【文徒】2020年(令和2)7月20日(第8巻133号・通巻1790号)つづき

◎「AFP BB NEWS」は7月18日付で「米公民権運動の象徴的存在、ジョン・ルイス下院議員が死去 80歳」を掲載している。
《数十年間にわたって下院議員を務めた同議員は、1963年8月の「ワシントン大行進」で、後に暗殺されたマーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr)牧師と共に行進。警察に殴打され、命を落としかけたこともある。》
https://www.afpbb.com/articles/-/3294501
編集者・須藤健のツイート。
公民権運動の歴史を描いたグラフィック・ノベル〈MARCH〉の主人公で,原作者でもあるジョン・ルイス議員が亡くなりました.学生組織SNCCのリーダーであり,キング牧師とともにワシントン大行進でスピーチをしたことでも知られています.公民権運動の象徴のような方でした.》
https://twitter.com/ajian1108/status/1284346168105857025
「MARCH」全3巻が岩波書店から刊行された際にインタビューが行われている。
《――日本で正しいことのために闘っている人たちに向けて、何かメッセージはありますか?
ジョン:頑張り続けてください。諦めてはいけません。絶望してもいけません。周りの人々に知識と勇気を与え続けてください。
誰にでもできることはあります。何かしら貢献できるのです。》
https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/795
ウッドストックジョーン・バエズによる「勝利を我等に」を聞きながら冥福を祈ろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=pj_9KshfQuw
前大統領・バラク・オバマのツイート。
https://twitter.com/BarackObama/status/1284358592083169280

◎オレもやってみた。確かに美味かった。「PRESIDENT Online」は「dancyu」編集長植野広生の「dancyu編集長が教える『吉野家の牛丼を最高においしく味わう食べ方』」を掲載している。
《たとえば、吉野家であれば、「牛丼アタマの大盛り、ご飯少なめ、サラダ、胡麻ドレッシング」を注します。で、運ばれてきたら、まず牛肉だけ一口食べ(その店のその時の味付けを確認するため。店や時間によって微妙に異なるので)、ついで、胡麻ドレッシングで軽く和えたサラダを牛丼の上にのせ、すかさず、サラダと牛肉を5対5の割合でつまんで食べる。すると、口の中で冷たいサラダと熱い牛肉が混ざり合い、温度と食感の複雑な変化によって牛肉の味わいがさらに引き立つのです。》
https://president.jp/articles/-/37055

◎「MONEY PLUS」は7月15日付で中川淳一郎の「フリーランスは自由で華やか? 19年続けてわかった“バラ色じゃない”現実」を公開している。
《妙な結論なのですが、フリーランスであればより「社畜化」する面ってあるんですよ。よっぽどの売れっ子の場合でしたら「オレは超自由だしやりたいようにやれてるぜ」なんて言いたくなるかもしれませんが、私のような「他に代えがいる」ような存在だと会社員よりも社畜っぽい仕事ぶりになります。
当然曜日に関係なく仕事はしなくてはなりませんし、何しろ発注主の会社の判断次第でいつ切られるか分からない。フリーランスは会社にとっては余計な社会保障もなく、残業時間を気にする必要もない。流動性のある労働力として使い勝手がいいのです。報酬は決まっているため、仕事が遅いと時給が下がるだけで残業代をもらえるわけでもありません。
常に「いつ切られるか」ということに怯えているわけで、ミスがないように気をつけなくてはいけない。発注主から電話があったら「今月で打ち切りね」と言われるのでは、と毎度ビクビクしています。》
https://media.moneyforward.com/articles/5069
フリーランスとしては成功者の部類に入る中川からしてこうなのである。

◎「夢中さ、きみに」(KADOKAWA)で化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した和山やまのマンガ「女の園の星」(祥伝社)1巻は発売一週間で既に3刷がかかったそうだ。女子高生の日常を国語教師の視点から等身大に描いている。
https://kai-you.net/article/76471
特設サイトでは第一話が無料公開されている。
https://www.shodensha.co.jp/onnanosononohoshi/
映像作家の松本壮史が絶賛している。
《「女の園の星」当たり前に死ぬほど面白かったです。この漫画が天才1位。和山やま先生は天才。実写だったら松田龍平さんに一票投じたい。》
https://twitter.com/ssmtmt/status/1280837266110246918
https://qjweb.jp/feature/8515/
こんなツイートが投稿されていたが、決してオーバーな物言いではないと思う。
《『女の園の星(1)』読んだ。女子高を舞台に生達に少々なめられている男性教員と彼女らの交流を描いたコメディ。『夢中さ、君に。』で片鱗が感じられた和山やま先生のハイレベルなギャグセンスが存分に活かされている。シュールな空気感とテンポの妙は圧巻のクオリティ。すごくオススメ。》
https://twitter.com/satsuma0122/status/1282284366119366657

博報堂DYホールディングスの戦略事業組織「kyu」は、米国のコミュニケーション会社「Godfrey Dadich Partners LLC」(ゴッドフリーダディッチ社)の株式100%を取得した。Godfrey Dadich 社は、現在のメディア環境に最適な情報戦略を企画・推進するコミュニケーション会社である。
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2020/07/2677.html

トーハン中央社はかねてより返品物流業務で協業して来たが、昨今の物流経費の高騰など市場環境の変化に対し、両社は協業範囲を拡大して業界全体の流通効率化を図る必要があるという共通認識のもと、協議を重ね、その結果、次のような4項目について合意した。
(1) 中央社の一部帳合書店分の雑誌送品・書籍送品業務で協業する。
(2) 上記の物流業務をトーハンの物流センターで受託する。
(3) 物流受託する商品の仕入トーハンが受託する。
(4) 協業範囲の拡大は2020年10月から開始する。
https://www.tohan.jp/news/20200716_1605.html
総合取次は最終的には二社に収斂していくことになるのではないだろうか。

毎日新聞は7月17日付で「講談社の編集長らにツイッターで殺害予告 容疑で沖縄の44歳逮捕 警視庁」を掲載している。
講談社(東京都京区)の編集長らへの殺害予告をSNS(ネット交流サービス)上に投稿したとして、警視庁大塚署は17日、沖縄県読谷村波平、自称無職、下地寛之容疑者(44)を威力業務妨害容疑で逮捕したと発表した。下地容疑者は容疑を認め、「講談社に小説を応募していたが、1次審査で毎回落とされ納得できなかった。本気で殺人事件を起こそうと思ったわけではない」と供述しているという。》
https://mainichi.jp/articles/20200717/k00/00m/040/111000c
讀賣新聞オンラインは7月17日付で「『編集長をめった刺し』講談社に殺害予告の男を逮捕…学賞落選に恨み」を掲載している。
《大塚署幹部によると、男は5月14日、自身のツイッターで、講談社の本社ビルで「編集長を牛刀でめった刺しにする」などと複数回書き込み、同社に警備を強化させるなどした疑い。調べに容疑を認め、「小説の1次審査で落ちて納得できなかった」と供述している。》
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200717-OYT1T50104/
日本経済新聞は7月17日付で「講談社に殺人予告疑い 男逮捕『小説落選』供述」を掲載している。共同通信の配信記事だ
講談社によると、昨年に主催した2つの学賞に下地容疑者から小説の応募があり、いずれも落選した。広報室は「京都アニメーション放火殺人事件と同様の事件につながりかねない。捜査では模倣犯か触発された犯行なのか明らかにしてほしい」とコメントした。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61629480X10C20A7000000/
三崎尚人のツイート。
《アカン人だ…。広報室の「京都アニメーション放火殺人事件と同様の事件につながりかねない。捜査では模倣犯か触発された犯行なのか明らかにしてほしい」のコメント←わかるが、それはそれで京アニに配慮ないんでは??》
https://twitter.com/nmisaki/status/1283982945456238593
講談社の広報室のコメントに配慮がないのは、他者の痛みに対する想像力を欠如させているからにほかなるまい。講談社の社員は誰も気づかないのだろうか。広報室が広報室の体をなしていないことに

◎世界化社は、俳優・草刈正雄初の書き下ろしエッセイ「ありがとう!僕の役者人生を語ろう」を7月16日(木)に発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000855.000009728.html
草刈正雄というとブランコなんだな。ジャネット八田を相手に演じた「櫛の火」でのラブシーンを私は未だに忘れられないでいるし、草刈がテレビの小さい画面に登場すると、私の脳裏では「おふくろさん」の演奏がはじまる。「櫛の火」は神代辰巳の代表作でもある

小学館さん、ゴメン!こういう「ダイム」の付録の記事を書いていると、私が小学生の頃、学研が学校に毎月「科学」を売りに来るのを楽しみにしていたことを思い出す。お目当ては付録で、購入した、その日は付録に夢中になっていたものだ。そういう時代の付録の香りが「ダイム」にはするのである。9・10月号(7月16日発売)の付録はスマートフォンのカメラレンズに取り付けて使う「90倍スマホ顕微鏡」だ。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2007/16/news098.html

◎この付録も凄い。今日発売の「JTB時刻表8月号」(JTBブリッシング)の付録は終戦直前の時刻表復刻版だそうだ。
戦火が激しくなり、月刊での時刻表発行が難しくなった戦争末期、急行列車の削減や特急列車の全廃、列車の速度低下、1等車・食堂車・寝台車の廃止など、次々と旅客輸送を縮小する措置がとられ、1945年7月1日発行号ではついに“たった1枚の時刻表”となったそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000024732.html

KADOKAWAでは、エンターテインメントノベル「電撃」より刊行中の人気小説「青春ブタ野郎」シリーズ(著/鴨志田一、イラスト/溝口ケージ)と、ほぼ日(代表取締役社長:糸井重里)の「ほぼ日手帳」とのコラボが決定した。「『青春ブタ野郎シリーズ ほぼ日手帳2021 weeks(4月はじまり版)」を発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000007247.000007006.html
青春ブタ野郎」ブーム到来である。

大宅壮一ノンフィクション賞は、小川さやかの「チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学」(春秋社)が受賞した。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393333716.html
講談社本田靖春ノンフィクション賞は東京新聞記者・片山夏子の「ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」(朝日新聞出版)と吉田千亜の「孤塁 双葉郡消防士たちの3.11」に決まった。
https://www.chunichi.co.jp/article/90167
講談社本田靖春ノンフィクション賞というネーミングについて、昨年も指摘したことかと思うが本田靖春の前に講談社を置くことに講談社の経営陣は誰一人として本田靖春の霊に失礼だとは思わないのだろうか。それほどまでにカネを出しているのは講談社だということをアピールしたいのだろうか。そんなことはせずに講談社の三字を削除して本田靖春ノンフィクション賞と改めてネーミングを変更したほうがスッキリするというものだ。どうしても社名を冠として残しておきたいのであれば、従来がそうであったように本田靖春の名前を削除して講談社ノンフィクション賞に戻せば良いだけの話ではないのか。この件に関しては常務取締役・渡瀬昌彦の責任は重いはずだ。

◎インディーズ映画に特化した月額定額観放題サービス「DOKUSO映画館」(ドクソ―エイガカン)は、若手映画監督の登竜門ともいわれる映画祭「ぴあフィルムフェスティバルが行う自主映画コンペティションPFFアワード」の歴代入選作品を一挙配信することを決定した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000009.000051218&g=prt

柳下毅一郎が「好日好書」で劉慈欣の「三体」を絶賛している。
《馬鹿馬鹿しいほど壮大で、呆れるほど単純だ。だが、それはたまらなく面白い。》
https://book.asahi.com/article/13540497

◎ライブエンターテイメントをxRや最新デジタル技術で拡張するLATEGRA(ラテグラ)は7月17日、第三者割当増資による資金調達の実施を発表した。調達額は非公開だが、引受先は小学館、Bilibili(ビリビリ)、トーハンと発表された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000030595.html
https://www.tohan.jp/news/20200717_1607.html

◎光社と東京大学の共同企画により、7月16日(木)に刊行された庭田杏珠と渡邉英徳にによる新書「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044817
この出版を記念して、8月14日(金)に記憶を未来に継承する活動=「記憶の解凍」
に取り組んでいる庭田杏珠と東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授・渡邉英徳教授による講演会を紀伊國屋ホールで開催することが決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000477.000021468.html
そう言えば光社新書は大宅ノンフィクション賞を受賞した小川さやかの「『その日暮らし』の人類学 もう一つの資本主義経済」も出している。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039325
社新書は「通」好みの企画が意外と多いのである。

◎米Amazonで、Kindle版のライトノベルや漫画の発売停止が相次いでいる。日本では講談社から刊行された「異世界魔王召喚少女の奴隷魔術」(むらさきゆきや)などが発売停止となった。
https://kai-you.net/article/76553

◎「ASCII.jp」は7月17日付で「Netflixメンバー数が1億9300万人を突破」を発表している。
《第1四半期(1月~3月)に続き、視聴時間および会員数はともに増加。今期の新規有料メンバー数は予測の750万人を上回る、第2四半期としては過去最高の1010万人となり、有料メンバー数は全世界で1億9300万人(7月現在)を達成した。昨年比では2600万人増となり、2019年全体で登録した新規メンバー数の2800万人とほぼ並ぶ結果と言える。》
https://ascii.jp/elem/000/004/020/4020323/

◎ときわ書房志津ステーションビル店の店長として知られている日野剛広の連投ツイートだ。
《あえてこちらでツイートします。
書店の売場は社会を映す鏡…とか誰が言ったか言わなかったか分かりませんが、反映させなきゃとは常に思っています。しかし、酷いことやアホなこと、悲しいことがあまりに目まぐるしく移り変わり、正直追いつきません。追う気力も正直保ちません。》
《本題に入ります。
ときわ志津店で注目を頂いた「死にたくなったら読んでみて」フェアは、実は今月いっぱいで終了させるつもりでした。
おかけ様で大きな反響を頂戴し、本の売上も好調でしたが、内容以前にフェアの開催期間は最長でも2カ月が限度です。既に次の企画も準備中なのですが、しかし…》
《今日の彼の訃報にはさすがに衝撃を受けました。
私はファンでもない限り、有名人の訃報に追悼のコメントはしない主義なんですが、有名人の自殺報道の後ろにある、名もない人たちのメンタルへの影響は深刻だと思っています。》
《私自身も自分の中に非常に歪な形で彼の、三浦春馬さんの死を受け入れざるを得ず、ショックを受けたということは偽らざる心境です。正直悲しいですよ。》
《「死にたくなったら読んでみて」フェア、延長することに致しました。
本屋風情が出来ることなど何もありません。それでも出来ることがある…なんて嘯くことを許してもらえるならば、本屋の売場は社会を映す鏡として機能していくこと。その実践を続けます。》
《そして、本当ならば、こんなフェアをしなくても済む社会が一番望ましい。フェアの究極の目的はそこにあります。
本が人を救う…ということを言うつもりはありません。しかし、せめて何かのきっかけになれば、と思っています。
よろしくお願い致します。》
https://twitter.com/Nanoruhino/status/1284459334835945472

https://twitter.com/Nanoruhino/status/1284460351753318402

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5)【深夜の誌人語録】

できることしかできないのだ。