【文徒】2020年(令和2)7月27日(第8巻136号・通巻1793号)つづき

4)【記事】東京五輪開催の世論形成に利用された池江璃花子が可哀そうだ!

NHK NEWS WEB」は7月22日付で「五輪・パラ 『さらに延期』『中止』が66% NHK世論調査」を掲載している。
新型コロナウイルスの影響で延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催について、NHKの世論調査で尋ねたところ、来年7月からの開催について「さらに延期すべき」と「中止すべき」と答えた人があわせて66%に上り、予定通り「開催すべき」と答えた人を大きく上回りました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200722/k10012527301000.html
産経新聞は7月22日付で「首相、五輪来年開催に不退転の決意 解散戦略に影響も」(杉本康士)を掲載している。
《来夏の東京五輪パラリンピックについて、安倍晋三首相は、これ以上の延期や中止を避け、確実に開催できるよう環境整備を進める考えだ。新型コロナウイルスで世界全体が混乱した後の五輪開催は、安倍政権の「レガシー(遺産)」ともなる。》
https://www.sankei.com/politics/news/200722/plt2007220036-n1.html
適菜収がこの記事を引用ツイートしている。
《こういう感じで、日本は戦争に負けて廃墟になったのだと、ある意味、非常にわかりやすい。》
https://twitter.com/tekina_osamu/status/1286167014042566663
デイリー・スポーツは7月23日付で「組織委・森会長、五輪中止は考えず『神にも祈るような気持ち』…開催まであと1年」を掲載している。東京五輪パラリンピック組織委員会の会長・森喜朗の発言。
《やめたら今まで出した何百億というお金が無駄になるんです。なおかつ違約金をいっぱい取られます。》
《-来年の7月23日はどのようになっていると想像しているか。
「想像はまったくできないです。アクシデントがなく、淡々とした形で順調に開かれることを期待しているし、神にも祈るような気持ちです」》
https://www.daily.co.jp/general/2020/07/23/0013535347.shtml
英軍事誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー東京特派員・高橋浩祐のツイート。
《森会長、『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』はお読みになりましたか?》
https://twitter.com/KosukeGoto2013/status/1286387354236620801
東京新聞は7月23日付で「中止阻止へ『聖火さえくれば』 延期に安堵も『1年後は神頼み』<検証・コロナ対策>」を掲載している。
《大会の準備に投資し、経済効果を期待する日本側にとって、最悪のシナリオは中止だった。それを防ぐため「聖火を日本へ」が政府や都、大会組織委員会の共通認識になる。
 「ギリシャから日本に聖火を持ち込むことを官邸はすごく意識していた」と自民幹部。都幹部は中止の阻止を「重要課題」と認識していた。「聖火さえ日本に来てしまえば、という一念だった」。組織委会長の森喜朗(83)は後にそう語った。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/44276?rct=national
神戸大学医学研究科感染症内科教授・岩田健太郎のツイート。
《朝ラン後のストレッチしながら撮りためてたNHKスペのインパール見てます。3万人が亡くなった作戦で物資や人の軽視、上層部の無責任、自己正当化、曖昧な意思決定過程と強い既視感。(作戦は失敗だったが)「精神的価値」があったと。これもどっかで聞いたような。》
https://twitter.com/georgebest1969/status/1286415835259531269
麻木久仁子は次のようにツイートを三連投している。
《本当に不思議でならない。オリンピックやりたいならコロナを制圧するしかない。安心して来ていただける「東京」にするしかない。そのためには検査検査検査。そしてその症状にみあった隔離と治療の体制確立。それしかないのに。オリンピックやりたくないのかね都知事は。》
《「どんなに頑張ってもコロナ(のリスク)はゼロにならない」っていう人がいるけど。だったら尚更、検査検査検査、そして隔離と治療の体制確立でしょう。日本にいる限り(オリンピックのお客さん含めて)十分な対応をしてくれる、という信頼の確立以外、どんな方法があるのか?経済を回すためにも。》
《リスクゼロにならないからこそ、「万が一のことがあるかもしれませんが、その時は、東京は全力であなたの健康を守ります」という強いメッセージが必要だし、そのメッセージを裏付ける体制が必要。ってオリンピックやりたいひとほど言うべきなのに、なんかそうでもないのが本当に不思議。》
https://twitter.com/kunikoasagi/status/1286314222956109825
https://twitter.com/kunikoasagi/status/1286315349445505026
https://twitter.com/kunikoasagi/status/1286317474879660032
7月20日から7月26日まで外苑前のトキ・アートスペースで「オリンピック終息宣言展」が開催されていた。
《オリンピックは健康な身体を讃え、障害や病気を排除する、優生思想を広めていく思想上のウイルスでもある。あのベルリンオリンピックを華々しく開催したナチスが排除したのは障害者、社会主義者、同性愛者、ユダヤ人、そして退廃藝術だった。
藝術だけがオリンピックの息の根をとめられる!もちろん、私たちは不健康かつ不道徳に生きて退廃の側に立ち、ここにオリンピックの終息を宣言する。ただちに、そして永久に。》
http://tokiart.life.coocan.jp/2020/200720.html
朝日新聞デジタルは7月21日付で「国立競技場そばで『五輪終息宣言』 美術展開催『反対、堂々と言っていいんだよ』」
東京五輪パラリンピックのメイン会場となる国立競技場からほど近い、東京・外苑前の画廊で、五輪反対をテーマにした美術展「オリンピック終息宣言展」が開かれている。主催者は「表現することがためらわれる社会で、『五輪反対』と堂々と言っていいんだよと作品を通じて背中を押したい」と話す。》
https://www.asahi.com/articles/DA3S14557707.html
オレによく似た人も映っていたりして。
https://www.youtube.com/watch?v=d628BzcRdMk
山形新聞は7月23日付で社説「東京五輪まで1年 知恵出し柔軟な対応を」を掲載している。
《1年延期となった東京五輪は来年7月23日に開会式を迎える予定だ。新型コロナウイルスの感染拡大は多くの国で続いている。1年後に開催できるか誰も確信が持てないというのが実情だろう。
共同通信による全国世論調査では、来年夏に開催すべきだと考える人は23.9%にとどまった。再来年以降に延期すべきだ、あるいは中止すべきだとの意見は合わせて70.1%に上った。
コロナ禍で先行きに不安や不透明感が増している。そうした中で生じた国民の意識の変化を、まずは率直に受け止める必要があろう。混迷する事態を地球規模の連帯で乗り切る上で、スポーツの祭典、平和の祭典が果たす役割、意味を問い直し、開催の意義を再確認することが求められるのではないか。開催実現への確かな道筋を描き出し、しぼんだ五輪への期待をいま一度高め、高揚感を膨らませる方途を探っていきたい。》
https://www.yamagata-np.jp/shasetsu/index.php?par1=20200723.inc
開催実現への確かな道筋を描き出すことはできなくとも、しぼんだ五輪への期待をいま一度高め、高揚感を膨らませるべく選ばれたアイコンは池江璃花子であった。
毎日新聞は7月23日付で「東京開催の危機『池江一択』 組織委、世論の打開狙う オリンピック1年前メッセージ」(倉沢仁志)を掲載している。
新型コロナウイルスの感染が再拡大する中で東京オリンピック開幕1年前を迎えた。大会組織委員会が世界へのメッセージの発信役に起用したのは競泳女子の池江璃花子(20)=ルネサンスだった。「スポーツは人に勇気や絆をくれるもの。逆境からはい上がっていく時にはどうしても希望の力が必要」。白血病から復帰を目指す池江の実感のこもったメッセージを通して、危ぶまれる大会開催への支持を呼び掛けた。》
https://mainichi.jp/articles/20200723/k00/00m/050/191000c
この記事を米山隆一が引用ツイートしている。
《池江さん自身、本当に心から訴えているのだと思います。しかし、今オリンピックを行うかどうかは、大変申し訳ない事ですが、そう言う個人の気持ちを捨象して「本当にできるか否か」という一点で冷静に判断すべき事です。個人の思いを利用するようなやり方は、心底残念です。》
https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1286286179957055488
ラサール石井は米山の投稿をリツイートしている。
《池江さんが個人でSNSなどで思いを伝えるならいいんです。でも、大手の代理店が考えたであろう「Tokyo 2020 +1」という耳なれぬ、来年のオリンピック開催を感動的な既成事実にしようとするキャッチコピーと演出に、池江さんを巻き込んでしまうことに、違和感を覚えてしまいます。
https://twitter.com/lasar141/status/1286472172144226304
東京新聞労働組合も池江の起用にやはり違和感を感じている。
《池江さんの闘病と競技復帰を/心から応援したい。/一方で、組織委員会の人らが/有名選手の立ち向かう困難や逆境と/「東京五輪の苦境」を重ね合わせるのは/違和感を禁じえません。/新型コロナは、別次元の問題だからです。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1286417455594668032
武田砂鉄も毎日新聞の記事を引用ツイートしている。
組織委員会幹部の「池江選手が立ち向かう困難、逆境は(史上初の延期となった)東京五輪とも重なる」とのコメントに驚く。
困難に立ち向かいながら五輪の舞台を目指す選手と、癒着・隠蔽を繰り返し、政治的なアイテムとして五輪を使い続ける姿勢は重ならない。》
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1286816075804340224
山口二郎BBCのニュースを見ていたそうだ。
《今、BBCニュースを見ていたら、延期された東京オリンピックが本当に可能かという話について、感染症の専門家ができるわけないと断言していた。万一ワクチンが開発されても、それを治療を必要とする人ではなくスポーツ選手に優先的に投与するなど、医師の倫理に反すると明言。日本人も現実を直視すべき》
https://twitter.com/260yamaguchi/status/1286472136899477504
活字にもなっている。「Tokyo Olympics: Coronavirus risk raises questions over 2021 Games」がそうだ。
https://www.bbc.com/news/world-asia-53509275
日本語版にも7月24日付で「東京五輪、2021年開催に疑問符 安全を確保できるか」として発表された。
《日本では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が1月に到来して以降、五輪への熱気は急激に冷めている。日本政府はほとんどの外国人の入国を禁止し、外国から新型ウイルスが持ち込まれるのを防いできた。多くの国民も、スポーツ選手や観客を迎えるために入国禁止を解くことにはためらいがちだ。》
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53522738
立川談四楼がツイートしている。
《本来なら今日は東京五輪の開会式だった。10月の体育の日を無理矢理移しスポーツの日にしたわけだが、新聞には「国内感染 最多981人 都内も更新 新たに366人」との活字が踊り、国も都もやる気満々で、そのためにコロナへの対応が遅れたことを数字が物語るという皮肉なのだ。それでも中止決定ではない。》
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1286505965873819648
時事通信は7月24日付で「五輪成否、首相の命運握る コロナ禍で中止なら大打撃―解散戦略も左右」を配信している。
新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪・パラリンピック。その成否は安倍晋三首相の命運を握る。政府は、大会を簡素化するなど懸命に開催を目指すが、当初期待した経済効果は望み薄。新型コロナの感染が再拡大するリスクも伴い、中止に追い込まれれば打撃は計り知れない。自民党総裁としての任期満了が来年9月に迫る中、首相がレガシー(政治的遺産)と期待した「祭典」は、衆院解散・総選挙の戦略をも左右する。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072300420&g=pol
どんな綺麗ごとを並べようとも結局、オリンピックは第一義的に「政治」なのである。毎日新聞は7月24日付紙面で池江璃花子を起用した全面カラー広告を掲載している。オリンピックは第二義的に「ビジネス」なのである。
新潟日報は7月24日付で社説「五輪まで1年 現状の厳しさ認識せねば」を掲載している。社説でオリンピックを論じ「中止」という言葉を使っているのは新潟日報だけであった。
《新型ウイルスを巡る有効な治療薬やワクチンの開発はいまだゴールが見えない。
国内では東京を中心に全国で感染が再び増加傾向にあり「第2波」の懸念が叫ばれている。「Go To トラベル」事業を巡る政府の迷走などもある。
 国民の多くが東京五輪パラリンピックの開催を望む心境になれないのも無理はない。
大会組織委員会は延期に伴って、スポンサー契約を結ぶ企業に対する協賛金の追加拠出の要請を開始した。組織委や政府、東京都は専門家を交えた大会時のウイルス対策会議を秋にも始める予定だ。
開催のためには必要な動きだが、混乱を招かないためには大会中止に備えた想定もしておかなければなるまい。》
https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20200724557460.html
平野啓一郎が呟いている。
《五輪の中止と内閣の退陣を求めます。》
https://twitter.com/hiranok/status/1285730255924350977
スポーツ報知は7月26日付で「五輪組織委理事、10月に開催可否判断提案『3月まで引っ張って中止なら五輪いらないと思われる』」を掲載している。
《「10月判断」を提案した理事たちは、本来は夢と希望を与える五輪に対するイメージが失墜することを懸念していた。「来年3月までズルズルと引っ張って中止となってしまったら『五輪なんてもういらない』と思われてしまう。きちんと判断したと評価された方が、今後の五輪を考えた時に望ましい」と思いを明かした。》
https://hochi.news/articles/20200725-OHT1T50318.html

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5)【記事】新聞社説が論じる「東京五輪」の行方

河北新報は7月23日付で社説「東京五輪開幕まで1年/安全・安心な大会最優先に」を掲載している。
新型コロナウイルス感染症がこの先どうなるか、ワクチンや治療薬がいつまでに実用化されるかなど、不確定要素ばかりだが、開催地としては、対策に万全を期し、準備を進めるしかない。
9月には組織委と政府、東京都などが会議を設置し、政府が主導権を持つ形で出入国管理、検査・治療、輸送・宿泊などの対策などを検討。年内をめどに中間とりまとめを行うという。実効性のある対策を示し、国民理解をどれだけ得られるかが問われる。
ただ、「復興五輪が東京大会の重要な柱であることは変わりない」橋本聖子五輪相が話したように、簡素化やコロナ対策の中で、「復興五輪」の理念が薄れるようなことがあってはならない。》
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20200723_01.html
朝日新聞は7月24日付で社説「延期五輪 開催の姿を問い直せ」を掲載している。
《どんな大会をめざすのか。そのために優先すべきは何で、捨てるのは何か。開催するか否かを、いつまでに、どんな基準によって決めるのか――。
現下の状況に応じた五輪像とそこに至る道筋が示されなければ、選手は前に進めないし、世論もついてこない。ところが聞こえてくるのは、IOC側と日本側との不協和音だ。》
《情報発信の仕方にも問題が多い。組織委の森喜朗会長は先日の会見で、大会を中止した場合の費用は「倍にも3倍にもなる」などと発言。しかしその根拠は明らかにせず、「たとえ話」などとけむに巻く。
こうした積み重ねが、人々の間にうんざりした気持ちや、五輪自体への嫌悪感を生んでいることに関係者は気づくべきだ。》
https://www.asahi.com/articles/DA3S14561026.html?iref=pc_rensai_long_16_article
毎日新聞は7月23日付で社説「東京五輪まで1年 コロナ下の大会像提示を」を掲載している。
《観客数の制限は組織委のチケット収入にも影響するが、IOCのトーマス・バッハ会長は「検討すべき一つのシナリオ」と含みを持たせている。
ワクチンや治療薬の開発が間に合わないケースも想定しておかなければならない。観客数を制限することも視野に、今から知恵を絞る必要がある。
オンラインの双方向性やバーチャル映像を活用して、五輪の価値を伝えることもできるはずだ。感染の収束が見通せない困難な時だからこそ、コロナ下の新たな大会像を提示してほしい。》
https://mainichi.jp/articles/20200723/ddm/005/070/062000c
讀賣新聞は7月23日付で社説「東京五輪 感染防ぎ安全な大会を目指せ」を掲載している。
《海外からの選手団は、役員らを含め1万5000人に上る。コロナが引き続き蔓延まんえんしている国の選手らをどのように受け入れるかなど、難しい問題がある。
海外の選手については、入国時はもちろん、定期的なPCR検査の実施が欠かせない。大会期間中には、医療従事者を競技会場などに配置することが大切だ。》
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200722-OYT1T50298/
産経新聞は7月23日付で主張「東京五輪へ1年 最後まで開催を諦めるな 今こそアスリートの後押しを」を掲載している。
《五輪が感動を呼ぶのも、アスリートが4年に1度の「その日」に勝つための努力を重ねているからだ。われわれも戦いを放棄してはならない。コロナ禍に勝った証しとして来夏こそ聖火を灯そう。諦めるのはまだ早い。》
https://www.sankei.com/column/news/200723/clm2007230002-n1.html
東京新聞は7月24日付で社説「五輪まで1年 開催への道筋は確かか」を掲載している。
《五輪は世界最大のスポーツイベントにとどまらず、人類の平等や連帯を実感させる「平和の祭典」としての役割を果たしてきた。今も差別や分断が絶えない世界で、その意義は薄れていない。
しかし、五輪は近年、商業主義とグローバリズムで肥大化が著しい。「Too big to fail」、つまり大き過ぎてやめられない存在になっている。
IOCの規格に合う施設を新設するなど、開催国・都市には重い負担がのしかかる。大会後に巨額の赤字を抱えたモントリオールやアテネ、施設が廃虚となったリオデジャネイロは五輪が「負の遺産と化した実例だ。東京でその愚を繰り返してはならない。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/44535?rct=editorial
京都新聞は7月24日付で社説「五輪まで1年 鍵握る感染防止と簡素化」を掲載している。
《気になるのは世論の見方だ。共同通信の全国調査(今月17-19日)では、来夏の五輪について、開催すべきが23%だったのに対し、再延期すべきが36%、中止すべきは33%に上った。
再延期、中止とした人が挙げた理由では、世界的にコロナ感染が収束するとは思えない-とする意見が7割以上を占めた。
五輪への期待よりも、コロナ感染を懸念する人が多いことを物語っている。こうした声を無視することはできまい。
開催する場合、感染防止対策は万全にできるか。最も問われる課題だが、簡単ではない。》
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/314719
高知新聞は7月24日付で社説「【東京五輪1年】選手の心に寄り添いたい」を掲載している。
《各国の選手や観客、報道陣らが安心して五輪を楽しむには新薬やワクチン開発が重要なのは間違いない。それとともに感染拡大の防止策をきちんと準備し、徹底すれば大会開催に光が差すのではないか。
来夏の大会で想定される選手は総勢約1万1千人、ボランティアを含めた大会スタッフは15万人を超す。
選手らへのPCR検査や、会場の3密防止、観客数の制限など検討すべき課題は多い。大会組織委員会国際オリンピック委員会IOC)などと入念に協議し、準備に力を入れてほしい。》
https://www.kochinews.co.jp/article/384227/
愛媛新聞は7月25日付で社説「東京五輪まで1年 大会の在り方見直すきっかけに」を掲載している。
《経費確保のため、組織委はスポンサー契約を結ぶ企業に対し協賛金の追加拠出の要請を始めた。しかし、新型コロナで企業も業績が悪化しており、どこまで応じるかは不透明だ。最終的には国民負担となる可能性もある。新型コロナで財政が厳しさを増す中、徹底した経費節減や説明がなければ、国民の理解は得られまい。
五輪はかねて、収入を巨額の放送権料に頼る構造といった問題が指摘されてきた。今回の事態を、五輪の在り方そのものを再考するきっかけとし、意義を深めたい。
https://www.ehime-np.co.jp/article/news202007250009

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6)【本日の一行情報】

青山真治のツイートで知った…。
ピーター・グリーンジョン・サクソンの訃報が同じ日に入ってきて、私にとってはちょうど同じような位置にいる二人で、なんだかなあという感じなんで、仕方ないからディランがカヴァーした「ハレルヤ」を聞いた。》
https://twitter.com/cooff/status/1287248438673854465

◎柳澤翔は自らのポカリスエットCMをツイッターで次のように解説している。
《ポカリ「ボクらの夏」監督しました。
分割画面は見飽きた。でも人の間隔を2m以上開けないと撮影はできない。それなら、前回の分割画をステージにして、春篇をMPCにブチ込んで、36人の高校生達とアンサーソング一緒に作る。「会えたね」という喜びの集大成、是非観てくだい!
https://twitter.com/SHOWyanagisawa/status/1286640923997134849
さすがの出来ばえである。主張を持っているのが良いんだよね。

産経新聞は7月23日付で「NYタイムズ トップに49歳女性 レビアン氏」を掲載している。共同通信の配信記事だ。
《米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)は22日、新しい社長兼最高経営責任者(CEO)にメレディス・レビアン最高執行責任者=COO=(49)が就任すると発表した。》
https://www.sankei.com/economy/news/200723/ecn2007230006-n1.html
清水潔が引用ツイート。
《日本の新聞社だったら3回倒産しても起きない奇跡。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1286165011371446274
出版社も同じようなものだ。

◎BS-TBSで7月25日(土)午前10時から「13坪の物語 ~小さな本屋が愛される理由」が放送された。隆祥館書店が取り上げられている。
大阪市の街中に創業70年,わずか13坪の書店があります。 本は,ここで買うと決めている…,2代目店主・二村知子さんのもとには,人生で壁にぶつかった時,本に助けを求める人たちが,訪ねてきます。家族の介護や仕事,日々の暮らし。二村さんが薦める本で話に花が咲きます。二村さんは,入荷した本を読んで,いつも考えます,「この本は,“あの人”に合うのではないか」と…。》
https://twitter.com/document_J_bs6/status/1285054905619632128
https://twitter.com/ryushokanbook/status/1286635125602529281
https://www.facebook.com/document.J/
隆祥館書店は白井聡内田樹の「属国民主主義論」(東洋経済新報社)を紀伊國屋書店新宿店に次いで全国二番目の売上を記録したが白井聡が同じ版元から刊行した「武器としての『資本論』」の新刊配本はゼロであったそうだ。こういうことを克服しない限り、紙の出版に明日はあるまい。

烏有書林がツイートしている。
《神保町・東京堂書店の「中上健次の本棚」フェアに行き、担当者の方と少し話したところ、烏有本の藤枝静男『田紳有楽』と小林美代子『蝕まれた虹』を陳列ラインナップに加えていただけることに! 店頭に並ぶのは連休明けになっちゃいますが、中上ファンの方、ぜ東京堂3階でご覧ください!》
https://twitter.com/uyushorin/status/1285895542787072001
これは東京堂書店のツイート。
《《中上健次氏の本棚》フェア、初日より多くの方にご覧いただいております。当フェアのポスターに載せたのは、1984年5月7日に当店で講演した際の中上さんです。同講演の内容は、『熊野誌第50号記念別冊』に掲載されております(今回は仕入れられませんでしたがご参考まで)》
https://twitter.com/books_tokyodo/status/1283324504853241857

◎「週刊エコノミストOnline」が7月15日付で発表した「炎上商法はなぜ必ず最後には失敗するのか 幻冬舎・箕輪厚介氏の大炎上事件を行動経済学で読み解く=松本健太郎」を「YAHOO!ニュース」は7月20日付で公開している
《なぜ箕輪さんは大炎上したのか。
(中略)
おそらく箕輪さんは自分の実力を過信し過ぎ、周囲の声に耳を傾けないどころか、むしろ自分への嫉妬と勘違いしてしまうほど、認知が歪んでいる状態だったことが原因だと筆者は推察します。
認知心理学社会心理学では「確証バイアス」と呼びます。》
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200710/se1/00m/020/004000d
箕輪厚介の編集者としての最大の欠点は学の匂いが皆無であるということである。

◎元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーがこんなことをツイートしている。
《太平洋戦争中に日系人の入学を拒否していたアメリカのインディアナ大学は、その歴史に直面しないといけないと認め、公式的に謝罪した。ほぼ80年が経っているが、遅れてもやらないよりマシだ。》
https://twitter.com/martfack/status/1286885002798489602

◎ポプラ新書から植野広生の「dancyu“食いしん坊”編集長の極上ひとりメシ」が刊行された。植野のプロフィールがなかなか興味深い。
《1962年栃木県出身。法政大学法学部に入学。上京後すぐに、銀座のグランドキャバレー「モンテカルロ」で黒服のアルバイトを始め、鰻屋や喫茶店など多数の飲食店でアルバイトを経験。卒業後は新聞記者や、経済誌の編集担当などを経て、2001年「dancyu」を発行するプレジデント社に入社、2017年より編集長に就任。趣味は料理と音楽。BS日テレ「町ごはん」に和牛とともにレギュラー出演ほか、テレビ・ラジオ等メディアにたびたび登場。》
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201192.html
7月16日に放送されたTBSラジオ「ACTION」に植野が登場し、木曜パーソナリティの羽田圭介を相手に次のように語っている。
《うなぎって頭から尻尾にかけて、一番脂が乗っているのは腹の辺りです。で、頭はきめ細かい肉質で、尻尾はきゅっと締まってますね。で、頭から順に腹、尻尾の食べるのが一番美味しく食べられます。で、うな重です。これは多くの店で、手前の左が頭なんです。で、奥の右が尻尾なんです。だから手前の左から食べ進んで、右の奥側で食べ終わるのがベストなんです。》
《…山椒をかけたくなったらうなぎに直接かけるのではなく、うなぎをめくってご飯の上にかけます。うなぎの上に山椒をかけちゃうと、いきなり口の中が山椒の香りで充満しちゃうんですね。これをうなぎとご飯の間にかけておくと、うなぎの味のあとに山椒の香りが追っかけてくる形になります。》
https://www.tbsradio.jp/501403
鰻屋でバイトしていただけのことはある。ここのところ植野の名前をよく見かけるのは、この本のプロモーションのためだったのか。

Netflixは「タクシー運転手~約束は海を越えて~」の配信を日本では今月から開始したが、作品の紹介を現在は次のように修正している。
民主化運動を取材するというドイツ人記者を乗せ、光州を目指すタクシー運転手。それが人生を変える出会いとなるとは知るよしもなく…。実話に基づく感動の物語。》
https://www.netflix.com/jp/title/80200945
当初は、こう書かれていたようだ。
《暴動を取材するというドイツ人記者を乗せ、光州を目指すタクシー運転手。それが人生を変える出会いとなるとは知るよしもなく…。実話に基づく感動の物語。》
http://www.wowkorea.jp/news/enter/2020/0721/10265266.html
「ダンミ」は7月21日付で「5・18運動が’暴動’? Netflix映画 ‘タクシー運転手..’ 紹介に韓国から違和感の声」を掲載している。
《韓国のメディアスポーツ京郷(キョンヒャン)によると、「暴動を取材するというドイツ人記者を乗せ、光州を目指すタクシー運転手~」と記されていたという。
しかしこれを知ったネットユーザーは「歴史的事実を歪曲するなんて」「Netflixが5.18運動を蔑視している」「光州事件を市民の暴動だと言うのか」「あれは暴動ではない」と、憤りを見せた。
また、一部の日本ネットユーザーも「さすがに史実をもとに作られた映画を“暴動”と表現するのはどうなんだろうか」というコメントもいくつか見受けられた。》
https://danmee.jp/knews/koreanmovie/netflix-taxidriver/
「目の前に広がるのは、暴動により地獄と化した街」といった表現も使われていたようだ。こんなツイートが投稿されている。
《ネットフリックス日本は、クソですか? 『タクシー運転手』の説明に「目の前に広がるのは、暴動により地獄と化した街」だの「暴動を取材するというドイツ人記者を乗せ」とか かいてじゃないわ! 映画を なんだと おもってるんだ! 歴史に つばを はきかけるような説明。公式謝罪するべき。》
https://twitter.com/hituzinosanpo/status/1284878170735271936
「超図解 ぬまがさワタリのふしぎな昆虫大研究」(KADOKAWA)で知られてるイラストレーターのぬまがさワタリが次のようにツイートしている。
《ちょうど『タクシー運転手』を見返してて、1980年の光州の民主化デモについて「学生が暴動を起こした」って国内のフェイクニュースが流される場面があり、同じことを今ネトフリ日本がやっちゃったんだからそりゃ批判されるわな…と(訂正されたけど)。なんで弾圧する側の視点で紹介しちゃったの…。》
https://twitter.com/numagasa/status/1285475239145598976
大袈裟太郎のツイート。
《僕の集英社の連載にまさにこの「暴動」という言葉の呪いについて、この映画を引き合いに出して書いたんだが、2020年、まだまだ呪いは解けないのかと、薄ら寒い気持ちになるニュース。》
https://twitter.com/oogesatarou/status/1285427190461415428
大袈裟太郎は「集英社新書+」に「窒息しそうな世界は今、風穴を求めている」を6月22日付で発表している。ネットフリックス日本のみが鈍感ではないのだ。大袈裟は、こう指摘している。
ミネアポリスのプロテストを報じる中で日本のメディアの多くが「暴」そして「暴動」という言葉を使った。その瞬間、言葉の呪いがかけられ、このプロテストの本質的な意味合いはねじ曲げられて伝わっていく。これは昨年の香港取材でも、そして筆者が住んでいる沖縄でも感じていることだ(沖縄の運動は完全に非暴力だが)。》
大袈裟もまた「タクシー運転手」の台詞を引用している。
《「光州で暴れているのはアカと暴だけだろう」
これは光州事件を描いた映画『タクシー運転手』の劇中、ある市民がテレビを見ながら言うセリフだ。この言葉をきっかけにソン・ガンホ演じるタクシードライバーは悔しさに震え、再び光州へ舞い戻っていく。そこにいるのは「暴」でも「アカ」でもなく、自分と変わらない市井の人々だと、すでに彼は知っていたからだ。
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/news/9433

北海道新聞は7月22日付で社説「政府の民間委託 疑念持たれぬルールを」を掲載している。
《持続化給付金の事務委託では、委託事業費の97%が電通に再委託され、国会審議で「丸投げ」「利益の中抜き」との批判が出た。
各省庁は2006年の財務省通知を機に、一括での再委託を禁止した。丸投げなどの防止に、厚生労働や環境など4省は再委託の比率を原則50%以下としている。
だが、他の省庁は比率の上限を設けていなかったり、主要部分の再委託を禁ずるにとどめていたりしている。国民の疑念を招かないような比率への統一が必要だ。》
《国会審議では、経産省電通の親密ぶりが明らかになった。
持続化給付金の委託先選定前、経産省はサ推協と電通の関係者と3回、計3時間にわたって面談していた。競合社の3倍だ。
中小企業庁長官が17年に視察先の米国で開いたパーティーに、サ推協理事の電通OBが来場するなど、癒着を疑う声もある。政府は経産省電通の関係を検証し、適正化を図らなければならない。》
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/442915?rct=c_editorial
東京新聞は7月23日付で「電通経産省事業を受託しない方針 持続化給付金委託問題で批判受け」(大島宏一郎、桐山純平)を掲載している。
《国の持続化給付金の不透明な業務に対する批判を受け、広告大手電通は22日、当面の間、経済産業省の新規事業を受託しないことを発表した。同社から外注を重ねる業務などについて社内で見直しを行うため。28日に競争入札が締め切られる2020年度第2補正予算分の給付金事務委託にも参加しない。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/44269
毎日新聞は7月24日付で「安倍政権と電通の『深い関係』 内閣広報室、9年連続採用はなぜ?」を掲載している。
《しかし、なぜ内閣広報室は9年間も電通からの受け入れを続けているのか。事実上の電通枠ではないのか。この点について内閣広報室は「結果としてたまたま続いているだけ電通枠というものはない」とコメント。さらに(1)電通から受け入れた職員は9年間で計何人で、どんな仕事をしてきたのか(2)常勤か非常勤か(3)政府が職員受け入れを巡り電通に打診または要請したことはあるか――との質問に対しては「職員の個人情報にかかわるので、お答えすることは差し控える」と回答した。
一方、電通広報は9年間で何人が採用されたかなどについて「内閣広報室の人事に関することであるため、同室までお問い合わせいただきますよう、よろしくお願い申し上げます」と書で回答した。
https://mainichi.jp/articles/20200722/k00/00m/010/245000c
そう言えば今村真人という電通マンがいたはずだ。
つづく