-00150826/
上で名前が挙がったホリエモンも滞在先の英国から見解を表明。改めて「韓国ネイバー社がLINEの7割以上の支配株主なので買収されやすかった」などと当初見立ての理由を改めて解説。そのうえで「ヤフーはスマホ革命に乗り遅れていた。ヤフオクもメルカリに完全にやられてしまい、目下「PayPay」ではどうしても負けられないとばかりに物凄いお金を投じている。
一方でLINEはスマホアプリで日本、タイ、台湾では1位ではあるものの、グローバルな競争では厳しい戦いを強いられていた。そこで資本力のあるソフトバンクにグループ入りすることが生き残りをかけた非常に重要な戦略だったのではないか」と背景を分析していた。「もしかしたら次はメルカリあたりを……」とも。
https://www.youtube.com/watch?v=vbjIAicqkpU

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3)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎日本芸社が同社初のマンガアプリ「マンガTOP」の配信を開始。1日に3回(7時・12時・19時)に3話分のポイントを獲得できる仕組みで、通勤時や昼休み、晩酌中に「毎日タダ読み」できるというのが売り。一度読んだ作品は72時間読み返し無料という。「ミナミの帝王」「白竜」「銀河伝説WEED」「麻雀飛龍伝説 天牌」など過去の名作を取り揃えている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000041489.html
http://gamebiz.jp/?p=252893

講談社が従来の「読者が選ぶ・講談社広告賞」「講談社デジタル広告大賞」イベントを一新した 、「メディアカンファレンス2019」を12日に東京會館で開催。今回「講談社メディアアワード」にて優れた広告企画として、『ViVI』ブランドを使って日本と台湾で同時に実施された資生堂ジャパンの事例など8作品が顕彰されたとのこと。
https://www.advertimes.com/20191113/article302225/
『ViVi』の自民党広告をめぐって大騒ぎを巻き起こした2019年の同社の広告部門を思えばブラックジョークのような選定である。

◎ジャーナリズムNGOの「ワセダクロニクル」は『週刊金曜日と提携することになった。そのお披露目も兼ねた「『監視社会ニッポン』を問う共催シンポ」が17日に早稲田大学で行われる。
http://www.kinyobi.co.jp/news/?p=4287

サイバーエージェントが赤字続きの「AbemaTV」の事業モデルを見直すらしい。広告収入だけでなく「課金収入にも軸足を置いて赤字縮小を図る」方針だと日経が伝えている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52072890S9A111C1TJ1000/

◎『暮しの手帖』元編集長の松浦弥太郎が編集長を務める「印刷メディア」の『DEAN & DELUCA MAGAZINE』の第1号が11月25日に発売される。米国に本拠を置く食料品チェーン「DEAN&DELUCA」の自社出版(日本で同社のライセンス展開を担う企業「ウェルカム」が発売を担当)で「雑誌でもなく、書籍でもない印刷メディア」を目指すという。
https://www.cinra.net/news/20191113-deandeluca

小学館『Domani』が12日より「LINE MOOK」に参画。今後は月に2回、水曜の21時頃に無料配信を行っていく予定。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000440.000013640.html

主婦の友インフォス発行(主婦の友社発売)の『声優グランプリ』が9日発売の12月号で創刊25周年を迎えた。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw6172548